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組み敷かれ、壊されて、汚された…… 想いと身体。
作家買い。
akabekoさんてシリアスな作品を描かれる作家さま、のイメージが強いですが、今作品はドシリアスに終始した作品ではなく、シリアスさと甘々が程よくミックスされた作品でした。こういう評し方が正しいかどうかわかりませんが、「万人受けする作品」だったと思います。
主人公は「ぺこ」。
タイトルにもついている「ぺこ」ですが、あだ名でもなんでもなく本名です。母親が好きなキャンディーのキャラクターの女の子からとったという、なんとも適当な名づけでつけられた名前。名づけ一つとってもわかるように、ネグレクト気味に育ったぺこは無条件に愛されるという経験が少ない。
そんなぺこは中学生の時にはゲイだと自覚し、そして彼の初恋は担任の「先生」。
優しく信頼できる大人で、ぺこはその想いを卒業するときに先生に告白するが振られてしまう。「男だから?」と問うぺこに、先生は「先生と生徒だから」と答える。
自分を否定されたわけではない。
そう思い続けてきたぺこだけれど、卒業してしばらくたったころ、先生が教え子の女生徒に手を出し妊娠させてしまったことを知る。
先生がぺこの想いに応えてくれなかったのは「先生と生徒」だからではなく「男だから」。
そう悟ったぺこは、自身のゲイであるという性癖に葛藤を抱き続け、そして人から愛された記憶のないぺこは自己否定感が強く人と恋愛関係を築くことができず一晩限りの相手を探す日々。
そんなある日、偶然入ったバーで一人の男に出会う。
大学で教鞭をとる「先生」だというその男。
「先生」に囚われたままのぺこは、「先生」であるという、ただそれだけで興味をもってしまうが、そんなぺこに「先生」はいつも優しい。少しずつその想いが恋愛感情に変わっていくが、ぺこがかつて遊んだ男に「ぺこはその日限りの相手を探す男」だと先生にばらされ、それをきっかけに、いつも温厚だった先生は豹変し、ぺこをレイプまがいに抱き―。
というお話。
ぺこが主人公で、ぺこ視点でストーリーが進むのでどうしてもぺこに感情移入しがち。
突然豹変しひどい抱き方でぺこをレイプする先生に戸惑うのですが、さすがakabekoさん、というべきか。ぺこの目を通して、先生の感情も怒涛の勢いで読者に流れ込んできます。
かつて中学の「先生」に対して抱いていた尊敬の念、恋慕の想い、切ない片想い。
それを、バーで出会った「先生」によって昇華させようとするぺこの不器用さと、ぺこの目を通して見えてくる先生の「過去」とがオーバーラップしていく。
「先生」でしかなかった攻めさんが、「光樹」という名前を持つ一人の男性としてぺこの中で変化していく。「先生」を卒業できたのは光樹さんのおかげだし、反対に人に陥れられた光樹がぺこの一途さと可愛さに癒されていく。まさに割れ鍋に綴じ蓋。
ともに切ない思いを抱えてきた二人が、お互い出会ったことで癒され、そしてそれが愛情に変わっていく過程に激萌えしました。
外道!ともいえる先生のぺこへの態度ですが、でも、それも彼の過去が見えてくるにつれてなんとも切なかった…。先生を陥れた人物に鉄槌が下ることはないのですが、でも、きちんと落としどころがあるので読後はすっきりします。この人物に対してだけではなく、ぺこの担任の先生や母親に対してakabekoさんがむける目が凄く優しい。
人間、間違いはおかす。
でも、間違えてもまた正しい道を歩きなおせばいい、と。akabeko先生の優しさっていうのかな。温かみのある考え方が素晴らしいと思いました。
今作品は登場人物はさほど多くありません。基本的に光樹×ぺこの2人に照準が当たった作品です。が、数少ない脇キャラもいい味出してました。
光樹の友人で、光樹とぺこが出会ったバーのマスターと、ぺこと遊んだことがあるゲイの若者。彼らがいなければ、このストーリーはまとまらなかったであろうキーパーソンです。この二人がいい雰囲気になってたので、ぜひともスピンオフを描いてほしいです。
Akabekoさんらしいドシリアスさはやや鳴りを潜めていますが、反対に「痛いのは苦手」という腐姐さまでも手に取りやすい作品でした。
痛さも、萌えも、愛情も、どれもが非常にいいバランスで描かれていました。
文句なく、神評価です。
あ、そうそう。
最終ページにある申し込みカードと、帯についている応募券だけでいただける描き下ろしコミックペーパーに応募できます。締め切りは2019年12月2日(消印有効)まで。
興味のある腐姐さま方、お忘れなきよう。
中学時代の先生との初恋をひきづっている若者ぺこくん(受け)とカミングアウトしたことでYouTuberネタされ傷いた大学講師(攻め)のお互いの禊になるお話でした。
受けのペコくんの名前がニックネームではなく、本名であるというとこにうまく現代の闇をのぞかせてみせるakabeko先生の手腕をみます。
中学のとき告白した先生が男同士だからではなく、先生と教師だからダメなんだと好きになってくれてありがとうと云ってくれた先生が心の支えになるってとこすごくわかる気がします。ひとは誰でも肯定されたいと思っている。マイノリティである自覚があれば尚更だと思います。その先生が実は女生徒を妊娠させていて、先に犯される女生徒とだったらいいのに妄想してソロプレイに励むペコくんがエロすぎる!!!!!この背徳感!!!!!akabeko先生のこういう設定ほんとに天才的です!!!
バーで出会った大学講師の先生は最初YouTuberの仲間かと勘違いして、レイプまがいにペコくんを抱いてしまいます。この時ペコくんのお尻にイケナイ萎んだ風船が描写されてます!!未だかつてこんなシーンみたことなくて、最中の描写みるより、この萎んだ風船だけで、手荒く扱われたことが伝わってきます。すごいな!!!!!
最悪な出逢い方から始まってもやはり恋の吸引力は止まらず。akabeko先生にしては明るい終わり方です。
ペコくんは中坊でとまっていた恋心を進めることができ、先生はまた人を信じることを始められる。
ペコくんがtkbを摘まれたと同時に好きっていうシーンが胸熱すぎて、思わずスクショしました!!!!
tkb好きなひとは絶対みてください!!
キラキラネームの「ぺこくん」は、初恋の男性教師を忘れられず、過去の思い出に囚われ続けている。
大学教授の「光樹先生」は、LGBT授業でカミングアウトをした結果、ハッテン場にいる姿を目撃され 懲戒処分に。
現代のテーマとして取り上げられることも多い、「キラキラネーム」と「LGBT」この2つの話題を題材にしつつ BLとして描き出してしまうところに、akabeko先生の才能を感じずにはいられません。
ぺこくんの純真無垢で愛らしい笑顔には 癒やしを、光樹先生とぺこくんの日常が垣間見えるような場面では、愛し合う2人の優しさと温かさを垣間見ることが出来る物語です。
一方……
akabeko先生の重く暗く深いストーリーの数々に 既に触れてきている身からすると、少々物足りない感じは否めません。
2人の幸せな同棲生活は勿論、マスターとトモくんのお話も、是非読んでみたいです!!
この作品は、ぜひ読み返していただきたいです。
最初は、正直なところぐっと迫る感じがなかったのですけど。
少し空けて読みましたら、うん、じわじわ沁みる作品なんだと感じました。
川村ぺこ。この字体だと全くのギャルモデルみたいです。
でも、いわゆる毒親に名付けられた青年なんですよね…
ぺこは、いつも八の字の困り眉。相手の事を窺うような困り眉。
ぺこ全部を肯定して、無条件で愛してくれる存在に飢えていると言いますか、さみしそうです。ゲイだけど、自信がもてるところがなく、身体だけの繋がりだけで過ごしていて。
唯一、純粋に好きになった中学校の先生の思い出に頼って生きているところも有るんですよね。でも反面、中学校の先生の起こした淫行に対して欲情していたのも事実。
ぺこも、そんな自分を許せないような感情を持て余しているんですよ。
ある時出会った「先生」に、ぺこは自然と惹き付けられていきます。「先生」には、セックスだけの付き合う自分自身を知られたくない。きれいな気持ちを汚したくない気持ちがあったりして複雑だなぁと感じました。
「先生」、光樹は、同じようにセクシャルマイノリティとしてオープンにした経過があり。但し、学生に辱しめられた事で傷ついています。
カバーイラストに有るような、手荒いレイプみたいなセックスをぺこにしてしまう「先生」。
ただ、ぺこがどこまでも自己肯定感を持てなくて。壊された純粋な気持ちさえも、自分が持っていた欲情と対峙して落ち込んでしまうんですよ。
どんなに純粋な気持ちも、自分がゲイで「川村ぺこ」で、誰とでも寝てきた自分だから仕方ないって思い込んで、退こうとしちゃう。
ぺこ、違うよ!自分を許せないような酷い人間じゃないよって思いました。
対する光樹も、ぺこに感じていた間違った考えに気づくんです。
ぺこと光樹が、互いの過去に向き合い語る事で、現在の互いに目を向けることが出来たのかなぁと思いました。
ちゃんと恋人になっていくぺこと光樹。光樹が優しく抱くことや、何気なく二人で過ごす日常。ぺこが、愛されて自己肯定できるようになりますし、何より「川村ぺこ」を名前ごと好きに為れる過程は優しいなあと感じました。
光樹も、ぺこを愛して行く事で自分が満たされ、愛される事で自分を取り戻していくんですね~
読み重ねる事で、じんわり沁みる作品です❗
えっちは、八の字眉ぺこが更に下がり眉になりますけど満たされた表情に変わっていく変化を見ていただきたいです❤️
ぺこの先生に対する甘さと苦さの入り交ざった感情に、私も学生時代の甘酸っぱい気持ちを思い出しました。学生時代って、色々としんどいです。先生は全然完璧には程遠い人も多く‥、まだ人間の闇や愚かさに疎い学生時代は、先生の言動にまともに傷付いてしまう。
社会に出ると楽になるよ、という意見もよく目にしますが‥私自身は学生時代と社会人と、それぞれに地獄があると思っています。
この作品は、キラキラネームに育児放棄、アウティング、復讐の連鎖…現代の社会問題も反映し考えさせられました。
「先生」にぺこちゃんが傷付けられる姿は見ていて苦しく、でも先生も悪質で無邪気なアウティングにより社会的に殺されていた。。
傷付いた二人が不器用ながらも恋し合い幸せな予感のするラストシーンにほっと救われました。
誰かを救いたいと勇気を出してカミングアウトした先生の勇気と正義感に感動しましたが、
あのような状況になった失意の先生に友人が残されていて良かった。
怒りを抱えながらも生き抜いてくれて良かった。
そしてそんな「先生」が救われる世界であってほしいと思いました。