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エキスパートレビューアー2020

女性Sakura0904さん

レビュー数179

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今年度18位

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急だな、と感じる部分もあり

 受けの壮志が料理上手な吃音症のメタラーというすごく味のあるキャラクターで、それがこの作品にたくさんの魅力を与えていたように思います。メタルを聴くからといって、必ずしも本人も自己主張が強かったり、性格が激しかったりするわけじゃない。相手が親しい人か否かに関わらず、バイト先や日々の生活でも、少しでも何かプレッシャーがかかると、途端に言葉がつっかえてしまう壮志を見ているのは辛かったですね。吃音の人の存在を知るのには、良い作品だと思うな。

 そんな壮志と距離を縮めていく遣人はゲイで。がっつり胃袋を掴まれて以降、壮志自身にも惹かれていくんですね。相手の好きなものを知りたいと、興味のなかったメタルのライブに一緒に行ってみたりなど、他人と接するにあたって壁を作らないところが非常に好印象なキャラでした。1つ引っかかったのは、2人が知り合ってからいきなり時系列が1年後に飛んでしまうところ。これだけジャンルの違う2人が親密になっていく過程って大事だと思うので、私としてはその1年をもう少し読んでみたかったなぁと思いました。振り返ってみると、2人がほのぼの日常生活をしているシーンが意外と少なくて、常に何かが起きている状態なので、お互いの気持ちの変化をじっくり辿ることがあまりできなかったような気がします。題材は良かったです。

煤竹をもっと可愛がりたい

 表紙のイメージから、文豪である人間に懐いている鬼の話なんだろうなと想像していました。実際には、小説を書くのは鬼であるイチイの方であって、人間である槇は人間界でイチイがスムーズに仕事できるよう立てられた影武者。表紙のような和服姿で貫禄のある槇がほとんど見られなかったのは、少し残念でした(あらすじをきちんと読んでいなかった私に非があります)。

 イチイは常に飄々とした態度ではあるものの、何百年も生きているとは思えない軽い雰囲気もあって、不思議な鬼でした。彼のお側付きである煤竹は、終始可愛かったです。個人的には煤竹とイチイの兄・ナラの関係性がとっても気になったので、匂わせ止まりだったのが少しもどかしかったな。全体的には、槇とイチイの距離の縮め方も自然で、ほのぼのしたシーンと、悲運に逆らうシリアスなシーンとがバランス良く描かれていて、充分満足でした。

長所を見つけてくれる人はきっといる

 チョコドーナツ先生ならではの視点で、優しい世界が描かれていました。人間になりたいと願って叶ったネコのシロ。幻覚や夢オチでもなく、赤井だけにしかその姿が見えないというわけでもなく、誰からも人間に見えるという設定です。一方、誰と付き合ってもいい人止まりで振られ続けていた赤井が、シロの世話をする中で、素の自分を晒せるようになっていきます。

 タイトルには3つの意味が込められているのですが、私はやはり、赤井が猫被りをしなくなったことが一番大きな変化だったなと思います。前の飼い主のことばかり話すシロにも愛想を尽かさず、常に気持ちを慮っていた赤井の根っからの優しさが、シロに伝わって満たし、彼に人間の心を育ませていった。BLとしての濃さはないけれど、温かな春を感じられるような作品でした。

悪人ではない樹にも、満たされる日が来ますように

 最後まで勢いを失わずに描かれていて、大満足でした。愛しているという言葉を、今まで言ってこなかった都。彼は愛があるのかないのかなんて関係なく、トマが自分のものだという事実だけあればいいという。けれど、樹の盗撮していた動画には、トマが意識を失った後に、愛していると囁く都がしっかり映っていて。感情の昂ぶった時にだけ出る都の本音に、人間らしく等身大なところもあるんだな、と改めて魅力的に感じました。

 物語が進むにつれて、樹の存在感は増していきます。今まで単なる2人の飼い主だった彼だけど、面白がって飼っていたわけではなく、そこにはちゃんと理由があったのです。自分が都に愛でられるヴィーナスになりたかったという彼の想い。好かれたい、抱いて欲しいなんていう感情を飛び越えて、彼は自分もトマのように都に腕を斬り落とされたかったという。2人のあまりにぴったりと嵌まった魂の形を間近で散々見せつけられて、そこに羨望を抱いた彼の気持ちはよく分かります。両腕がない不自由さを差し引いても、1人の男に一途に激しく重い愛情を注がれる甘美さは、補って余りある幸せでしょうから。

 それでも最後には、どんなに時間をかけても自分がヴィーナスになれる可能性は皆無だと気付いて、2人を手放した樹。自らの生死の手綱すら、一切躊躇せずに相手に明け渡してしまえる都とトマの間には、もはや1ミリたりとも何かが入り込む隙間なんてないのです。完全な自由を手に入れ、心中もいいけれど、共に生きることはもっといいと思えた2人が、これからどんな人生を歩むのか、想像が膨らみますね。

相手なしには生きられない、生きたくない至上の愛

 両腕欠損の受けということで、どんなハードな物語なんだろうとわくわくしながら読み始めました。冒頭こそ、2人ともヤクザの構成員なので殺伐とした空気がありましたが、トマの両腕と都の小指を斬ったことで足抜けさせてもらえるので、それ以降は2人の熱いぶつかり合いに集中することができ、すごく萌えました。今でこそトマには掴み所のない雰囲気が漂い、都を驚かせる言動をとったりもするけれど、孤児院にいた頃は都にひたすら虐められる日々を送っていて。夜中に抜き合いを強要されたり、廃屋に閉じ込められたりしても、トマは都を避けるどころか、彼からより離れられなくなっていった。

 普通の感覚を持つ人間には耐えられないだろうけれど、トマの場合は、虐められることも都が自分だけに強く執着して構わずにはいられないことの証だと感じていたのかな。閉じ込められた時、トマが助けてくれた先生ではなく、自分を閉じ込めた張本人の都に真っ先に抱きつきに行き、都もトマを抱き締め返すシーンが非常に印象的でした。この頃から2人は既に一個体であり、互いなしではいられない関係性だったんでしょうね。自分を飼うことに執着してくれる都に最上の安心感を覚えるトマと、自分だけを慕い何をしても付いてくるトマに欲情し、さらに執着を強める都。歪んだ共依存だけど、とても崇高な愛にも思えました。脇役の樹もこの歪んだ2人と対等にやり合える喰えない男で、魅力的でしたね。2人の愛し方をもっと見てみたいです。

萌えたけれど、ちょっと惜しい

 秋平先生の新刊、とっても楽しみにしていました。結論からいうと、ちょっと期待値を上げ過ぎたかな?というのが正直な感想。新刊情報を見た時から期待が高まり続け、発売後も神評価率がとても高かったので、そこからさらに期待値を上げて読んでしまいました。ストーリーは悪くないですし、きゅんきゅんするシーンもあったのですが、これといって捻りがないというか、綾間も直己も鬱屈したところがまったくなくて、さらさら読み終えてしまった印象です。

 一番引っかかったのは佐久間の存在かな。綾間に密かに想いを寄せ、なんとか彼と直己との繋がりを絶とうとした彼。社長と高校生の恋愛なんて傍から見たら健全ではないし、双方のためにやめて欲しいと願う彼の気持ちには共感でき、必ずしも私情だけで行動していたわけではないと思います。そんな彼の存在が、最後までメイン2人に都合のいいように描かれていたのがちょっと気になりました。綾間に好意をさらりと流され、辞めると言っていた会社も2人に頼み込まれて結局継続する。恋人になった2人を間近で見ながら何事もなかったかのように働けるのか?と、なんだか佐久間が気の毒になってしまいました。早い段階から彼視点での掘り下げもあれば、この結末にもっとすっきりできたように思います。

the way I am コミック

四宮しの 

繊細な思春期に共感できる

 いつものことながら、四宮先生独自の視点が興味深かった作品でした。先輩である猫柳にどうしても猫耳が生えているように見える、鈴木。一体何の暗示なんだろうと思っていたけれど、それは彼自身に染み付いた呪いだったのかな。人を好きになっても、付き合っても、彼はいつも振られてしまう。何度もそんなことが続いた結果、自分は欠陥のある人間で、誰かに好きになってはもらえないのだという予防線を張るようになってしまっていて。

 僕は好意を伝えるけれど、あなたが僕を好きにならないことは分かっているから。一方的な気持ちだと分かっているから。一見、重たくならないよう相手を気遣っているようで、実は結構残酷な言葉。端から気持ちを決めつけられるのは、気持ちの持って行き場がなくて、虚しいものです。少しずつ、少しずつでいいから、鈴木にそのことを分からせようと行動する猫柳。彼の方が余程健気でしたね。9人に振られても、10人目はあなたを好きになってくれるかもしれない。最後は、鈴木がちゃんと猫柳の気持ちを信じてくれて、ほっとしました。

忍の二面性は凡人には持てないもの

 面白かったです。ストーリーとしてはそんなに捻りがあるわけでもなく、流れの予想はつきやすいのですが。受け攻めどちらにも可愛らしさがあるので、2人合わさるととっても魅力的な組み合わせになるんですよね。まずは攻めの忍。会社ではもっさりとした見た目の隠キャで、名前の通り、忍者のごとく逃げ足が早い。さらっと描かれていますが、自分がかなりの色男でモテるという自覚がありながら、徹底してそれを隠し通すって結構ハードなことだと思うんですよ。普通は少しくらい長所を見せつけたくなりませんか? 受けにバレた後も、社内での立ち位置が一切変わらなかったところは、無駄に好意を集めないという彼のスタンスが貫かれていてすごいなと思いました。

 そして、受けのヒカル。こちらも興味深いキャラでした。見た目は完璧な王子でどこでもよくモテるんですが、ナルシストなところとモテることを確認したがる性格が玉に瑕。考え方が幼いというか、一歩間違えれば小学生男子のような性格なんですよね。その残念感がうまい具合に受けとしての魅力に活かされていて。忍を虜にしてやろうと目論んでいたのが、あっさりと彼の虜になってしまう。たまたま自分の部屋に忘れていかれたライター1つで、あれこれ考えを巡らせるほど。ストーリーにもっと深みを持たせるなら、もう少し突っ張らせても良かったかもしれませんが、テンポを大事にされていたので、たまにはこれくらい絆されやすい受けもありかなと思います。そんな2人の応酬が存分に楽しめる作品です。

存在感の濃い脇役たち

 序盤からそれぞれある程度関係性が出来上がっていて、あれ、もしかして別作品の続編?なんて思いましたが違いました。相関図は結構複雑。話がどういう方向に向かっていくのかまったく読めない構成は面白かったです。主人公の穏は、家に居場所がなく同級生の圭吾の所に居候させてもらう代わりに、抱かれていて。そこに悲愴感はあまりなくて、ただ淡々とセックスと暴力に応じているんですよね。感情を必死に押し殺しているような印象もなく、そういう生き方が身に染み付いているという感じでした。割り切っているのかもしれないけれど、なんだか掴み所のないキャラだったなぁと。

 そんな彼がかつて一度だけ会ったことのある義理の兄・栄と再会する。この栄というキャラがさらに掴みにくい人物で。穏が彼を何度も印象が変わる人だ、と評するシーンがありましたが、彼の過去を知ってもなんだか不思議なキャラだったなぁという印象は拭えませんでした。大人びていると思ったら、時折子供のような大袈裟なリアクションをとることもあったり。母親との関係が、彼を不安定な人間にさせたのかな。栄と穏の関係は、互いに荒んだ人生に光を与え合う素晴らしいものだったのですが、あまり萌えはしなかったのは2人のキャラが私には合わなかったからかもしれません。

 私はメインの2人よりも、その脇で大恋愛を見せてくれた千と光星の方に萌えましたね。穏への一途な想いを聞かされても、諦めず健気に真っ直ぐに、千への好意を伝え続けた光星。千がどんな言動をとっても、冷めたりせずに彼の傍にい続けた光星の覚悟や勇気に惚れ惚れしました。そんな光星を千が段々可愛い、愛おしいと感じ始める変化が手に取るように伝わり、嬉しかったです。それと、圭吾もただの悪役という感じはしなくて、その背景を知りたくなる魅力的なキャラでした。スピンオフがあるなら、圭吾をメインで読みたいくらいです。

華なるもの コミック

西つるみ 

あまりに頑なで、凛とした生き様

 綺麗で優しいタッチで描かれる、平安時代の愛憎劇。表紙の雰囲気から予想していたよりも遥かに人間関係が複雑で、当時の身分制度もしっかり鑑みられた作品でした。画のタッチのおかげで、どろどろしていた、という印象はあまり残らなかったのですが、無情さを感じるシーンは多々あり、人が皆平等ではなく、各々の生まれによってはっきりと位が定められていた時代の恐ろしさを改めて思い知ります。

 主人公は武家から成り上がった高前という美男子。頭がよく切れ、歌の才もあり、落ち着いていて隙がなく、複数人の夜伽の相手も難なくこなしてしまう青年です。冒頭でこそ、健気に抱かれているように見えますが、それ以降は体でのし上がる自分に対して悪びれも悲しみもせず、常に誰のものにもならない掴み所のない人間として描かれていて。生まれによって、自分より剣術や勉学、歌などで劣っていても偉く、自分を簡単に愛人にしてしまえる彼らへの意地だったのでしょうか。己を侮辱し陥れようとする者に復讐するために、罪のない第三者を犠牲にすることさえ厭わない非情さすら見せる彼。綺麗な見目に隠れた棘が恐ろしく鋭い人物なのですが、それこそが彼をより魅力的に見せてもいるのだと思うのです。

 涼しい顔でさらりと毒を吐き、誰にも甘い睦言など囁かず、理性を失わない彼が唯一苦手なこと。それは、自分が心から望むものを、素直に欲しいと言えないこと。完璧な彼の、唯一にして最大の弱点。指の間から零れ落ちる砂のように、数多の人間の間をさらりと身を躱して通過してきた彼は、最後に誰からも引き止められない孤独を知る。本気、本音を誰にも見せないということは非常に強い武器だけど、それは孤独と切っても切り離せないもの。流刑さえ淡々と受け流してみせた気丈な彼は、自分に会いにきてくれた智実を追いかけはしても、けっして縋りはしない。本当に最期までその生き様を貫いた彼の人生が、気高くもあり、馬鹿らしくもあり、美しかった。それでも智実が高前が迎えにくるのを見ることができたのは、年々高前の彼への想いも募っていったからなのでしょう。