てんてん
本品は『愛と欲望のロマネスク』の
コミコミスタジオ限定特典小冊子です。
本編後のとある昼休みの
ランチタイムの出来事になります。
何かと騒動続きだった春に比べ
穏やかな日々が続く10月のとある日。
昼休みの日夏は
たいがいテラスに向かいますが
今日は一尉を誘って
旧校舎へと続く歩道沿いの
ベンチにと向かいます。
本校舎からはけっこうな距離があり
長くない昼休みに足を運ぶものはそうなく
行内でも穴場のスポットなのです。
今日は半日授業だった事から
日夏は今日のランチに
この場所を選んだのです。
というのもこのところ日夏は
不慣れながらも料理に挑戦していて
早起きして作ったお手製弁当を
悪友たちに揶揄われるのが
嫌だったのです。
2週間前につくったおにぎりは
形が歪みすぎてもはや芸術作品
と八重樫に評されたのです。
こないだのおにぎりよりは
だいぶマシだと思うと
日夏が一尉に手渡したのは
マフィンで作ったピザでした。
一尉は必要な栄養素さえ取れればいい
というのが基本的な食事スタンスですが
より美味しい物を沢山食べたい
日夏としては対極とも言えます。
一尉は美味しいとは言ってくれますが
それ以上の感動は与えられそうになく
コツコツと努力するしかなさそうです。
八重樫以外に料理好きがいないかなと
呟く日夏に一尉は意外な人物の名を
口にして…
A5判カラー表紙(文庫カバー同イラスト)
2段組12頁とボリューミーなお話は
2人のラブラブな後日談になります。
一尉は従兄弟の千柄が
週末になると良く寮のキッチンで
何やら作っていた様だと言いますが
料理上手だとは聞いた事がないらしく。
確かに千柄の作る料理では
見た目が美味しそうでも
何かが盛られているような
聞かして油断できません(笑)
そんな千柄から日夏に預かって来たと
薄い封筒を差し出された日夏は
千柄兄弟や妹と一緒に写る
幼い一尉の写真でした。
幼少期の一尉はひたすら可愛いのですが
3人に比べても覚めた顔をしている事が
日夏の胸を痛くしますが
最後の1枚は布団で雑魚寝する
子供達の無防備な寝姿で
一尉の母・粧子が撮った写真だと
千柄の手書きの付箋がついていました。
返却不要と書き添えられた写真の為に
フレームを買いに行こうと言う
日夏の提案は即座に却下されますが
日夏はポケットから取り出した
携帯で素早くツーショットを撮り
こんな写真をこれからいっぱい撮ろう
と一尉に笑いかける
というなんとも微笑ましい
秋の日のことコマを描いたSSでした♪
食事の好みも従兄弟との写真も
一尉の寂しい過去を垣間見せますが
今後は笑顔が溢れる写真を
日夏が沢山撮ってくれそうです (^-^)