一穂ミチさんのレビュー一覧

窓の灯とおく 小説

一穂ミチ  穂波ゆきね 

スピンオフ

「街の灯ひとつ」のスピンオフです。
読み手として、気になる登場人物だった葛井のお話です。

BL作品で、よくあるスピンオフものだと、
あるメインカプがくっついた「後」に、
そのメインカプの周りの人たちが
またBLな恋愛を繰り広げるものが多いのですが、
この作品のカプの恋愛は、
メインカプが繰り広げていたのと同じ時系列に進みます。
なので、それぞれ悩みながら恋愛している2人が
仕…

0

街の灯ひとつ 小説

一穂ミチ  穂波ゆきね 

筋の通った

一穂さん作品を読みたくての作者さん買いです。
一穂さん作品は、ずっと敬遠していたのですが、
その敬遠期間が長かったため、反動で、もっと読みたい!と
いう衝動にかられています。

この作品を読んで、一穂さんのすごいと思ったこと。
それは、色々な些細な日常のことも、
実は一筋が通っているように感じさせること。
登場人物は、当然1人の人として人生を歩んでいる訳で、
その生き方を感じさせ…

0

感情教育 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

未遂のエロス

志緒の通う高校の男子生徒達が、電車の中で同じ沿線の女子高生達のいたずらにあう事件が続く。
ある日志緒も、見ず知らずの女子高生に耳を舐められ笑われる。

女子高生達にとってはからかってスリルを味わっているただの遊び。
今まで被害(?)にあった男子生徒達は、まんざらでもない気分もあって
事はそれほど大げさにならずに来ていた。
が、志緒にはとてもじゃないけれど理解できないし、許せない。
単…

2

アイズオンリー 小説

一穂ミチ  小椋ムク 

期待を下まわったかな…

まず受けの設定、人と関わりを持つのを避けているのに、常習で女をお持ち帰りしてヤってるのが矛盾してる気もしたし…加えて攻めの最初の誘いが 試してみない?的な言い方で(あとから理由があったと説明されるのですが)それでヤっちゃってるのが、わたしにとっての苦手に感じました。

Hシーンに多くページが割かれてるせいか、常の一穂作品に比べ人物の心情やその変化してゆく過程などが掘り下げられてない感がしました…

15

藍より甘く 小説

一穂ミチ  雪広うたこ 

どきどきする。藍ってふかい。

なんてこった、どストライク・・・!!

藍色を、「黒に砂糖をすこし混ぜたような...」とか、そういう表現の雰囲気でつながるシーンがとても好きです。

どうしてもつかず離れず離れられず、気の置けない仲だから越えられない壁がずっとある。
本編は攻目線ですすみますが、垣間見える受の心中思うと切なくなります。というかしあわせとあきらめとちょっと欲、が見え隠れしててしずかにしずかにどきどきする感じ…

4

キスなんて大きらい 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

「早く大人になれ」

同じタイトルの絵本があるなー、とまず思った。
黒地にネコが腕組みしている絵の表紙、大人扱いして欲しいヤンチャ坊主の話。
http://www.amazon.co.jp/キスなんてだいきらい-世界の傑作絵本B-トミー・ウンゲラー/dp/457940100X

本編の最後、桂は「明日の朝起きたらキスしてもいい?」と聞いた。
でも夜が明けても、桂はキスをしてこなかった。
経験値の違いをあれこ…

2

誘惑のゆくえ 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

京都、真夏の夜の夢

『おとぎ話のゆくえ』の番外編。

本編のあと大学生になった湊は、京都で暮している。
そこには来杉もいて、生まれて初めて若様としてではなく過ごす日々…、
「そして二人はいつまでもなかよく暮しました。めでたしめでたし。」
というのがおとぎ話の定番だが、湊のそれは4年の(6年や9年かもしれないが)期間限定だ。

生まれ育った土地で当たり前だと思って背負っていた荷物が、実は重く窮屈なものであ…

6

アイズオンリー 小説

一穂ミチ  小椋ムク 

見える世界、触れるよろこび

一穂ミチ先生、初の新書判ノベルズ。
新鮮な感覚というか、下ろし立ての糊の効いたワイシャツのような、
肌に馴染まなさというか、そんな微妙な違和感を感じながら読み終わった。

ただし、これは私という1人の一穂ファンの個人的な感覚であって、
相変わらずエピソードやちょっとした小道具を積み重ねて作られる世界や、
繊細に心情が掬い取られた文章は魅力的で、良作だとは思うのだが…

んー、結構初…

15

ステノグラフィカ 小説

一穂ミチ  青石ももこ 

この声が聞けて、わたしも嬉しかった。

一穂さんの本はこれが4冊目。
一穂さんの書かれる言葉の数々は、わたしの心を強く掴む。
時々それが強すぎて、深く爪を立てられた跡のように少々の傷になって暫く心から消えていかない。
よかったとか、好きだとか、共感したという気持ちと一緒に、ダメージまで残していく。
この本は、今まで読んだ本の中ではそのダメージが一番少なかった。
なので、一番楽しく読めたと思う。

人の声や話し方、
それは…

9

ディア・ムーン 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

手の中の三日月

『藍より甘く』の番外編。
故郷に帰って家業を手伝う遥と、時間を作って通ってくる暁行。
ちょっと無理しながらの遠距離恋愛の日々だ。

かなうと思っていなかった恋の成就に、まだ戸惑っているような遥。
くたびれ果てても遥のところにやって来た暁行の、忙しくて伸びきった足の爪を遥が切ってやる。
遥と真逆に決めたらまっすぐ力強い暁行なのに、爪を切って貰うのに照れる様はちょっと可愛い。

切り取…

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