茶鬼さんのレビュー一覧

孕み猫 小説

西条公威  小菅久実 

隷属と支配

同じ作者による『現のヤマイ』にも表現されていたことですが、この一冊は”支配”と”隷属”がよりわかりやすく、さらに具現化して表現されているように思えます。
それぞれの本の後書きに、作者が過去隷属を強いられた立場であったことが綴られ、その恨み(なのだろうか?)が隷属の立場からではなく、支配する立場の表現でどうやって隷属させられていったかをまざまざと見せつけることに成功しています。
単なるハードコア…

8

本命未満 小説

榊花月  ルコ 

本当に本命未満ですが、恋人未満でもあります

この物語の主人公にはきちんとした、愛だの恋だのという感情や言葉は一切ありません。
むしろ、主人公達の周りの人間達のほうが真剣に悩んだり一喜一憂したりしている(おっさんなのにw)
登場人物は、主人公・藍と、一応今のところその恋人といえるバーのオーナー・吉成、藍にちょっかいを出すギタリスト・真木、吉成の友人達3名の計6人がメインです。
皆が吉成のバーに集まってああだこうだとやり取りするシーンがメ…

2

現のヤマイ 小説

西条公威  烏山千歳 

怖い!怖い!怖い!

一冊の中におさめられている全ての話が怖いホラーです(霊とかではなく)
以前、木原作品に心のホラーの表現が云々、、と書いたことがありますが、あちらはそれでも救われるのですが、こちらには救いがありません。
暗闇へまっさかさまに堕ちて行きます。
それが、まだ未成年の少年達の姿で表現されるのだから怖いのです!
出版元は今はない会社ですが、今なら作品として出なかったであろう作品が96年にこうして世に…

7

秘書喫茶 -ビジネスタイム- 小説

火崎勇  いさき李果 

秘書喫茶の値段に驚愕!

本当に秘書喫茶というのがあったら、何だかちょっと風俗かと思っちゃいますよねww
それだけ「秘書」って執事と違って言葉自体がちょっと淫猥な響きを持ち(AVの影響?)、社長の奥さんみたいな存在でもあるのですが。
ここに出てくる秘書は、とんでもなく優秀です!
あなたが社長になったほうがいいんじゃないですか?っていうくらいに優秀でした。
そんな出張秘書を雇うには特別会員になって契約料金が何と一千万…

2

太陽の下、風に吹かれ 小説

西条公威  初田しうこ 

孤独の観念的世界

日常の情景を一部分切り取って、そこに孤独を見る描写がこの本の作品全般に渡ってとられている。
果てしなく観念的な手法は、一時の幻想小説の流れに近い作りであり、読み手を選ぶ一冊になっている。
そこには、切なさとか淋しさとか、寂寥を生む感情は存在しなくて、ただ、登場人物の感情に映るデフォルトされた風景が印象的に孤独を語るのです。

表題
家出をしてから放浪し、人種の違う国にやってきたジーンは現…

1

極道はスーツに二度愛される 小説

中原一也  小山田あみ 

綿棒職人からグレードアップして尿道職人w

ヤクザの若頭・芹澤と、テーラーの榎田のシリーズも、もう6作目。
すでに二人の愛は揺るぎないものになっているし、榎田は腹くくって、芹澤に付いてくって決めているし、さて、次はどんな試練で二人を試すんだろう?とワクワクした作品。
題名の通り、榎田を白紙に戻して、もう一度芹澤を愛させる展開となりました。

記憶喪失モノですね♪
設定としてはベタな王道でありますが、榎田の覚悟が本物だということが解…

6

スウィーパーはときどき笑う 交渉人シリーズEX. 小説

榎田尤利  奈良千春 

おっきいのとちっちゃいのに思わず胸がキュゥンv

交渉人シリーズのとっても気になる凸凹・・いや、トモに蹴りが入れられる!?
身体は大きいのに小さくて可愛いモノが大好きなキヨと、身体は小さいのに頭がキレてそこそこ強くて「小さい・可愛い」が禁句の狂犬チワワ(いや、私が言ったんじゃなくて、チンピラですから)もとい、超ツンデレ強気の智紀。
彼等がどうやってくっついていくのか、智紀のハンパない強気があるからキヨはどうやって許してもらえるのか。
キヨは…

2

甘えてください 小説

火崎勇  小路龍流 

やっぱりお祓いしたほうがいいと思うよw

いつもの淡々した文章と展開なのに、何故か面白い♪
クールで美人のはずの受けちゃんが、意外にも!なそのギャップがあるのと、トラブルを招きやすいその体質(家系?)、そして面倒見のよいポジティブで男前な攻め様との組み合わせ。
コメディをこんなに淡々と展開されちゃうと、火崎さんも人が悪いな~と苦笑モノですww
ま、そこがこの作家さんのいいところでもあるんでしょうね。

デキる営業マンの鳥海は男も…

3

夜へと急ぐ二人 小説

水原とほる  葛西リカコ 

意外にあっさり風味

水原作品といえば執着攻めとか耐える受けのイメージだったのが、最近すごく変わってきましたよね。
ポジティブな感じで、割と困難な設定があるにも関わらずうまくきれいにまとまるというか。
あとがきを読んで納得しました。
何でも「純愛」がキーワードだとか。
これが純愛かと言われるとどうなのかな?と思いますが、受けも攻めも色んな過去を背負いながらも真っ直ぐに明るい道を生きている。
そして、真っ向から…

6

俺様彼氏 -平リーマンの逆襲- 小説

日向唯稀  竹中せい 

ポジティブ受けは俺様にもへこたれない

日向さんのよいところは、受けちゃんが滅茶ポジティブな人が多いところだ。
えてして時にそれはどんなにエチなシーンがあっても、全然エロくないという摩訶不思議な現象を引き出す!
受けちゃんが攻め様に翻弄されながらも、現実的なつっこみを入れたり、事の後迎えた翌朝も、くよくよしないで、すっきりさわやかに気持ちを切り替えちゃったりするからなんで。
攻め様が、どんなに「お前のエロい顔はそそるな」とか「そん…

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