原作既読。
オメガバースの芸能もの。
斉藤壮馬さん演じる王賀夏目は子どもの頃から芸能界で活躍していて、アルファだと思っていたら成長して検査でオメガと分かった後も、親の執着による希望、要求、本人の希望もあり、薬で調整しながらアルファと偽って活動を続けています。
強さと弱さの両方を併せ持ち、揺れ動く繊細な心情を、斉藤壮馬さんが見事に演じられていました。
斉藤壮馬さんのオメガ、受け、何作か聴取したことがあり、圧倒的なオメガ、圧倒的な受け、が素晴らしくお上手な声優さんだと思っていますが、今作の役も最高でした。
王賀夏目の幼馴染でオメガであることを知っており理解し応援しており、芸能界で活躍するβの千歳琥太郎を山下誠一郎さんが演じています。
幼馴染で大好きな友達の夏目に大きくて広くて強い愛情を持っていますが、頭では理解できるけれど、バース性の違いは実感できない、苦悩を、優しく繊細に表現されていました。
キャストトーク
斉藤壮馬さんが夏目の出産後の母親との対話、わだかまりがとけたエピソードについて、僕は許してない、と話していらして、声優さんが演じた役柄を深く理解し、想いをこめていらしたことが伝わってきて、素敵でした。
ビジネスBLの配信者の2人が、上巻で少しづつ関係に変化が出てきてからの下巻。
利己的で強く見える先輩のサイですが、後輩のコマに対する気持ちが生まれ、その気持ちが変化していきます。
2人とも配信者なので、配信中の顔、言動と、そうでないときは違いますが、ギャップがすごいのは後輩のコマのほうです。
そのギャップにサイも読者もやられます。
2人ともそれぞれ、芸能人になろうとしたのには子ども時代、家族、親族の気持ちが関係していたことがわかります。
それぞれちょっと重たいエピソードですが、それらを知ることにより、2人の今、関係がより深く感じられます。
タイトルの意味を考えもせず読んでいましたが、コマに「どうしてそんな風なのか」と聞かれたサイの答え、「神様がさいころをふってしまった」という言葉こそが、タイトルの意味だったと知ります。
さらっとタイトルの意味を作中で主要キャラクターの台詞で読者に伝えたこの演出、素敵でかっこいいと思いました。
ネットの世界から有名になり、実力が認められ、テレビの世界で活躍するようになったコマ。
テレビ業界のドンによる、売春クラブ所属要求、そして、断ったことで芸能界から締め出されてしまうという流れは、少し前に日本の芸能界を大震撼させたあの事件を彷彿させ、ハラハラしました。
芸能界のドンに逆らうということは、芸能界から消されるだけでなく、ヤクザに殺されることもありえるというかなり危機的状況からの、サイの決断と行動、命からがら逃避行かと思いきや甘いハネムーンのような状況もあり、後半はとにかくドラマティックで盛り上がりました。
事件を経たことで、コマがサイに、サイがコマに、おそらく初めてしっかりと目を向け心を向けて言葉を発するようになる変化には胸が熱くなりました。
一件落着かと思ったら、その後にまた事件、ハラハラ、ドキドキの展開が続きます。
最終話は、映画のエンディングテーマの後に流れるおまけの後日談のような感じで、穏やかで心温まるものでとても素敵でした。
舞台設定、台詞、絵柄、演出、全てがかなりドラマティックで映画のようで素敵でした。
初読み作家さんでしたが、次の作品も読みたいと思いました。
初読み作家さんで、1日1話づつたくさん試し読みでき、先が気になって購入しました。
巻頭はかなりどぎついBL企画で、驚かされ、引きこまれます。
キャラクター設定、世界観、心情の複雑さ、厄介さ、が濃厚な作品でした。
ビジネスBLの配信者コンビ、元モデルの先輩と後輩、憧れと執着、と、いろんな要素のある2人で、その場に応じた表情、会話があります。
後輩のコマ、の気持ちの矢印は太くてまっすぐ、ずーっと先輩のサイに向かっています。
先輩のサイの矢印は基本、外側には向いていなくて、大事なのは自分、時と場合と相手に応じて、細い矢印がちょっと動く、という感じ。ですが、途中からサイの矢印が、ぼんやりと形と向きが見えてくるようになります。
サイの、自分のチャンネルへの気持ち、執着
そして
コマの、先輩へのあこがれ、執着
2人の気持ちの変化、体の繋がりのじわじわとした変化
話が進んでいくうちに、湿気と重さが増していくような展開です。
読む前は上下巻でちょっと長いかなと思いましたが、これだけのページ数でじっくり描かれていたのがよかったです。
バラバラで買う方はあまりいないかと思いますが、上下まとめ買い、一気読みがおススメです。
原作未読。
ちょっと古めの雰囲気の、かわいらしいラブコメです。
梶裕貴さん演じる澤ノ井青くんのが強烈です。
基本的にはきゅるんきゅるん、という感じのかわいさなのに、ときどき、ドぎつい台詞を吐いたり、ものすごく積極的になったり、と、なんという表現が最も適切なのかは決めかねますが、ぶりっ子とカマトトとピュアと一途を兼ね備えている青年でした。
青くんがずーっと大好きで恋人になりたい年上のお兄さん、高坂隆明を大川透さんが演じています。慕って来る青くんを可愛がりつつ、戸惑い、ぐらついてしまう様子に萌えました。
高坂隆明の高校時代からの悪友、谷原柊至を遊佐浩二さんが演じています。
青くん、隆明のあれやこれやをずっと見てきて、助言したり、話を聞いたり、楽しんじゃってる、ちょっと意地悪な様子が、さすが遊佐さん、という感じでした。
こういうちょっと意地悪なSっけのあるキャラクター、本当にお上手でお似合いだと思います。
青くんの粘り勝ち、なのかな?というところで終わっています。
原作は続きがあるようですが、ドラマCDは一作だけで終わってしまったようで。
できれば続きを聴きたい作品でした。
原作未読で、原作者さんの他の作品も未読。
出演する声優さんたち、組み合わせに興味を持ち聴取。
特に子安さんの迫力ある攻め様に興味がありました。
約20年前の作品で、その時代の自由さ、強さ、活力を感じました。
会社という職場での公私混合、便宜を図る様子など、人情味の多いエピソードが多くて、自分自身もその時代に社会人をしていたので、懐かしくなったりもしました。
世代によっては、理解しづらいかもしれません。
物語には2組のCP、友人、先輩と後輩、同僚、恋人、という人間関係です。
人物設定、描写はちょっと極端。
すごい権力者、すごいドジっ子、すごい先輩、どれも、やりすぎな感じがしました。
最初のうちは、わちゃわちゃ、わいわい、賑やかで楽しいラブコメという感じです。
途中からは、強姦、恐喝、という犯罪行為が入って来て、急展開さにびっくりしました。
また、中盤から後半、シリアスなシーン、緊迫したシーンのBGMが、なんだかのほほんとしていたのが気になりました。
原作のストーリーが、というよりも、演出によるものだと思います。
悪役がすごい悪役なのも、暴力に暴力で応酬するのも、物語を盛り上げるため、なのかもしれませんが、無理やり感が否めなかったです。
恋愛面では、嵐が去って仲が深まりめでたし、の1組と、横恋慕と片想いの2人が後からくっついてしまうのも、そんなお手軽な、と思ってしまいました。
物語は深く考えず、メインキャストの良いお声とかっこいい演技を楽しむのが良いと思います。
キャストトーク
わいわい、がやがやしていて、みなさんが仲良しなのを感じました。
原作未読。
メイン2人が、森川智之さんと小野大輔さんなので興味を持ち、英田サキ先生原作なので、ストーリーは骨太でおもしろいに違いないと確信をもって聴取しました。
登場人物が多く、それぞれの関係がやや複雑、苦しいエピソードも多めでした。
森川智之さん演じる探偵の陣内拓朗 は、頭はいいけれどちょっと子どもっぽいところがあり、言葉の選び方、使い方がおもしろいです。
小野大輔さん演じるインテリヤクザの天海泰雅は、つらく苦しい過去がたくさんあり、酒乱DVの父親を刺殺して少年院に入ったのに出所後に母親に引き取りを拒否され暴力団入り、幹部の愛人になる前に、子どもの頃に世話になりずっと大好きだった警察官の陣内に薬をもって抱かれるという、環境と決断によって、今に至る壮絶な人生を歩んでいます。
もともとの関係と年齢差がある2人の関係は、平等ではないようでちゃんと平等で、きちんと想い合っているのが言葉の交わし方から伝わってきてとても胸が熱くなります。
身体の攻守は決まっているけれど、気持ちの上ではそうではなく、お互いに攻め合っている関係にとても萌えました。
中盤以降はかなりしんどいエピソードがありますが、最後はきれいにまとまりました。
森川さんの陣内がとてもかっこよかったです。
原作未読。
メイン声優おふたりのかけあいがおもしろそうで聴取しました。
なかなかにぶっ飛んだ設定、展開で、おどろきつつ楽しんで聴きました。
政治家で名家の当主と刑事が結婚式をあげるところから話が始まります。
教会なのに十二単で結婚式、しかも、「花嫁」は「捜査一課の悪魔」と呼ばれる刑事。
導入も強烈ですし、2人の出会いのエピソードも強烈。
女性に殴られフラれた男と、その男をデートに誘う男、2人とも異性愛者なのに、いきなり食事前にホテルへ行き・・・
ジェットコースターのように猛スピードで強烈な展開でした。
夫婦の甘いやりとりもありつつ、内容はクライムもの。
2人が新婚初夜を過ごしたホテルの、招待者用の客室で、議員の秘書の他殺体が見つかります。
それぞれの公の立場での、夫婦として、事件解決に向けて動く様子が、素敵です。
2009年発売の作品で、LGBTQ+の認識、日本社会の中の立場が今とは違うのですが、低く響く声色が魅力的な安元さん演じる敏腕刑事の三条が、奥様と呼ばれたり、妻という立場で動きつつ、言動が雄々しく、そしてプロポーズも大事なことも適当なのではなく考えた末に「まあいっか」と前向きで行動していく様がとてもかっこよいです。
鳥海さん演じる、政治家で名家の当主が、当時としてはかなり思い切った男性同士の結婚に踏み切り、さらに公の立場の人たちを正体して大々的に結婚式を行うところ、殺人事件が起きた後に、妻を大事に気遣いつつ、自分の立場、お世話になった政治家への配慮をしつつ、事件解明に向けて動いていく様子が、とてもかっこよいです。
BL作品ですが、バディものでもあり、クライムものでもあり、聞きごたえがある内容でした。
原作既読。
メイン2人のキャストがとてもあっていました。
2人とも内に秘めた熱いものがあり、しかし仮面をかぶり、固い表面で世の中を渡っていく・・・
比賀勇司を演じた古川慎さんの、熱くたぎる感じ、妹の死の真相をつきとめたい、そのためには何でもするという強い気持ちと、疑惑の対象であり、あとで中学時代のつながりも判明する、志堂晟に取り入り、そばで使えるようになってからの変化を見事に表現されていました。
低めで情感豊かな声、話し方が素晴らしかったです。
志堂晟を演じた興津和幸さんの、強くて固く、理性的で腹の座ったやくざぶりと、性的なことにふけるときのギャップが魅力的でした。
ずっと腹の中が読めない言動でしたが、比賀と中学時代につながりがあったこと、大切な人がいたことがわかってきたときに見せる人間味、ヤクザ社会での冷たい強さ、どちらも素敵でした。
現代とはまったく違う中学時代の2人の様子、エピソードも、見事な演じ分け、演出で表現されていて、情感が増し、切なくなります。
少しだけ演出がわかりにくかったように思います。
原作既読でも、あれ、今、誰と誰がどのように話してるの?と考えてしまったシーンがいくつかありました。私の理解力が低いだけかもしれません。
相田先生がお亡くなりになり、完結しなかった作品ですが、謎と謎、読めない展開、という素晴らしい展開にワクワクし、重厚な雰囲気を楽しむことができました。
原作とセットで改めて味わいたい作品です。
原作既読。
物語の始めの方は、メイン2人の声も、物語の展開も、原作よりテンポが速いように感じて違和感がありました。
原作はもっと低調、ゆっくりどろっとしていた印象があったからです。
しかし聴き続けていくうちにだんだんと耳に、心に馴染み、物語の世界に引き込まれていきました。
リア充で割となんでもうまくいって、うまくこなしていた大学生が、飲み屋の男性用トイレの個室で男性2人が交わっているのを聞いてしまい、しかもその片方が、大学事務局の職員だと知ってしまうことから、物語は始まります。
かなり強烈なエピソードです。
そこから2人が交わることはほぼなく、話しかけて交流したい大学生に対し、職場ではプライベートな交わりは一切しません、と静かに拒否する大学職員。
2人の声色、話すテンポ、少しづつ始まるやり取り、からの、声色、話し方の変化が、とても微妙に丁寧に演出されています。
特に大学生、最初は気になっていただけなのに、おかずにすいて抜いてしまって、戸惑いとときめきで、挙動不審になっていく様子が愛らしいです。
心情の変化と動揺、ときめきがよく伝わってきました。
原作既読で展開もラストも知っているのに、二人の変化していく様子を耳で追って、改めてときめきました。演出もBGMもおだやかで密やかな感じが出ていてよかったです。
2人が両想いになってからの後日談の2人の話しぶり、声色の変化も、情緒、甘さマシマシになっているのにとても萌えました。
誕生日のプレゼントのエピソードは、原作のイメージそのままに、甘さと情緒マシマシで、聴いていて照れるほどでした。かわいかった。
キャストトーク、やり切った、お疲れ様感が出ていたのと、内容に関係のない猫の話が盛り上がっていて楽しいです。
さらに動物の話から、タイトルにある蛇と鳥の話につなげ、それぞれのキャラクターについて掘り下げてのトーク、お話の上手さにも感心しました。
芽玖いろは先生の作品で一番はじめに買ったのがこちら。
ときどき読み返して世界にひたりたくなる、癖のある作品です。
今回、10年ぶりに読みましたが、飽きることなく、新鮮な気持ちで楽しみました。
男性用トイレで男性同士がしているのを見聞きしてしまったリア充大学生の二条太一が、なまめかしい声をあげていた男性が大学の学務課の職員、千鳥史郎だと知ってしまったことから物語が始まります。
通学先と勤め先なので、意図せずとも出会うことの多い2人が、レンタルビデオ店のバイト学生と、客という関係にもなり、徐々に接触することが増えていき、出会いの強烈さもあり、大学生は徐々に物静かでプライベートの顔が見えない大学職員に興味を持つようになっていきます。
偶然と意図して、が絶妙に織り交じっての2人のつながり、対話が重ねられていく様子、大学生の困惑やときめき、設定も展開も心情も、静かでありつつドラマティック、強烈な印象はないけれど、ずずーっと引っ張り込まれていくような求心力がありました。
大学職員の千鳥が気になって、気になって、追いかけて、両想いになれた二条太一。
しかし、実は・・・
というラストも最高でした。