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表題作キミに言えないことがある

椎名 恭介 アートディレクター
雨宮 佳純 会社員,幼馴染,既婚者と不倫している

その他の収録作品

  • 描き下ろし

あらすじ

内気で元いじめられっ子の佳澄と、活発でクラスの人気者だった恭介は、小学生からの幼馴染み。
何度も窮地を救ってくれた恭介は佳澄にとってのヒーローで、時には恭介も佳澄に助けられてきた。
お互いを意識し合っていて二人が社会人になった今、恭介と佳澄には言葉にできない想いがあって......。

作品情報

作品名
キミに言えないことがある
著者
もふもふ枝子 
媒体
漫画(コミック)
出版社
プランタン出版
レーベル
Cannaコミックス
発売日
ISBN
9784829686201
4.2

(194)

(115)

萌々

(40)

(23)

中立

(10)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
19
得点
814
評価数
194
平均
4.2 / 5
神率
59.3%

レビュー投稿数19

「正しくない」は間違いなのか

分厚いです。
1冊まるっと表題作で読み応えあり…!
すれ違ってしまう心が丁寧に描かれています。

『この感情は、この関係は、きっと「正しく」ない』(帯より)

正しい行いをすれば幸せになれるのか。
間違うことは不幸なことなのか。
そもそも彼にとっての幸せはどこにあるのか。

「正しい」か「否か」で雁字搦めになっている攻めと、
攻めをヒーロー視して攻めの弱さに気づけなかった受けと。
両片思いの幼馴染みが遠回りしながら模索する恋物語です。


攻めは子供の頃から人望があり、クラスの人気者です。
厳格な父親の影響で「正しい行いが大切」と善悪をハッキリつける傾向があります。
そして恋愛対象が男かも知れないと気づいたとき、これは「正しくないこと」なのだと…。
なのでずっと気持ちを隠しながら片想い相手である受けと接してきました。

受けは要領が悪く 昔はいじめられっ子でした。
そんな中 攻めと出会って、友達になって、いつも一緒で。
受けにとって攻めはいつも一番辛いときに助けてくれたヒーローでした。
憧れはいつしか恋心へと変わり…。

1度だけ、受けが攻めに思わず告白をしたことがあります。
けれど攻めはそれを勘違いだと否定してしまいーーー。


受けは攻めにフラれた後、既婚女性と不倫をしていました。
正直この設定受け入れられるかな…?と不安でしたが、
ストーリーが進むとストンとくるものがあり嫌悪感なく読めて良かったです。

攻めは受けの幸せを心から願いながら側にいます。
受けのことが好きで好きで好きで溢れそうな気持ちを抱えながら、
自分の気持ちは「正しくない」ことで不幸にするから押し殺しているという…(;ω;)
攻めが正しさばかりに雁字搦めになっているのが息苦しかったです。

そんなこんなで長年遠回りを続けるのですが、
ある日とうとう攻めは気持ちを伝えるのですね。

けれどそれは雁字搦めの殻を突き破ったのではなく、
自分の「正しくない」気持ちに受けを巻き込んで不幸にする覚悟を決めたマイナス感情。
両思いになれたはずなのに全くハッピーじゃないのですよ(;ω;)

「正しい」が呪縛になっていてどんどん攻めを追い詰めていく。
これがもぉ~~~重くてシンドイ(泣)

で、受けにとって攻めは完璧なヒーローだったので
同情されてると勘違いしてしまい心はすれ違っていきーーー。

これ以降がズビズビ泣きっぱなしで読みました(;ω;)

ずっとずっと子供の頃から両思いなのに
なんでこんなに上手くいかないんだろう?
幸せってなんだよ。
正しくないってなんだよ。
好きって気持ちはシンプルでいいんだよ!もぅッ!

あああ!良かったよーーーーーーぅ。゚(゚´Д`゚)゚。

ずっと受けを不幸にすると思っていた「好き」の言葉。
何度も何度も幸せそうに口にする姿にウルキュンでした(;///;)
描き下ろしはめちゃくちゃ甘い後日談でこれまた堪らんのです。
長年気持ちを押し殺した反動か、攻めがデレッデレw

呪縛からは解放されたようで良かった。。。
心置きなく幸せになっておくれ…+゚。*(*´∀`*)*。゚+

評価は神寄りです。
(シレッと変更する可能性もあり。1発で決められなくてすみません;)

※変更しました。
何度読んでも心の昂ぶりがあって良い!
回想の中の恋愛を意識しはじめたエピソードはキュンキュンします。
幼馴染みとしての歩みも丁寧に描かれていて物語に入り込めます。

22

”幸せになって欲しい”。。。適切な人と。

じれったさと切なさの極みでした。

何よりも個人的”BLの真骨頂”である
【好きだけど俺とでは彼は幸せになれない】
が余すことなく!ぎっしりと詰まってました。


小学2年の頃、仲の良かった男の子が引っ越した時、すごく落ち込んだ恭介は母親の「まるで恋をしていたみたい」と言う一言で自分のその感情の意味を知りドキドキするが即、父親の「気持ち悪いことを言うな」と言う一言で自分の気持ちは「正しくない」と思い込む。

小学5年で佳純と出会い、仲良くなりいつも明るい恭介が悲しかった時真っ直ぐな言葉で恭介を救ってくれる。
そんな佳純に恭介は恋をするが「好きな人と幸せな結婚をする」という佳純の将来の夢を知っている恭介は”友達”としてずっとそばにい続ける。。。。。


「両片想い」のじれったさに加え、実は恭介が佳純を一度ふっていたという衝撃の事実もあり、じれったさはどんどん膨れ上がるけど、恭介の「佳純は適切な人と幸せになって欲しい」という思いが強く切なさも比例してデカい。
佳純の想いが分かってからは、表紙の”恭介が二人の口を塞ぐ”姿を突然思い出して胸が熱くなりました。

自分の気持ちが「正しくない」と子供の頃から思い続けた恭介が、仕事で壁にぶち当たり
「じゃぁ何が正しいのか」となってしまう。
その時の上司との会話はたまりませんでした。


この良作に尚且つこの重厚感あるカバー。
全てが最高でした。

12

いろいろと抉られる作品でした…。

一見地味な表紙なんですが、初見から凝視してしまう、切なさが滲み出ていて目を離せない。
初読み作家さんだったので電子発売を待って購入したんですが、
読後に見る表紙は、切なさに温もりを感じる…丁寧で繊細な描写と画力の高さに鷲掴みされました><
既刊作品全て拝読しましたが、内容はもちろん、表情と手で表現する描写がすばらしい!
久々に画にドハマりし、恭介の号泣に貰い泣き…あの泣き顔は今年一番かもしれない。

もちろん画だけではありません。テーマが深くて…
恭介がかなり七面倒臭いことを言っていると気付いてからは、
感情だけでなく脳をフル回転させても一回では消化できず、繰り返し読みました。

正しい、正しくない、幸せ…何度もでてくる恐怖の言葉。
お互いに相手の幸せを願い、良かれと思って取る行動が、必ずしも正しい結果になるわけではなく、
いろんな気持ちや行動に必ず理由付けをする…ぐるぐる悩んで選択するのに、なぜか幸せになれない。

上司の「もっと心に素直に生きればいいんだよ」という言葉に背中を押された恭介でしたが、
その言葉がスッと心に入ってきたのは、長い間遠回りしてきた痛みを経験したからこそですよね。

すれ違って、カラ回って、傷つけて、傷ついて…
お互いに遠回りしたことで、怖くて無意識に抑え込んでいた父親が埋め込んだトラウマのフタを、
やっと取る勇気が出た恭介。
小さい頃から同性が好きだったこと、佳純をずっと好きだったこと、臆病で弱い自分を素直に
さらけ出せるまで…必要な遠回りで強くなった二人だと信じたいです。

幼少に埋め込まれた父の言葉の呪縛は、直ぐにはなくならないかもしれませんが、
道理や理性で抑えられた気持ちを、これからは佳純がそばで崩し続けてくれるはず…。

それにしても、ずっと佳純が健気で不憫で見ていて辛かった…。
全て良かれと思ってとった恭介の行動が、結局は佳純を不幸にしボロボロにして傷つける…
「不幸になるならオレがお前を不幸にしたい」

やっと結ばれた二人ですが、恭介の「普通が幸せ」という価値観が今度は二人を苦しめ佳純から離れる。
佳純がしのばせた恭介への手紙は泣くしかない内容で…恭介の愛情を同情と思い込んでいる佳純が
本当にせつなかった…しかも恭介の懺悔と号泣に続くので、もうずっと泣き…二人が結ばれて更に泣く。

子どもの頃からの二人の関係や、成長するようすがとても丁寧に描かれていて、
ずっと続いてきた二人の道のりが解りやすかった…入り込みすぎたくらい。

佳純の幸せは恭介がずっと幸せでいること。
恭介の幸せは佳純の側で生きること。
二人が一緒に生きることが幸せ…こんなに簡単な答えに辿り着くまでが、こんなに遠いなんて。

個人的には、佳純の初めての告白場面が一番萌えました。
ふざけて倒れた佳純に覆いかぶさる恭介…恥ずかしくて手で眼を隠すジリジリ感のある場面で
押さえきれない佳純の想いが言葉になる「恭介が好きだ」…指と表情が堪らなかった><
描き下ろしの、あまあまの温もりも大好きです。

6

温かい気持ちになれる作品です

表紙に一目惚れして購入しました。

2人ともかわいい…2人ともお互いのことが大好きで大好きで大好きで…
もどかしさとせつなさ、読みながら2人に幸せになってほしくて仕方なくて胸が熱くなりました。

もふもふ枝子先生の絵もや文字もとても可愛らしくて、2人のけなげさや懸命さに磨きをかけている気がします。

読んだ後に温かい涙が流れるような、そんなお話でした。

4

間違いなんて、ない

普段はわりと尖った話?を好んで読んでいます。この作品は、自分の中ではわりと地味なお話だったのですが、読んだ後しみじみといいなあ…人生だなあ…と思いました。いつもは両片思いを見てると、うだうだせんと早よくっつけ!ってなっちゃうのですが。

まず、受けくんの佳純が人妻と不倫をしていて軽く衝撃がきます。それを諌める攻めに対して、「昔、俺のことふったくせに…」って言い返すところでええ?となります。不倫は攻めに振られた心の穴を埋めるためと、当てつけみたいな感じであったようです。

攻めの恭介は真っ直ぐゆえ、間違ったことに抵抗があるたちで、それが元でふたりの関係がこじれていきます。男が男を好きになるのは正しくない、不倫も正しくない。そんな考えが自分も佳純も追い詰めていることをうすうす感じながら、どうすることもできない。

そんな恭介に、上司がかける言葉が良いんですよね。「人生って間違えても、そこで行き止まりじゃなくて、そこからまた別の道が開けるんだよな」決して説教くさくなく、じんと心に染みる言葉の数々! 自分がやらかしちゃったとき、ココ読み返したいと思いました。

両思いでいながら、ふったり振られたりしていた二人が、ようやっと最後に思いをぶちまけあって結ばれた時はホッとしました。肌を合わせながら二人してぼろっと泣いちゃうところは、スレきってる私もじんときましたよ…

ただ泣けるだけでなく、人生を教えられることもあるんだな〜。BL、深いです。

2

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