ミスTyさんのマイページ

萌作品

エキスパートレビューアー2023

女性ミスTyさん

レビュー数6

ポイント数68

今年度41位

通算--位

  • 神0
  • 萌×24
  • 萌2
  • 中立0
  • しゅみじゃない0
  • 絞り込み
条件

指定なし

  • レビューした作品
  • 神作品
  • 萌×2作品
  • 萌作品
  • 中立作品
  • しゅみじゃない作品
  • 出版社別
  • レーベル別
  • 作品詳細
  • レビューした著者別
  • レビューした作画別
  • レビューしたイラスト別
  • レビューした原作別
  • レビューした声優別
媒体

指定なし

  • 指定なし
  • コミック
  • 小説
  • CD
  • DVD
  • ゲーム
  • 特典
発売年月
月 ~
レビュー月
表示モード

一冊にまとまってくれて嬉しい!

鬼嶋兵伍さん&シャルルアンソロジーのタッグ、
その軌跡を辿るような作品集。

近年では紙のアンソロジー自体が少なく、
同じカップルで連載し続けるケースの方が多く見られ、
このような短編詰め合わせも、あまり見なくなったような気がします。

様々なキャラクターを魅力的に描かれていると思います。
人情味溢れるオヤジ、若い筋肉イケメン、
屈強な男前、シャレたデザインの人外、
時にはスマートな美男子も登場し、可愛い系はきちんと可愛い。

お話の内容は若干、予想外の方向に唐突に展開する印象がありました。
一見不安になるようなストーリーでも、
最後にはどんでん返しでハッピーエンドになるので安心。
以下、各話の感想です。

「翠玉の使者」(人外×筋肉BL)
ボケ&ツッコミのようなケンカに笑わせられ、
時を超えた再会とも、新たなる主従愛とも言える縁で結ばれる。
描き下ろしはその後の二人で、エロ無しほのぼのシーン。
ユウジのお陰で商店街の人々に親しまれ
幸せに暮らしているアゼル、良かったね!

「ラスト・プラネット」(褐色BL)
色無き者シンジ達は褐色肌の戦士達に囲まれ絶体絶命の大ピンチ!
……と思いきや?…wwww(敢えて何も書きません笑)
まさに褐色好きの為の、褐色攻め受け両方楽しめる仕様でした。

「BORDERS!!」(筋肉BL極)
敵対する軍人同士、お堅い系と人懐っこい系で性格は反対。
互いに惹かれながらも後に戦う事になる、
切なさも含みながらのストーリー。
最初攻め受けが予想出来ず、どちらでも違和感が無い感じで、
楽しみにしながら読みました。

「マシュマロパパシリーズ」(熟れおじBL-受-・筋肉パパBL)
2本立てです。オヤジが出てくるBLは数あれど、
雪方さんのようなタイプはレアな気がする…。
ガチムチ勢の中でも規格外のデカさなのに愛情深い。
もふもふの雲みたいな雰囲気が個性的でインパクト大。
攻め達はその豊満過ぎるボディに「埋まる」という表現が相応しいですね。

「天恋」(人外・ケモノ×BL)
同棲カップルで最初はほのぼのHにほっこり萌え
…なのですが!淡白さに怒ったお釈迦様が触手で
最初の余韻をブチ壊すトンデモ展開!
神という種族だけでなく、
触手という人類には不可能な所業を加える事により
人外「ならでは」のお楽しみ増し増しにも感じられます。

「リングの太陽」(筋肉BL)
記念すべき初代筋肉BLからの作品ですね。
どちらも違った良さがあって、尊重し合う事が大切だと思う。
けれど、その根元は同じ「格闘技」で繋がっている、
そして、そのリングは同じ太陽の下にある。
進む道が違っても、それらが二人を結ぶ絆の鎖のように思えました。
過去の事を語り合いながらのHシーンが微笑ましかったです。

ややライトで可愛らしい感じにはなったものの、
何となく肉体派シリーズの単行本なんかを思い出させる一冊でした。

結ばれ 解けて 打ち合い 交わる

Daito Comics BLシリーズって
どちらかと言えばHなお話や、続き物が多い印象があります。

それがエロ無しストーリー重視の終始シリアスな作品を出してきて、
1冊できちんと纏まっているのにまずは驚かされました。

中華系の世界観を舞台に革命を主体としたストーリー、
BL要素は控えめで軽いキスくらいの描写しかありません。
私には描けないので偉そうには言えないけれど、
近年の美麗イラストなBLを見慣れちゃっていると
正直若干絵は粗いかなぁ…と言った印象。
欲を言えば戦闘シーンにもう少し躍動感や迫力が欲しい。

序盤は若干グロテスクな表現があります。
ただ「残酷」と言葉で書くより説得力があると思うので、
敢えて描いたのは、個人的には悪く無い表現だと思います。
その罰する姿を見てほほ笑む王妃が恐ろしくとも美しい…。
でも読み進めていくと彼女の印象は変わっていきます。
彼女の結末もきちんと見届けられる描き下ろしがあったのも良かったです。

ここをもっと詳しく描いた方が良いのでは?な箇所はありました。
二人の出会いは解ったけれど、恋人に変化していく過程の部分だとか、
王とのラストバトルとか、ページの都合もあると思いますけれどね…。

それぞれの正義、信念、本音が入り混じって
立場の違う二人は戦う事になる。

夢の無い話だけれど、どんなに好きな人でも所詮は他人、
全てが同じになれる訳も、全て解りあえる訳も無い。
ラブストーリーにありがちな
「愛しているから離れたくない」を理由に安易に相手に付いていかず、
お互い自分のやるべき事、行くべき道を貫いて、
剣を交わす選択をした硬派さが私は好きです。

しっかりBL萌えしたい時には向かない
少年漫画or戦いモノの少女漫画風だけれども、
これはこれで良かったです。

モブおやじ目当てで買いました

主人公、田川正樹は弟の進学の為に
土木の仕事でお金を稼ぐ頑張り屋の青年。

①職場仲間にWワークの話をしたら
 ゲイ向けソープが稼げる、と教えてくれる。
(普通いきなりゲイ向け風俗を勧めるか?)
②お金の為なら何だってするんだ!正樹は速攻そこへ向かう。
(他の仕事は検討しないのか?)
③受付で働きたい旨を伝えていたら常連客の早乙女が部屋へ連行、
 ソープ嬢のいろはを指導される事に→そのまま採用!
(速攻過ぎ!面接とかは?)

…ここまで来るのにわずか4ページ。読者がツッコミを入れる隙も与えず、
あれよあれよと言う間にソープ業&エロに突入するハイスピードBL!

その後は年齢制限無くて大丈夫?ってくらい怒涛のエロエロラッシュ!
サキ(正樹)のセクシーボディを堪能出来る様々なアングルと体位、
スケベイスやコスプレなど変化に富んだプレイは迫力満点ですね!

でもこれらのエロはお仕事のお勉強も兼ねていて、
お客さんに気に入って貰う為に日々精進を目指しているのだ。
様々なプレイに積極的に挑み、それを学ぼうとするのは
ソープ嬢の仕事に真面目に取り組んでいる証拠。

この素直で意欲的な性格に好感が持てたから8割方エロでも楽しめました、
これが嫌々やっているタイプなら楽しめなかったと思う。

他のお客さんだとちょっと抵抗がある事も早乙女には出来てしまう…。
(あのモブおやじと比べりゃそうなるだろ、とツッコんではいけない)
あの空間限定の恋人に本当に特別な感情を抱いてしまったサキ。
この展開でありがちなのが
「客とキャストの関係なのに何勘違いしてんだ!」
ってフられ、一旦距離を置くパターン。

…のハズですが、そのすれ違いすらも無く、
実は俺も好きだったんだ!でめでたく両想いに。
しかも早乙女は社長だった!俺の秘書にならないか?
→資金難も解決しソープからも足を洗って万々歳のハッピーエンド!

これこそノンストレスで読める、
ハッピーエンドに向かって突っ走る光の極みBLでは無いでしょうか?

ソープランドを扱ったBLが珍しかったのもありますが、
実は先方のレビュアーさん達が口を揃えて
モブが超キモイと言っているのに惹かれて購入しました(笑)
主人公二人とのビジュアル格差が笑えるモブおやじ客が何度か登場します。

私はモブおやじが嫌いでは無いので
コメディシーンのような感覚で楽しく読めました。
無理矢理とか酷いのは無く、見た目の暴力以外モブ姦描写は控えめです。
そして、モブおやじにも誠意ある対応を心掛けるサキの好感度がアップ。

ストーリー重視の方やモブおやじに耐えられない方には向きませんが、
深く考えず甘エロハッピーを楽しめる一冊だと思いました。
はっきり言ってほぼエロ本ですが時にはこういうのもアリですね。

コンプレックスは武器にもなる

 特定の条件下で女体化してしまう体質は大変だし、多くの場面で悩みの種となるでしょう。でもそれは時として、ノンケ男子にアピールするチャンスも作るのです。

 葵の女体化は発情作用付き!ゲイとしてはそこそこ経験があるようだし、お酒の勢いも加わるせいか、自分から積極的に煽るような姿勢も多く見られます。誘い受け好きとしてはここが特に楽しめました。でも女体化でのHの経験は無くて、いざとなるとたじろいでしまうのです。

 それに対し攻めの橙哉は、単純におっぱいに惹かれる一面や、態度こそ強気なものの、発情を鎮める為に身体の方も面倒を見てくれるような感じで抱いてくれる、世話焼きな彼らしい優しさも含まれている所に好感が持てました。

 作者さんの後書きによると、ラブコフレMは「女体化専門TL雑誌」らしい、身体は女性のモノだし顔も可愛らしく変化、HシーンはTLノリかもしれません。

 しかし、仮に葵を女性として例えたら、少し強気な年上のお姉さんが真面目な年下くんを挑発的に誘う…みたいな感じかも。TLのみを好む読者層の多くには、女性の方から誘う作品は多分ウケないですよね。

 身体が女性に変わっても言葉使いは男性の時のままだし、ヒロインがゲイと言うTLには無い設定も含めて、この作品を楽しむには少なくともBLが嫌いでは無い事が条件なんじゃないかな?と思いました。

 ゲイの葵がノンケの橙哉に片想いし、友達以上の関係を求めたら離れていってしまうかも…そのリスクを冒して本当の気持ちを打ち明けるか、黙って今のままの関係を続けるか悩む姿。
 ストーリー部分は男女カップルの作品を読んでいる気分とは異なり、BLの要素が強く感じられました。

 サブキャラクターも強烈な人ばかり出てきて面白かったです。ワインバーを営む強気な翠おネェさんは葵の良き相談役、ラテン系の黄塚さんは橙哉の事を良く知る先輩、そして謎の男、紫音の正体にも驚かされました。

 本音を隠したままの中途半端な関係が、いつまでも平穏に続けられるとは思えない。勇気を出して気持ちを打ち明けたものの、橙哉は戸惑い一旦葵の元を去ってしまう。
 
 きっと二人の気持ちの歯車のタイミングが上手く噛み合わなかっただけで、うっかり事故での女体化体質発覚から色々な事がありすぎて、橙哉も考えを整理する時間が欲しかったんだと思います。

 …と気になる所で1巻は終了の続き物でした。絵も綺麗ですし、お酒とおっぱい♀が好きな人なら楽しみやすい作品だと思います。

巨人族の花嫁 コミック

ITKZ 

デカくて強くてかっこいい!

 正直Hが多いなぁ…という印象、本当事あるごとにすぐHな展開になる。性交を推奨している国、花嫁は肌をさらす決まり、催淫効果のある果実、いきなり始まるマッサージ…Hに運ぶ為のご都合主義展開に感じられるのがやや気になりました。

 でもファンタジーな世界観、巨人と晃一の異文化&異スケールコミュニケーションな日常、二人の距離が徐々に縮まっていくストーリー部分は良かったです。

 絵、特に顔の描き方が好みです。カイウスはかっこいいし、晃一は可愛い、けれど荷物を盗もうとした獣人にキックを食らわせて怒るシーンは頼もしいですね!

 巨人ならではのお楽しみと言えば、やはり極端な体格差でしょう。カイウスはたくましく脱ぐとより迫力があります。しかも褐色肌、晃一との肌色の差がそれを強調しているようにも見えます。

 でも修正がキツ過ぎる…修正は必要だと思うし、私はあまりこだわらないのですが、これは見える見えない以前に塗り潰し過ぎで境目が無く、どこがどうなっているのか状況が解り難い。せっかくのレアな超体格差だからこそ、ここがちょっと残念でした。

 多少強引な所もありますが、明るく真っ直ぐな性格で、優しく且つ情熱的に求愛するカイウス、私にはスパダリ系に見えました。
 スパダリ系が楽しめるかどうかは、相手がそれに愛される資格が有るか無いかがカギとなってきますね。

 元婚約者メディナ登場の回では、今でも二人がお互いを好きなように晃一には見えてしまう。
 自分が花嫁に選ばれたのは災いの予言のせい…それらにモヤモヤしながらも「災いを防ぐ方法を考えようよ」と提案します。
 
 一番好きな人と一緒に居て欲しいから、カイウスたちの幸せを願う晃一の優しさに好感が持てました。

 催淫効果のある果実「カリナ」を知らずに口にしてしまった晃一は、月の満ち欠けに比例して淫乱になってしまいます。
 
 以前、奥ゆかしくて恥じらう姿を褒めてくれたカイウスに、今の自分の痴態を詫びる、こういう所も晃一の優しさが出て良かったです。もっとも、私は受けが淫乱な事は良い事だと思いますけどね。
 でもカイウスはそれもまた良い、どちらの晃一も愛おしい、と包み込むように抱いてくれるのです。

 素直で健気、相手にきちんと寄り添おうとする性格の良い受けが、スパダリ要素の高い攻めに愛されているこの二人のやり取りは、正しい組み合わせのお似合いカップルで、問題無く楽しむ事が出来ました。

 カリナの毒を中和するために「ライサ」の果実を探す二人。ところが晃一は攫われ、カイウスも獣人に囲まれピンチ!…と気になる所で1巻は終わっています。
 
 今の時点では二人の馴れ初めから、距離を少しずつ縮めていく部分がメインでしたが、この後ひと悶着あるのは確実だと思うので、このお話はこれからもっと面白くなっていくような気がする!

良くも悪くもいつものuno!

 高い画力と魅力的な設定で描かれた男たちの、出会いと進展の甘エロな日常、キャラ萌え、カップリング萌えを楽しむ作品集。
 安定した萌えの供給は約束されているけれど、欲を言えばもう少しパンチのあるストーリーが欲しい、と言った所でしょうか。
 
 まずは情報量多過ぎのタイトルが目を引きます。「バ美肉」の意味は私も知らなかったのですが、きちんと帯に説明があり親切でした。

 特にHシーンには作者さんの個性が良く出ているように見えます。柔和な顔が見せる様々な表情、肉感のある身体に綺麗な汗。
 
 喘ぎ声がバージョン豊富で強烈、♡で萌え系の中に雄みを感じるものが混在しています。多彩なカメラアングルとポージングを楽しむ事の出来るエロは見応えがありました。
 
 激しいエロに反し、ストーリーの方は暖かい雰囲気。時々出る小ネタや顔芸も面白かったです、素うどん…(笑)

 表題作と同時収録1「密室×開発×ユートピア」は共通している所がいくつかありますね。
 受けの事を大好きな年下攻めが勢いに任せて突撃、良いお年頃の受けが戸惑いながらも流される。
 でも受けは嫌じゃなくて、その後も一緒に過ごす内に、自分の気持ちに徐々に気付き、攻めの真っ直ぐな想いに答え両想いになる、と王道寄り。
 
 最初のHシーンに入るまでは性急に見えましたが、その後受けがゆっくり自分の気持ちを考えてから答えを出す、片想いが両想いになるまでの過程はきちんとしていて良かったと思います。

 誘い受けや嬉しそうに抱かれる受けが好きな私としては、自分から乗る佑真とか、準備万端な店長のシーンがお気に入り。恋人になった後の受けには包容力を感じました。
 
 逆に、攻めにはスパダリ感があるように見えます。身分などのスペック的な事もあるので厳密にはちょっと違うのでしょうが、私は受けを溺愛し大事にしてくれそうな攻めはスパダリ系だと思っています。年下にその属性が付いてくるとギャップが尚更良いんですよね。

 同時収録2「かわいいヒモにはお仕置きを」は同い年カップルで他とちょっと毛色が違うかも。お仕置き要素としてスパンキングがありますが描写は控えめ、個人的にはここをもうちょっと見たかったな。
 
 生活能力ゼロのだらしないヒモな夢大だけれど、恵介の事が大好きで、ご飯作って帰りを待ってる姿を見ていると、悔しいけれどなんか憎めないんだよなぁ…。

かわいい×かわいい=やっぱりカワイイ!

 入学式で一目惚れした美少年は超肉体美マニアの変態野郎だった!から始まる学園系ラブコメ。理想の肉体を持つ透哉は、その日から肉体美フェチの叶に撮影対象として追いかけられる受難の日々が始まる…。

 そんなある日の事、高所で撮影をしていた叶が足を滑らせて落下、それを庇った透哉はケガをしてしまう。手当をしてもらったら何故か勃起してしまい、肉体美フェチならではの理由からヌかれるハメに。

 その時に写真を撮られた!→削除するチャンスと家に上がったらもっとエスカレート!→おかしくない?相手の事を知るならまずはデートでしょ!
 …と言うように恋へシフトチェンジさせる出来事が次から次へとドミノ倒しのように展開、気が付けば嬉しいはずの「友達」と言う言葉もチクっとするように。

 ストーリー自体は比較的王道ですが、この二人の場合は常人離れした叶の筋肉ラブなボケと、それにツッコむ透哉の掛け合いが楽しく、言葉選びが上手なネタがあちこちに散りばめられて笑いを誘い、他のラブコメ作品との差異を出していると思います。

 反面、二人の恋に立ちはだかる障害や新鮮味はあまり感じられず無難だった印象。邪魔者はいない方が良いし、すれ違いもきちんとあるけれど、最近のクセが強い作品が多く並ぶ中では、やや厚めの本の割に少々インパクト不足かな?とは思いました。

 両想いになってからのHでは、なかなか手を出して来ない叶に自分から求め積極的な姿勢を見せる透哉。下(受け)である事にも「まぁ…いいか」と認め、そして笑顔で幸せそうなのが何よりも良かった!

 実は私は泣き顔があまり好きでは無いんですよね。特にハッピーな作品のHでは嬉しそうに笑っていて欲しいなぁ、それだけで萌え度と読後の幸福感がグーンと上がるんだ!

 オッサンになっても体系維持できる保証は無いと言う透哉に「美っていうのはそういうのもひっくるめて愛でるもの」と答える叶、このセリフ良かったです。
 歳を取って肉体美が劣化したとしても、変わらず愛し合うおしどり夫婦みたいな未来が見えるようで、ほっこり幸せな気持ちになりました。

 Twitterに掲載していたネタ漫画もいくつか付いて本編後のお楽しみもボリュームあり。描き下ろしでは透哉がなんと「上」をやってみたいとお願い、頑張って攻めに回ろうと積極的に煽るのが可愛い。

 まぁ結局はしないで終わるんですけれど(「上」にも色々あるからねー)。この先二人はずっと一緒に生きていきそうだし、長い人生の中ならその可能性もあるかな?叶もそんなに嫌そうな反応では無かったし、勝手にリバの予感がするカップルだなーと思っています。

 小柄な美形攻めに筋肉受けですが、そこまでバッキバキのムッキムキでは無い見やすいガタイです。
 二人の可愛い表情満載で、適量なギャグとHを挟んだハッピーなDKラブなので、普段そういうのをあまり読まないけれど、筋肉受けや逆体格差に挑戦してみたい方にも比較的お勧めしやすいですね。

高い画力で描かれたナイスガイ、萌えエロ、そして…幽霊

 とにかく絵がお上手です、引き締まったボディにカッコ良さと可愛さを兼ね備えた、魅力的な表情の人物たちが描かれています。小物やアニメの美少女キャラクターなども見ていて楽しいですね。
 
 顔は美形だがボッチオタクの高虎、そこにピザを配達しにきた千裕は誰とでも友達になっちゃうおしゃべり君。
 会話がきっかけでこの二人に友情が生まれるところまでは良かったのですが、高虎の趣味のエロアニメが引き金となり、二人の関係は抜き友のようになってしまう。

 「友達」と「それ以上の何か」との境目が解らない高虎と、ボーダーラインを越えないギリギリの位置で、快楽に流されがちな千裕。
 結局その一線を越えてしまった二人は玉砕。ところが一度離れることによって気付かなかった気持ち、目を背けていた気持ちに気付いて…。

 楽しい事ばかりでなく、ほんのり闇を感じる表情が良いスパイスになっていたと思います。
 最後の2ページはそういうオチ!?ってヒヤっとさせられましたが、無事ハッピーエンドで良かったー!…と言うようにストーリーもきちんとありきのエロエロでした。

 同時収録その1「かわいい犬はよく濡れる」。憧れの教授の気を引こうと頑張っていたら実は向こうも同じ気持ちで…両片想いが両想いになるのっていいよね♪最後のアレが散らばっているのは稀に見ない光景、ヤり過ぎ!

 同時収録その2「デッド・オア・ダーリン」!BLに出てくるオバケは最低限オバケだと解ればいいハズ…ホラーが得意な人から見たらどうか解らないけれど、そういうものに不慣れな私では、初見で寒気がするレベルのオバケが登場!((゚Д゚;))

 逆に言えば「怖い!」と思わせるくらいリアルで上手く描けているという事なんですよ。幽霊を題材にしたものに相応しく、ホラー要素と言うお楽しみまできちんと付いてくるのが好感。慣れると逆にすごいなぁ~ってガン見しちゃう。
 
 お話自体は恐怖を吹っ飛ばしてくれるようなアホエロなんですよ、この幽霊ちゃんも他のコマではデフォルメなので可愛く見えてしまうのだ。
 
 もう一つの見所はやたらと力の入った除霊シーン!ヤリながらガチな除霊を始める二人、傍から見れば絶対シュール、でも本人達は生きるか死ぬかの超必死!
 手の動きが一コマずつ丁寧に描かれており、真似して練習すれば我々も除霊をマスター出来るんじゃないだろうか。(違)

 個人的には全体を通してエロシーンが盛り盛り過ぎて胸焼けするのと、受けを泣かせ過ぎで若干萎えるのはあるかな…でもこの辺は読み手によって、良し悪しが割れる所だと思うので。
 それぞれの後日談やカバー裏、その他諸々のお楽しみ付きでボリューミー、特に高虎×千裕の新境地な描き下ろしはインパクトがありました。

ピュアBLの尊さと存在意義

 正直あまり読みごたえが無くすんなり終ってしまいました、ちょっと辛口注意です。

 ボディガードしなければならない特別な理由や事情があれば、もっと楽しめたと思うのですが、マサは不良達から恨みを買いまくりで、マサに付いてきた宙が単に巻き添えを食らっているという印象。
 
 不良とのケンカはコミカルテイストで、痛々しさやアクション要素は少なく、学校でのほのぼのした日常メインなのが私には刺激が足りなかったようです。

 小学生の時のエピソードには多少そういう要素もあるけれど、二人のすれ違いとかトラウマのような、話が盛り上がる何かがもうちょっと欲しかったかな。穏やかな話が好きな方もいるので、この辺は好みによって良し悪しが割れる所なのでしょう。

 宙がマサに惹かれた理由ですが、顔も知らず会った事も無い、何らかの手段でやり取りをした事も無い、妹さんの話の中にだけ登場する未知の相手に、学校を変えてまで会いに来るほど惹かれるものだろうか?
 
 BLの感想でこんな事を言うのも変ですが、妹さんとの再会ラブの方がしっくりくるような気がしました。
 最初は友達になるつもりだったのがあまりにカッコよくて…と言う部分は一目惚れみたいなものだから、ラブに変化する過程の方は理解出来るような気がします。

 でもね…ストーリー皆無で中身も萌えも特殊性も無いエロシーンを羅列するような作品に比べれば、エロ無しピュアBLを描き下ろしまで貫いたこの作品は遥かに好感が持てます。
 
 BLファンの中にはエロばかりだと好き嫌い以前に気分が悪くなってしまう方もいると思います。けれどその逆はどうでしょう?エロエロが好きな人がエロ無しBLを読んでも無問題ですよね。
 
 それらを踏まえるとエロ無しBLは、広く多くのBLファンに受け入れられやすく、ジャンル内で必要不可欠な存在だと思うんですよ。

 DK同士のピュアラブほど「ボーイズ」「ラブ」と言う言葉を忠実に貫いている作品は無いですよね。そう考えると、本当に崇められるべきBLは純愛DKモノなのでは無いでしょうか? 正直私はあまり得意ジャンルでは無いので説得力が無いかもですが…。

 …と本当はここで終わりにしたいのですが、残念ながら(?)同時収録「ときどき過激なケンタくん」があまり内容の無いエロエロと言った感じでした(^-^;

 恋人だから一緒に死んでくれって思考がまず理解できないのと、そもそも死のうとした理由もよく解らなかったなぁ、まず「心中」ってお題自体が難しいのかも。

 Hの後に一緒にやりたい事を語り合うところは良かったです。彼らは表題作の冒頭と描き下ろしにちょこっと顔出ししており、作品間で繋がりがあるのは楽しくなりますね♪

 私には少々物足りない一冊ではありましたが、可愛らしいイラストの可愛い恋をほんのり楽しめたので「萌」の評価をさせて頂きます。