主人公雪くんのどうにもできない恋心に苦しむ様子が本当に切なく、嶋くんの勘違いによるすれ違いに思わずやきもきしてしまいます。けれども大学寮という舞台が重苦しさを感じさせず、終始爽やかな雰囲気を纏いながらテンポよくストーリーが展開されます。
雪くんが嶋くんへの恋心にどうにか折り合いをつけようと決心したタイミングで嶋くんが認識する雪くんへの恋心。ここの描写がとにかく素晴らしく、立場が逆転した様子を後半は思う存分楽しむことができます。そこからの両想い。告白シーンは空気感や香りまで体感できそうな、これぞココ先生!と唸ってしまう本当に極上の美しいシーンで彩られています。
ココ先生の初期の作品ではありますが、物語に流れる柔らかく優しい雰囲気はまさに相野ココ先生らしさで溢れていて本当に何度も読みたい素敵な作品だと感じます。
声をテーマにしたBLは数あれど、やはり「南くんはその声に焦らされたい」ほどテーマを大切にしフェチを追求している作品は他にはないのではないでしょうか?!
1巻で結ばれた2人が恋人となった続編は、1巻と同じく単なるシチュエーションやプレイにとどまらない心の繋がりや葛藤を乗り越える様子を物語そのもののとして楽しめるように素敵に描かれています。と同時にエチシーンの濃厚さがさらに威力を増していて、1巻で最高値に達したと思われるトロトロ南くんの可愛さをさらに越えてきます。烏丸くんの声による南くん好みのプレイが見ていて本当に気持ちよさそうで、耳元や口元だけのコマだけでもゾクゾクとさせられます。
なんといっても烏丸くん視点だった1巻と異なり2巻は南くん視点で展開されるので南くんと共にイケボの彼氏を堪能できてしまう。
優しいストーリーと共存する上質なエロ。まさしく最高のマンガだと思います!
声がテーマの作品ということもあり、音声化するのはある意味とても難しいと思っていました。原作の大ファンなのでもちろん発売を心待ちにしていました。ただ、マンガのイメージと聴いた時のイメージがかけ離れているとそれだけで失敗になってしまうから、大好きなこの作品においてそんなことは何があっても避けて欲しいと祈るような気持ちがあったのですが…いざ聴いてみるとそれは全くの杞憂で、とんでもなく素晴らしい仕上がりに製作者様たちのプロ意識のようなものをまざまざと見せつけられ驚いてしまいました!原作の細やかな心理描写ととびきりのエロを余すところなく表現できていて、何より原作のシーンが鮮やかに目に浮かぶ。原作未読の方が聴いても場面やキャラの心情を楽しむことができるし、既読の方は必ず原作を読み返したくなると思います。ピュアとエロ、どちらも申し分なく摂取できる最高のCDでした!!!