一つ屋根の下で燻る、親友との恋のメランコリー♡

きみに言えない秘密がある

kimi ni ienai himitsu ga aru

きみに言えない秘密がある
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神32
  • 萌×232
  • 萌21
  • 中立2
  • しゅみじゃない2

8

レビュー数
12
得点
353
評価数
89
平均
4 / 5
神率
36%
著者
月村奎 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
サマミヤアカザ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
価格
¥600(税抜)  
ISBN
9784199009945

あらすじ

溢れる気持ちを封印して、八年間、
ただの友達のふりを続けてきた――。
高校卒業を機に上京し、
親友の蒼士と同居している明日真。
蒼士への秘めた恋心を抱きながら、
カフェで働く日々だ。
大企業の御曹司と天涯孤独な居候――
ずっと一緒にいられるなんて思ってないけど、
蒼士の大学卒業までは、
傍にいることを許してほしい…。
ひとつ屋根の下、親友の距離を保って燻り続ける、
絶対秘密の恋♡

表題作きみに言えない秘密がある

田辺蒼士,中学生→大学生,大企業の御曹司
吉沢明日真,中学生→カフェの店員

その他の収録作品

  • きみに言いたい秘密がある
  • あとがき

レビュー投稿数12

甘くて可愛いけど、それだけじゃない!!

月村先生の新刊、めちゃくちゃ楽しみにしてました。

で、今回、幼馴染み同士の上京物語です。
最初の印象としては、結構ほろ苦いし切ないお話なんですよね。
主人公がトラウマ持ちでして、そのせいで、自分の恋心は絶対叶わないと思い込んでいる。
そのマイナス思考に引きずられる形で、なんとも切ない心地にさせられたんですけど。

が、これ、読み終えた後の感想は、180度違うから。
めちゃくちゃ甘いし可愛いお話だから!
そして、前向きで爽快なお話だから!!
いや、超王道の片想いものではあるんですけど、とにかく、すごく幸せな気持ちにさせて貰えるんですよ。
とても素敵なお話だと思う!

ちなみに、主人公の母親が、結構酷いんですよね。
現在の超ネガティブな主人公が形成されたのは、この母親の影響が大で。
そんなワケで、人によってはこの母親の存在自体が地雷かもしれません。
ご注意下さい。


内容です。
カフェ店員として働く明日真。
高校卒業と同時に上京した彼は、幼馴染みで親友である蒼士と同居しているんですね。
蒼士に長い片想いをしていて、もう少しだけ、一緒に居られる事を願いながら。
そんなある日、蒼士の行動から、彼に恋人が出来た事を疑う明日真。
いよいよ同居生活に終わりを告げ、自分から離れる事を決意しますがー・・と言うものです。

まずこちら、序盤の主人公ですが、結構嫌なヤツなんですよね。
すごくマイナス思考で、その上ヒネクレ者。
自分の本心を隠す為に、いちいち憎まれ口を叩いちゃうタイプとでも言いますか。
で、嫉妬から人に対して嫌味な見方をして、その事で自分も落ち込むみたいな。
もう、延々とマイナス思考のループですよ。
これぞ、月村先生の受けですよ!

で、そんな主人公と中学生で親友となり、やがては同居へと持ち込む攻め・蒼士。
彼は明日真から「ゴリラ」としょっちゅう軽口を叩かれる通り、大柄で無骨な外見。
に反して、面倒見が良く人懐こい性格。

と、こんな二人で同居生活。
終始、明日真視点で進みますが、二人の絶妙な距離感に、片想いの切なさー。
そんなものが、丁寧に綴られます。

いや、繰り返しになりますが、主人公はめちゃくちゃ意地っ張りなんですよ。
そんな彼がインフルエンザに罹って熱を出すエピソードがあるんですけど、普段は自分の恋心を隠す事に必死で、ドライな明日真。
それが、熱を出した事で朦朧として、ついつい「そばに居て」と本音を言ってしまうんですよね。
いや、こんな時じゃなきゃ素直に甘える事も出来ない主人公に切なくなるなら、ずっとそばに付き添って、手を繋ぐなんて事をしている蒼士の行動にキュンキュンしてしまう。
そんな、片想い相手と同居と言う設定の美味しさが存分にいかされた、甘酸っぱくも切ないエピソードの数々が最高でして。

そもそも、明日真視点ではあるんですけど、明らかに蒼士は明日真に惚れてるよね?と、読者には丸分かりの所が良いのです。
だって、親友とは言え、一緒に東京へ行って共に暮らそうなんて普通誘うか?
寝ちゃったからと言って、抱っこしてベッドまで運ぶか?
それもしょっちゅう。
普通に考えれば、男友達にそんな事はしねーよ!
そこらへんに、転がしとくもんだよ!

と、そんな日々をすごす中、蒼士に恋人が出来たのではと勘違いする明日真。
もう彼を解放してあげなくてはと、独立するためのアパートを探し始めるんですね。
そんな矢先、マンションに帰宅した明日真は、知らない男性を押し倒している蒼士を見てしまって・・と言う流れ。

ここまでですが、私は切なくほろ苦いお話だなぁと言った印象だったのです。
が、ここからガラッとひっくり返ります。

いや、このオチがなんとも気の抜ける笑えるものなんですけど、何と言っても、ここで分かる蒼士の本性が素敵。
あれ、結構な執着系じゃない?と。
そして、バリバリの好青年だと思ってたのに、結構な計算高さじゃない?と。
でもそれも、愛の深さ故じゃない?

もうね、なんちゅう可愛いスレ違いを繰り広げてるのよと、怒涛の萌えで転がっちゃうんですよ。
あああ、甘酸っぱい!
そして、読んでるこっちが小っ恥ずかしい!!

と、ここまでが表題作、ここからその後の二人で「きみに言いたい秘密がある」になります。
こちらですが、初っぱなから甘~い!
もう激甘。
また、蒼士の母親が登場して二人の仲を引き裂こうと・・・と言う、明日真にとって試練の展開となります。

実は明日真の母親ですが、自分が一番可愛いと言う弱い女性だったんですよね。
明日真は虐待児と言っていいと思うんですけど。
こう、極端に自分の容姿にこだわる母親は、自身の事ばかりで、明日真に愛情を注ぐ事は無かった。
やがて、年とともに容色が衰え、みじめな最期を迎えた。
明日真の美しい容姿は母親譲りですが、自分のその外見自体が、彼にとってはトラウマに直結すると言うんですかね。
自分の容姿が誉められる度に、母親の人生と自分の未来が重なっちゃうんですよね。
そう、この母親あっての、超マイナス思考なのです。
なにも男だから、親友だからで蒼士への想いを諦めていたのでは無く、この土台があっての、自分なんかが愛されるワケないなのです。

この後半で、そんな明日真の意識が変化するんですよね。
蒼士からの大きな愛情で包まれ、幸福を目一杯噛み締める。
その事で、そんな過去のトラウマから、少しずつ解放されて行くのです。
一歩ずつ一歩ずつ、前向きに。
そして、強く。

ここがすごく素敵でしたよ。
胸がジーンと熱くなりましたよ。

ちなみに、蒼士の母親も、また強烈です。
個人的には、こっちの母親は好き。
蒼士は分かってないけど、ちゃんと愛されてると思うしね。
いやね、明日真の母親にもこれくらいの逞しさがあれば良かったのに。

まぁそんな感じで、とても甘くて可愛いお話なんですけど、同時にすごく深みのある作品だと思います。
ついでに、片思い相手と同居と言う設定の旨味が、存分に生かされた作品でもあると思います。

13

連続再生したい

全くブレない月村テンプレートが最高です。
正直100回くらい読んできたパターンのシャッフルなんですよ。
「薄幸の超絶美形」「カフェ店員」「同級生幼馴染」「両片想い」「風邪の看病」「勘違いと受の自爆的暴走」…
新しさゼロ。なのに心地よさは100点満点。

これは盛り盛りの設定ではなく、キャラ同士の関係性やラブへの心理描写を大切にしているからなんですよね。
しかも脇キャラを含め、地の文も会話文も冗長過ぎず、端折り過ぎずで丁度良い。
刺激性、エンタメ性は低いのですが、ザラつきなく、とことんシンプルに萌えを誘うテクニックは地味にスゴい。
新しさなんて無くても、毎度新作発売が待ち遠しい稀有な作家さんです。

攻の好意はかなり駄々洩れなのに、「その解釈になる?」という月村受流の天然ぶりは今作も健在です。
天然美形受の暴走に焦って必死になる攻様にも毎度萌えざるを得ない。
毎度期待通りのものをご提供頂き感謝しかない。
第2幕も、攻に想いを寄せる綺麗な女の子が悪役というBLあるあるパターンで実に最高でした。

そんなコード進行なので、読み手への負荷が圧倒的に少ないのもポイント。
いつでも読める。何度でも読める。
疲れて眠くて日本語が読めなくても、この本なら読めちゃいます。

月村作品の楽しみ方は読書より音楽鑑賞に近いかもしれないですね。

このBメロからサビにかけてが最高なんだよなーって感じで
蒼士の「おまえはずっと俺と一緒に暮らすんだ」っていうセリフを眺めてます。
読んでないです。
本当にぼーっと眺めてるだけなんです。
なのにスッと萌えられる。
こういう感覚が癖になって連続再生を繰り返しちゃう月村作品は数知れず。
2時間で普通のBL作品を1本読むなら、今作を4回リピートで読みたい気分です。

シンプル&コンパクト。音楽みたいに楽で楽しいBL小説。ひととき癒されること間違いなしです。

10

癒し系ストーリー。

月村先生お得意の不憫受けが主人公。
ただし性格は健気さが全面に出ているタイプではなく、意地っ張りなツンデレさんです。

ストーリーは、生い立ちゆえに悲観的で投げやりだった考え方が、攻めの存在によって変わっていくという定番もの。
ありがちなんだけど、人が前向きになっていく姿はやはり読んでいてほんわかしました。

先生が別路線にチェンジせずにこういう優しいトーンの物語を書き続けてくださっていること、本当に嬉しいなぁと思いました。




主人公・明日真(あすま)は、都内の大学に通う親友・蒼士(そうし)と、カフェでバイトをしながら同居生活をしています。

ふたりの出会いは中学時代。
明日真はその頃からずっと蒼士に恋をしています。
でもそれは決して言えない恋心なのです。
大前提として男同士だし、天涯孤独で容姿しか取り柄のない自分と、御曹司で優秀な蒼士とでは違いがありすぎるから。

想いをよせる蒼士と過ごせる毎日は、何にも代え難い幸せなものですが…
長くても蒼士が大学を卒業するまで。
あるいは、蒼士に彼女ができるまで。
いずれやってくる終わりを意識した同居生活は、切なくて苦しい日々でもありました。

ある時、いよいよ彼女ができたのではないか…と思った明日真は、蒼士のマンションから出ていく準備を進めることにします。
まずは転居先を決めるため、予定していた飲み会を急遽断って早めに帰宅すると…
なんと蒼士が知らない男を組み敷いているところだったのです。

もう、衝撃ですよ。
彼女だと思ってた電話の相手が男だったんだから!

蒼士の対象は男だった。
しかも男の見た目の雰囲気は明日真と同じ系統。
なのに、自分は選ばれなかった。
酷くショックを受け、明日真のなけなしの自尊心はずたぼろにされます。
(勘の悪いわたしもかなりビビった)

そして…この夜の出来事をきっかけに、ふたりの距離が変わっていくのでした。




表向きはツンケンしてるくせに実は健気な明日真が可愛くて、いじらしくて、もどかしかった。
いつも鍋プレートを使っている理由とか、すごく健気。

そもそも同居を持ちかけたのは蒼士の方なのだから、明日真はもっと自信を持ってもいいのに、とにかく自己評価が低すぎて上手くいきません。
自分は顔以外取り柄のない、何もできない人間だと思っているのです。
実際、働いているカフェでも明日真の容姿目当てのお客が多くて…

なので、「おまえの淹れるコーヒーは世界一おいしい」と蒼士が言うシーンは胸アツでした。
そう、そこを認めてあげて欲しかったの…!!

蒼士は本当によく明日真のことを考えてくれていて、本心を言わずにいた理由だって明日真を怖がらせないためでした。
家賃十万円の真相にもきゅん。
明日真は離れることばかり考えていたけど、蒼士はずっと一緒にいるつもりでいてくれたんだなぁ。




『きみに言いたい秘密がある』では、蒼士の母親が登場します。
明日真の母親はすでに他界しているので回想のみですが、子に対する愛情が乏しかったという点で似ていて、けど資質は正反対なふたりの母親の対比がおもしろかったです。
明日真も蒼士も、いろいろな部分で母親から強い影響を受けているので。
よりふたりの事を知れる第二部(?)でした。

「同じふるまいをすることが対等というわけではない」
というセックス中の明日真の言葉も味わい深かったです。

6

隠した恋心

『片想いしている親友と一つ屋根の下』の引力~!(∩´///`∩)

あらすじがとても好きです。
片想い相手と刹那的な時間を過ごす展開が大好物なので
切なさが溢れる話を期待して購入しました。

でも切なさターンは早々に終わり
どちらかというと甘々カップルのお話だったなーと思います。
けれど個人的には甘々も大好物なので美味しく頂きましたv

さて。
始まりはあらすじ通り。
一言でまとめると両片想いのお話です。

中学時代からの付き合いで出会いや過去エピソードもあるんですが、
個人的にこういった回想に激しく萌えるタチなのでキュンキュンしました!
特に初めての手繋ぎエピソード。
え…なにこれ…甘酸っぱ~~~~!!(∩´///`∩)萌
好きです好きです。もっとください←

両片想いはミエミエだったので、
第三の男が登場した時は息がヒュッとなりました;

攻め:蒼士はムッツリ、良く言えば硬派タイプ。
(そしてのちに発覚するのはヤバイほどの執着w)
他の男を適当に見繕ってどうこうするとは思えなかったから、
若干浮気現場を目撃してしまった気分というか…(;´Д`)

受け:明日真は片想いのまま満足している子で。
蒼士が他の男と…という現場を目撃したら
黙って立ち去ってしまうか?とドキドキしたけれど、
明日真の動揺を上回る蒼士のヤバさ(執着)が強くてめっちゃ萌えました///

明日真は美人がコンプレックスでちょっと人生なげやりなところがあって、
蒼士さえいればいい、蒼士がいれば幸せ、と想いを寄せているのですね。
恋心をかくして友人として傍にいる姿はとても健気でキュンときます。
が!
自己犠牲とか泣き寝入りするTHE・健気受けとはちょっと違うかな?
良い意味で強かな部分をちゃーんと持っているのです。

後半に収録されている「きみに言いたい秘密がある」
このお話は蒼士の母親が登場し、
明日真に別れるよう半脅しをかけてくる場面があります。

あー…これは身を引くパターンか?
蒼士に告げず雲隠れしちゃうパターンか?
とハラハラしながら読んだんですが。。。

キッパリ言い放つ
明日真の対応がすごくかっこよかった!!(∩´///`∩)

冒頭は自分を否定しがちで愛され下手な自信のない子にみえたんですが
愛の力ですかね。
蒼士がいてくれるなら明日真は強くいられる。
そこだけはブレない強さが感じられてグッときました。

親友から恋人へ…というところで、
ガキっぽさが萌えに刺さったのは"俺の方が好き"合戦w
俺のが本当の好きだし、いや俺のがあーだ、いや俺はこーだ…
言い争いしてる風だけどノロケでーすーかーらーww
ロマンチックとは遠い友人の延長という感じにニヤニヤしました(∩´///`∩)

蒼士の実家の厄介さは解決はされないままですが
明日真:「一緒に考えて、一緒に大人になろう」
の一言がとても良かったです。

明日真への攻撃はこれからも続くだろうけど
2人で戦おう、2人なら強くいられる、大丈夫。と思わせてくれます。

あらすじに惹かれて購入でしたが
明日真はあらすじから察せられるただの健気受けじゃなく、
頼もしく逞しい受けに昇華したのは嬉しい誤算でしたv
これも全て愛の力…( ´艸`)♪なラブラブカップルご馳走様です♡

7

月村ブランド

安定の月村作品。
月村さんは『何も変わらない話をずっと書いている』という様なことをあとがきによく書かれますが、それはもうココマークとかモノグラムの類だと感じます。
今作も発売日から4日しか経っていないのにレビューが8件っていうのも「月村さんの本ってひとつのブランドになっちゃっただからではなかろうか」って思うんですよ。

月村ブランドの特徴は、どんなに切なくても、胸がぎゅーってなっても、必ず幸せが訪れるようになっているところ。安心して、切なくなったり、ぎゅーってさせられます。

「今回は涙がちょちょぎれるほどの切なさではないね」とかって、結構気を緩ませて読んでいたら、同時収録の『きみに言いたい秘密がある』の方で、ちょっとグッとくる部分があったんですよ。
『子は親を選べない。逆に言えば親も子を選べないから、蒼士の母親のように~』という部分から続く『でも。』の先の部分なんですけれどもね(やっぱり自分が感動した部分をまるっと書いちゃうのには抵抗があるので、匂わすだけにします)。
これ、よく言われる言葉なんですけれども。
でも、この場所にポンッと出て来たのを読んだらやたら感動しちゃったんですね。

月村さんのお話に出て来る親(特に母親)って、かなり自分勝手な人が多い様に思うんです。彼女たちの自分勝手さって、はっきり言って『子どもへの虐待』じゃないかと。
でも、この親たちってあまり『罰』を受けない。
むしろ、子どもの側(特に受けである方の子)が許しちゃうことによって、親の支配から抜け出すっていう形をとっているお話が多い様な気がするんです。今作でもこの感動した部分で「ああ、このお話もそのひとつだぁ」と思ったんですね。

で、私は『勧善懲悪』ではなく、こちらの『月村パターン』が好きなんですよ。好きって言うか「現実はこっちだろ」って激しく思うんです。「リアルではこういう決着の付け方しかないよな」って。

明日真が幸せになったから許せるんだと思うんです。
自分が自分で伴侶を選んだから幸せになったんだし。
なんかそこで「わぁぁああああああー」ってなっちゃってね。
今、振り返ってみても、どうしてそんなに激しく揺さぶられたのかが解んないんですけれども……多分、これも月村マジックのひとつなんでしょう。

6

王道だからこそ良いのです

適度な甘さの幼馴染同士のお話でした。
お話の展開的には、BL小説の王道というか、正直に言ってしまうとありがちなのです。
展開に目新しさや派手さは無いのですが、小難しくなくさらっと読めて、適度に萌えもあり、悪人すぎる人も居ない…と、1日の終わりやのんびりしたい時に読むのにちょうど良い温度の作品かも。
文章もすごく読みやすいんですよね。
月村先生作品ですが、今回は切なさは控えめかな。

受けの明日真視点で進みますが、明日真の片思いを強調しつつも、2人が想い合っているのは序盤ですぐに分かってしまう。
ど定番ですよ。でもこれが良いのです。

私は、明日真は健気受けじゃなくて乙女受けじゃないかなーなんて感じました。
中学時代からの腐れ縁の蒼士に想いを悟られないよう、彼の重荷にはならないように"ドライな友人"を演じている。
本当は大好きで仕方がないのを我慢をして、もう一緒に居られるだけで幸せを感じている恋する乙女みたいな。
ただ、このわざと素っ気なくしている意地っ張り描写がいきすぎると鬱陶しくなってしまったり、もしくは過去の境遇的に、もっと悲壮感があふれるキャラクターにもなれると思うのです。
ですが、明日真はそうではないのが良かった。
自分は母親譲りの顔だけが取り柄なんて言いつつも、なんだかんだでちゃんと自分を持っているし、はっきりとした物言いも出来るし、自分の非もきちんと認められる良い子だと思う。
それと、素っ気ない態度とは裏腹に蒼士にベッドまで運んで貰えるのが嬉しいからと寝たふりをしたり、ホットプレートを使いたがる理由がね、可愛かったんですよね。

そして、今回はお相手の蒼士が面白いキャラクターでした。
タイトルを見ると「受けの片思いね、わかるわかる」と思ってしまいがちなのですが、序盤から漂う両思いな空気に嗅ぎ慣れつつも、本当の意味がわかった時に「そっちか!」となってしまう。悔しい。
面倒見の良さそうな幼馴染の皮をベリっとひっぺがして、本音を解禁した後の姿が結構な溺愛執着攻めで好きでした。
優しいタイプの囲い攻めですね。
明日真が作る食事や淹れたコーヒーが好きだと言いながら、その後にだらしないところをあえて並べて好きだと言うシーンが良かった。

想いを伝え合ってからは甘さがパワーアップしていきますし、自分の将来や2人の関係も自分達自身で支え合いながら切り開いて歩いて行こうとする2人の姿は、なんだか読んでいてとても気持ちの良いものでした。
当て馬的に登場する女の子が引っ掻き回そうとしたり、蒼士の母親が出張ったりもしますが、芯の強い明日真がしっかりと解決してしまうのでハラハラ感はあまりありません。
スタンダードな良さを味わいたい方におすすめの作品です。
蒼士の腹違いの兄・カズマが魅力的な人物だったので、彼のお話も読みたいなあなんて。

難点があるとすれば、人名間違い。
明日真と蒼士が逆になってしまっている箇所があります。
盛り上がりそうなシーンで校正ミスがあると、一瞬ふと我にかえってなんとも言えない気分になりますね。

5

大切だからこそ言えない

今回は大企業の次男坊の大学生とルームメイトのカフェ店員のお話です。

攻様への想いを隠していた受様が彼の恋人になるまでとその続編を収録。

受様はビジネス街に居を構えるカフェで働いています。茶色かがった髪、
黒目がちの二重の目、小ぶりの鼻と口角のあがった唇という個々のパーツ
が収まったシンメトリーの顔でイケメンギャルソンとして人気です。

受様は母親譲りの顔立ちがあまり好きではありませんが、人から褒められ
るのは100%顔であり、唯一の長所なのだからと諦めてもいます。店には
受様目当ての客の他に芸能事務所のスカウトも度々訪れますが、受様は
全く興味がありません。

故郷の町を離れて、東京に出てきて2年、受様の野心は「現状維持」なの
です。というのも受様は大雁進学で一緒に上京して同居する親友との生活
を可能な限り長く続ける事こそが1番の願いだったからです。この親友が
今回の攻様です♪

受様の母親は若い頃、その美貌からグラビア等の仕事をしていましたが、
妊娠により仕事を続けられなくなり、相手の男にも逃げられて田舎に帰り
ます。母は自分の美にしか興味がない女で、受様に向けられる「母親そっ
くり」と言う言葉は受様も顔しか取り柄が無いと言われるようでかなりの
トラウマでした。

攻様は地元では有名な会社の次男坊でしたが、愛人だった母が本妻と長男
を追い出して正妻になりあがった話は有名で、成績は優秀ながらもいわゆ
るいい子の優等生ではない攻様は学校では遠巻きにされる存在でした。

中学に進学して間もなく、受様は夜の街で働く母親のことで虐めめいた
からかいを受けていたところを攻様に庇われた事がきっかけで、2人は
なんとなくつるむようになります。

受様はその出来事で攻様に恋をしていましたが、少女漫画めいた陳皮な恋
心が恥ずかしく、同性同士だし、大企業の御曹司地の立場の違いから、
ずっと親友と言う立場を貫いてきます。

高校卒業間近に母が亡くなると受様は母の死の悲しみと共に、自分も似た
ような人生を送るだろうなと漠然とした思いに囚われます。実際、母の務
め先の社長にホストクラブでの仕事に誘われますが、都内の有名私大に
推薦が決まった攻様に「一緒に東京にいかないか」と誘われて、一も二も
なく飛びつくのです。

受様は中学からの腐れ縁で気が合うから一緒にいる、ドライでちょっバカ
な友人を装いつつ、攻様との生活を楽しんでいましたが、ある日、攻様に
誘われて向かった美味しいけれど古くて汚いという大学近くのカレー屋で、
同じ学部の女子学生を紹介されてしまいます。

もしかして"彼女か!?"と内心激しく動揺した受様でしたが、攻様には他意
はないようで、またまた行ってみたいと言う彼女を誘ったようでした。
しかしせっかくのデート気分を邪魔された受様は彼女に態度が悪くなりま
すが、彼女が攻様狙いな事は間違いないようです。

しかも以前は電話でもメールでも受様の前で普通に受けていた攻様が、わ
ざわざ部屋から出て電話を受けることが多くなり、いよいよ受様が恐れて
いた同居生活の終わりが見えてきて!?

雑誌掲載作のタイトル作に続編を書き下ろしての文庫化で、親友同士の
2人の切ない両片思いを描いた恋物語になります♪

受様は貧しい母子家庭で育ち、母似の顔だけで言い寄られる事が多く、
頭もさほど良くなくて視野もとっても狭いタイプなので、攻様の行動を
額面道理にしか受け取らず、大好きな親友ポジションをキープし続けて
恋心を隠すので精一杯ですが、

読者的には攻様が上京して同居しようと誘ったのも、受様の退店時間に
合わせてカフェに立ち寄るのも、受様を他の誰にもわたさないためなの
だろう事は一目瞭然です。

なので攻様に"彼女"の影がちらついて受様がぐるぐるし始めても、すれ
違いはじめても、両片思いの鉄板よね♪ と安心してドキドキ&ワクワク
させて頂きました (^O^)/

受様がホットプレートを愛用する理由にきゅんきゅんさせられ、攻様が
受様が家賃として差し出さすお金を黙って受取っている理由に萌えさせ
られました♪

両片思いとはいえ、本人同士だけではハピエンにはいたらないので、2人
だけで問題解決するのではなく、周りの人達との関係も大事にして、2人
(主に受様)が少しづつ視野を広げて、変わっていく展開も良かったです。

ホストをしている攻様兄もちょっと気になるお人でしたが、彼の恋バナ
も期待しています。

3

ドシリアス過ぎない薄幸健気受けさんのお話

作家買い。
タイトルやあらすじから、切ないお話かなと思って読み始めました。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。







主人公はカフェで働く明日真。
彼は人の目を惹く華やかなビジュアルを持っているが、そのビジュアルがコンプレックス。理由は、そのビジュアルが母譲りだから。

一時は芸能界に身を置くほどの美貌を誇る母だったが、妊娠したことにより引退。子の父親にも逃げられ、一人で息子の明日真を育ててきた。ネグレクトこそされなかったものの、彼女の興味は自身の「美貌」のみ。加齢とともに衰えていく美しさを維持することだけに心血を注ぐ、そんな母親だった。

「美しいこと」。
それは人にとってある時は有益になるけれど、明日真にとっては枷でしかない。

そんな明日真にはひそかに想いを寄せている人物がいる。
中学の時の同級生の蒼士だ。
地元の大企業の御曹司で、母子家庭で育ってきた明日真とは真逆の環境にいる青年。

が、同じ高校に通い、そして高校卒業時にともに上京し、現在は一緒に暮らすルームメイト。

いつか蒼士に恋人ができるまで。
あるいは、蒼士が大学を卒業するまで。
期間限定でいい。それまで、一緒に過ごすことができたなら―。

そんな明日真の切ない恋心から物語はスタートします。

月村さんらしい、と言っていいでしょう。
薄幸・健気受けさんのお話です。

なのですが。
この明日真という青年が非常に豪胆なんですね。
綺麗な見た目を裏切って、性格はかなり男前。

それは秘めた恋心を蒼士に知られたくないというカモフラージュでもあり、見た目に対するコンプレックスでもある。

お金持ちの御曹司で偏差値の高い大学に通う蒼士も。
彼の家庭環境は非常に複雑です。
あまり書いてしまうと面白さ半減なので、ぜひとも読んで確認していただきたいのですが、複雑であってなお、彼の母親違いの兄・カズマといい関係を結んでいる。

それはひとえに彼の努力によるものなんですね。
人から与えられるものをそのまま懐に入れるのを良しとしない。そして人の不幸の上に成り立つ幸せも望んでいない。

自分の足で立ち、自分の努力で幸せをつかみ取りたい。

そんなナイスガイなのです。

明日真と蒼士。
二人の家庭環境はややもすると不幸になる要素が満載。
けれど彼らは自分の手で、幸せと愛情を手に入れていきます。

彼ら自身の努力はもちろん、お互いがその踏ん張りの基盤になっている。
明日真は蒼士がいたから。
蒼士は、明日真がいたから。

中学生で出会い、恋に堕ち、そこから相手に負担をかけないよう自分の恋心を育てていった二人に激しく萌えしました。

彼らに横槍を入れる人物も何人か登場しますが、基本的にドシリアスになることなく終始ほのぼのな雰囲気でストーリーが進むので、痛い展開は苦手という腐姐さまでも安心して読める作品かなと思います。

そして、今作品に登場する重要なキーパーソン。
それは蒼士の腹違いの兄のカズマ。

めっちゃカッコいいです。
ぜひとも彼メインのスピンオフを描いてほしいです。

月村さんの描く薄幸健気受けが大好物なので、非常に萌えつつ読破しましたが、薄幸すぎないのがポイント。

「薄幸すぎない」ゆえに若干の物足りなさも感じてしまい、もう一捻り欲しかったなと個人的には思うストーリーではありましたが、反対に言うとシリアスすぎず多くの腐姐さまの萌えも集める良作かと思われます。

8

なるほど

前半の途中までは正直言うとつまらなかったです。

というのも、「きみに言えない秘密がある」というタイトル、そしてあらすじから親友への思いをひた隠す切ないセンシティブ系かと判断して読みはじめたんですね。
よっしゃ、切なさどんとこい!!みたいに、めちゃくちゃ期待してたんだけど、そこまで胸が苦しくなるほどの切なさみたいなものがなくて。

そもそも両片思いというのが読んでてわかる。
どうせそのうち誤解が生じる→それをきっかけにくっつくんだろうなぁと思ってたら、まさにその通り。

わぁ……こういうの、数え切れないほど読んだ…と正直思ってしまいました。
この作品ならではの良さ、特色みたいなのが見つけられなかったんです、途中までは。

だけど「きみに言えない秘密がある」ってそっちか!みたいな。

そこが良かったです。
表には見せない攻めの囲い込み感、好き。

でも超個人的な好みからすると、もっと変態感というかドン引きしちゃうような秘密があってもいいのよ、とも思ったけど、月村先生の攻めは残念イケメン化しないですもんね。

後半の「きみに言いたい秘密がある」は前半と同じく受けの明日真視点。

攻めの蒼士に恋する当て馬女子が、腹いせに二人の関係を蒼士母にバラしたせいで、蒼士母が明日真に別れを迫って……という内容。

蒼士母は元は愛人だったんだけど、妻を追い出して正妻にのし上がった女で、ものすごい野心家なんです。
息子を使える手駒の一つくらいにしか思っていないというかなりアクの強い人物なんだけど、予想以上にアッサリ退散してしまい拍子抜け‥‥。
あんな程度で引き下がるようなタマじゃないと思うんだけどな。。。
(でも焦点はそこじゃないので仕方ないか。)

明日真は、ずば抜けた己の美貌にしか興味を持たなかった母親に育てられたせいでどこか厭世的というか、他人はもちろん自分の人生ですらどうでも良かった子なんですね。

それが蒼士と恋人同士になったことをきっかけに、今までの自分を省みて、変わろうとする。
あの強烈な蒼士母にもきちんと対峙するし、卑怯なことをする当て馬の女の子に対しても、公正に接してきちんと良い面を見出す。

そういう受けの姿が良かったです。
そして大真面目に「二人の愛の巣」とか言っちゃう攻めも、良い。


攻め母に受け母、そして当て馬女子となかなかキャラ立ってる女性が三人登場します。
でも攻め母も退散するし、当て馬女子とも最後仲直りしてて読後感は悪くないので、女性が登場するのはとにかく地雷という人でないかぎり、読めるんじゃないかなと思います。

攻め視点好きとしては、おまけSSでもなんでもいいので、涼しい顔して虎視眈々と狙ってる脳内を垣間見せてもらえる攻め視点がほしかったです。


ーー
キャラ文庫は今まで電子のほうが遅かったのに、この作品は電子のほうが紙よりも1日早く発売されているんですね。
コロナの影響?

6

蕁麻疹でるらしい

先生買い。いつも通り騙されたのですが、せつないパートを短く感じ、騙された感がMAXまで至らなかったので萌にしました。雑誌掲載分120P弱+その続き110P超+あとがき。資産家の息子(大学生)とカフェ店員(中学からの親友)の長期戦囲い込み話です。読後感はふわふわ幸せで、いつもながら嬉しい。

ビジネス街のカフェで店員をしている明日真(あすま)。超美人だった母の血か、男性でもくらっとする美貌の持ち主で、中学時代からの友人である蒼士が東京の大学に行くのを機に、上京、一緒に暮らしています。明日真は中学時代から蒼士に恋をしていて、その恋心がバレないように一生懸命、バカで能天気なフリをし・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
堀井(受け勤務先のカフェオーナー)、久我(♀、攻め大学知り合い)、カズマ(デリバリーホスト)、カフェの同僚、攻め母親(パワフル)ぐらい。

**攻め受けについて

攻めは強面不器用だと思っていたら、後半思いが通じてからは受けをげろ甘に甘やかし、ベッドの中ではいじめっ子傾向の出る方に変貌。あんまりにも甘やかすから受けが「蕁麻疹出る」と言ってまして爆笑。

受けは顔しかないとやや投げやりな人生をおくりそうな方でしたが、無事思いが通じた後は、照れるあまりにつっけんどんな物言いをしつつ可愛い、そんな方に思いました。最後、久我さんとひと悶着ある時も、ちょっと大人になったように感じられて、良かったあ!です。

せつない方向での盛り上がりがちょっと少なかったかなと思いますが、安定した月村先生路線だと思いました。

5

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