「青春狂走曲。」の後日談SS。なんでもアニメイト無償特典4Pリーフレットの書き下ろしSSは、健人の妹みどりちゃんの結婚式での出来事が描かれているようですが、こちらはその翌年のお話です。
みどりちゃんの結婚式にえらく感動したスコットが「自分たちも挙式をしたい、場所はハワイがいい」と言って、翌年二人でハワイにやって来た、というお話です。
ウェディングフォトをとる日なのに雨が降り続き、落ち込むスコット。慰める健人。めっちゃ可愛いです。本編のすったもんだが嘘みたいに二人の仲睦まじさににやけてしまいます。素敵な写真が撮れるといいです。雨のハワイもいい思い出ですよね。
カードの片面は紗久楽さわ先生の表紙イラスト。表1の二人のみのイラストカードになっています。表4のオールキャラとても可愛かったのでちょっと残念でもあります。考えてみたら、紗久楽さわ先生の現代物(しかもパンクロック風衣装)はとても貴重ですね。
「ホワイトストーカー」を共通テーマに3人の先生方が寄稿したアンソロジー。副題に「行きすぎた執着」とありますし、そもそもストーカーにホワイトとブラックがあるものなのかも謎ですが、その辺りは丸呑みして楽しみました。
1作目「ストレンジャーズ・エンカウンター」(水壬楓子先生)
アメーバ様の宇宙人が主人公という、いきなり頭を殴られたような設定のこの作品からスタート。以前捕獲したのに取り逃がした人間と再会した主人公。胸躍る感情は恋なのか食欲なのか、というのもニヤリとさせられましたしとてもエロかった。そしてこの落ちです。楽しゅうございました。
2作目「貴方はかわいい人」(和泉桂先生)
ストーカーGメンとして動画配信をしている牧丘のところへ、コンカフェ勤務の草加が相談に訪れるお話。すっかり草加にはまっていっている牧丘には分からないかもしれませんが、読んでるこちらや助手のみっくんには草加の狙いは分かってしまう。それよりむしろみっくんの身元は大丈夫なのでしょうか。牧丘さんの脇が甘くて暢気で心配です。
3作目「君に恋してロックオン」(木原音瀬先生)
所属事務所で実施するアイドルオーディションの候補生に気になる子をみつけた、先輩アイドルのお話。同じ著者のアンソロジー「アイドル伝説」に登場したネバスクが登場したときにおおっと思いました。主人公の星★キラリさんはオーディションの面接動画50人分を見た上で1人だけがドストライクだったわけなのですが、このお話だけだとまだ関係性自体は節度が保たれています。この先が気になりますね。もっともこの子への執着は並々ならず人には言えないアウトな行動をされてはいるのですが、確かにホワイトかもしれないと思わせられます。表向きには節度があるからで、それが逆に怖くもあり、この先どうなるのか知りたいです。
恋に堕ちるまで0日だった20巻で完結しなかった本作。21巻の帯には「恋が始まる1日目。」の文字が。いつまでどこまで続くんでしょう。それにしても本の薄さに驚いています。例によって通常版と特装版の2種類発売しているのですが(表紙も違う)、特装版の小冊子と合わせてちょうど一般的なコミックス1冊分の厚さになるので、無理にわけなくても良かったのでは、などと思ってしまいました。
内容は、小野寺律の場合No.39と40、巻末に40.5(描き下ろし)。スペシャルミックスとして小野寺律の場合、羽鳥芳雪の場合、雪名皇の場合、横澤隆史の場合のSS4本が収録されています。スペシャルミックスは共通テーマがあるわけではなくそれぞれ単発物です。
さて、「恋が始まる1日目。」ですよ。ようやく付き合うことになった律と高野さんですが、元々セフレみたいなところからスタートしているので、いざ恋人同士になったといってもどうしたらいいのかお互いによく分かっていない、というなんとも可愛く微笑ましく甘ったるいようなむず痒いようなお話でした、2本とも。可愛い。この二人の場合はもう私は完全に高野さん贔屓なので、おいおいと思うような場面があっても、仕方ないよなこれまで高野さん辛かったしな、多少(多少か?)浮かれるのもやむを得ないよな、とついつい擁護してしまうのですが、まあ箍が外れてますよね。鬼編集長ぶりの描写は今回ないのですが、この作品の良さの一つにお仕事BLという要素があったので、またそういう展開が見られると嬉しいです。
すごく良かったです。商人リーのボスが登場しましたが、まったく想像もしていなかった人でした。そして的確にジーノの足下を揺るがすキーパーソンでもありました。
この人に出てこられてしまってはジーノは言いなりになってしまうのでは、ボスの座を降りてしまうのではと、とても心配すると同時に、どんどん内向きになっていくジーノの思考を見るにつけ、縋るような思いで読み進めました。落ち込んで何度も昔のことを反芻するジーノが痛々しいし、気持ちは痛いほどわかるけど、そっちに行って欲しくない。
雨が降ったところから荒療治を経てようやくジーノの硬い殻にひびが入り、塞いでいた思いを吐き出して、ダンテの言葉が耳に届いた場面。この一連は極上の名場面だと思います。そしてこのときのダンテの言葉がとても良くて、何度も何度も読みました。後述しますがその後のテオとニコロの言葉も良かった。彼らがこれまで見てきたのは、信じてきたのは誰だったのか、ということに尽きます。
まだ招かれざる客の目的という謎は残されているし、このあとどんな風に決着を付けるのか次巻までお預けですが、きっとファミリー一丸となって難を避けることでしょう。
20年ぶりのお祭りというシチュエーション、ダンスも花火も素敵でしたし、最後の日にたくさんの花を抱えて街の皆さんに配ってまわったジーノも素敵でした。
ダンテもジーノも、自身にかかる大切なことは飲み込んで言わない傾向がありますが、ダンテの場合はこれまでと変わらない日々がこれからも続いていくように振る舞った挙げ句にひっそり身を引く自己犠牲的な側面があり、ジーノは全部飲み込んで納得できるまで一人で咀嚼するという違いがあるなと感じました。一人で背負い込むのは同じで、たちが悪いのは前者ですが(周囲を騙すからね)、精神をより削っていくのは後者かなと。それでも差し伸べられる手を振り払ってきたジーノがカポの2人に打ち明けたのは、これまでとは違う、成長を見たような思いです。
早く5巻が読みたいです。
商人リーから送られて来たのは日本の大人のオモチャでした。
なんだこれ、といきなりスイッチを入れるのがジーノ。取説を読むのがダンテ。一見反対そうなのに面白いですね。
うねうね動くのが蛇っぽかったようで、ジーノが怖れて壁に張り付くのが可愛い。蛇嫌いという設定はプロフィールで知っていましたがここに出てきました。
まあ、送られて来たものをとりあえず使用してみて、散々喘がされたジーノが激怒する、というお約束。「今度はてめーに使ってやる」というジーノの捨て科白が勇ましいのと、お気に召したらしいことが分かったのが微笑ましいといえば微笑ましい。なにも考えずに読める箸休め的な8P漫画でした。
裏表紙の、2頭身キャラの二人が泡もこもこお風呂に入っている絵が可愛いです。
巻を重ねる毎に世界観が厚みを増していきます。
前ボス(くまぬい)のアンドレアの回想で、ダンテのお母さん(ミーシャ)の昔話と口止めされていた真相が明らかになりますが、私はこのエピソードで胸がいっぱいになっています。
ミーシャはルーカに心臓のことも余命のことも全部隠して命がけでダンテを生むし、ルーカの義父に殺されそうになっていることもルーカには何も告げません。よりにもよってこんなに大切なことを誰よりも愛しているルーカに内緒にするという、このある意味非道な行動原理は2巻のダンテそのものと思いました。大切だから言えないのでしょうし、何もなかったように幸せな日々を続けたかったのでしょうけど、結果としてルーカは何十年も心に憎しみやわだかまりを持っていたわけで、その矛先は当然自責に変わるでしょうし、明かしてもらえていなかったということにものすごいショックを受けただろうと思うとやりきれない思いです。しかも、憎悪の対象だったアンドレアの口から今頃真相をきくなんて。ひどいと思うのですが、ミーシャを憎めないのも事実なんです。ルーカを好きになって駆け落ちして過ごしてきた二人の日々が、ミーシャにとっては宝物だったのだろうと想像できるから。と、ここまで書いていて気付きましたがBLじゃないところに感銘を受けてタラタラとコメント綴ってしまってました。すみません。でも、ミーシャがアンドレアに送っていた偽名でのお手紙に、くまぬいのイラストとかが描いてあってとても可愛いのと、アンドレアがくまぬい好きなのはその影響なのか?など思うところもありました。
さて、2巻で色々やらかしたダンテの処分あり、ジーノが正式にボスに就任してファミリーの新体制がスタートしたり、二人の仲もこれ以上ないくらいのラブラブっぷりを発揮したり(酔っ払ったジーノがダンテの指から水を飲むシーンがめちゃくちゃ色っぽくて好き)、読み応えのある巻でした。完結巻ですか?などと思ってしまうほど、立っていた波風が収まっていきます。1巻の終わり、2巻の終わりともにざわざわする形でのENDマークでしたが、3巻は大団円モードだっただけに「あれ?」という違和感のみ刻印された感じです。次巻での商人リーの全貌が楽しみです。
ダンテとジーノが人目を憚ってるのか怪しいだけに、ニコロの受難が続いています。がんばれニコロ。
22歳で事故死した楽が目覚めると、そこは地獄だった。
地獄なのに高級マンションの一室で、中学高校と「楽くん大好き」と追いかけられ続けた学がいて、一緒に暮らさなくてはいけない、というお話。
確かにタイトルに「地獄」とありますが、本当に地獄でのお話と思っておらず驚きました。地獄とは言っても火炎とか釜ゆでとかは無くて現代日本と地続きのような都会(ただし街の様相は変化するし人に会うことは稀で言葉が通じないらしい)で、学と閻魔大王としかコミュニケーションが取れないことや、生前犯した罪の反作用のような仕組み(楽の場合は学に邪険にすると盥が落ちてくる)の世界観が興味深かったです。
とっても面白い作品でした。地獄の世界観も良いですし、完全にわんこのような学と、天邪鬼な楽の組み合わせ。差し挟まれる過去エピソードも可愛いですし、二人の未来エピソードもすごくグッときました。
中学まではなんでも一番だった楽が、高校(進学校)で成績が落ちて這い上がれずに荒んでいく図は分かりやすくて(多分勉強の仕方が分からないんだと思う)、学がそばに居たことで余計に意地になっていた部分もあっただろうし、おかしいなこんなもんじゃないはずなのにな、と現実を受け止めきれない時に悪い連中が寄ってきたことも不運だったなと思いました。
可哀相なのは、今回楽が事故死しなければ、楽は学が17歳で亡くなっていたことを知らずにいたということです。この事故死は言い方は悪いですが、学にとっては天の配剤であり最後のチャンス。ほんとに天邪鬼で素直になれない楽が、どうやって自分の気持ちを認めて学に向き合うのかと思ってドキドキしていましたが、結構なショック療法でなるほどなと思いました。このくらいのことが無ければあの子は変われない。それほどに意地っ張りでプライドが高くて頑固な人でした。
last heartの扉絵がとても好き。背が伸びて追い越しても、楽の成績が下がっても、邪険にされても、学はずっと楽のことが好きで憧れで一緒にいたかったのでしょう。いじめられていつも下を向いていた学にとって、ものすごく輝いて見えたに違いなくて、それだけに地獄での二人の日々はとても幸せに満ちたものだったんだなと思いました。また、生まれ変わった二人もとても可愛いです。逆エピになるのも面白かったです。
元同級生で、いまは調律師とピアニストの二人。ある事件を機に、当麻はピアノを弾けなくなって調律師に。依鈴は美形であることも相俟って人気のピアニストではあるものの罪悪感に囚われ続けている。というお話。
繊細な筆致がストーリーに合っていて、作品の雰囲気を一層高めていると感じます。消せない罪悪感と軽々には乗り越えられない屈託が苦しく、お互いがお互いを大切に思う気持ちが伝わるからこそ余計にジリジリさせられました。キャラの表情もとても良いです。
何があったのかが明らかにされた時には予想外の事態に腹が立ちました。身勝手なひとりの大人によって、二人の高校生が傷つけられ、進路までもねじ曲げられたことは到底許されることではありません。
依鈴の奏でるピアノの音色を水に例えて表されているのが素敵でした。
それから、猫のほこりがとても可愛いです。爪を切られている時のまんまるお目々の愛らしいこと。依鈴の弟が「あなたはほこりさんでは」と猫を相手に敬語なのも良かったですね。
それなのにこの評価なのは、コンクールに出ないと頑なだった依鈴の考えが変わったことの説明が不足していると感じたためです。「出ろっていうなら出てやる」では弱すぎるなと。本作品において相当な分岐点のはずなので、理由とかそのときの感情とかもう少し丁寧でも良かったなと感じました。
木原音瀬先生のデビュー30周年記念企画の第3弾です。3冊連続刊行、これにて完結。完結しちゃったかあ、淋しいなあ。
本書には、雑誌掲載後単行本には未収録だった2作と、それぞれの後日談SS(書き下ろし)が収録されています。
・「青春狂走曲。」2000年 小説ビーボーイ
・「true love」2001年 小説ビーボーイ
あとがきによりますと、「true love」が一番古い作品のようです。雑誌掲載は2001年ですが、書いた時期はデビュー前で新人大賞に投稿して選外佳作だった作品とのこと。貴重です。
今回2作品の掲載ですが、「青春狂走曲。」の分量が2作品分くらいあります。3分の2が「青春狂走曲。」、3分の1が「true love」。
どちらもディープでキャラが違う意味で濃くて、そして本のタイトルにぴったりのラブラブ仲良しに最終的に落ち着いた作品となっています。
そこに落ち着くまでの紆余曲折がものすごいのですが、……恋愛感情って怖ろしいですね。人を好きになるというのは心にプラスの力が働きそうなのに、とんでもないベクトルですごいマイナス要因になっていました。決してしんどい話ではないのです。ただ、遠くにいる人達(本の中の話)だから平静を保っていられますが、現実に自分のすぐ近くにこの人達がいたら、最強の巨大台風にまかれるみたいに多大な影響を受けそうです。人騒がせだし。フィクションで本当によかった。
「青春狂走曲。」のスコットのキャラの濃さはなかなか筆舌に尽くしがたいです。「その後の青春狂走曲。」でも濃いキャラ健在ですがちょっと変わった人程度の印象におさまっているのは、健人との関係が良好だからですよね。マナちゃんとか大月くんとか周囲が穏やかに生温く二人を見守っている(面白がってる)のも良きです。
「true love」は光一と幸一の関係が夢かなと思うほど美しかっただけに、岩城と光一、岩城と幸一の関係を受け入れるのが難しく感じました。岩城の気持ちの移り変わりが短い期間だったので、一過性とも受け止めてしまえて、幸一がパニックになったのも頷けました。「その後のtrue love」で幸一が人が変わったくらい社会性を身に着けていたことに安堵したりもしました。
本当に貴重な作品群を読むことができて楽しかった5か月でした。3巻購入特典もある、お楽しみ続きの記念本。ありがとうございました。
「初恋をやりなおすにあたって」「恋愛を進めるにあたって」のスピンオフとのことです。
表題作のほか、「午前零時の紫の上」、「桜の咲くころ」の3本立てです。
表題作は、特殊な環境で育った棋士・蛍と、同居人である板前の直幸、蛍の親友・棋士の柊一郎。この3人をメインに繰り広げられるお話です。
蛍の生い立ちとそれが所以の個性的な性格、考え方、言葉の問題、諸々が最初よく分からなくて、また、困ったときの「柊ちゃん泊めて」がのび太ドラえもん状態だったりすることもいい大人なのにな、と腑に落ちなくて、途中で読書が止まるなどしました。
甘ったれた我が儘にも理由があること、人の話を聞こうとしないこと、思ったことを腹の内にためてしまうこと、色々な疑問の裏打ちがようやく飲み込めてから、蛍に寄り添って読めるようになりました。が、結構読み解くのに時間がかかりました。こちらのサイトで評価が高いので、私の個人的な問題かもしれません。
巻末の「桜の咲くころ」に蛍と柊一郎の子供時代のエピソードがたくさん載っていて、これを読んで解像度が上がりました。日本語を覚えるのと同じに将棋を覚えたので、棋譜がすなわち言語だということがどのような状態なのか全然分からなかったのですが、「桜の咲くころ」で、ナニーの浜尾の発した「誤算」という言葉を「5筋の3段」と受け取るのを見てこういうことなのか、と垣間見たような気持ちになりました。でも、29手まで3七桂と分かるのに、そこまでの盤面を再現できないことの意味はやっぱり分からなかった。頭の中で駒を動かすから29手と分かるんじゃないのかな。なぜ再現してと言われると躊躇するんだろう。
これに限らず難しいんです。蛍の考え方。
ただ思い知ったことは、日本語でもフィンランド語でも英語でもマレーシア語でも、どの言語においてもこんな風に言語理解がおぼつかないのは、とても生きづらいだろうなということでした。
キャラは全然違うのに、「初恋をやりなおすにあたって」と関係性の構図が似ているのが気にはなりました。頼りない受け、生活の世話を焼く攻め、受けを支える親友の三者です。
蛍と一緒にいるときの柊一郎はまさしく王子様かママかドラえもんみたいなのに、雪が相手になるといきなり高圧的で嫌な奴になるのが興味深かったですね。恋をすると柊一郎は損をするタイプなのかも。