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表題作鏡の国の恋人

曾埜部,古い屋敷に一人で住む気難しい実業家
戸田陽生,19歳,施設育ちの家政婦

その他の収録作品

  • そして重なる日々
  • あとがき

あらすじ

古い屋敷に一人で住む、いつも不機嫌な曾埜部のもとで家政夫として働くことになった陽生。 気難しいと言われていた曾埜部だが、接触嫌悪ぎみの陽生は人との距離感の保ち方が上手く、次第に二人は打ち解けていった。 ただ、陽生が曾埜部にも秘密で訪れる不思議な部屋があった。その部屋には大きな鏡があり、その向こうにはマサヤという少年が存在していたのだ。 互いに姿は見え話すことはできるけれど、触れることはできない。マサヤは財産を狙っている親戚にこの屋敷に閉じ込められていると言うが……。 一方で、陽生は曾埜部になら触れられても平気で、むしろ触れてほしいと思っていることに気付き……。

作品情報

作品名
鏡の国の恋人
著者
夢乃咲実 
イラスト
六芦かえで 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344844339
3.9

(17)

(4)

萌々

(9)

(3)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
66
評価数
17
平均
3.9 / 5
神率
23.5%

レビュー投稿数3

巡り会うべくして巡り会う恋人達・・・

作家買いです。

今回、ちょつぴりファンタジー要素ありのお話になるんですね。
鏡の向こうで出会った少年。
彼の正体はー?、みたいな。

この設定が二人の恋愛に、本当に上手い事生かされてまして。
こう、オチでのあまりのロマンティックで感動的な落とし所に、うっとりしちゃったんですけど。
巡り会うべくして、巡り会う恋人達・・・みたいな!(≧∀≦)

また、不器用で孤独な攻めが、健気で一生懸命な主人公に心を許して惹かれて行くと言うパターンが、個人的に超ツボなのです。
ひたすらニヤニヤと読んじゃいましたよ。

内容ですが、気難しい雇い主・曾埜部×住み込みの家政婦としてやってきた青年・陽生による、ファンタジー要素ありの主従ものになります。年の差ものでもあります。

古い屋敷に一人で住む、気難しいと評判の顧客・曾埜部。
天涯孤独で施設育ちの主人公・陽生が、家政婦として曾埜部の下を訪れた所からお話はスタート。
陽生が持ち前の繊細で優しい心遣いで、不器用な曾埜部の心を開き二人の距離が近づいて行く様。
そして、そんな曾埜部の屋敷で見つけた、不思議な鏡とその向こうに映る少年との切なく優しい交流と、彼の正体が分かるまでー。
と、言ったお話になります。

まずこちら、個人的に超萌えた部分ですが、主人公が気難しい攻めと心を通わせて行く過程だったりします。
曾埜部ですが、最初はとても気難しくて取り付く島が無い印象なんですよ。
初対面から、「こんな子供をよこすとは」と不機嫌に言い、疑問点を尋ねれば「煩わせないでくれ」と冷たいセリフ。
いや、なかなか手強そうだぞ~と。

が、事業所が最終兵器として送り込んで来たのが陽生。
彼は天涯孤独の施設育ちで、接触恐怖症の気があるんですね。
だからこそ、とても繊細に人との距離感が上手くとれ、気遣いが抜群。
曾埜部の性格をいち早く分析して、彼が居心地がいいように自分の仕事に一生懸命取り組むのです。

また、陽生は、とても健気で思いやりのある優しい子なんですよ。
曾埜部は不器用なだけで、決して理不尽でも嫌な人間でも無いのです。
そんな彼の本当の姿に気付くのですが、それも陽生自身が曾埜部を色眼鏡で見ず、素直な気持ちで真っ直ぐ見ているからなんじゃないのかな~と。

そんなワケで、これまで気難しいと評判で何人も家政婦を追い返してきた曾埜部が、陽生には心を許して親しくなって行く。
曾埜部がですね、不器用に「君も一緒にコーヒーを飲まないか?」だの、どんどん心を開いて二人の距離が縮んで行くのが萌えて萌えて仕方ないんですよ。
また、陽生には陽生の、実はトラウマがあったりするんですね。
嵐の夜にパニックを起こした陽生を、優しく抱き締めて落ち着かせる曾埜部。
こんな二人のあたたかい交流が丁寧に綴られ、二人が恋に落ちて行く様を存分に楽しめる感じでしょうか。

で、これだけならただの年の差主従ものに終わっちゃうのですが、ここで出てくるのが不思議な鏡。
屋敷で見つけた不思議な部屋と鏡。
その鏡の向こうから、話しかけて来た少年・マサキ。
目が悪く、親戚から財産を狙われと辛い境遇にある少年なんですね。
そんな彼と鏡を通して交流し、なんとか彼を救いたいと願うようになる陽生。

果たしてマサキの正体とはー?
そして、曾埜部とマサキの関係はー?
と、続きます。

えーと、実はマサキの正体は、うっすら想像がついちゃうんですけど。
ただ、想像はついてても、やっぱりオチでは感動しちゃうんですよ。
孤独な彼が出会った、自分を唯一あたたかく思いやってくれる青年・陽生。
上手いのが、陽生が彼に与えたあたたかい愛情が、巡り巡って陽生自身をまた救うと言う所なのです。
この二人、巡り会うべくして巡り会ったんだなぁと。
こうして巡り会えて、本当に良かったねぇと・・・。
こういうロマンティックなお話に、とても弱いんですよ。

あと、この二人は結構な年の差なんですよね。
そこで、大人な攻めがまだ19と初々しい受けを優しく抱くと言う、超甘々なエッチ。
夢乃先生の攻めですが、ベッドでも紳士的なパターンが多いんですよ。
今回も例に漏れず、「陽生、私を呼んでごらん?」とかやってるのに萌えまくりました。

と、とてもロマンティックで素敵なお話だと思います。
楽しく読めました。

8

不思議な鏡

夢乃先生の作品は「遍歴の騎士と泣き虫竜 ~のらドラゴンのご主人さがし~」に続いて二作目です。

今回もとても素敵なお話でした。こちらのお話はファンタジーというよりは不思議なお話なんです。「鏡の国の恋人」というタイトルとあらすじから想像していたのとは、良い意味で違っていました。
私は曾埜部もマサヤの存在を知ってて隠していると思っていたのですが、全く違っていました。

そして読み進めているうちに、マサヤが誰のことかは薄っすらと分かって来るんですが、どうしてそんな事が起こったのかが分からないので不思議なお話なんです。

でも人間不信の曾埜部と接種嫌悪ぎみの陽生の距離感が縮まって行く過程にとても萌えました。
まさに出会うべくして出会ったというか、同じ痛みを抱えているのに全く違う性格の二人だからこそ惹かれ合うのではと思いました。
終盤に二人は曾野部の伯父のせいですれ違ってしまうんですが、曾野部が陽生を追いかけてくるのが良かったです。

二人が幸せになってからの「そして重なる日々」も、新たな真実が明らかになってロマンティックでとても素敵でした。新たな生活を選んだ二人がとても甘々なんです。

でも曾野部が陽生の名前を読み間違えるのは納得出来たのですが、陽生が雇い主である曾野部の下の名前を知らなかったのには違和感を感じたので萌2でした。

1

鏡モチーフ

六芦先生の挿絵狙いで購入。夢乃先生お好きな方なら、安心してお読みいただけるお話かと思います。攻め受けともめっちゃ訴えるキャラとは感じなかったのですが、すごく嬉しいシーンがあったので萌2より萌にしました。本編280Pほど+後日談33Pほど+あとがき。

施設育ちの陽生(はるき)は接触嫌悪があって、家人が留守の間に家事を行うというスタイルで家政夫をしています。ある日事務所所長が「難しい案件なんだけど」と持ち込んできたのは、古い屋敷に住み込むというもの。金銭的条件は良いらしいのですが、買い物は不便だし何より主が扱いにくい!というものらしく、お試しで一度行ってみることに・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
マサヤ(鏡の中にだけ映る、目が不自由な謎の少年)、受けの顧客少々、攻めの叔父、後日談で攻めの昔の友人。

**嬉しかったところ

攻めさん、育ちの関係で人を信用できない方でして。不愛想だし、とっつきにくいし、可愛くなーいと思っていたのですが。受けさんがトラウマ起因の悪夢見た時、すっぽりくるむように抱き締めてくれるシーンがあったんです。そこがたまらなく好きでした・・・優しい。不器用そうだけど優しい・・・夜、怖い時に側にいてくれるのって、すごく憧れるー!

後日談で、あっさり家を手放したところは、ありゃりゃなんと現実的な!という気持ちでしたが、健気さん受けが幸せになって、良かった良かったというお話に加えて、ピンポイントすぎる萌が前述のとおりあり、鏡を使ったふわっとしたファンタジー設定でしたので、全体的に嬉しいお話でした。

2

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