葡萄瓜さんのレビュー一覧

時の羅針盤 コミック

CJ Michalski 

拘束する従者

受と攻の恋愛感情は限りなく普通です。
問題は受に執着する二人の男です。

一人は拘束と所有欲に塗れ、
そしてもう一人は従属と崇拝が嵩じて
所有欲に溺れかける。

後者はやがて多少浄化された様では
ありますが、評者は彼に共感する事は
出来ません。
彼が愛を捧げているのは彼が心の中で
磨き上げた虚像に対してでしょうから。

0
二次創作

小枕知寄 同人作家コレクション15 コミック

小枕知寄 

くすぐり多数

話の落しどころをギャグにする、と言うのは割に良くある話。
ですがそのギャグが原典の中に存在してそうでなおかつ
見過ごされがちなネタである、と言うのは結構珍しいかと。
それをさらりと掬い取ってクスリ笑いに変換されています。

シリアスな作品の切なさも、良い感じですね。

1

Gad Sfortunato コミック

basso 

安葉巻の薫り

bassoさんの新刊は、自家薬籠中のイタリア舞台作品です。
刺青師のガッドを巡り様々な男たちが鞘当と人生模様を
繰返す物語ですが、ガッドはどちらかと言えば主役よりは
狂言回しに近い役割なのかも知れません。
立ち位置は充分に主役なのですが彼は自身の事を強く
主張しない。周囲の男たちが彼について語る事で物語が
補完されてゆく。

ガッドの存在は、安葉巻の煙に似ているのやも知れません。

5

リアル1/2 コミック

明治カナ子 

反動の淫猥

潔癖症の余りに夢遊状態になると淫猥になってしまう弟と
その欲を鎮める兄。
そして、兄弟の欲を鎮めるという名目で二人の体を貪る男。
下手に描いたならそれこそ陰惨さしか漂わない物語ですが、
兄弟それぞれの葛藤を描き足した事によって、物語に別の
色合いが加わり深みが増しています。

エロくて可愛くて、そして清潔で少し痛いです。

1

うつしみの手 リアル1/2 コミック

明治カナ子 

代償行為

ボーイズラブに於ける性行為とは、こんなに
痛々しいものだっただろうか、とふと思って
しまう一冊です。シリーズ前半を納める
『リアル1/2』と併せ読むと更にそう思えて
くるでしょう。

代償行為としての性行為が展開される中、
得るべきものをきちんと得た人もいれば得る
事の出来た筈のものを逃がしてしまった人も
います。その機運の善し悪しを渦中にいる
その時にではなく、過ぎ去ってから…

3

Cat&Dogs! コミック

葛井美鳥 

陰の主役

実はこの物語、陰の主役である柏木(書影参考:白服の美人)が
存在しないと全然進行しません。
柏木がいる事で受と攻の想いが通じる訳ですし、また柏木が
そこから一歩踏み出さないともう一つの物語…『Cat&Dog』など
…が展開しないのです。
そうして捉え直してみると、この物語世界は一人の猫に三匹の犬が
翻弄される物語なのだとも言えます。猫もそれなりに波に揉まれて
いますけど。

0

天気予報ノ恋人 コミック

街子マドカ 

お約束が自然

当たり障りのないコメディかと思って読み進めてみれば
実に歯応えも胃応えも濃厚な一冊。かと言って重苦しい
一方ではなくきちんと息抜きの笑いも挟み、メリハリの
ついた展開で飽きさせる事が一切ない作品です。

暑気払いに良さそうな一冊と評者は観ますが、如何でしょう?

2

スノーライン コミック

禾田みちる 

絵柄と内容の攻防

煌びやかな絵柄なのに受はゾンビで攻は雪男…
読む前に挫折してしまいそうな道具立てです。
しかもそこに三角関係の相手として刑事まで
絡んできて…。

読む前なら、この情報だけで際物と思って避けてる
でしょうね、確実に。
ところが読んでみるとこれらの道具立てが実に
良く活かされてラブコメが成立しているのです。
版元の梗概では『スパイシーLOVE』となっていますが
どちらかと言えばか…

1

擒縛の檻(1) コミック

仲村留海 

手放さないと言う選択

そこにいるのは二人の不器用な男。

惹かれた相手を手放したく無い為に飼い慣らすと
言う選択をした男と、飼われ弄ばれる中で自らの
欲の源泉に気づき、それでも飼われ続けると言う
選択をした男。

檻に繋がれているのは、さてどちらやら。

4

無敵のプリンセス コミック

天堂まひる 

天然最強

一口に申しますと、凛々しかった攻が受に振り回されて
行く内にヘタレになってしまうと言う話です。
救いなのは相思相愛の為甘い空気が作中に充満して
いると言う点でしょうか。

受の天然加減が絵に描いた様に見事なのも救いの一つ
ですね。これでもし計算の素振りが欠片でもにじんで
いたとしたら、物語のトーンはどこか陰鬱なものになった
でしょうから。

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