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エキスパートレビューアー2020

女性hepoさん

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警戒心のなさすぎる先生にモヤリ

個人的意見ですが、BL界で「愚かな存在」のベスト3に、「自分を過信しすぎる警戒心のない大人」が入っております。
こういう大人はすぐ「鍛えてるから大丈夫」「そんなことにはならないから大丈夫」と「大丈夫」を多用しますが、それで大丈夫だった試しがない。
そんな大人がここにも。

辻先生と晴れて恋人同士になったものの、最後までするのは卒業してから、外でキスはもっての外という決まりを言い渡された泉。
一度蜜の味を知ってしまったDKは我慢が効かず、悶々とする日々。
そんな状態のときに、新しく赴任してきた養護教諭・野田が辻にちょっかいを出してきて…。

表紙から分かる通り、三角関係です。
正確には恋人同士にちょっかいを出して楽しむ悪趣味な大人が1人増えた状態。
泉は野生の勘か、恋する男の第六感レーダーが働きまくっているのか、野田に対して敵対心轟々。
だけど肝心の辻のガードが緩すぎる…。
歓迎会で飲みすぎて、お姫さま抱っこされても気付かないくらい酔っ払ったり、ドライブに誘われて断れなかったり、部屋に誘われて断らなかったり。
全然大丈夫じゃない。

野田は辻ターゲットロックオンするものの、「辻だから」というわけではなくて単なる好み。
黒髪短髪の年上という野田の好みにガッチリ合ったのが辻というだけ。
だけど野田と泉の真剣な気持ちに、悪戯心が余計刺激されていくパターン。
こういう厄介なイケメンは、一度痛い目を見てほしいものです。

一番若い泉が頑張ってました。
呑気すぎて、見当違いすぎる辻の分まで。

そんなこんなで最後まで野田は引かず、でも2人の絆は強まったねという、完全に安全というわけではないモヤッと感を残したまま終了。
このモヤモヤをどうしてくれようか…。

ライトに読める3CP

漫才コンビのボケの話(表題作)と、ツッコミの話(同時収録)がそれぞれ前後編で。
もうひとつ、男子高校生の短編が収録されています。

【ひねくれおうさまとぼく】(前後編) 萌
人気若手コンビの「海谷河森」のボケ担当のイケメン・海谷と、ふつうを地でいく人生を送ってきたADの山田。
ひねくれおうさまというよりも、イジワル俺様でした。
ただローカル局のADと、これから全国区になる芸人じゃ長続きしなさそうだなあと思ってしまったわたしはだめ人間でしょうか。
「おもろい」が好きの基準という海谷は、全国区になってもっと「おもろい」人たちに出会って、それでも山田が一番おもろいわーっていうところまで見せてくれたら萌えたのに!と欲張ってしまいました。

【かわもりくんとぼく】(前後編) 萌
「海谷河森」のツッコミ担当・河森と、コンビのマネージャー。
KING OF MANZAI決勝進出という嬉しいニュースに沸き立つ3人。
その前日に収録で怪我をした河森は、マネージャーの優しさについ本音をこぼすものの…という、大事すぎて手を出してはいけないという王道ストーリー。
プロ根性とは…という疑問が頭を過ってしまいました。

【フレームの中にはいつも君】 萌
図書室からいつも見つめていた校庭の彼。
校庭からいつも見上げていた図書室の窓。
爽やかDKものと思いきや、えろすでした。

3CPともそこまで拗れることなくくっつくので、サクッと読める1冊でした。

全体的に惜しい

BLに限らず、少女漫画でも何でも「パターン化した設定」というのがありますね。
ひとことで言えば「王道」なのですが、王道パターンを踏襲していても魅力あふれる作品も多々あるわけで。

田舎から上京してきた純真無垢な大学生が、アパートの隣に住んでいるイケメンに食われるという設定は結構ある。
その「結構ある」設定に、いかに自分の色を付け足すかが作家さんの腕の見せどころ。

この作品では引っ越しの挨拶に行った流れで、なぜか部屋に連れ込まれます。
さらになぜか恋愛話から、早漏トレーニングを行うことに。
初対面で、早漏トレーニング。
しかも純真無垢な田舎少年を言葉巧みに騙すというより、田舎少年に躊躇いがない。
その後、イケメンと仲良くなって、いろいろあるわけですが…。
うーむ…。
わたしには、この2人のひととなりが全く見えてきませんでした。
性に奔放見えたイケメンくんはそうでもなく、真面目そうに見えた田舎少年は性格悪い。
それくらいしか伝わってこないので、物語に入り込むきっかけが見つけられず。
2人の感情の揺れも見えてこないし、読み終わった時点ですら、いつのまにか好きになってたっぽいという感想しか出てこなかった…。

同時収録はカフェを舞台にしている、食べ物大好き人間にはたまらん設定。
なんだけど、こっちも人物描写とストーリー進行がいまいちでした。
読者への状況説明的な台詞を、店長相手に言う違和感。
お菓子作りもキッチンを貸しているんだろうし、バイトくんが作ったケーキをお客さんに振る舞うのも店長の了承が必要だから、常連客とバイトくんの関わりを逐一その場で見ているはずの店長に言っても、「うん、知ってる」「それ、見てた」って思うよなあ、と感じてしまう。
傘がないと帰れない男の子っていうのも「え?」って思うし、傘持ってたのにびしょ濡れになってるのも分からないし、いろいろとツッコミどころばかりで。

全体を通して感じたのは、圧倒的な人物描写不足と会話の不自然さ。
せっかく綺麗な作画なのに、人形を動かしているだけに見えてしまって、もったいないなあと思った次第です。
辛口ですみません。

要審議だけど、これは可愛いわ…

31才のおとこの娘にときめく。
31才の、おとこの娘、に、ときめく。
あまりの衝撃に、自分の脳がバグを起こしました。

忙しすぎて、付き合った彼女に見限られてばかりの塾講師・佐野。
社会人になって10人目の彼女に電話で別れ話をされていたとき、目の前で女子高生に手をあげる不届き者と出会して…。

士(つかさ)が120%反則です。
31才、コスプレ風俗に勤務するおとこの娘。
見た目だけでは完全に少女漫画の主人公です。
小柄で柔らかそうな体に、うるうるきらきらの大きい瞳、プルップルのくちびる。
なんですか、この生き物は。
ついぞBLで見かけるとは思いもしなかった生命体がそこにいました。

女の子にしか見えない登場人物が出てくる作品は、わたしにとって要審議案件。
女の子にしか見えないなら女の子でいいじゃないかとか、それなら少女漫画を読むわいと思っていたので、ショタっぽい風貌の受けが「可愛い」「可愛い」と愛でられるのも苦手でした。
そもそもわたしがBLを読むのは、同性を好きになったせいで感じる行き場のない切なさを疑似体験したいというデバガメな目的なので、周囲からも男女のCPとして認識されて、お天道様の下で堂々と手を繋いで歩けるような見た目の2人じゃだめだと思っていたんです。

萌えた…。
わたし、おとこの娘で萌えた…。

もちろん最初からすんなり萌えたわけではなくて、きゅるんきゅるんした生き物に「うーむ…、これは…」と思いながら読み進めた結果、あまりにも佐野がときめくから、旅は道連れ的に萌え始めたのがきっかけで。
そこからつかさの悲しすぎる過去の回想や、佐野に会う前にばっちり女装装備する心情なんかが見えてきて、同情的になっていたところで、ダメ押しが来ました。

佐野とデートに出かけて、薬指に指輪をはめた瞬間の表情と台詞。

ここで完全にやられました。
健気じゃないかと。
恋心を利用されて、弄ばれて、ボロボロになったせいで、しあわせ感度がものすごく良すぎるつかさに、おばちゃんが飴ちゃんあげようね?とにじり寄りたくなってしまった。

ただ。

BLという観点で言うとやっぱり要審議ではあるのです。
佐野はひたすらつかさの外見にやられてます。
性別を超えたかわい、とは言え、完全に女の子に振り切った外見。
さらにつかさを高校時代から知る友人に「本気を見せろ」と言われて、踏み出した一歩が理想論すぎるんです。
同性同士という躊躇いが一切ないのは、佐野から見てつかさが「女の子」にしか見えてないからじゃないかと思ってしまう。
実際周囲の反応も「女の子」に対するソレ。
果たしてこれはBL?それとも可愛い女の子にたまたまついてないものとついてるものが違うっていうだけの少女漫画?
そこが引っかかってしまった。

つらい過去を乗り越えてしあわせになれる話は良いし、突っ走ってる辺りはイラッとするけど佐野のスパダリ感もたまりません。
だけどBLか?と問われると、うーん、ボーイズがラブしてるからBL、だけど、何かが違う。
佐野はほんとにボーイに恋したの?
そんな疑問が残る作品でした。

鏡の向こうにいた「自分」

何かの拍子で異世界や異国、別の時間軸に行ってしまう設定は、嫌が上にも切なさを掻き立てられるものですが、こちらはストレスフリーに読めるファンタジーでした。

某国の次期国王として崇められ、「畏れ多い」と目を合わせる者もいなかった「名無し」。
華道の次期家元として期待され、周囲が見ているのは「看板」だけと感じていた「ハア」。
名のある家に生まれたせいで、「自分」を見てくれる存在に出会えなかった2人が、ひょんなことからお互いの世界を行き来するようになるストーリーです。

「名前」が重要なポイントでした。
「名無し」の国では、名前を告げ合うことは、生涯を共にする大切な誓い。
そのために突然鏡から現れた沙羅(次期家元)に名前は告げません。
だから沙羅は彼を「名無し」と呼び、彼もまた沙羅が多用する「ハア」という言葉で沙羅を呼びます。
身分など関係なく、言いたいことを言い、自分を見てくれる。
お互いの部屋にある鏡を通って行き来できるという不可思議な現象のおかげで、そんな相手に出会えた2人。
お互いの文化や事情を知り、一緒にいる時間が増えれば増えるほど、相手を通して自分の姿が見える。
鏡を挟んだ別の国で、2人が2人とも同じような窮屈さを感じている。
「自分」とは一体何なのか。
相手を通して見ることで、答えに近付いていく2人が、かけがえのない存在になっていく様子がすごく自然。
気付けば世界観にどっぷり浸っていました。

分かり合うばかりではなくて、言葉足らずのせいでかんじんなところですれ違う部分は少し切ない。
けれど、そんなに引きずらずにクライマックスへ向かうので、理想的な恋愛をレール通りに進んでいく感じに若干物足りなさを感じました。
次期国王なのに、次期家元なのに、そんなあっさりでいいの!?という驚きが邪魔して、感動的な場面で感動に感情すべてを預けることが出来ず…。無念です。

周囲から見たら恵まれている環境ゆえに、誰にも理解されない孤独を分かり合える相手に出会えるのはまさに運命。
その運命が成就する過程をほぼ波乱なしに追っていくので、ハッピーエバーアフターなおとぎ話を読んだときと同じ読後感でした。

予想以上の可愛さに降参

箱入り息子くんは好きですか?
わたしは大好きです。
世間を知らな過ぎて、ちょっとしたことにも目を輝かせる姿や、同級生に敬語なところも萌える。

生活態度の悪さに成績不振も追加で問題児の星子友輝。
職員室で担任から指導を受けたあと、むしゃくしゃして投げたボールがうっかり窓にぶつかって…。

校舎内にいた朝子日昂(ひだか)にぶつかる!と思った次の瞬間、2人はなぜか隣町の田んぼに囲まれた道の上に。
日昂の超能力を軸に、「信じる」という気持ちがテーマになった作品です。

すごく良かった。
中学まで真面目な野球少年だったのに、たった一回の誤解を信じてもらうことができず、「どうせ誰も信じてくれないなら…」と問題児になってしまった星子。
謎に身について生まれた超能力のせいで、父親からいろいろなことを制限されて、人と接することもなく育ってきた日昂。
2人が一緒に空間移動したことで、初めて家族以外の人間に秘密を打ち明けられたこと、初めて見る海が綺麗だったこと、星子が教えてくれる「ふつう」の世界に胸をときめかせる日昂が可愛くて。
星子の方も、それまで一緒に野球に打ち込んできた仲間や監督が信じてくれなかった自分を、日昂は無条件に信じてくれたことで、大切な存在になっていくのが読んでいる方まで嬉しくて。
秘密の共有によって2人の心の距離が近くなるのが自然で、お互いに自分ができることを相手にしてあげたいっていう気持ちが良いんです。

クラスの中で「透明人間」みたいだった2人の雰囲気が変わってきたことで、周囲のひとたちも2人に目を向け始めます。
イケメン星子を狙いに来る女子の存在や、超能力の特訓と星子の補習をするために日昂が父についた嘘がバレるという大きな出来事が、2人の関係をさらに変えていくのが胸きゅんせずにはいられません。

親が子を守りたいという気持ちは当然のもの。
自分の子供が他の子と明らかに違うなら、その気持ちはより強くなるのも自然。
だけど子供はいつまでも子供じゃなくて、親がずっと箱の中で守っていけるわけでもない。
これからの日昂にとって大事なのは何か。
男手ひとつで日昂を守ってきた日昂父と星子の話し合いが、笑えるけど良い。
自分の気持ちを口にしたことで、その奥に隠れた本当の想いに気付いた星子の「下の名前」呼びもいい。
日昂が胸のモヤモヤの正体を自覚してからの流れもいい。
描き下ろしの2人だけの夏祭りも、何もかもいいんだよおおおおおお。

取り乱しました。

大学生編とか、2人暮らしを日昂父に許可してもらうために再び対決する星子とかも見てみたい。
その後に妄想が膨らむのは良作の証。
可愛い登場人物を愛でまくりたい!という気分のときに読んだら、可愛さで頭が爆発するかもしれません。

端正な顔立ちとめくるめくえろすの世界

短い作品ばかりがたくさん収録されております。
短いけど、半分〜半分以上えろすなので、えろすから毒気を感じる方はご注意を。

【君にいいなりショータイム】(1話+描き下ろし) 中立
若干あほの子の実波と、4歳年上の俺様幼馴染・千夏。
千夏が典型的な「好きな子はいじめる」タイプで、実波が天然あほの子という策士腹黒攻めは苦手なわたしには厳しい話でした。
S風味の腹黒好きな方はぜひ。

【理一くんと叔父さん】 萌
生活能力ゼロの小説家・祥平を心配した姉が送り込んだ世話焼き偵察要員の甥・理一。
甥っ子を喰っちゃう叔父さんはアレですが、憎まれ口を叩く甥っ子の本性が可愛い。

【女装で恋は甘くない!】 萌
ずっと片思いしていた飛鳥に、女子と偽って告白した弥生。
うっかりOKをもらってしまったから、さあ大変という話。
飛鳥が色素薄い系イケメン。弥生はサイズ感からすべてが完全に女子。
女子にしか見えない女装姿はどうだろう?と思う派ですが、オチが楽しかったので萌。

【僕の彼氏は今日も不機嫌】 萌
高校生の響は、バイト先のカフェの常連・朔夜に絶賛アプローチ中。
いつも不機嫌な顔をされるけど拒まない朔夜の真意は!?
「あ、そういう…」っていうオチでした。

【誘惑サイン】 しゅみじゃない
誰とでもしちゃうビッチな義弟・紀乃と、そんな弟に戸惑う兄。
うーん。うーーーん。うーーーーーーーん。
弟は結局もともとビッチで、お兄ちゃんが好きとかじゃなくて、自分を見て興奮したお兄ちゃんに興味があったっていうだけの話?ですか?

【人を呪わば穴二つ】 萌
高1まで文武共にトップをキープしてきたのに、2年になって稲毛に抜かれた悔しさを藁人形にぶつけていた穴川。
その現場を当の稲毛に見られてしまって…という話。オチで萌えた。

【誰もしらない】 しゅみじゃない
自分にべた惚れの天台(てんだい)を下僕扱いしてきた生徒会長の長沼。
精神的に囲い込む系の話でした。

【ドント・タッチ・ミー!】【ドント・タッチ・ブラジャー!】 中立
桃江がジョギング中に熱い視線を送ってくるカフェの店長・三栗野。
うーん。うーーーーん。うーーーーーーーーーん。
胸筋フェチ、雄っぱい好きに特化した作品。好きな方は好きだと思います。

北沢きょうさん、作画は好きなんです。
作画が見たくて読みますが、えろすえろす!な作風は苦手で…。
「じゃあ読むなよー」と言われそうですが、作画が…、好きなんです…。ごめんなさい。

萌える…けど、ぐぬぬ…

『河童の嫁入り』の続編です。
表紙がえろい。

前作最後で出てきた龍神さまの「水谷の子」という言葉の意味が解明される本作。
竜人と菊のいcがこらあまあまを見たいわたしたち(勝手にチーム)にとっては、脇道の方がメインになりすぎた感が寂しい展開が続きます。

まず菊の兄・菖蒲。
人間社会の利便性にハマった菖蒲は、山を降りてすっかり居着いてます。
居着くのはいい、けど、菊よりも竜人と触れ合う時間が多いのが…。
途中、ぶっきらぼうだけど優しい竜人に、菖蒲が惚れたかと思いましたよ。
横恋慕は読者の切なさを煽るけど、兄弟で当て馬はヤネテクレー!とひたすらヤキモキしていたら、しっかり者の嫁(菊)がちゃんと読者の気持ちを代弁、ではなくて、自分の気持ちを竜人に伝えてくれたので良かった。

ヤキモキはそれだけでは終わりません。
「水谷の子」である竜人に目をつけた天狗族の破天荒・隼(はやと)も参戦します。
「水谷の子」というのが何かは本編を読んで確認していただくとして、この子にヤキモキヤキモキ…。
住み込みOKしちゃう竜人のお母さんにも「空気読んで!」と言いたくなるほどヤキモキ。
しかも古くは『人魚姫』にまで遡る「お手柄横取り戦法」を使う姑息さにヤキモキが募りまくりました。
結果として、竜人と菊の幼い頃のつながりが見えたので良かったものの、ヤキモキしすぎて禿げ上がるかと思いました。

そして最後はあの人まで登場するという。
麗しいサラツヤロングの超絶美人系イケメン。
3人目の当て馬!?と思いましたよ…。心が疲れた…。

圧倒的に竜人と菊の時間が少ない2冊目でしたが、肝心の「しりこだま」の交換。
このシーンが素敵でした。ため息。
綺麗な作画がより一層輝いて見えました。
一見の価値ありどころか、二見も三見もしてしまう美しさでしたよ。

まだまだ続くんですね、このシリーズ。
次はもっとファンタジー色が濃くなるとか。
あとがきの「河童オシのルチル」で吹きました。

河童、可愛すぎる!

初読みの作家さんかと思いきや、以前にネコ目作品を購入済みでした。
レビューを書いたり書かなかったりする弊害がここに。

「水…」と言いながら倒れたリーマンに、ホースで水をかけたら嫁ができた!?
「命を救ってくれた方に嫁ぐしきたり」と言って、母と2人で花屋を営む竜人に求婚して来た菊次郎。
自分を河童だと言い張るおかしな菊に押されまくりの竜人だが…。

人ならざるもの設定、好きです。
「このひと!」と決めた相手にはどこまでも誠実で献身的だし、身分の違いならぬ、人種(?)の違いもいいスパイスになって切なさを味わえるパターンも多いですよね。
この作品は「河童」。
あとがきでなぜ「河童」設定になったかという裏話を読んで吹きました。
まさか「河童巻ばっかり頼む男」というところから、「いっそ河童に」とまで飛ぶとは。
振り切れまくった発想のおかげさまで、素敵な萌え作品に出会えたことに感謝。

菊次郎が可愛いんですよ。
思い込んだら猪突猛進、細腕奮闘記さながらの頑張りを見せる性格も好き。
竜人の分かりにくい優しさを全部掬い上げるところも、真っ直ぐに相手に向かうところも可愛い。
何と言っても、顔が可愛い。
竜人がめろっと行くのも分かる、no計算の天然かわいこちゃんです。

「頭がおかしい」と言いながらも、何だかんだと菊を可愛いと思っちゃう竜人もいい。しかもちょい悪イケメン。
「おかしい」と言いつつも、手が早いところもいい。
メインの2人を両方愛せるので、1話目から「好き」が確定してました。

父亡き後、1人で花屋を切り盛りしなければならなくなった母に反抗して、グレた時期の竜人のツレだった火村や、人を嫌って、菊を山に連れ戻そうとする兄の菖蒲の妨害がありつつも、絆を深めていく
2人。
過去のエピソードがどれも良くて、そこもポイント高め。
だけど一番は竜人のお父さん。
後半の回想で、今は亡き竜人の父親とのエピソードが出て来るのですが、お父さんがちょっとお間抜けだけど優しいお父さん過ぎて、この優しいひとが今はいないのか…と思うと悲しくなりました。
ほんの数ページの回想でここまで心を揺さぶってくる人物描写がすごい。

竜人が兄と山へ戻った菊を迎えに行く辺りで、気になるワードがポツポツ。
龍神さまの言った「さすが水谷の子」という一言が特に気になります。
続きを、『河童の蜜月』も取り急ぎ読まねば!

君が僕のsecurity blanketという関係

security blanket、またの名は「ライナスの毛布」。
そういえば昔、ライナスは父親から虐待を受けていたせいで、毛布が手放せなくなったという悲しい逸話を聞いたことがあります。
真偽の程は定かではありませんが。

大学入学に伴って、家を出た伊織。
向かう先は「金蘭寮」。
築80年くらいの、廃校になった木造校舎を再利用したかのような建物。
そこでの新しい出会いと生活に、伊織は戸惑いながらも…。

建物自体古い上に、男子寮ということもあって汚れ放題。
歴代の入寮者たちが積み重ねて来たゴミとも見紛う諸々のものたち。
伊織が住むことになった西館の面々は、みんな明るくて楽しくて大家族のよう。
料理上手で家庭菜園も手掛けるママ(見た目はちょび髭イケメン)に、おとこの娘ののんのん、スウェーデンからの留学生で日本に詳しいラッセに、眼鏡とぽっちゃりボディで隠れているけれど、実は一番のイケメンらしいマルティン、そして伊織と同じ年の帰国子女・アキ。
ママの作ったごはんをみんなで食べて、夜が更けるまでみんなでわいわい。楽しそう。

そんな優しい人たちに囲まれた環境で、伊織が強くなっていくさまが描かれていました。
父に捨てられて不安定になった母との2人暮らしで、幼い頃から心に負担ばかりがかかっていた伊織にとって、ぬいぐるみは心のバリケード。
心に触れられたくない、傷付けられたくないという思いが強くなればなるほど、ぬいぐるみの量も増えていく。どう見ても異様です。
心をガッチガチにガードした状態から、少しずつバリケードを崩していくときに、必ず寄り添ってくれるのがアキで。
困ったときにどこからともなく来てくれる、つらいときにそばにいてくれる、まるでスーパーマンのような存在に、伊織が惹かれていくのも納得。

アキの方も心に傷があって。
親の仕事の都合で海外を転々とせざるを得なかった高校までの生活。
簡単に順応しているようで、吐き出せずに飲み込んだ不満が澱のように溜まっていたんだなあ。
アキはミニマリストだけど、極端なミニマリストというのは心が助けを求めていることもあって、執着を持たないようにすることで無気力になったり、物が増えるだけで息苦しさを感じる強迫観念が出たり。
伊織がアキの頭を撫でたい衝動に駆られるのは、そういう部分を無意識に察知していたからじゃないかなあと思いました。

お互いの傷を舐め合うんじゃなくて、伊織には「バリケードがなくても、もう誰も傷付けないし、傷付けさせない」という安心を、アキには「もうどこにも行かなくていいし、お別れもない」という確固としたつながりを与えることで、本当の意味で解放し合える。
そんな関係を築いていく2人と、周囲の優しさに胸が温かくなりました。

読み終わって、深いため息が出ました。
重いテーマなのに、ここまで優しくてあたたかい作品に仕上げられていたおかげで、しあわせな気持ちで満たされました。