未練たらしい男たちの意地っ張りな駆け引き、カラダから始まる素直じゃない恋など、男と煙草のロマンス。

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表題作スモーキンライフ

愛煙家の作家
タバコ(ホープ)

同時収録作品我慢できない

興信所所長 鬼嶋
腐れ縁で部下 火野

同時収録作品天国に一番近い

恋人のSE 智郎
作家 イチ

同時収録作品煙草2本分のキス

会社員 斎藤
同じビルの会社員 一色

同時収録作品Smokin' POP

舞泉(マイルドセブン)
七星(セブンスター)

同時収録作品Smokin'COOL

アメリカから来たクール(KOOL)
沖縄の宇留間

その他の収録作品

  • カバー下(煙草のみなさん、タスポ君、マイセン)

あらすじ

それは甘くて苦い、どうしようもない欲求ー

煙草も、男とのセックスも、俺に教えたのはアイツ――。興信所に勤める火野と鬼嶋。くされ縁の二人は、実は付き合っていたこともある。けれど、ゲイを公言している鬼嶋と違い、火野は男同士の関係を認めがたく、一方的に別れを告げて結婚した。そして現在――バツイチ。そんな火野に鬼嶋は懲りずに誘いをかけてくるが…? 意地と未練のシーソーゲーム。
擬人化シリーズも収録した、煙草にまつわる恋愛集。

我慢できない/天国に一番近い/煙草2本分のキス/Smokin'POP/Smokin'COOL/スモーキンライフ

作品情報

作品名
スモーキンライフ
著者
タクミユウ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
海王社
レーベル
GUSH COMICS
発売日
ISBN
9784796404662
3.2

(21)

(2)

萌々

(9)

(6)

中立

(1)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
12
得点
65
評価数
21
平均
3.2 / 5
神率
9.5%

レビュー投稿数12

それは彼を思い出させる象徴として

最近禁煙、分煙、嫌煙などで喫煙愛好者には肩身の狭い時代ですが、そんな中堂々の1冊まるごと「タバコ」をテーマにした作品。
前半はオムニバス的な人間の、そして後半は擬人化の。
人気作品で井上佐藤さんの『SMOKER』がありましたが、あれとはまた違ったテイストで、こちらは相手を象徴するものとして描かれているような感じがあり、タバコに関するこだわりが大きいように思われます。
自分としては、この「象徴」として組み込まれるモノであったり匂いであったり、それって香水の香りと同じで、脳を刺激して深く刻み込ませる為のアイテムとして、ある意味男臭い一つのモノではないかな~とか、思っちゃいます。
古くは「~♪タバコの匂いのシャツに~そっと~寄り添うから~」のあの乙女な歌でも物語っていると思いませんか(笑)

【我慢できない】
大学時代からの腐れ縁の二人。
一度、火野の結婚があったもののその腐れ縁は続き、今では鬼嶋は興信所の所長として、火野は所員として一緒に働いている。
火野が禁煙したと言っても、いつもタバコを常備して匂いだけ嗅いでいるその訳。
いつも「今夜飲みに行かないか、朝まで」と誘う鬼嶋のその言葉にこめられた意味は?
何があっても忘れられない二人が、とうとう寄りを戻すまでの話として、火野の持つ匂いだけ嗅ぐタバコというのは、鬼嶋の象徴となっている。
鬼嶋が火野に教えたもの。。。男とタバコ
甘くて苦いあとをひく・・・男とタバコ
二人の仲は興信所のメンバーも公認(一人失恋w)
なんだかんだと火野がツンデレて、でも強引な押しもありながら火野の体調を気遣う(周囲にバレバレw)鬼嶋の姿もあり、結構後半はラブバカップル話になっているのです。

【天国に一番近い】
同居している恋人同士。
ベタベタしないのがいいとイチは言われているが、恋人の智郎は仕事で忙しく2週間も帰ってこない日もあったりして本当は寂しい。
ヘビースモーカーの彼の吸っているタバコはラッキーストライク=天国に一番近いという意味のタバコ
そんなアイテムに嫉妬するイチという姿。

【煙草2本分のキス】
テナントビルの展望喫煙室で一緒になる違う会社の社員同士の斎藤と一色。
彼等は関係がある。
だけどある晩、一色から突然切り出された別れに釈然としない斎藤。
二人が付き合うきっかけは一色が斎藤に声をかけた事に始まるのだが、それはどうしてか。
本当は喫煙者でないのに、斎藤が気になったから無理して吸っていたという健気でヘタレな気持ちが解った時、斎藤は受け身から攻めに転じる(笑)
いえ、リバの受けが攻めじゃないですよ!態度ですからねw

【Smokin' Pop】
煙草擬人化で、舞泉(マイルドセブン)×七星(セブンスター)
古株の煙草達に軽い軽いとその人気をやっかまれる舞泉だが最近どうも不機嫌。
七星に認められたいと躍起になっていた気持ちが空回りして七星に八つ当たりして襲っちゃう!傲慢ツンデレな舞泉と、一見のんびりそうな七星だが火がつくと結構激しそうだw

【Smorkin' Cool】
こちらも擬人化
アメリカのKOOLが沖縄の地元たばこの「ひるま」に恋をした♪
同じく沖縄の「Violet」と「ハイトーン」も友人で登場。
地方色豊かに、ひるまは意味が”珊瑚の海”タツノオトシゴがパッケージキャラだけに海好きな純朴青年設定。
沖縄言葉が新鮮です☆
こちらにもタバコのネーミングの意味が込められていてかわいらしいお話でした。

表題になる【スモーキンライフ】
作家と彼の愛飲する煙草<ホープ>の物語。
仕事の合間の休憩も、妻と別れた時も、どんな時も彼を慰め安らぎを与えるのはホープだけ。
病によって止められても、彼はホープを愛し続ける。
愛煙家の姿も擬人化を通すと、愛しい恋人になる。
ここに、健康に害があるとか現実を持ちこんで非難するのは野暮なんだろう。

いつものごとく大人な雰囲気で見せながら、とても居心地の良い空間を作ってくれるその作風が素敵です。

6

ねぇ、なんなの? この色気…

カッコイイ男達が、次から次へと登場してます。
各短編にスパイスの効いた思考が凝らしてあり、読みやすかったです。
どの話からも匂い立つようなオトナの、色気駄々漏れフェロモンシャワーを存分に浴びる事が出来ました。
あー、私、生き返るわ~。
乾燥しまくりの砂漠のような私の心に、たっぷりとオアシスのような心の潤いをこの本の男達に与えてもらいましたよ。
タバコの匂いが漂う空間、くすぐられるセリフの数々。
好きだと言えない男達の哀愁がたまらない。

タバコの擬人化が、すごくエロッ。 
タバコを吸うしぐさが、タバコとキスしてる事になり←この発想の転換素晴らしいです。
ものすごくエッチ!
表題の【スモーキンライフ】は、最後の話に描かれてありました。

ENDのセリフ《皮肉》が効いてて、シビレマシタ。良かった~。

5

煙草銘柄の擬人化を含めた短編集

タバコにまつわるエトセトラ作品です。
『我慢できない』と『Smorkin’COOL』と『スモーキンライフ』がお気に入りです。

『我慢できない』
火野は世間体を気にするタイプで、男(鬼嶋)とは遊びで、そして結婚はする、という人間でした。
ところが、鬼嶋を傷つけてまで結婚したのに離婚してしまいます。そして会社もやめることに。
世間体を気にした割には失ったものの方が多かった火野です。
しかし鬼嶋の変わらぬ重い愛情がずっとそこにあったから、火野は鬼嶋のところに戻って来れた。
鬼嶋の粘り勝ちかな?鬼嶋みたいに重い人、私は全然好きなんですが。
火野は世間体を気にして失ったものはたくさんあったでしょうけれど、
一途に火野を愛し続けた鬼嶋は火野を手に入れられた。
そこが対照的に描かれていて、二人の考え方の違いがその後の人生の違いに反映されている部分が描いてあるのが良かったです。
一途に愛することで失うものは何もないのだと思います。

『smorkin'COOL』擬人化ものです。
アメリカのタバコ・KOOL×沖縄のタバコ・ひるまのお話です。
このお話は、私の中では擬人化萌えより完全に方言萌えのほうが優った!!(笑)
沖縄の人の言葉大好きなんですよね~。
沖縄の気候通り、あったかい和むイントネーションで、ドつぼです。
頭の中で音声が回せる人はより楽しめると思います。

『スモーキンライフ』擬人化ものです。
作家×作家さんが愛飲(愛煙)しているホープのお話。
愛妾めいたホープさんがなんとも切ないです。
死んでもいい。煙草を吸い続けるぞ。そういう人、愛煙家の方によくいらっしゃいますが、この作家先生もそういうタイプの方のようです。
愛してやまないものと心中なんて作家さんらしくてときめく。

全体的に大人の空気が漂う作品集でした。
タバコ苦手なんですが、祖母が昔タバコ屋をやっていたこともあって、
タバコの銘柄は結構知っているので擬人化も楽しめました。

5

大人の味わい

タバコにまつわるエトセトラ、井上佐藤さんの「SMOKER」がいい意味で
どこか泥臭さを感じさせるような作品とするなら、こちらはクールな男クサさを
感じさせるような大人の味わいでしょうか。
同じ煙草を題材にしていても、作者が違うとこれだけ読み終えた後の後味が違うのも
読んでる読者にとっては面白いのではないかと思います。

探偵事務所の所長とバツイチで学生時代からの腐れ縁の火野との関係に出てくるタバコ
同じ銘柄をもち、火野は禁煙しながらもいつも手元からは離せない。
それが二人の関係を示唆しているような巧みな小物使いで素敵なんです。

そして表題になっている作品、煙草の擬人化なのですが、切なくなるほど染み入る
擬人化ってこんな作品なのだろうとビックリします。
擬人化は子供だまし的なファンタジー要素を個人的には描きがちなのですが
深みのある男の哀愁を感じさせる作品で痺れます。

ポップな擬人化もあって、色々な銘柄のタバコさん達がそれぞれの個性で出て来ていて
それはそれで面白い、禁煙分煙、今どき煙草を吸っている人は出世も出来ないと
まことしやかに囁かれて数年、喫煙者には厳しい世の中ですが、この作品を読むと
思わずタバコを許してしまいたくなる困った思いを抱きます(笑)

3

やめられない、とまらない

健康のためには、百害あって一利無しな喫煙。
私も只今禁煙中でして。
しかし、煙草をくゆらす男性って、どうしてあんなに色っぽいんでしょうか?
火のつけかた一つにも色気のある人、いますよね。
良くないとわかっているのに、煙草やめなよ、と言えない男性。
そんな人達や、煙草の擬人化のお話オムニバスな一冊。

「我慢できない」
興信所で働く大学から腐れ縁の鬼嶋と火野。
過去に付き合っていた時期があり、男との寝方も煙草も、鬼嶋が火野に教えたもの。
今も鬼嶋は恋人がいながら、時々火野へ秘密の合図をなげかけてきたりする。
このお話の中で火野が禁煙していますが、何故か手放せずに時々においを嗅いだりする。
その嗅ぎ煙草が不思議に色っぽかったです。
思わず私も吸いたくなる一場面でした。

「天国に一番近い」
表題の通り呼ばれているラッキーストライク。
そんな煙草を吸う智郎と、煙草を吸わないイチは同棲中の恋人同士で。
煙草の残り香だけ残しては、しばらく姿を見せない智郎。
まるで平安の通い夫のようなお人ですね。
しかし、天国に近いこの煙草。
私も大好きな銘柄なのですが、この別名が怖すぎますよ。
恋人までも天国へみちづれにしそう…。

「煙草2本分のキス」
テナントビルの共同喫煙所のお話。
いつも煙草を2本吸う一色と、そんな彼を気にかけていた斎藤。
別のフロアの別会社だが、この一服だけは同じフロアで過ごし…。
この一冊の中で、一番好きなお話でした。
一色の2本の煙草の秘密にキュンとしました。

「スモーキンライフ」
最後は擬人化もので、表題作ですね。
作家と愛する煙草のお話。
二人(?)のあまりに深い愛に、まさに身も心も切り離せない仲になる。
そんな作家の愛する煙草、それはホープ。
切ない、切なすぎるよ…。

ほか、煙草の擬人化ものが二つ間にありました。
これは…かなり笑ってしまった(笑)
マイセン&セブンスターをカップルにするところにかなり笑えましたし。
KOOL&ひるま、ウチナーグチがかなり萌えでした!

これを読んで私が個人的に思ったこと。
それは、やっぱり頑張って禁煙続けよう!でした(笑)
途中、煙草を買いに行きたい衝動に何度も何度もかられましたが。
最後の最後に健康を真剣に考えてしまいました。
そもそも私の場合は、煙草ネタのBL本読むのをやめないとな…。

3

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