SS付き電子限定版
一つ屋根の下で燻る、親友との恋のメランコリー♡
月村先生の新刊、めちゃくちゃ楽しみにしてました。
で、今回、幼馴染み同士の上京物語です。
最初の印象としては、結構ほろ苦いし切ないお話なんですよね。
主人公がトラウマ持ちでして、そのせいで、自分の恋心は絶対叶わないと思い込んでいる。
そのマイナス思考に引きずられる形で、なんとも切ない心地にさせられたんですけど。
が、これ、読み終えた後の感想は、180度違うから。
めちゃくちゃ甘いし可愛いお話だから!
そして、前向きで爽快なお話だから!!
いや、超王道の片想いものではあるんですけど、とにかく、すごく幸せな気持ちにさせて貰えるんですよ。
とても素敵なお話だと思う!
ちなみに、主人公の母親が、結構酷いんですよね。
現在の超ネガティブな主人公が形成されたのは、この母親の影響が大で。
そんなワケで、人によってはこの母親の存在自体が地雷かもしれません。
ご注意下さい。
内容です。
カフェ店員として働く明日真。
高校卒業と同時に上京した彼は、幼馴染みで親友である蒼士と同居しているんですね。
蒼士に長い片想いをしていて、もう少しだけ、一緒に居られる事を願いながら。
そんなある日、蒼士の行動から、彼に恋人が出来た事を疑う明日真。
いよいよ同居生活に終わりを告げ、自分から離れる事を決意しますがー・・と言うものです。
まずこちら、序盤の主人公ですが、結構嫌なヤツなんですよね。
すごくマイナス思考で、その上ヒネクレ者。
自分の本心を隠す為に、いちいち憎まれ口を叩いちゃうタイプとでも言いますか。
で、嫉妬から人に対して嫌味な見方をして、その事で自分も落ち込むみたいな。
もう、延々とマイナス思考のループですよ。
これぞ、月村先生の受けですよ!
で、そんな主人公と中学生で親友となり、やがては同居へと持ち込む攻め・蒼士。
彼は明日真から「ゴリラ」としょっちゅう軽口を叩かれる通り、大柄で無骨な外見。
に反して、面倒見が良く人懐こい性格。
と、こんな二人で同居生活。
終始、明日真視点で進みますが、二人の絶妙な距離感に、片想いの切なさー。
そんなものが、丁寧に綴られます。
いや、繰り返しになりますが、主人公はめちゃくちゃ意地っ張りなんですよ。
そんな彼がインフルエンザに罹って熱を出すエピソードがあるんですけど、普段は自分の恋心を隠す事に必死で、ドライな明日真。
それが、熱を出した事で朦朧として、ついつい「そばに居て」と本音を言ってしまうんですよね。
いや、こんな時じゃなきゃ素直に甘える事も出来ない主人公に切なくなるなら、ずっとそばに付き添って、手を繋ぐなんて事をしている蒼士の行動にキュンキュンしてしまう。
そんな、片想い相手と同居と言う設定の美味しさが存分にいかされた、甘酸っぱくも切ないエピソードの数々が最高でして。
そもそも、明日真視点ではあるんですけど、明らかに蒼士は明日真に惚れてるよね?と、読者には丸分かりの所が良いのです。
だって、親友とは言え、一緒に東京へ行って共に暮らそうなんて普通誘うか?
寝ちゃったからと言って、抱っこしてベッドまで運ぶか?
それもしょっちゅう。
普通に考えれば、男友達にそんな事はしねーよ!
そこらへんに、転がしとくもんだよ!
と、そんな日々をすごす中、蒼士に恋人が出来たのではと勘違いする明日真。
もう彼を解放してあげなくてはと、独立するためのアパートを探し始めるんですね。
そんな矢先、マンションに帰宅した明日真は、知らない男性を押し倒している蒼士を見てしまって・・と言う流れ。
ここまでですが、私は切なくほろ苦いお話だなぁと言った印象だったのです。
が、ここからガラッとひっくり返ります。
いや、このオチがなんとも気の抜ける笑えるものなんですけど、何と言っても、ここで分かる蒼士の本性が素敵。
あれ、結構な執着系じゃない?と。
そして、バリバリの好青年だと思ってたのに、結構な計算高さじゃない?と。
でもそれも、愛の深さ故じゃない?
もうね、なんちゅう可愛いスレ違いを繰り広げてるのよと、怒涛の萌えで転がっちゃうんですよ。
あああ、甘酸っぱい!
そして、読んでるこっちが小っ恥ずかしい!!
と、ここまでが表題作、ここからその後の二人で「きみに言いたい秘密がある」になります。
こちらですが、初っぱなから甘~い!
もう激甘。
また、蒼士の母親が登場して二人の仲を引き裂こうと・・・と言う、明日真にとって試練の展開となります。
実は明日真の母親ですが、自分が一番可愛いと言う弱い女性だったんですよね。
明日真は虐待児と言っていいと思うんですけど。
こう、極端に自分の容姿にこだわる母親は、自身の事ばかりで、明日真に愛情を注ぐ事は無かった。
やがて、年とともに容色が衰え、みじめな最期を迎えた。
明日真の美しい容姿は母親譲りですが、自分のその外見自体が、彼にとってはトラウマに直結すると言うんですかね。
自分の容姿が誉められる度に、母親の人生と自分の未来が重なっちゃうんですよね。
そう、この母親あっての、超マイナス思考なのです。
なにも男だから、親友だからで蒼士への想いを諦めていたのでは無く、この土台があっての、自分なんかが愛されるワケないなのです。
この後半で、そんな明日真の意識が変化するんですよね。
蒼士からの大きな愛情で包まれ、幸福を目一杯噛み締める。
その事で、そんな過去のトラウマから、少しずつ解放されて行くのです。
一歩ずつ一歩ずつ、前向きに。
そして、強く。
ここがすごく素敵でしたよ。
胸がジーンと熱くなりましたよ。
ちなみに、蒼士の母親も、また強烈です。
個人的には、こっちの母親は好き。
蒼士は分かってないけど、ちゃんと愛されてると思うしね。
いやね、明日真の母親にもこれくらいの逞しさがあれば良かったのに。
まぁそんな感じで、とても甘くて可愛いお話なんですけど、同時にすごく深みのある作品だと思います。
ついでに、片思い相手と同居と言う設定の旨味が、存分に生かされた作品でもあると思います。
全くブレない月村テンプレートが最高です。
正直100回くらい読んできたパターンのシャッフルなんですよ。
「薄幸の超絶美形」「カフェ店員」「同級生幼馴染」「両片想い」「風邪の看病」「勘違いと受の自爆的暴走」…
新しさゼロ。なのに心地よさは100点満点。
これは盛り盛りの設定ではなく、キャラ同士の関係性やラブへの心理描写を大切にしているからなんですよね。
しかも脇キャラを含め、地の文も会話文も冗長過ぎず、端折り過ぎずで丁度良い。
刺激性、エンタメ性は低いのですが、ザラつきなく、とことんシンプルに萌えを誘うテクニックは地味にスゴい。
新しさなんて無くても、毎度新作発売が待ち遠しい稀有な作家さんです。
攻の好意はかなり駄々洩れなのに、「その解釈になる?」という月村受流の天然ぶりは今作も健在です。
天然美形受の暴走に焦って必死になる攻様にも毎度萌えざるを得ない。
毎度期待通りのものをご提供頂き感謝しかない。
第2幕も、攻に想いを寄せる綺麗な女の子が悪役というBLあるあるパターンで実に最高でした。
そんなコード進行なので、読み手への負荷が圧倒的に少ないのもポイント。
いつでも読める。何度でも読める。
疲れて眠くて日本語が読めなくても、この本なら読めちゃいます。
月村作品の楽しみ方は読書より音楽鑑賞に近いかもしれないですね。
このBメロからサビにかけてが最高なんだよなーって感じで
蒼士の「おまえはずっと俺と一緒に暮らすんだ」っていうセリフを眺めてます。
読んでないです。
本当にぼーっと眺めてるだけなんです。
なのにスッと萌えられる。
こういう感覚が癖になって連続再生を繰り返しちゃう月村作品は数知れず。
2時間で普通のBL作品を1本読むなら、今作を4回リピートで読みたい気分です。
シンプル&コンパクト。音楽みたいに楽で楽しいBL小説。ひととき癒されること間違いなしです。
月村先生お得意の不憫受けが主人公。
ただし性格は健気さが全面に出ているタイプではなく、意地っ張りなツンデレさんです。
ストーリーは、生い立ちゆえに悲観的で投げやりだった考え方が、攻めの存在によって変わっていくという定番もの。
ありがちなんだけど、人が前向きになっていく姿はやはり読んでいてほんわかしました。
先生が別路線にチェンジせずにこういう優しいトーンの物語を書き続けてくださっていること、本当に嬉しいなぁと思いました。
主人公・明日真(あすま)は、都内の大学に通う親友・蒼士(そうし)と、カフェでバイトをしながら同居生活をしています。
ふたりの出会いは中学時代。
明日真はその頃からずっと蒼士に恋をしています。
でもそれは決して言えない恋心なのです。
大前提として男同士だし、天涯孤独で容姿しか取り柄のない自分と、御曹司で優秀な蒼士とでは違いがありすぎるから。
想いをよせる蒼士と過ごせる毎日は、何にも代え難い幸せなものですが…
長くても蒼士が大学を卒業するまで。
あるいは、蒼士に彼女ができるまで。
いずれやってくる終わりを意識した同居生活は、切なくて苦しい日々でもありました。
ある時、いよいよ彼女ができたのではないか…と思った明日真は、蒼士のマンションから出ていく準備を進めることにします。
まずは転居先を決めるため、予定していた飲み会を急遽断って早めに帰宅すると…
なんと蒼士が知らない男を組み敷いているところだったのです。
もう、衝撃ですよ。
彼女だと思ってた電話の相手が男だったんだから!
蒼士の対象は男だった。
しかも男の見た目の雰囲気は明日真と同じ系統。
なのに、自分は選ばれなかった。
酷くショックを受け、明日真のなけなしの自尊心はずたぼろにされます。
(勘の悪いわたしもかなりビビった)
そして…この夜の出来事をきっかけに、ふたりの距離が変わっていくのでした。
表向きはツンケンしてるくせに実は健気な明日真が可愛くて、いじらしくて、もどかしかった。
いつも鍋プレートを使っている理由とか、すごく健気。
そもそも同居を持ちかけたのは蒼士の方なのだから、明日真はもっと自信を持ってもいいのに、とにかく自己評価が低すぎて上手くいきません。
自分は顔以外取り柄のない、何もできない人間だと思っているのです。
実際、働いているカフェでも明日真の容姿目当てのお客が多くて…
なので、「おまえの淹れるコーヒーは世界一おいしい」と蒼士が言うシーンは胸アツでした。
そう、そこを認めてあげて欲しかったの…!!
蒼士は本当によく明日真のことを考えてくれていて、本心を言わずにいた理由だって明日真を怖がらせないためでした。
家賃十万円の真相にもきゅん。
明日真は離れることばかり考えていたけど、蒼士はずっと一緒にいるつもりでいてくれたんだなぁ。
『きみに言いたい秘密がある』では、蒼士の母親が登場します。
明日真の母親はすでに他界しているので回想のみですが、子に対する愛情が乏しかったという点で似ていて、けど資質は正反対なふたりの母親の対比がおもしろかったです。
明日真も蒼士も、いろいろな部分で母親から強い影響を受けているので。
よりふたりの事を知れる第二部(?)でした。
「同じふるまいをすることが対等というわけではない」
というセックス中の明日真の言葉も味わい深かったです。
久しぶりに2回目読みました。
1度目のとき、明日真のキャラが口が悪くてツンデレであんまり好きじゃないと思ってたけど、2度目読んだ時は、あれ?あんまり気にならない……むしろ頑張り屋で、敵(蒼士の母)にも毅然と立ち向か羨ましい意志の強い子。自分の発言で傷付けた女の子にちゃんと謝ってて、悪い子じゃないじゃんって(笑)2度読みして冷静に評価できました。でも、蒼士のことをゴリラゴリラって言うのは、支持しないかなー。大好き人なのに、照れ隠しでもあんまり言っちゃダメです。あんなに溺愛されてるのにバチあたるよー!
中学のときから恋心を抱いている相手とルームシェアをしていて、片想いだったのが実は両思いで、しかも想い人はめちゃくちゃに自分のことを好きでいてくれて、、、って言う羨ましいお話でした。ルームシェア代を高額に取っていたのも、家を出て行きにくくするためっていうキュンな理由に、私の心臓もってかれました。実は相手の蒼士の方が気持ち重めだったという素敵な事実に胸躍りました。前半は明日真の拗れた片想い話が続いていたので、しんどかったですが、一気に回収されました♪
蒼士のお母さん登場に、2人の危機が…!なんてことはなく、明日真も蒼士も動じる事なくお母さんに対応していたので、結果逆に2人の仲は盤石になりました。ここはあまり重い感じじゃなくてサラッと読めました。
全体を通して、蒼士が明日真を好き好き〜って言うのが伝わってきました。エッチもまあまあの頻度でしてますし、明日真もツンとしてますが、蒼士に求められるのも嬉しそう^ ^
向上心のあるキャラクターは大好きです。1階が明日真のカフェ・2階が蒼士の会計事務所・3階が2人の愛の巣構想がとても素敵でした。羨ましい〜♪2人ならいつか実現させてくれると思います。
こんな夢を2人だけなじゃなくて,読者の私にも夢見させてくれた嬉しい読後感に浸っています。とても面白かったです^ ^
あまあま、ラブラブ、照れ隠しの意地っ張り、口が悪いキュートな受け、むっつり強面、溺愛の攻め、この中に好きなワードがある方は是非お読みいただきたい。
私的好きポイントは
・現状維持が目標の意味(転落しない、親友のままでいる)
・ホットプレートを買った意味
・まさかの兄貴だったくだり
・蒼士の、中学時代からの独占欲♡
・人間じゃないから、もう人語は解さないから
・今日から本音を解禁していく
お互い密かに片想いしていた同級生が、8年越しに通じ合えてひたすらラブラブするお話です
(もちろん多少の波はあります♡)
蒼士の亭主関白ぶりがめちゃくちゃツボでした^o^
明日真もずーっとずーっと大好きだったから、
もう何されてもうれしいんだよね♡