「キューピッドに落雷」の続編。こちらも新装版(レーベルを変えて出し直し)で、旧版の各種店舗でのおまけペーパー等の特典や描き下ろしを収録しています。特装版の表紙は対になっているんですね。
前作は短いお話の詰め合わせでしたが、本作は長編です。体育祭の準備期間を通してのすれ違い、新キャラの3年生の猛生がいい感じに二人をひっかきまわし(というより猛生はそこにいるだけで、二人が勝手に引っかき回されている)、信じているのに言葉が足りなかったり、苦手なことを克服しようと立ち向かってみたり、読み応えがありました。とても楽しかったです。猛生が当て馬的な立ち位置でないことや、慎吾も蒼生も被害者的な立場ではないことに安堵しました。行き違いも不可抗力なものでしたし、バランスがよくてモヤることがなかったです。
巻末描き下ろし「学校ではほどほどに。」も可愛いお話でした。が、絵柄がやっぱりちょっと変わっていて、慎吾の顔が面長になり蒼生先輩が可愛い系に振り切れていて気になりました。お話はいちゃいちゃが過ぎて楽しゅうございました。
イケメンの蒼生先輩の額には傷があり、その秘密を探ってほしいとお昼のパン2週間分をえさに女子に依頼された慎吾。人を寄せ付けないオーラにもめげずに先輩に近寄ってじゃれついたりしているうちに、偶然蒼生先輩の弱点を知ってしまい、……というお話。
任務のことなんて忘れてしまってただ先輩と一緒にいることが楽しくて、気付いたら好きになっていた、という鉄板ですがまあとにかく可愛かったです。寝ても覚めても大好きな人のことばかり、雨が降れば蒼生先輩を心配して飛んで行くし、キスも覚えたてだから止まらない。高校生だもんなー、と終始甘酸っぱい思いを胸に一気読みでした。
本書は新装版(レーベルを変えて出し直し)ということもあって、旧版の時のおまけペーパー等の特典や描き下ろしも加わっています。さすがに描き下ろし部分は絵が少しかわっていて二人とも大人っぽい(特に慎吾)ですが可愛さは健在。収録されている「蒼生先輩がオレのベッドに寝転んでる破壊力たるや。」は同人誌だったんですね。
不眠症の遥は繰り返し悪い夢を見て余計に眠れなくなってしまう悪循環に苛まれている。それは黒歴史と自認する、中学生の時の出来事で、塾の講師に襲われている場面を片思いの相手に見られたというもの。大人になった今になって不眠症が悪化しているのは、転職先の上司がそのときの片思いの相手だったから。というお話。
遥の友達がタロット占いをしたり、遥がはまっている恋愛シミュレーションゲームがタロットモチーフだったり、そういう関係もあって、表紙も口絵も扉絵も大変に神秘的でミュシャっぽくもあり、なおかつ可愛らしいです。熊猫先生の絵柄も好みですが、なんといってもディテールの細かさとものすごい書き込み、しかも一つ一つがとても可愛いので、見ているだけで嬉しくなってしまうのです。
本作の魅力は、主人公の遥の推しであるトーマ様(ゲームのキャラ)による溺愛ぶりと、再会した一色のツンなのに世話焼きでもある過保護体質と思います。片や夢、片や現実。ぐらぐら悩む遥に寄り添って読むことができ、ものすごく堪能しました。そしてやさしい夢に溺れるのではなく、夢の中でも自分を変えようとしていたり、その夢に影響されるように現実でも料理に挑戦してみたり、いい意味でも悪い意味でもだんだん夢なのか現実なのかわからなくなっていくところがとてもよかったです。
夢の中で切ったはずの指が、現実でも怪我になっている仕組みはよくわからなかったですが、そういうこともあるかもと飲み込めてしまう引力も感じました。(多分、夢でも怪我して現実でも怪我したんだと思いますが、真相はどうなんだろう)
種明かしのように一色も同じ夢を見ていたことが終盤明らかになりましたが、「おまえ、誰と間違えてる?」の辺り、これが初めてだったのか、それとも似たようなことがそれまでもあったのか気になりました。
奥付とカバー下に、恋愛シミュレーションゲームの攻略対象キャラが全員(おそらく)描いてあるのも興味深くて、まじまじと見入ってしまいました。ここまで作ってあるのに本編にほとんど登場しないのが勿体ないです。夢の中のトーマ様のビジュアルが素敵で、山羊の角すらとても愛しいです。
「特務刑事オメガパンチ」シリーズの番外編。元作品はコミックですがこちらは小説です。りーるー先生は小説もお書きになるんですね。
元作品がコミックのため、目では文字を追っていても脳内に浮かぶのはコミックのあの二人なので、差し詰め二次創作の同人誌を読んでいるような気分でした。不思議な感覚です。
謹慎中の四門を週に一度連れ出して、どんな様子だったか報告するようにと上から軍資金までいただいてしまった岸が、やむを得ず二人でドライブをするというお話。片や無敵のハイアルファ、片や作品中は不遇だったアルファ。興味深かったです。
読む前はどうしてマンガじゃないんだろうと思っていましたが(購入するまで半信半疑だった)、確かに内容的に小説の方がいいかもです。というのは、事象としてはドライブが主のため運転しているだけで(一応PA寄ったりほかにも寄り道はありますが)主人公の岸視点でずっと内心の葛藤やら苛立ちやらツッコミやらが主に綴られているので、四門のハイアルファ的要素があまり出ないですし、マンガだとこの静かな可笑しみは伝わりづらいかもなどと思ったりしました。とはいえ、奥付の4コママンガはとても楽しくて笑ってしまったので、コミカライズ(という言い方がいいのかももはや謎です)を見たくもありました。岸はいいキャラですね。
このシリーズが好きなのでまたどんな形でよいので番外編や新シリーズを読むことができたら嬉しいなと思います。
「ホラーBL」を共通テーマに3人の先生方が寄稿したアンソロジー。表紙も装丁もおどろおどろしい雰囲気で、よくみたら本文のフォントもレトロな明朝体で怖い感じです。でも内容は見た目と違って怖くないのでホラーが苦手な方にも安心です。
1作目「ルーム5」(木原音瀬先生)
舞台は病院の手術室で、霊がみえる先輩看護師と見えない後輩看護師のお話。後輩視点で話が進んでいきます。初めての準夜勤でこんな現象に見舞われたらトラウマになってしまいそう。しかも後輩氏のプライドが高くてプリプリしているだけにますます気まずそうです。ホラー味は薄かった。二人のこの先が気になります。
2作目「神秘探求家・久慈倫教 キョウカイノコ」(和泉桂先生)
タイトルの「キョウカイノコ」は本のタイトル鏡怪でした。鏡の中に映る自分の影と交代して鏡の世界に入る主人公。鏡の中で出会ったおじさんに開発されてしまい快楽にはまっていくというエロチックなお話。恋愛というよりも快楽にシフトしたBL。あとがきによれば主人公の久慈倫教は2作目とのこと。
3作目「王子様の恋人」(水壬楓子先生)
同じ著者のアンソロジー「アイドル伝説」収録の「多津木村伝説の謎を追え」の続編。またネバスクが出てきたのでびっくりしました(笑)。こちらは「多津木村~」と同じく礼衣と八雲がメインです。二人は同じアイドルグループ(ネバスク)のメンバーで恋人同士。ドラマ撮影中の礼衣のところに八雲が差入れを持って現れたのは、礼衣に粉をかけるプロデューサーの存在のため。ホラー味は薄かったけど鏡怪ではあったし(表紙イラストはこのお話か)八雲の執着がとても良かった。八雲の正体は礼衣にも秘密ですが本当は人外設定というのもとても好きです。
「ブラックストーカー」を共通テーマに3人の先生方が寄稿したアンソロジー。同じくホワイトストーカーをテーマにした「White Knight ~行きすぎた執着アンソロジー~」と対になっています。単体でも楽しめますが、裏表という意味でも両方味わいたいところです。
1作目「ストレンジャーズ・エンゲージ」(水壬楓子先生)
「ストレンジャーズ・エンカウンター」のスピンオフ。前作と同じ地続きの世界で、同じ種族の宇宙人のお話。エロかった(笑)。もうあれですよ、どこの星の人かわからないですけど、地球侵略は諦めた方がよさそう。地球防衛軍よりも桜田門と日本古来の人外の方が頼りになる世界観、好きです。
2作目「ぼくのかわいい人」(和泉桂先生)
「貴方はかわいい人」の視点変え、後日談。前作で散々牧丘の脇が甘いとか寧ろみっくんは大丈夫なのかとか思っていた私を嘲笑うように本作はみっくん視点で話が進みます。そしてみっくんの正体?を目の当たりにし思わず嘆息してしまったわけなのですが、事態は思いも寄らない方向へ。前作含めて騙し騙され、すごくすごく面白かったです。この後の二人の行く末が気になります。きっと一番みっくんがこんなはずではと思っていると思うけど、上には上が居るということで。
3作目「君の魅力にノックアウト」(木原音瀬先生)
「君に恋してロックオン」の視点変え、後日談。坂本が星の担当になって1年が経過。お仕事も二人の仲(恋人ではない)も順調。本作は坂本視点で綴られているので、坂本の星に対する敬愛や憧れは継続していて、1年経った今でも現状に感謝する真面目な人柄であることも、一片たりとも星を疑っていないことも分かるわけなのですが、終盤に「星さんは坂本くんのことが大好きだよね」という周囲の科白(それでも坂本はピンときていない)や最後の星の述懐からも、長い時間をかけて絡め取られていく様子がわかります。星はこのままの関係性でいいと思っている節もあるので(嫌われるくらいなら長く一緒にいる方を選びそう)、何事もなければ二人はずっとこのままニコイチかもしれません。坂本がマネージャーをやめるなどと言い出したら急転しそう。
「フィギュアスケート」を共通テーマに3人の先生方が寄稿したアンソロジー。2018年発行の同人誌なので今とはスケート事情がちょっと違うところもありますが全く無問題で読めます。
1作目「きみは僕のスター」(杉原理生先生)
成績が伸び悩んでいる光流の目下のライバルは2個下の瑛太。子供の頃から自分に懐いていた瑛太は今や国際大会に出場して知名度も技術力も高くなってしまったのに、インタビューでは光流のことを憧れだと臆面も無く言ってのける、というお話。可愛いです。可愛いです。瑛太→光流の矢印が強々で大変によろしいのです。氷の王子様が光流の前ではただのわんこになるのがとても良いです。つ、続きはないんですか!切実に続きが読みたいです。
2作目「雪とスケート靴」(木原音瀬先生)
オリンピック選考で、国内選手権2位だった自分の生徒が出場選手に選ばれなかったことにショックを受けるアイザック。スケート連盟の選考委員の一人であるダニエルに食ってかかるが、かつて選手時代、同じくオリンピック選考で明暗を分けたライバルだった、というお話。二人は現役ではなくて教える側、滑る場面などないのに二人がどんな選手だったのかが手に取るように分かります。アイザックがダニエルに向ける敵愾心が少しずつ緩んでいく片鱗が見えて、今後二人の関係が変わっていきそうな予感とともにエンドマークなのが心憎いです。続きがあったらこのおそろしく不器用なダニエルの恋情も少しはアイザックに届いたりするでしょうか。
3作目「先輩神様恋人様」(名倉和希先生)
20歳の海斗は先の世界選手権で4位入賞という好成績を挙げた有望株。海斗のやる気の元であり心の支柱は7歳上の先輩スケーター伊吹で、海斗が小学生の時テレビで見てからずっと憧れの存在。打ち上げの二次会で「俺もそろそろ引退かな」との伊吹の呟きに逆上した海斗は引退しないでとせがみ、酔いも手伝って何か怒らせることをしたらしい(が覚えてない)というお話。面白かったです。海斗の先輩愛がうるさいくらい強すぎて、伊吹が「おまえ帰れよ」と邪険にしてもくっついて離れない。ぽんぽん言い合う二人のやり取りを聞いているだけで笑ってしまいました。先生も「続きが書きたいです」と書いてあるので、どこかで続きを読めることを祈るばかりです。1作目と3作目、似たようなシチュエーションなのに作風が全然違い、どちらもすごく楽しく読めて良かったです。
とにかく言えることは3本ともとても良作で読後にやにやが収まらないということです。良い本でした!
「世界一初恋~小野寺律の場合 21~」特装版に附属の小冊子。
本文32Pで、小野寺律の場合、羽鳥芳雪の場合、木佐翔太の場合の3本収録。
本編でいま一番浮かれていると思われる高野さんの一言「つまり結局なんでお前は俺のこと好きになったの」から始まる「小野寺律の場合」がやっぱり一番好きでした。悄然とした表情で「(語るのに)三日かかります」と告げる律も面白いですが、そこへ食い下がる高野さんは強い。この二人はつくづく色々あったなあ、とこちらも過去エピソードを思い出したりして、本当に高野さん良かったね、と思えたお話でした。
「羽鳥芳雪の場合」は、あの最中にアイディアを思いついた千秋と行為を中断して打合せするという社畜で受難な羽鳥さんのお話。「木佐翔太の場合」は、事後シャワーの時に好きな体位があるか質問してちょっと落ち込んでちょっと浮上する雪名が可愛いお話でした。
「青春狂走曲。」の後日談SS。なんでもアニメイト無償特典4Pリーフレットの書き下ろしSSは、健人の妹みどりちゃんの結婚式での出来事が描かれているようですが、こちらはその翌年のお話です。
みどりちゃんの結婚式にえらく感動したスコットが「自分たちも挙式をしたい、場所はハワイがいい」と言って、翌年二人でハワイにやって来た、というお話です。
ウェディングフォトをとる日なのに雨が降り続き、落ち込むスコット。慰める健人。めっちゃ可愛いです。本編のすったもんだが嘘みたいに二人の仲睦まじさににやけてしまいます。素敵な写真が撮れるといいです。雨のハワイもいい思い出ですよね。
カードの片面は紗久楽さわ先生の表紙イラスト。表1の二人のみのイラストカードになっています。表4のオールキャラとても可愛かったのでちょっと残念でもあります。考えてみたら、紗久楽さわ先生の現代物(しかもパンクロック風衣装)はとても貴重ですね。
「ホワイトストーカー」を共通テーマに3人の先生方が寄稿したアンソロジー。副題に「行きすぎた執着」とありますし、そもそもストーカーにホワイトとブラックがあるものなのかも謎ですが、その辺りは丸呑みして楽しみました。
1作目「ストレンジャーズ・エンカウンター」(水壬楓子先生)
アメーバ様の宇宙人が主人公という、いきなり頭を殴られたような設定のこの作品からスタート。以前捕獲したのに取り逃がした人間と再会した主人公。胸躍る感情は恋なのか食欲なのか、というのもニヤリとさせられましたしとてもエロかった。そしてこの落ちです。楽しゅうございました。
2作目「貴方はかわいい人」(和泉桂先生)
ストーカーGメンとして動画配信をしている牧丘のところへ、コンカフェ勤務の草加が相談に訪れるお話。すっかり草加にはまっていっている牧丘には分からないかもしれませんが、読んでるこちらや助手のみっくんには草加の狙いは分かってしまう。それよりむしろみっくんの身元は大丈夫なのでしょうか。牧丘さんの脇が甘くて暢気で心配です。
3作目「君に恋してロックオン」(木原音瀬先生)
所属事務所で実施するアイドルオーディションの候補生に気になる子をみつけた、先輩アイドルのお話。同じ著者のアンソロジー「アイドル伝説」に登場したネバスクが登場したときにおおっと思いました。主人公の星★キラリさんはオーディションの面接動画50人分を見た上で1人だけがドストライクだったわけなのですが、このお話だけだとまだ関係性自体は節度が保たれています。この先が気になりますね。もっともこの子への執着は並々ならず人には言えないアウトな行動をされてはいるのですが、確かにホワイトかもしれないと思わせられます。表向きには節度があるからで、それが逆に怖くもあり、この先どうなるのか知りたいです。