茶鬼さんのレビュー一覧

裸のマタドール 小説

華藤えれな  葛西リカコ 

命の闘牛

華藤さんのマタドールシリーズ。
生と死に立ち向かう闘牛という世界に身を置く男たちの抱える愛の形とその世界。
また今回も、その世界にどっぷりとつかりました。
時間軸が同じなので『神に弄ばれた恋』『愛のマタドール』の主人公達や登場人物がリンクしますが、まったく単発でもOKになっています。
この本には作者さんの好きと萌えが詰まっていて、大げさな表現かもしれないのですが自分がその世界にいるような作…

19

罪深き誓約―Rough Trade〈2〉 小説

暁由宇 

根底には「愛」

割とゲイっぽい展開で進んだ第1巻でしたが、完結になるこの2巻はBLらしい着地をしたんじゃないかと思いました。
真正のMの望むSの姿。
自分の持つ嗜虐性を恐れるS。
微妙にその気持ちにすれ違いを持ちながら一途にSを信頼するMの姿があればこそ、Mを好きだから彼に合わせるのではなくて自分は一体どうしたいのか、どうなりたいのか考える。
それは前の巻からずっと彼が悩んでいることではあったので、また堂…

1

快楽の支配者-Rough Trade 小説

暁由宇  九条えみり 

SMの真理と心理

非常に興味深いお話です。
「MがSを調教する話」と書いてしまうとあまりに簡潔すぎて、そこには人間心理とSMの真理があるような気がします。
榎田さんの作品に「優しいSの育て方」という本がありましたが、それよりハードですしそれと比べてもこちらの方がリアルをまとっていると思われます。
思わず主人公と一緒になって考えてしまったよ。
話として特殊ではありますが、とても良い本だ!

恋人と別れてふ…

3

男と同棲 小説

鈴木あみ  香林セージ 

キスは2回目

ゲイの為の街”エンゲイジタウン”を舞台にしたお話。
前作『男の結婚』のスピンではありますが単独でOK。
主人公は前作の攻め=御代田の高校時代の同級生となります。
そして、その『男の結婚』の番外編が収録です。

高校時代、賭けで始まったセフレの関係が10年続いているデイトレーダーをしている涼爾と医師の郁。
エンゲイジヒルズにある病院へ誘われている郁がそれならそこに住むのもありかとそこのパ…

5

恋の使者はかぐや皇子さま 小説

chi-co  森原八鹿 

竹から出てきた皇子さま

いやー!かぐや姫が男子になると、そして現代に来るとこうなのか(爆笑)
なかなかに面白かったのですが、ラブはどうなるんだろう?
心配になりましたがどうやらめでたしめでたしで幕を閉じたようです。

七夕の行事の為に竹林に竹を取りに行った保育士の竹内が光る竹を見つけて切ってみると中から出てきたのは15㎝ほどの水干をまとった男子が!?
かぐや姫の弟で翁を心配している姉の為にその消息を知る為に月の…

5

御曹司の婿取り 小説

高岡ミズミ  壱也 

互いがお婿さんデス

この公式のあらすじを見て想像するお話と実際読むお話はきっとギャップがあると思います。
実際読んでみて、この煽るようなラストの一文「~ラブホテルで育む、禁断で禁忌の愛」間違ってはないけど、ちょっと~です。
お話としては、バブルの頃にラブホテル事業などで成功した成り金金持ちの家の目的もなくただ遊び呆けているような大学生の息子が、姉に優秀な婚約者が出来た事で自分の立場を危惧してポーズで父の仕事でバイ…

2

碧の王子 Prince of Silva 小説

岩本薫  蓮川愛 

波瀾はこれから

まさに「ザ・ものがたり」の始まりです。
南米アマゾンで育った少年が主人公。舞台も南米の小国という設定。
褐色肌かと思ったら、日本×ヨーロッパ系の混血ですし、相手も日系でヨーロッパ系混じりということで、アマゾンの描写以外は貧富の差があるとはいえ今のところセレブな生活が中心で人も風景も外国っていうだけで余り南米の匂いがしないのがちょっと残念かな?

南米の小国エストラニオで大統領とは違うが強大…

10

花嫁と神々の宴 狗神の花嫁 (2) 小説

樋口美沙緒  高星麻子 

おおいなるすれ違い

前作『狗神の花嫁』に思わず神評価をしていた自分。
だけど、この話は何だかうう~ん?と首をひねってしまった。
堂々巡りで平行線が解消されないあれこれ。
相手を思いやってるはずのその気持ちが、ネガティブ思考の元での自分勝手な押しつけになっているための平行線。
最後に歩み寄ることができるのだが、そこには最初と何か変わったものはあるのか?
あれ?自分の読みが足りないのか。
思わず何度も繰り返し…

11

息もとまるほど 小説

杉原理生  三池ろむこ 

家族

自分の好きな「スローリズム」とか「恋の記憶」とかその辺りをほうふつさせる、派手さはないがじっくりと進む物語。
激しい萌えはないもののこのテンポと紡がれる気持ち。
何よりも主人公達の障害となる背景が実に身近で突飛でない、家族や幼馴染やそういう人間関係が過去の積み重ねもあいまって
誠実に向き合う現実として表わされるのがとても良いのです。

両親を亡くし引き取られ実の子供のように育てられた透。…

7

俺の上司がベッドの中で 小説

栗城偲  南月ゆう 

バカ坊のスキルアップ

可もなく不可もなく、特別カワイイでもないけれど、これを言っちゃぁおしまいだけど、「ルビー文庫基準」でいい話。
主人公については思ったよりイイのだが、攻めに関する事については幾分~かなり、もうちょっと、と思う足りない部分があって、この活字の大きさとこの本の厚さでとどめるには仕方なかったのか、とそれが残念な部分ではある。
かといって、きっと詳しい説明が入ったからといって納得するだけで、物語的にどう…

4
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