茶鬼さんのレビュー一覧

おうちのひみつ 小説

渡海奈穂  六路黒 

歪んだ共依存の兄弟愛?とは言いきれなかった

98年の「おうちバイバイ」を改題して出された作品。
あとがきで作者さんも書かれていますが、かなり現在基準でいうと痛い設定展開となっており、読んでいても驚愕でした。

最初は別に仲間はずれにされているわけではなくて、本が好きで好んで誰とも慣れ合わない塚本が、話していても気が楽な同級生の女子・沙織が文化祭の委員をやっていることから、クラスでも人に囲まれてにぎやかな真実と、いつの間にか仲のよい3人…

8

くろねこ屋歳時記 弐の巻 小説

椹野道流  夏目くも(くも) 

幸せがいっぱい

アンティーク雑貨と喫茶のお店『くろねこ屋』
四季を通してのそこの人々の様子を描いた本作は、とんでもない出来事があるわけではないけれど、日々すぎていく日常のあれこれだけで充分に幸せが伝わってくる。
今回も、彼等の気持ちににんまりしてしまった。

一番目をひいたのは、厨房担当のアマリネと副店長のシロタエ。
店長のヒイラギがずっと学生の頃から好きだったのに、まるで顔を合わせればケンケっぽい仲の…

5

人魚の誘惑 小説

剛しいら  麻生海 

3人がそれぞれ主役なのかも?

今注目されている海底資源調査を舞台にした、3人の男が絡む物語。
劇的に何かすごい事が、とか滅茶クライマックスがという突出したものはなく、非常に沸点の低い物語なのだが、読み返すほどに何だか味わい深い物語だな~と思う作品でした。
地質調査の大島という男を中心にして、ワケアリの男達二人が絡み、
柱としては大島という人間が変化するという、それに他の二人も相互作用で変わっていくという、成長物語の要素が…

4

The Bride 小説

Nurcissus  咎井淳 

すべてが奥深い!

GUILT|PURESUREの小説同人誌。
これも、新聞の記事やニュースで扱うととてもミステリアスな猟奇殺人として報道されるであろう、その背景を歪んだ暗い家族に置き、一人の青年が生贄(花嫁)として捧げられるお話です。
とても痛くて暗い。ぞっとするほどのホラーです。
直接的な性行為のシーンはありませんが、もう背景だけで充分に想像でき痛さが伝わってきます。
「ITW」の世界と同じものがあります…

2

階段を下りたラプンツェル 小説

火崎勇  ハコモチ 

箱入り息子くん

作中で主人公も自分の事をラプンツェルと比喩するように、正真正銘の箱入り息子くんでした。
彼はとてもマイペースののんびりした人。感情の起伏もあまりなさそう。
天然というとそうでもあるのだけど愚鈍ではない。
両親が別れて父親と家政婦さん夫婦と大きな屋敷で育ったという素地があり、作中でわかることですが父親が厳しいがとても過保護だということ。
きっとゆっくりだけどやらせればできるのに、この子はのん…

1

ドSの帝王 小説

ななおあきら  北沢きょう 

全ては誤解から♪

この本のタイトル、よくあるんですがフォントからしてもカバーイラストからしてもコメディ系なのかと期待。
何と言っても、このカバーイラストの背景、作中に出てくるいやらしい言葉(?)が実は羅列してあるのですよ♪
思わずまじまじと見てしまうw
それに北沢きょうさんのイラストといえばキラキラ主人公なんですが、今回ショタっぽい子が!?
これもちょっと珍しいのかな?と手に取る決定打になりました。

2

本気で横恋慕 小説

初津輪  桜城やや 

恋人には奨励できない友人

前作よりはちょっと縮まった35歳と22歳の歳の差モノ。
作家の雄士と編集担当の横河は、仕事の付き合いもあるが親友でもある。
その雄士は妻帯者で妻もあるのだが、甥っ子でしかも愛人だという克巳を居候させた!?
横河がゲイで或る事を隠すように、克巳には横河には彼女がいると言った雄士。
雄士の愛人だとわかっているのに、横河は克巳に惹かれていき、
克巳も横河の事を知りたがり、しまいには雄士に反抗し…

4

初恋スイーツ 小説

成瀬かの  森原八鹿 

かわいくて、甘くてふわふわで、ちょっと笑い

成瀬さんのとってもかわいらしいお話でした。
主人公はとっても小さくてかわいらしくて、今どきスレてないフワフワしたイメージの純真な男の子。
本来なら、こういう男子の設定が登場すると反射的に回れ右してしまうくらい苦手意識のあるキャラなんですが、ストーリー展開にどこか抜け感があり、”そっちかよー!?”と思わず突っ込みたくなるネタがしかけてあったりと、笑わせる要素もあり一息に読めて、しかも楽しめちゃい…

9

陽炎の国と竜の剣 小説

佐倉朱里  子刻 

おとぎの物語として

砂漠の国の「竜憑き」をテーマにしたファンタジー。
この作家さんの誠実な文章が好きです。
表題、【陽炎の国と虹をまとう星】【はじまりの旅】という3部構成になっています。
初出が03年といいますから随分前の作品がやっと書籍化という感じですが、
それは文章にもあらわれていました。

表題は、旅の剣士が食客として身を寄せている家の当主に頼まれ訪れたミラーン王国で、その国と王の危機を救うお話。

4

ブライト・プリズン 学園の美しき生け贄 小説

犬飼のの   

すでに次が楽しみデス

出ましたー♪ののさんと彩さんの黄金タッグv(と勝手に…)
龍神を祀る教団の閉ざされた学園を舞台に、美麗な登場人物達の思惑が絡み合って展開していくこのお話。
シリーズとして続編が出る続きとなる導入の1巻に当たりますが、冒頭に登場人物の紹介が!
これがあるおかげでか、作品を読んでいく中でこの主人公達が頭の中で動きます。
閉ざされた教団と学園と数々の秘密や決まり事などが沢山存在するために、それを…

8
PAGE TOP