大和は子供の頃から貧乏に苦しんでいた。母親は宗教にはまり献金も滞納し、自責の念に堪えかねて大和を残して自死してしまう。そのため、とにかく母のようにはなるまいと、金を稼ぐことに血道を注いでいた。
そんな大和の前に、ホストの悠星が現れる。楽して稼げると誤解した大和は、ホストになるべく体験入店をするのだが、というお話。
大和の生い立ちが壮絶なのに対し、悠星のキャラがちゃらんぽらん過ぎて、その激しい格差に最初こそ戸惑っていましたが、テンポのいい二人の掛け合いと、この先どうなるのか全然見えない展開に、最後まで一息に読んでしまいました。勢いにのまれたといいますか、筆力とはこういうことなのかと。
悠星は確かにお金のある家に生まれて、大和とちがってお金で苦労したことは無いと思うけど、他人にたかられて利用されて、普通の友達関係を築けなかったのはとても気の毒でした。悠星にとっては大和は初めての友達で、大和にとって悠星は金持ちになりたいという自分の希望を体現した人。一緒に過ごすうちに情が湧いて二人が寄り添い、互いを庇うようになっていった展開にはうっかりほろっとさせられました。
恋かどうかと聞かれたら友情かもしれませんが(セックスはするけど)、そういうのもありでしょう。
タイトルの意味が最後まで分からずでした。
ほぼやってるだけでしたね。
制服警官の白石は、町で密かに流行っているドラッグの密売について探るために、マッチングアプリをつかって潜入捜査をしようとするのですが、アプリで知り合った男に主導権をとられ、後ろを開発され、動画もとられてしまいます。
まったくチョロすぎて心配になるくらい素直で従順。脅されて呼び出されてあれやこれやされる毎日。
自分の中で大義名分があるので断れない、といいつつ、絶対に気持ちよくて断ってないんだろうと。
身体の相性がいいのかも、本編だけではよくわかりません。とにかくアナルプラグで開発されて、遠隔で色々させられて、ローターで快感を高められ、なんといっても相手に洗脳されてます。
絵柄は丁寧できれいなだけに違うお話を読んでみたくもあります。
良かったですー。めちゃ好みのお話でした。
圭吾はいつの頃からか幼馴染みの隆司のことが好きで、でも告白するつもりもなくひた隠しにしているのを隆司の弟の朔に知られてしまう。朔は圭吾のことが前からずっと好きで、隆司のことで傷つく圭吾を慰めたりするわけなのです。
このお話は全5話で構成されていますが、もとは最初の1話と2話を前後編として雑誌に掲載していたようです。そう聞いてから読み直してみると確かに、1話・2話の凝縮具合が際立っていると感じます。この濃密ぶりがとても良かったんです。色々盛り込んでいるのに後ろに引っ張ることなく答えを出していくし、そのわりにごちゃごちゃしていない。キャラも魅力的で、楽しく読めました。
3話以降も2話までの凝縮を引き継ぐように展開していき、キャラの気持ちの揺れ動きを丁寧に描いて安易な方には流れて行かないので、目が離せませんでした。最後もきちんと向き合いますし、気持ちが良いほどに潔かったです。
圭吾はずるい男ですが、不思議と嫌いになれないし、隆司がノンケで圭吾の気持ちに全然まったく気付くことなく普通に彼女と関係を深めていくことにも反感を覚えません。朔にはただただ共感して勝手に切なく思って応援するばかりでした。
ガーデンウェディングのあと二次会を断った二人が、家まで我慢できずに雪崩れ込んだシーンはとっても好きな場面で、呼吸や心音や体温さえも伝わってくるような作画に見とれ、繰り返し読んで味わいました。雨のなか写真をとる場面も可愛くて好きでした。
桃源財閥の御曹司である信康の護衛として子供の頃から仕えている理一と、彼の元に突如配属された新人エージェントの橘。二人の不器用な恋を描いた作品の後半。
下巻の最大のポイントは6話の回想シーンです。このエピソードでぐっと惹きつけられましたし、橘の行動が腑に落ちました。
どうせ死ぬなら思い残すことがないように、会いたい人に会うと決めて日本にやってきたのかと。なるほど最初から理一しか見ていないんですね。それならなおのこと、仕事一筋だった理一が橘のことを好きになってくれたことは橘にとっては奇跡みたいなものだし嬉しいしかないはず。真面目な理一がいきなり重いことを言うのも橘にとっては何程のこともないでしょう。
理一のギャップについては上巻のレビューにも書きましたが、私個人的には仕事のときのきりっと男前モードの時の方が好きなので、下巻の方がそういう面を多く見られたように思えて良かったです。
御曹司の信康がアルバイトを始めたり、これまであまり良く分かっていなかった自分の周囲に居る人達のことに目を向けるようになったり、少しずつ成長していく様子が窺えます。まあ箱入りとはいっても一応学校にも通っているのだし、一般的には気付きが遅いような気もしますが(敢えて目を閉じていたのかも)、それでもクソガキからは脱しそうで良かった。お父さん(社長)が信康に語りかける口調を見る限りでは、本当に甘やかされているんだなと思いますし、理一も信康の働きぶりに感涙したりしていて、本気で叱る人の存在の必要性を感じました。
巻末描き下ろしの「ノブの初恋」も可愛くて気に入ってます。
あと、本筋に全然関係ないですが、橘が表計算ソフトが使えないというエピソードを佐久間が話しているときに、橘から何度も質問され佐久間がキレて「イルカにきいてください!」と叫ぶのと、理一が冷静に「イルカはもういません」と半分呆れながら呟く場面は、何回みても面白くて、つい吹き出してしまう2コマでした。
桃源財閥の御曹司である信康の護衛として子供の頃から仕えている理一と、彼の元に突如配属された新人エージェントの橘。二人の不器用な恋を描いた作品。
二人は想像していたよりずっと歪な凸凹コンビで、ものすごく不器用。
特に理一が仕事一筋すぎて恋愛に関する経験値があまりに低く、心配になるレベルでした。あんなに仕事出来で美形でパーフェクトなのに、恋もしたことなくて、当然デートもキスも知らないというまさに稀少な生物。大丈夫か(大丈夫じゃない)。
それだけにギャップがすごいです。クールビューティが一転些細なところで照れたりする。これは大変な破壊力ですよ。よく今まで無事でしたね。(気高すぎて誰もアタックしないのか) いずれにしても経験値の低さから、結果として理一は、橘の押して押して押して突然引くというオーソドックスな戦法に引っかかっています(橘の方は戦法などと思っていない)。もう先も見えてますがこんなチョロくて大丈夫なのか(2回目)。
それと、理一がずっと護衛している御曹司。彼が絵に描いたようなクソガキで、生まれ育ちを考えるともうこれは仕方ないのかな。周りにたくさん人が居るからこそ、子供で居続けることのほうが難しそうな気もするのですが。
下巻も楽しみです。
人口減の町で役所に勤める矢澤は、日々の閉塞感を癒やすためにチラシにあったレンタル猫を試すことに。約束の日、家に来たのは本物の猫ではなく、猫耳としっぽをつけた人間の男だった。というお話。
「ちるちる」でずっと前から紹介されて気になっていた作品。メリバ的な特集でしょっちゅう挙げられるので覚悟してページをめくったのですが、その先入観がなければもっと衝撃を受けただろうなと思いました。確かにこのシチュエーションでは救いがないけれど、でもやっぱり普通のハッピーエンドを期待してしまう。二人とも苦境に立っているからこそほんわかした生活を送って欲しいという、お花畑的な希望ゆえです。ハッピーエンドは商業BLのお約束でもありますし。
最終話のとびらイラストが可愛くて、こんな毎日を二人には迎えて欲しかったですね。切に。
矢澤もタマも、ビジュ含めて好きなキャラでした。二人とも表情がとてもよくて、特にタマが矢澤に抱っこされてるときの安らいでいる顔が可愛らしく印象的で、あとで自棄になったタマ(青)が「あのときはよかったなあ」と回想するのに相応しいシーンでもありました。
キャラもよかったですが不穏な背景も秀逸でした。将来、人口減の果てはこんな風な社会になっていくのかなあと薄ら寒い気持ちにもなりました。
前の職場を解雇されてから就活を続けて振られること1年、「ベースカラー診断」の看板につられてジュエリーショップに立ち寄った昇龍は、子供の頃に離ればなれになった晶と再会する、というお話。
晶にとって昇龍は初恋の相手かつファーストキスの相手です。
「銀座の恋の物語」という、ゲイバー「銀城」を舞台にした作品に、お客として登場する鳴海晶が本作のメインキャラ。どっちがどっちのスピンオフなのか分かりませんが、双方の第1話初出は同じ年(2011年に別の雑誌掲載)のようです。「ジュエリー・スィートホーム」にも銀城が出てきます。
さて、晶と昇龍はなかなか、難物なカップルでした。まず、晶がものすごくモテる人で貞操観念が低い。つきあっている(別れたいと思いつつずるずる)恋人は妻子持ちであり、この1冊の中でも関係のある男が他に何人も出てきます。対して、昇龍の方は、1話では女の子と同棲していたノンケで、再会した晶のことは美人だと見とれたりするものの性別が男なら恋愛の範疇外だとはっきり表しています。なのに1話ですぐに二人が寝てしまうので、勢いにしても付いていけないなあと思っていました。
それが2話で、晶の方は、初恋の相手とはいえ寝てみたら大してそうでもないな、と冷静に考えていたり、昇龍の方も男と寝たことを今さらながら後悔していたり、流れがリアルな方向に変わってきたのでどうにか気持ちを立て直して先を読むことができました。
でもやはり、昇龍がノンケで、男はないわー、とついこの間まで思っていたこともあって、最後まで煮え切らない(ように見える)、それだけに現実味を感じられるところではあるのですが、元からゲイの恋敵たちの方が晶には合うんじゃないかと思ってしまいます。晶は確かに美人だけど、昇龍が本当に晶のことを好きなのか分からないところもマイナスです。(恋敵の存在に煽られているだけ?)
という点はあるものの、お話は特異で面白かったです。ジュエリーショップのお話だけあって、パワーストーンの持つエネルギー(歯車がずれた等)のエピソードや、晶が石と会話?したりするのも良かったです。
でも本作の肝は、晶の養父であり師匠の鳴海安志とパートナーのアレクの老老カップルにつきます。最後の最後まで添い遂げて、遺灰同士を合わせてメモリアルダイヤにするなんて、素敵過ぎました。
潔いほどのタイトルですが、その名の通り「IN THE APARTMENT」の続編。
前作で、妹尾があっさりと杉本のもとを離れ、いまごろどこにいるんだろうと淋しい気持ちになっているところから始まるお話。まさに続きです。
今回、相手の気持ちがわからなかったり、関係性に悩んだり、二人で深い話をしたりと、突き詰めるような展開でした。前回は、なにげない日常が醸し出す空気感が、作品テーマと相俟って、相乗効果で二十代半ばという年代特有の揺れ動きを表しているようで良かったのですが、今回はもっと深部を明確に描いてさらけ出しているはずなのに、私には響いてこなくて、何度も最初から読み直してようやくゴールした、という次第でした。
端的に言うと、分かりにくかった。二人が何に戸惑っているのか分かるようで分からず、ときどき答え合わせをしてくれているのに、それすらも掴めず、だめな読者でした。
杉本のお兄さんの名刺をみて妹尾が顔色を変えた場面、前巻に戻ってお兄さんが勤務先の社長のことを話しているところを確認してなんとか合点が行ったのですが、ここからこのコマに引っ張るのは難しいのではと思いました。(ほかにもリンクがあったらすみません)
結婚式の引き出物のバウムクーヘンを手にベンチで雨に打たれて大泣きしている場面に遭遇した高校生。しかも泣いていたのは同じ学校の化学の先生だった、というお話。
このことが気になって仕方なく、心配してお菓子を差し入れるなど構っているうちに、どんどん先生のことが好きになっていくという展開でした。年下の子がぐいぐい迫るのは個人的に好物なので、その面では楽しめました。対する先生の方も、一番情けない姿を見られてしまっているから余計に虚勢を張ってしまう部分もあるのでしょうが、塩対応をしようとしている(結果としては塩対応にはなれてないですが)その姿勢には好感を持てました。普通に距離を置こうとニュートラルで居ようとしてもぐいぐい来られて、手作りお菓子を差し入れられて、結局期待を持たせるようなことになってしまうのも、弱ってるところにこれは揺らぐよなあ、人間だもんなあ、と思うなどしました。
教師と生徒のお話って本当に難しいと思うんです。学校という狭い世界で、言っても大人と子供なので、対等に恋愛関係になり得ない、少なくとも大人側からは生徒を恋愛の対象として見るべきでない、と私の頭の中のナントカ警察が発動するので、どうしても素直に楽しめなかったりするのですが、上記のとおり、ああこれはしょうがないなあ、と許容できるものでした。
ただ、先生は、食欲不振になっているわけじゃないんですよね。お菓子が食べられないだけなんですよね。これが食欲不振だったら、せめて甘い物を、というのは理解できるんですが、そういうわけじゃないからちょっと過剰にも思えたりもします。もともと高校生は地元のケーキ屋さんの息子で、先生は週に2回も店にケーキを買いに来るお得意客だった、という設定のためなのでしょう。
でも本の中盤で、食欲不振ではなく「甘い物」が食べられなくなった原因というのが登場して、ああなるほど、と膝を打ちました。原因となった人の名前も序盤に出てきており、ここでもああなるほど、と思いました。
本当に少しずつ少しずつ二人の距離が縮んでいき、卒業式を迎えるという流れはとても丁寧で良かったです。それだけに、これは本当に個人の感想なのですが、エッチはない方が良かった。確かに全体通してイチャイチャは少なかったですがそれはそれでよかったのになとも思いました。
それから、お話の発端である一番最初のページの一番最初のコマ。このときの主人公の表情がものすごく曖昧に見えてしまい、どういう表情なのか何回も見直しました。すべての始まりだからもっとドラマチックでもよかったかもです。
「婚約破棄された悪辣オメガは義兄公爵に執着される」のコミカライズで知った作家さまです。そちらは西洋風、こちらは東洋風、中華でした。王の信を得ている林玉と、彼に忠誠を誓う間諜烏咬のお話。
あとがきにもありましたが、中華で主従で義兄弟で年上受で美形で再会物という、いろんな要素が詰まった作品でした。ストーリー的にも敵国と通じる重臣を探り証拠を掴むというハードなもので楽しめました。
ただ、できればこのハードなストーリーをもう少し楽しみたかったです。BLだし単巻ものだし、内容的にも分量的にも仕方ないとは思うのですが、二人がわりとあっさりくっついてしまうからこそ、配分をもう少しそちら側に……。
仕方ないとわかっていながらも、二人があちらこちらで盛っているので、エロ成分が多め、BLとしてはあるべき姿かもしれませんが個人的にはもう少し違う配分でもよかったなと思いました。
キャラクターでも、朱烈という小柄な将軍が林玉の友として登場しますが、良いキャラだったのでもう少し出番が欲しかった。柳爺も良いキャラでした。出番が少しなのに良いキャラと思えることもすごいことだと思うので、本当に勿体なかったです。それに、探り出した敵キャラももう少し多く登場していたら話の盛り上がりももっとあったかもしれません。
でも絵柄はとても丁寧で、背景も全然手を抜いておらず小物のディテールなども凝っていてよかったです。