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表題作is in you

弓削圭輔・高校3年生→31才・サラリーマン
鳥羽一束・高校1年生→29才

その他の収録作品

  • is in me
  • あとがき

あらすじ

高校時代、大好きで仕方なかった先輩からの想いを拒んでしまった一束。
十三年後、仕事仲間として香港で再会したふたりは…?
(出版社より)

作品情報

作品名
is in you
著者
一穂ミチ 
イラスト
青石ももこ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
is in you
発売日
ISBN
9784344822047
3.9

(195)

(86)

萌々

(50)

(31)

中立

(14)

趣味じゃない

(14)

レビュー数
35
得点
737
評価数
195
平均
3.9 / 5
神率
44.1%

レビュー投稿数35

幸せな再会

香港からの帰国子女の一束は、
日本語をしゃべる事が心細く不安で、他人と殆ど交流を持っていなかった。
しかし、隠れ家にしていた旧校舎で2年先輩の圭輔と出会い、
「俺としゃべろう、これからたくさん。」と、2人の時間を持つようになります。

この高校時代が、ものすごく繊細で静かで、ほんとに良いです。
2人にとって、何よりもやさしい時間だったんだろうと思います。
そして2人が自然と惹かれあっていったのは、当然の成り行きでしょう。

でも、この幸せな時間は長くは続かず、
お互いが相手を特別な存在と気付いた時に、終わりを迎えてしまいます。
「好きだ」と自分の気持を一束にぶつける圭輔、
そして肌に触れられそうになった瞬間、一束は激しく圭輔を拒絶してしまいます。

一束には、自分の体に病気が原因の大きなコンプレックスがあって、
圭輔にどうしてもそれを知られたくなかった。大好きだからこそ・・・
若さゆえの、不器用さがもう本当に痛々しい。
お互いに本当に好き合ってるのに、上手く伝えあうことが出来ず、
仲たがいしたままになってしまう2人。
本当に読んでいてこちらが切なくなってしまいます・・・
ほんのちょっとの勇気が、言葉が、足らない為に、通じない想い。
でもまだ高校生だった2人には、伝える術がなかったんでしょうか。

13年後、大人になった2人は偶然に香港で再会します。
最初は普通に仕事仲間として接していましたが、
お互いに惹かれあう事を止める事は出来ず、感情をぶつけあってしまう2人。
一束の「死ぬほどあなたが好きだった」に、私まで心臓をぎゅっと掴まれました・・・
そして高校時代の誤解も無事に解け、2人はお互いの気持ちを確かめあいます。

ところで、一束には香港で恋人が居たんですが、
この佐伯がまた強烈なキャラでした。人が悪いのに憎みきれない。
妻帯者なので一束とは不倫の関係になるんですが・・・
「不倫」は私的にはかなりのNGポイントなのに、
佐伯は嫌いになれませんでした、というか、結構好きかも(笑)
美蘭もいいですね~!好きです、こういう女性。

香港の描写も魅力的でした。
こんな風に、風景描写等が綺麗で、想像しながら読める本は好きです。
まだ行った事が無いので、一度旅行してみたくなりました。

10

一穂さんの高校生は

特に、まだ子どもの殻から抜け切れていない高校一年生は、
やはり絶品です。
高校一年生から見たらとっても大人な三年生も、やっぱり、それなりに充分子どもで、お互いに初めての恋に戸惑っている。
まず、自分の中にある感情が「恋」という物であると気付くところから始めなきゃいけない。
気付いても、それをどうしたらいいのか持て余す。
大人から見ればとるに足らなかったり、思いっきり見当違いな理由で逃げる。

そんな、うまくいきそうで、結局成就しなかった子ども時代の恋。
それが、10年以上の月日をおいて、場所も日本から香港に移して、偶然の再会から動き出します。
子ども時代のあの恋が、なんでうまくいかなかったのか、
お互いに大人になったからこそ、見える物、認められる物。

この作品、高校時代編だけでも充分一穂さんの作品らしくて、切なくて萌えますが、大人になってからの再会編があるからこそ神。
特に、弓削が変に意地を張ったりせずに、真っ直ぐ向かっていくところがいいです。

9

天下一品の「一穂ワールド」&「一穂ワード」!!

気遣いがさりげなく出来る素敵な人物を
こんなにもサラッと書けてしまう一穂さん。

これだもの、一束も弓削を死ぬほど好きにもなるよって
納得しすぎるくらい納得できる、細かい描写。

弓削が高校の時付き合っていた彼女と別れた理由とか、
一束が佐伯と付き合うようになったきっかけ(?)の
「ハイヒールのシャンパン」も、ホンコンフラワーも
とにかく上手い!!悶絶する!!

「ハイヒールのシャンパン」の話を聞いた弓削が
一束にまくしたてた所も大好き!

本当に、胸がきゅうきゅうします!!何度読んでも!

写真たての裏に紙片を入れておくって…どんだけ、弓削。
王道っぽい気もするけど、ここも良かった。

佐伯が嫉妬するシーンも、ぐっときました。
余裕がありそうでも、嫉妬するぐらいには一束を好きだって。
しかもちょっと意地悪する上司、いい味出してました。

挙げたらキリが無いくらい、素敵なシーン満載でした!

その世界にふさわしい、青石ももこさんのイラスト!!
今後も、要チェックです、青石さん。
先日ブログを拝見しましたが、絵が綺麗すぎだ…。

もちろん好みは人それぞれですけど、
私はもう文句なしの「神」評価です!!












7

必要な時間

『ステノグラフィカ』『off you go 』と世界観が同じ作品。
時系列にいっても、最初の作品です。
攻め、受けの両方の視点が楽しめます。

受けの一束は香港からの帰国子女。
高校時代はクラスに馴染めず、旧校舎の空き教室が唯一息抜き出来る場所でした。
現在は29歳。
堪能な中国語を使い、香港で仕事をしている。

攻めの圭輔は高校時代は水泳部。
世話好きで気さくな性格。
旧校舎で偶然出会った一束を気遣い、学年の垣根を越えて親交を深めた。
現在は31歳。
一束が働いている香港の支局に転勤でやってきた。

13年間ぶりに香港で、後任の支局長として赴任してきた圭輔と再会した一束。
高校時代、唯一自分を理解しようとしてくれ、大好きだった先輩の突然の出現。
ふたりの世界を特別視しているのは自分だけと感じ、さらに身体のコンプレックスによりその世界を自ら壊した一束でしたが、未だ圭輔への想いを捨て切れてはいませんでした。
一束は高校時代、本当の意味では圭輔へ殻を破って飛び出すことは出来なかったわけですが、圭輔はあの頃でも一束のコンプレックスを受けとめることが出来たのではないかと思います。
ふたりが心から想いを通わせるには、一束が大人になるための時間が必要だったのかな。
一束が圭輔へ気持ちを吐露するセリフがとてもキュンです。

そして、『off you go 』で主人公のひとりとして登場する佐伯が、あまりに濃く生々しく描かれているのも印象的。
賢く、先読みにも長けているにもかかわらず、圭輔へ嫉妬しなければならない現実。
佐伯については『off you go 』でくわしく描かれていますので、そちらを読まれると一層この時の彼の心情がわかると思います。
一穂さんの作品ではおなじみになりました、素敵系女性キャラも健在です。

青石さんイラストもとても素敵ですね。

7

一穂さんが好きになる

読んだらきっと、一穂さんファンになります。
すごく綿密で丁寧な文章で書かれているので、なんだかあまりBL臭がしません。
萌えという観点から見ると微妙ですが、読書を楽しむという観点から見れば余裕の「神」でした。

高校時代、好きだった先輩をうっかり突き放してしまった一束(受)。13年後、仕事の上司として先輩(攻)と再会して…。というお話。

昔あんなに痛い思い出があったのに、再会後、一束の態度が普通すぎて、
しかもその部分の心情描写が少なかったので、ちょっと不自然に思いました。
でも、設定が綺麗で整っているので、スルー。
とにかく、丁寧に書かれているなーと、すごく感じました。
いたる所に痺れポイントが…。
特に「ホンコンフラワーだった。互いが、互いの。本物じゃないから枯らさずにすむ塑膠花。」というのは悶えた。
随所にこういう一穂さんらしい魅力的な文章が。
きっと物語を書くのが好きなんだろうなーと思いました。

挿絵も綺麗でしたし、文章も緻密で丁寧で、申し分なく「神」作品です!

5

この作品が収納されている本棚

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