SNSで無料連載していた作品をまとめて、両想い後の甘々いちゃいちゃまでを加えた作品。
毎週の無料掲載でも、かなり楽しんで読んでいましたが、こうやってまとめて読むと、魅力が倍々増した印象です。
お互いに向ける愛情に、恋愛感情が増えていく様子とそれに戸惑う様子がとても愛らしいです。
黒猫を拾った飼い主のナイトも、拾われた黒猫のルナも、感情豊か、表情豊かで、慈しみあい、じゃれ合い、時に照れてツンツンしたり、戸惑ったりと、どんな様子もかわいいです。
そんな可愛さに萌えると同時に、アヤノソーダ先生風味の独特で強烈なおもしろい表現、エピソードが随所に盛り込まれていて、吹き出してしまうほど笑えもします。
黒猫のルナくんの、洋服の下、お腹が部分の毛がふっさふさ(ふさふさ、ではなく、ふっさふさ)なのも、かわいいアイテムでありつつ、オスの動物なんだなと改めて思わされるアイテムでもあり印象深いです。
BOOTHには特典で、リーマン設定のネームやラフが読めます。
どれも楽しく可愛いです。
普段使っている電子サイトで購入すると本棚整理しやすいと思いますが、おまけ特典が読みたくてBOOTHで買ったの、正解でした。
作家買いであらすじも試し読みもせずに購入しましたが、さすが丸木戸マキ先生。
意外性のあるキャラクター設定、物語展開、楽しく惹きこまれました。
もともと仲の良かった2人の片方が住むところをなくしたので、家に住まわせてあげたら家事全般やってもらえて、というお互いに助かる良好な関係の同居生活を送る汐見と三上。
友達同士のルームシェアのようで楽しそうです。
お風呂が面倒くさくて、全自動俺洗い機があればいいのに、とぶつくさ言う汐見が、三上に身体を洗ってもらっているうちに、性的な反応をしてしまうけれど、そこから一気に関係が進むことなく、じっくりと2人の様子、変化の様子が描かれています。
それぞれの気持ちに温度差があり、片方は恋愛感情を抱いているとはいえ、2人の間に確かに友情があるところが素敵です。
2人の会話にちょくちょく、風呂、というキーワードが出てくるところもおもしろいです。
入って後悔する風呂はないと言います
お前のその風呂に対する情熱は何なの
2人が風呂に関して交わすこの会話は特におもしろかったです。
ただの好意と恋愛感情の違い、どうやったら見分けがつくのかな、と読者目線でも思いましたが、片方がノンケ、または2人ともノンケのBL作品の大きなテーマのひとつでもあると思います。
2人だけの関係、気持ちが変化、育っている最中に、元彼が出現し、その元彼の言動によって2人の関係に亀裂が生じてしまいます。
よくあるエピソードのようで、予想外の展開が続き、それらの予想外の驚かされる展開が、無理やりではなく自然なのが、素晴らしいです。
初エッチの仕切り直しより先に他の男の痕跡を消したいと断捨離をする三上の言動は、ずっと汐見を想ってきたことがとても伝わってきて素敵でした。
廃人のように過ごしている三上を訪ねた汐見が、好きとか心配とかじゃなくて元気でいてほしい、と言うところ、三上に対する気持ちがとてもこもっていて素敵でした。
原作既読。
いつも女の子たちとふわふわ楽しんでいて、学校中に認知されているイケメン3年生の幾田瑞生と、イケメンで女子に人気だけどそういうのが鬱陶しい2年生の瀬尾謙太郎が、さぼるために入った保健室で出会い、少しづつ話しをするようになっていき、うっすらとした恋心を抱くようになっていく変化がかわいらしく、そしておもしろいです。
高校生の2人なので、それぞれ自らの意志で遭遇しているわけではなく、決められた時間と場所に通う立場の人間同士だからこその関りの中で、生まれた関係と恋心。
なにがどうした、という具体的なきっかけとなるエピソードがあるわけではなく、気づいたらいつのまにか、ふんわり生まれた恋心、というのがきれいでかわいらしいです。
よくわからない気持ちでしたキス、よくわからない関係の2人のそれぞれの相手への言動が、少しづつ変化していく様に萌えました。
青春だなあ、と感じました。
気持ちと性欲が直結するお年頃の2人が、突然の雨に遭遇するというなんとも絶妙なシチュエーション、もうちょっとのところで親の帰宅による待て、が入る展開、もぞもぞ、きゅんきゅんしました。
ずっと低調、淡々としていた謙太郎が、瑞生との交際が始まってからどんどん感情豊かになっていき、ちょっと面倒くさい彼氏化していく様子がとても愛らしいです。
飄々としていて本音を見せないできた瑞生の生い立ち、過去に苦しいものはありましたが、優しい2人の、優しい両想いという結末は、聴取者の心も優しくしてくれたように思います。
おまけはめちゃくちゃいちゃラブ、ただただかわいいです。
キャストトーク
本編収録途中、2人がまだ両想いになる前に収録したということでしたが、これからまだ2人の関係が変わっていく、何かある、という期待感と温度感がおもしろく感じました。
本作の内容よりもBL作品を演じるにあたっての心構えのお話は興味深く、楽しかったです。
女子生徒に人気のイケメン2人、3年生と2年生が、サボりに行った保健室で出会い、話をするようになっていきます。
学校、という決まった顔ぶれが決まった時間帯に揃う場でしかありえない人間関係、制服姿、体操服姿、甘酸っぱい青春の香りがします。
なにかの決定打があるわけでもないのに、なんとなく好きになっていくのも、相手の人間関係にもやもやしてしまうのも、その好きにキスや触りたいという性衝動が絡んでくるのも、高校生という立場、高校という場所、若さ、によるところが大きいと思います。
が、それでもそんな中で、惹かれ合って、つながりを深めていく2人の様子が、刹那的であり美しいです。
2人ともゲイではなく、気になって好きになったのが、その人だった、ということにとても萌えました。
あらた六花先生の描く麗しく繊細な線、絵柄と、ひらひら舞い散る花びらのような、春を謳歌して飛び回るちょうちょのような、時期限定の切なさを感じる綺麗さ、雰囲気がとてもマッチしていました。
カラーページが巻頭だけでなく、途中にも使われていて、物語の盛り上がりともマッチしてとても綺麗です。
ラストシーンの2人の表情が優しく愛らしく素敵でした。
同居生活ではなく、同棲生活を送るようになってからの2人のお話。
生活力があいかわらずポンコツな2人、でもあいかわらず仲良しな2人。
葉月の昔からの友達、地元の友達、真ともすっかりなじみになり、ご近所とのわいわいも楽しいホームコメディ、ラブコメディです。
2人の対話も楽しいのですが、テツさんと奥さん、葉月とのやりとりがページいっぱいに言葉がみっちみちに書き込まれていて、ポンポン勢いよく会話が流れて行っている描写は特に楽しいです。
葉月の元カノが登場して、どろどろ三角関係かと思ったらそんなことない展開になったり、前からちょこちょこ出てきた飲み屋で遭遇しては葉月に付き合い、酒をおごってくれる社長さんが長めに台詞をしゃべったり、登場人物がさらに増えていきますが、どの人との関係も味わいがあって楽しいです。
2人の体の関係もちょっと進化していて、泥酔したら役に立たなかったり、甘いラブラブ恋人同士でない、リアルな生活の様子がうかがえます。
深刻なシーンとギャグシーンとのギャップ、落差が激しいのも今作の楽しいところ。
漫画を読んでて、声をあげて爆笑することなど滅多にないのですが、今作は複数回、その珍しいことが起こりました。
BLのラブラブ展開でお馴染みの温泉旅行ですが、この2人の場合はそれだけではなく、癖つよ女将が出てきたり、おもしろいエピソードもたくさんでした。
原作を繰り返し読むほど好きな作品です。
エロエロなBLよりエロ少なめで心情表現の多いBLを好むのですが、今作はエロ表現が多く、かなり特殊な性癖の2人が主人公で、心情表現が細やかで情緒豊かなところが、とても好きです。
類似作品、類似作風を見たことがない、一風変わった独特な味わいがある作品です。
生活も仕事もばらばらで、好きの表し方も異なる2人が、一緒に幸せをつかんでいくためには、どうやって自分の欲望と折り合いをつけていくのかが大事なのではないかと思わされるお話です。
前野智昭さん演じる八百屋の藤田治樹、野島裕史さん演じる作家の永井太郎の声質、演じ方により、物語の解析度がさらにあがっているように感じました。
より情緒豊になったという気がします。
2人のそれぞれ内に秘めた思い、お互いへの気持ち、対面したときの声掛け、それぞれ深みがあり聞き入りました。
太郎さんの面倒くさくて複雑なところ、藤田からの電話で自覚した好き、すごくまじめですごくかわいいところが、じんわり温かく伝わってきました。
両想いになってハッピーエンドではなく、作家としての太郎さんの中での変化が作風に反映し、2人が次の段階へ進んでいく・・・
原作は全3巻、太郎さんの先輩と担当編集者のスピンオフ、と広がる作品ですが、1冊づつの、全ての、世界観がきれいなことばかりじゃなくて、複雑で厄介は人間性を掘り下げているところがおもしろいです。
突然変異で性別が変わってしまい、自分自身の体調の変化、環境の変化に翻弄され、苦しみ、乗り越え、お互いを求めあい、両想いになった2人。
まず表紙の2人の表情がとても柔らかいのが印象的です。
本編でも2人の雰囲気がとても柔らかくなっています。
番になって1年、突然変異前とは違うけれど、それぞれの職場で今の性別で成果を出している2人。
番になって一緒に過ごしているし結婚はしなくてもいい、と思っている雅が素敵です。
少しはお前に見合う男になっただろう、とプロポーズする望が素敵です。
結婚の挨拶をしに、雅の父親の家を訪ねる2人、近所の子どもたちに勉強だけでなくいろんなことを教え、地域の子どもたちのお父さんのようになっているαの雅父、と、その雅父の自慢のαの息子が帰ってきたということで、地域の人たち、子どもたちは大騒ぎとなる様子に、とてもハラハラし、苦しくなりました。
雅の父に、性差別をする意識はないけれど、妻とのつらく苦しい過去、息子への期待と誇り、によって、意図せず、型にはまった意識と感覚を持ってしまっていて、それが息子への愛情とともに描かれているのが、とても切なく、そして情感豊かでした。
毎日が人生で一番幸せなんだ、と笑顔で言えた雅が素晴らしかったです。
αじゃなくてごめん、と言わずにいられない息子と、言わせてしまった父親、がとても切なかったです。
2人とも間違っていた、間違っているわけではなく、仕方がない、といえる状況でした。
誰のせいでもない、突然変異による性別の変化、が原因なのですから。
そこでちゃんと反省して息子に向き合えた父親が、素晴らしいです。
どんな性別でも幸せなんだ、と、別々の場面で、父親と番が同じ気持ちを抱いていることに感動しました。
父と子、父と子の番、番同士、それぞれの愛情と思いやりが情感豊かに描かれていました。
きれいな絵、きれいな言葉がたっぷりの素敵な2巻でした。
巻末に描き下ろしが2編。
描き下ろし
結婚式を終えた夜の2人の甘い時間、結婚式の動画を見ながらのエッチはちょっと癖の強いプレイのようでしたが、2人がとても幸せそうでほっこりしました。
電子版限定描き下ろし
2人のお食事事情のお話から、2人が最初と比べて、本当に表情豊かになって、楽しくし幸せにともに生きている様子がわかり、幸せな気持ちになりました。
初読み作家さんで、無料配信で3話ほど読んで興味を持って購入したのですが、大当たりでした。
おんぼろアパートで隣同士の部屋に住む、ホストの御子柴と、警察官の向島。
ふとしたことで出会って、交流するようになって、同衾するようになった2人。
それぞれの職場、仕事中に出会う場面もあり、この気持ちはなんだろう、と考えたり、考えなかったりする様子が、重すぎず軽すぎず、描かれているのがとてもよかったです。
創作物で漫画なのですが、恋ってそんなにドラマティックなものばかりじゃない、こういう日常の中でふんわり生まれて育っていくこともあるんだ、ということを、甘やかすぎずに描いているのも素敵なところでした。
デビュー作ということを読後に知り、絵柄やストーリーの見事さに驚きました。
次作も購入してみようと思います。
ずっと一緒にいて、同じベッドで寝て、両想いにもなるけれど、キスまで、で、身体の関係まで描かれなかったところも、個人的にはとても好きでした。