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表題作映画館で逢いましょう

神尾清心,自力で映画配給会社を起した社長
國重周,25歳,攻様の会社に再就職した社員

その他の収録作品

  • 神尾清心の理由
  • あとがき

あらすじ

「映画のクレジット・ロールを見ると、反射的に涙が出てくる」―そんな変わったクセを持つ男、国重周、25歳。大手印刷会社を依願退職した周は、そのクセのおかげもあって、映画配給会社「エルシノア・フィルムズ」に再就職を果たす。小さな会社だが、社長は凄腕宣伝マンとして業界の有名人で、社員は個性的な美形揃い。社長の懐刀・島のシゴキにめげそうになりつつも、次第にエルシノアを自分の居場所だと感じはじめた周だが、社長・神尾の言動になぜか心を乱されてしまう。そんな折、実は神尾がバイでプレイボーイだとわかり…!?
神尾の心のつぶやきが読める書き下ろしつき。

作品情報

作品名
映画館で逢いましょう
著者
鳩村衣杏 
イラスト
山田ユギ 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
シリーズ
映画館で逢いましょう
発売日
ISBN
9784576032122
3.5

(14)

(3)

萌々

(3)

(6)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
47
評価数
14
平均
3.5 / 5
神率
21.4%

レビュー投稿数5

本当に働くお仕事BL

これは…どう見ても就職負け組の25歳が、
あまり向いてるとは思えない再就職先で、
恋とほぼ同時進行で仕事に取り組むという、絵に描いたようなお仕事BLです。
本当に働くって…ねぇ、笑っちゃいけませんが、本当の話です。
だって世の「お仕事BL」のうち、その大半は本気で働いてる風には見えないですから。
(↑いえね…働いてないワケじゃないんです、
  でも恋愛がメインで仕事はおまけ…みたいなヌルい働きぶりが多いのね。)
その点でいえば、このお話は間違いなく「お仕事BL」なのです。
主人公(受)の周ちゃんは、よくある仕事負け組の中途採用君。
しかもねぇ…明らかに向いてないと解かってて、
しかたなくとりあえず就職しなきゃ…な理由での就職。
新就職先は映画会社で、中小企業で、雑用がどどーんののしかかってきます。
ただでさえ負け組(それもエリート一家の落ちこぼれ)なのに、
ここで負けたら、さらに転落する…あまり笑えない状況ww
対する職場側も(どちらかといえば)負け組寄りに近いかも(!)
社長(攻)だって、努力の末の脱サラ男…ただし相当レベルな人タラシですが。
そう…プレイボーイじゃなく「人タラシ」、その口説きの技は、
恋の相手じゃなく、仕事相手に使うのがスタンダードというタイプ。
映画配給会社としちゃ、まだまだ新参弱小企業だから、
恋なんてしてる場合じゃないんです…まず仕事!
いくら美男美女の巣窟でも、これでは…
恋なんて生まれないような土壌が、この職場にはあるんです。
(↑でも社員は、個別にみればかなりセクシー☆)
地味にリアルなお話です、BLのくせに(笑)
だから恋人関係の進展が、非っ常に遅い、そしてもどかしい!
ごく普通に消極的で、常識的なリアル社会人が、
なんとか頑張ってオフィスラヴに漕ぎつけるようなレベルです。
そして周ちゃんのヘンなクセも、ネックになったり武器になったり。
嫌な先輩社員も、味方なんだか敵なんだか…。
最初からあまり期待してないから、妙に挫折もなく進んでいく仕事…。
この人にはどうせ思いは伝わらない…と、あまり期待してない片思いだから、
怒涛のように展開すると、意外にあっさり素直になれる、社長との恋☆
なんだか本当に(リアルでは)ありがちな話でしょう?
(↑逆にBLではめったに類を見ない…)
そして攻の社長…知性派美形でありながら、地味~に萌えを感じさせないタイプです。
読者サービスの無いタイプ…なのに、その逃げ腰のリアルさゆえに、
なんとなく「そんなものよね、部下との恋なんて。」と、読者を納得させる点は見事!
リアルなリアルな、オフィスラヴであります。
さて…お楽しみのベッドシーン!
地味な割に、怒涛の展開でアッという間にベッドイン☆
このシーンは、山田ユギ氏の絵が妙に色っぽいのです。

2

劇場で映画を見たくなる

鳩村衣杏さんの初期の作品です。もうすでにお得意の「お仕事BL」炸裂!という感じ。
舞台は、小さな映画配給会社。
社長の神尾をはじめ、社員たちは皆美形で、そして個性的。
主人公は今まで特に映画業界と関わりのない國重周(めぐり)。
転職してきて、映画配給のいろーんな下支えのお仕事、例えば子供向けイベントで着ぐるみを着ての宣伝、例えば業界パーティーでの顔つなぎ、例えば試写状の宛名書き…etc.を目まぐるしくこなしていく。
対して神尾はすごいバイタリティと柔軟性と冷静なビジネス感覚、何より熱情を持つ男性(バイ)。
そんな神尾にグイグイ惹かれてしまうノンケの周です。
一見華やか、実際はかなり泥臭く、人間関係も難しく、金策も大変な映画業界の裏も興味深いし、一筋縄ではいかない社員の面々、何よりそんな社員達を自分の持つ引力で強烈に引っ張っていく神尾その人の魅力。
周は何ともウジウジした面ばかり見えがちだけど、多分芯は強そう。神尾が周に惹かれる点がいまいち弱いのが残念ですが、Hシーンは山田ユギ先生のイラストも素晴らしくて、大変goodです!

1

お仕事BL楽しい~

小さな映画の配給会社で働く社長(攻め)と見習い社員(受け)のお話です。
恋愛描写より、お仕事に関する描写だらけでした。
でもそれが良かったです。
お仕事しつつ、その隙間にちらちらと恋についての話を入れてくれてるっていうの、結構好きなんですよね。
さらに仕事中の男たちが恋愛脳じゃないっていうのもポイントが高い。
主人公の受けはぐるぐるマイナス思考なんだけど、キメる場所ではきっちりキメる男。告白したのも受けからで、これも良かったな。
最後に攻め視点でのショートストーリーがあるんですが、最後の言葉に笑いました。いいな~この流れ。

あと山田ユギさんの絵にもやられましたね。
読んでる途中に残りのページをぺらぺらっとしてみたら、いきなり濡れ場のユギ絵が!
攻めの背中のラインと手の美しさにまじまじと見とれちゃいました。
テンション上がって早くそのページにたどり着きたくて、読むスピードがアップしました。
普段はフライングで先のイラストを見たりしないんですが、ユギ絵おそるべし。

1

恋愛以外の要素多め

「映画のクレジットロールを見ると、反射的に涙がでてくる」というくせを持った男・國重周。
周は、大手印刷会社を辞め、仕事を探している最中。
ところが、周が採用されることになったのは、中小の映画配給会社。
周は、映画にも俳優にもまったく興味はなかったけれど、不思議と居心地の悪さは感じなかった。
映画配給会社「エルシノア」に社長は、凄腕宣伝マンとして有名な神尾。
その神尾は周の奇妙なクセを知ってもバカにしたりはしなかった。
けれど、その時に言われた「役に立つ」という一言に周は反発を覚えてしまう。
それ以外にも、周はいちいち神尾の言動に一喜一憂してしまう。
おまけに、神尾は実はバイでプレイボーイだと知り、ますます神尾のことを意識してしまう周は……

という話でした。
新たな人間関係に身を投じた周が仕事にも、人間関係にも振り回されながら魅力的な人たちに囲まれて頑張る話……でした。
どちらかというと神尾は余裕で、周が一喜一憂しているのも周の気持ちもきっと手に取るようにわかっていて、そもそもがお坊っちゃまだったけれどその家をうとましく思っていた周とは経験値が全然違うので、周視点で物語が進んで行くのもあいまって、周が一人でぐるぐるしている感じでした。
でもそんな恋愛要素よりも、一番は、映画配給会社のシステムだとか、他の魅力的な社員だとかに圧倒的なページが割かれていて、ラブラブになったには最後の本当にちょっとだけでした。
でも、恋愛以外の部分もとても魅力的に描かれていたので、それがストレスになることがありませんでした。
恋愛もそれ以外の部分も楽しく読みたい人にはお勧めします。

2

設定もシチュエーションも好みなのに…

攻・映画配給会社エルシノア・フィルムズ社長の神尾清心
受・エルシノア・フィルムズに就職した國重周(25歳)

國重は後ろ向きな性格です。
勤めていた大手印刷会社でリストラが行われることを知って、依願退職するくらいに執着も闘争心もない。
エリートばかりの家族の中で落ちこぼれている自分。
自信がないし、困難に立ち向かおうという気概もない。
でも顔はよい。

國重には「映画のクレジット・ロールを見ると、反射的に涙が出てくる」という奇妙なクセがあります。
コメディでも、しらけるような駄作でも、何故か泣いてしまう。
そのためいつもはクレジット・ロールが流れる前に席を立つのですが、その時は隣座席への遠慮をしているうちに機を逸してしまい、泣いてしまいます。

その場で出会ったのが神尾。
後日、入社試験の面接を受けた会社で神尾と再会。
3ヶ月間の試験採用となりエルノシアに勤めることに。

個性豊かな社員達と親しくなり、会社の居心地の良さに驚きます。
映画の試写と製菓会社の合同キャンペーンでは着ぐるみの中に入り。
試写会告知チラシの印刷ミスでは、旧職のツテを頼って訂正お知らせカバキの印刷を取り仕切り。

そんな中、社長の神尾がバイであると同僚に教えられます。
警戒してしまった國重ですが「社員には手を出さない」とアッサリいわれてほっと息を吐く。

神尾は「國重のは使える特技だ」と言い、大手配給会社のパーティーに國重を同行。
早速特技を活かして(あれ?)海外監督の新作配給権を得ます。

そんなことで決まるものだろうかと自信のない國重。
「どうするか決めかねていて、些細なきっかけで心が決まることだってある」
と神尾に感謝され、初めて会ったときのような笑顔を向けられた國重は、神尾の言葉通り些細なきっかけで恋を自覚してしまいました。

社員として採用するからには、國重は恋愛対象にはならないとハッキリしていたはずなのに、実は神尾も國重好きになってしまってて、それを堪えるのに必死でした。
出張先で、手違いのダブルの部屋を國重にさりげなく譲って一晩外出する我慢強さとやさしさ。
こんな攻に惚れないでどうするよ?

・・・・・・でも、何故だか私、惚れなかったんです。
設定もシチュエーションも好みのこの作品。
文章も読みやすかったし、キャラクターも(特に脇役が)良い。
普通なら萌え…るハズなのに、何故かトキメかなかった。

攻は仕事もできるし大人だし、包容力もあっていい男です。
でも、なんかダメなの。
私の好みじゃない(←だから面白く感じなかったのね、きっと…)。

1

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