元レジスタンスのミカは矯正施設に拘束され過ごしている。ミカの管理をしている旧型のロボット形状リールーはエラー続きだけれど、ミカとは気持ちの通じるところがありいつしか親愛関係が。
ある日無理やりリールーのトートを新型と交換させられそうになり施設を脱走したミカは、目の前でトートが破壊されそうになり自ら施設へ戻るけれども間に合わず⋯。
その後人型の新型にお世話されることになるけれど、そこにはしっかり旧型トートの記憶が残っていて、やっと現実に抱きしめ合えた2人に涙〜!
人の命には限りがあってだからこそ一緒に過ごせる時間が大切で尊くて、でももし愛する人が亡き後もずっと一緒にいられるならそれを拒む事ができるだろうか?
どんどん技術が発達してAIとの会話が日常となった現在、こんな未来はそう遠くないのかもしれない。
でも時代がどんなに進化しても変わらぬ大事なものは何か。それを教えてくれるような一連のシリーズだった。
この後もまた続きが読めたら嬉しいなぁ。
AIの作ったニューオーダーAIが人間を保護している世の中。
AIに管理されながら働くスルガとサガミは、旧オールドAIの記憶のコアを見つけ筐体に移植すると、それは2055のあのアオイのものだった!
サーファーだったのに板には乗らず、海に潜るのを繰り返すアオイ。弥凪の欠片を探していた、その行動の意味がわかった時にはたまらない気持ちになった。
かつてオールドの尊厳を守るため活動していたオリジン(人間)のスルガもまた、事故により頭部だけニューオーダーとなって生き返っていた衝撃。
スルガに生きていて欲しかったサガミの愛、アオイと弥凪、それぞれの想いが痛い程刺さった。
人として生きるって何だろう?と考えてしまう、深い作品。
ボクシングジムでトレーナーを務める隠れゲイの宥が路地裏で助けたのは、銀髪に青灰の瞳の獰猛な美しい獣の勁。ボクサーになりたいと現れた勁に恐喝され関係が始まるけれど勁の才能と魅力に惹かれていく宥。
子供の頃から性的にも精神的にも虐待を受けて育った勁は、痛みや感情を普通に感じる事が出来ない。全てが遠くゲームの中の出来事のようなのに初めて近くで温かみを感じられた存在が宥で、彼の傍にいたいと願うほど捨てられる恐怖にも縛られて…。
虐待を受けた子供が自分を守るために多重人格になる話を読んだ事があるけれど、勁の中にいる幾つかの人物もそういう存在だ。
宥もまた自身の弱さと向き合い、周囲の悪意に翻弄されながらも2人でいるために命がけで抗っていく姿が実に胸に来る。余りに純粋でいじらしい勁の想い。もう刺さりまくって切なくて、その愛の美しさにひたすら震えてしまった。