わたしにください

watashi ni kudasai

わたしにください
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神48
  • 萌×210
  • 萌2
  • 中立6
  • しゅみじゃない8

138

レビュー数
14
得点
292
評価数
74
平均
4.1 / 5
神率
64.9%
著者
樋口美沙緒 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
チッチー・チェーンソー 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫
発売日
価格
¥734(税抜)  
ISBN
9784592877479

あらすじ

クラスメイトのほとんどから名前も覚えてもらえていない「学級委員長」の路は、自分とは何もかも正反対で、クラスでもカリスマ的人気の森尾が嫌いだった。
もちろん森尾も、路のことなど歯牙にもかけてはいなかった。
ところがある事件をきっかけに、路は森尾に組み敷かれ、その体をめちゃくちゃにされてしまう。
突然の憎しみをぶつけられ、森尾が自分を嫌いなことに、思いがけず傷つく路だったが──。
多感な高校生たちの、切な痛い恋と葛藤を描いた衝撃作!

表題作わたしにください

森尾祐樹,高校生,クラスの中心的存在
崎田路,高校生,学級委員長

その他の収録作品

  • あの子がほしい
  • あの子にあげたい
  • 世界の隅っこで、ひとり(書き下ろし)

レビュー投稿数14

心と身体、憎しみと愛、絶望と希望

大人しく真面目な「学級委員長」と、人気者のクラスメイト。
「強姦」と言う、とてつもない失敗と痛みを経て、二人の関係がいかに変化して行くかー。

今作ですが、強姦がとても重要なファクターとなります。
主人公は繰り返し輪姦されますし、陰湿で酷いイジメも受けます。
痛々しいなんて言葉じゃ済まされない、とてつもなく苦しいお話なんですよ。
もがき苦しむ主人公の心情描写が凄絶で、読んでいてただただ圧倒されるんですよ。
だからこそ、この作品を通して作者さんの訴えたかった事に、強く心を打たれる。

本編を読んでる間はこらえることが出来たのに、あとがきを読んだら一気に泣いちゃって。
作者さんの訴えたかった事ですが、「もがいてももがいても助けは来ない。それでも必死にあがいてれば、不意に差しのべられる手がある。その事を書きたい」なんですよね。
私が樋口先生の作品に惹かれる理由って、強いメッセージ性だったりします。
それぞれの作品に、私達に訴えかけて心を揺さぶるメッセージがある。
今作も容赦無しで苦しい作品でしたが、このメッセージ故に、読後感は優しくあたたかいです。

ザックリした内容です。
クラスメイトから名前も覚えてもらえない「学級委員長」の崎田路。
人気者で存在感のある生徒・森尾を、自分と正反対だからこそ嫌っているんですね。
そんなある日、不幸な誤解とスレ違いが重なった事により、教室で森尾に強姦されてしまう路。
森尾から向けられる憎しみや侮蔑に深く傷付きますがー・・・と言うものです。

実は最初の1/3くらいですけど、とてつもなく痛いです。
主人公である路ですが、不幸なスレ違いから怒りをぶつける形で、森尾に強姦されます。
その後、担任教師からイタズラされ、それが他の生徒にバレた事で酷いイジメを受けるようになる。
更に、彼に目をつけた他の生徒達からも、輪姦されるようになる。

不祥事を揉み消そうとする大人達も、子供故の残酷さで傷付けて喜ぶクラスメイト達も、性欲発散の為の道具にする生徒達も、もうとにかく酷いです。
これ、しんどいのが、路の心情描写の凄絶さなんですよね。
リアルさなんですよね。
もう、容赦無く書かれてる。

どれもこれも心を抉ってくるんですけど、個人的に一番しんどかったのが、実は輪姦シーンでして。
助けが来る事を祈りながら読みましたが、助けは来ないのです。
路は道具のように扱われ、心も身体もズタズタにされる。
一度ならず。
繰り返しになりますが、この時の路の心情描写がただただ凄絶で。
自分は大きな筒で、崎田路じゃない。だから傷付かない。
そう、自分に繰り返し言い聞かせる。
いやもう、あまりにショックで涙すら出てきやしない。

路と言うのは真面目で大人しく、また強いコンプレックスのかたまりなんですよね。
彼が森尾を嫌う理由ですが、読んでると羨望の裏返しなんじゃないかと思うのです。
自分が努力しても手に入れられないものを、易々と最初から持っている森尾。
また、森尾が路に対して強い苛立ちを向けるのも、自覚しきれないほのかな恋心の裏返しなんだろうと。

この二人、出会ったのがもっと後だったら、ここまで手痛いスレ違いにはならなかったんだろうなぁとも思うんですよ。
森尾のした事は、誉められたもんじゃないのです。
ただ、多感な時期の、「学校」と言う特殊な環境と若さ故に、ブレーキが効かなかった。
そして路もまた、若さ故の未熟さで、ここまでズタズタになってしまった。
もう少し世渡りが上手ければ。
ズルくなれれば。

読んでいて、もどかしく悲しくて仕方ない事ばかりですよ。

と、かなり痛いし苦しいパートを経て、ようやく見える希望の光。
輪姦されている路に森尾が気付き、助けに入りと続きます。

実はここからも、二人の仲は近付いたかと思うと離れと、簡単には上手くいかないです。
ただ、どん底でもがいていた主人公が、少しずつ少しずつ救われと、ここに得も言われぬ喜びを感じます。
深く感動するのが、これほど傷付いていても、主人公が前に進もうとする事なんですよ。
そして、そのキッカケになるのが、森尾の差し伸べた手だと言う事。

先に、あとがきで泣いたと書きましたが、あがき続けていれば、不意に差しのべられる手がある。
傷付くだろけど、それでもいい。頑張ってみよう。
優しい人間になろうと、路が決意するシーンにすごく心を打たれて。
そう、決して一人じゃないんだよと。

ところで、ご存知の方が多いとは思いますが、今作で完結はしません。
来月刊行の続巻で完結です。
二人はやっとスタートラインに立ったばかりで、まだ結ばれてすらなかったりします。
一応、キリがいいラストなので、来月まで悶え苦しまなきゃいけない感じではないですけど。
あと、本当に痛いです。
イジメとか強姦とか地雷の方は、とても読めないと思う。
でも、本当にすごい作品だと思う。
読む事で、人によってはガラッと意識が変わるんじゃないでしょうか。

ところで、何が一番驚くって、これをデビュー前に書いてたって事ですけど。
そう、デビュー十周年と、おめでとうございます!
イベント目白押しで、もうワクワクですよ。
とりあえずは、来月の続巻を楽しみに待ちたいと思います。
今回は路に光が当てられましたが、次巻で森尾のターンですかね?

12

萌え的にも精神的にもシンドイ

これは感情の言語化が難しい…。
振り幅が広くて萌え的にも精神的にもシンドかったです(;ω;)
うん。でもこの痛みが突き刺さる感じは個人的にかなり好き。

苦手な方にご注意して頂きたいのは、
輪姦や虐めの描写がそれなりにあること。
攻めからも酷い仕打ちがあること。
容赦ない描写がシッカリはいっています。

前半は受けが道具のような扱われ方をして目を背けたくなる痛々しいシーンがありました。
けれど後半に入ると高校生の切ない片想いがメインになってきて、これがめちゃくちゃ萌える!!

あらすじに【多感な高校生たちの切な痛い恋と葛藤】とあるように
転んで、傷ついて、泣いて、臆病になって、また立ち上がる高校生の恋にグッときました。
個人的には刺さる設定も多かったのでシンドイけれど読んで良かったです。


受け:崎田は視力が弱く小柄な体躯。
生まれつき身体が弱いのがコンプレックスで周囲を羨み、性格を卑屈にさせています。
悪いことはすべて人のせいにする。自分の弱さすら他人のせい。これには少々辟易しました;
当然(という言い方もアレですが)友人もおらず、自分の存在価値を見出せずにいます。

攻め:森尾は体格も能力も恵まれた側。
カーストでいえば涼しい顔でトップにいるタイプの人間です。

崎田は自身の弱さが原因で森尾にめちゃくちゃ嫌われてしまうのですね。
そして怒りまくった森尾から手酷く強姦されてしまう。
以降、崖を転がるように起こる不幸の数々…。
教諭からの強姦未遂・卑猥な虐め・輪姦。

森尾の友人・黒田だけは虐めから庇ってくれたけれど、
崎田は庇われる惨めさすら苦痛でキツくはねのけてしまいます。
それがますます森尾に嫌われる結果になり…。

ある日、またも輪姦されそうに追い込まれた場面でなぜか森尾が助けてくれました。
その一件をキッカケに森尾と少し縮まる距離。
崎田は今までの卑屈さを反省し、自分を変えようと努力をはじめてーーーと展開します。


うわ~!もう…なんだろうな。
完璧な人間なんていないのですよ。ましてやまだ未成熟な高校生。
これとにかくシンドイ。萌え的にも精神的にもシンドイ。
友人の黒田は兄貴肌のひたすらイイコで読み手としても存在に救われました。

崎田は無自覚だけど、幼い頃からずっと森尾に憧れてたのですね。
けれど次第に可愛さ余って憎さ100倍的な方向にいってしまう。
奇しくも森尾に強姦され、同級生に輪姦され、
そこで初めて森尾への感情に気付くのが切な痛い(;ω;)

森尾も森尾で、崎田が輪姦されそうな場面を見て気付くのです。
それまで強姦したことをなんとも思ってなかったけれど、いかに非道な行為だったのかを。

森尾が崎田に恋をした過程は描かれていなかったのですが
最初は強姦への贖罪もあって崎田を見守っているだけだったのが、
自分が犯した罪を丸ごと許してくれた温かさに包まれたからなのかな?と。

崎田が自分を奮い立たせる姿や、森尾に嫌われ傷つく場面は
切な痛くて何度も涙腺が崩壊しました(;ω;)
でも傷つき萌え属性持ちには刺さりに刺さりまくった…。
攻めが受けを嫌う設定も個人的に萌えを感じるので更に。

本編のあとに
森尾視点の「あの子がほしい」
崎田視点の「あの子にあげたい」
というSSがあるのですが、
お互い好きで好きでどうしようもないくらいなのに
清々しいほどすれ違っててこれまた萌えるのですよ!!!
挿入手前までしててキスして手を繋いでるのに、ですよ!?
なんでそこまでしてて両片想いしてるのよーーーーー!(床ローリング)

そう。この2人は始まりが強姦だったばかりに
すれ違いや誤解を生むのが切ない…苦しい…萌える…。

崎田が輪姦のトラウマに苦しむと、森尾は罪悪感でいっぱいになる。
そんな森尾に気付いてても、崎田は森尾の側にいたくて解放してあげられない。
好きで仕方ない恋心は純粋なのに仄暗い影もついてまわるのが萌え的にシンドい。

すれ違いは圧倒的に言葉が足りないんですが、
臆病になって中々素直になれない高校生の姿も堪らなく萌えます。
個人的に後半は高校生BLの尊さすら感じながら読んでました+゚。*(人;///;)*。゚+

続編はただただ幸せなのがみたいけど…多分色々あるのでしょうね。
また傷ついたりしないか少し読むのが怖いですがその先にハッピーがあると信じて!
両片思いの気持ちが繋がる瞬間が楽しみです。

11

性格と”トラウマ”が受け入れられるかが重要。


まず初めに、”強姦”というワードに嫌悪感、地雷がある人にはオススメしません。
これがかなりの鍵となるので注意です。

私は電子で読んでなかったので初読みです。尚且つ1日で読み終えてしまいました。
それを踏まえてどうぞ!!


この巻だけじゃ終わらなかったーー!!
来月(12月)に続編(?)が出ることは知っていたのですが、勝手に番外編とか短編集かなーと思っていたのですが終わり方的に続きますよね。。

今回のお話は受攻共に性格に難ありです。
私はふたりの性格についてお話しますね。
序盤の受けさんの性格には正直驚かされました。卑屈です。とっても。努力しているのを皆知らないくせに。こいつら俺(僕)を良いように使いやがって。みたいな。。
自分に対してにこやかに話してくれる人(この人はとてもいい子)に対して卑屈さが勝り、手を跳ね除ける人です。
ここも評価の分かれ目ですね。私はストーリーが纏まっていれば性格とか気にしないので平気でした。
この性格からの因果応報といいますか、受けが侵したものに対して罰が重すぎますが、だからこそ残る”トラウマ”今回は”強姦”が重要ですね。
この”トラウマ”が小さすぎると話の内容に違和感が出てしまうので仕方ないことだと思います。

後半受けさんの性格が90度程変わるので「え、あ、ここまで変われたのね。」となりますが、卑屈さは健在です。もう、これは”トラウマ”も相まってるので多少の違和感で留まりました。

さて、攻めさんですが、ちょーっとどこで好きになったのかわかりにくかったかな?これは次の巻でわかるのかな?期待してます。
こちらも性格に難といいますか、執着ですね。一度好きになったらなりふり構わずという感じです。
優しいのですが、嫉妬や受けへの罪悪感がない混ぜになって暴走し結果自分も受けさんも傷つけてしまうという感じです。


私は樋口先生の文章が大好きなので(受けどん底からの〜というのも好きです。)多少贔屓目ではありますが買って良かったなと思います。
普通に心が痛いなという描写もあるのでそこを含めて吟味してください!
私は勿論次巻も購入します。特典もゲットするつもりです。
次の巻では彼らの成長が見られるのではないかとワクワクしています!

10

樋口先生らしい

致命的なネタバレはなしです。
あらすじやキャラクターについては他の方が詳しく書いてらっしゃるので、サラッといきます。

第一印象は、樋口美沙緒先生の萌ポイント剥き出しできましたね…ってかんじ。
個人的には大好きです。
樋口先生の好きなパターンなのか、こう…序盤からの受けの境遇がめちゃめちゃ辛い。そこから徐々に報われていく感じ。
今回は日本の学校が舞台ですが、主人公のアウェイな感じは樋口美沙緒先生の有名作パブリック・スクールと似てるかも。
ただこの序盤の切ない・辛いモード…今回はモブによる無理矢理シーンもあったりするので、辛さマシマシです。
わりと露骨ないじめもあるので、苦手な人は苦手かも。

こんな言い方するとアレですが、かわいそうな受けや切ないのが(報われていくの含め)好きな人は好みだと思います。
ただしんどさレベルはまぁまぁ高めなので、人にはちょっとおすすめしづらいかもしれませんが笑
下巻…続編?が楽しみです!

7

足りない子どもたち

暴力やレイプを肯定するわけではなく、ただ、可哀想で不幸で優しい受けがたまらなく好きな人間には刺さりすぎる話でした。

一番最初に怒りにまかせて受けをレイプした攻めが、途中から受けを好きになってまるでヒーローのようになるのですが、本当は昔から好きだったとか、最初にレイプした時から好きだったとかじゃなく、レイプは本当にただのレイプでしかなく(愛情があったとしてもレイプはレイプですが)、あとあと好きになって、「ああなんで俺はあんな最低なことをしてしまったんだろう」とどうしようもない後悔を抱くのが残酷ですよね。
せめて、別の感情が勝っていたとしても少しくらい好意があれば救われたかもしれないのに、受けをいじめる人間に腹を立てながら、でも自分もなにも変わらないなと思うのが卑下でもなんでもなく事実としてある。
そう反省するなら手を出すなよと思うのに、どうしたって、感情がショートすると衝動を制御できなくて言葉を尽くすより先に手が出てしまう攻めを馬鹿だなあと一蹴出来ないのが、樋口先生の書かれる人間の魅力なのかなと思います。

樋口先生のインタビュー記事で、この話の登場人物は何かしらが足りない、とおっしゃっているのを見て、登場人物たちの歪な感情がしっくりきました。
誰かから見て、完璧で、なんでも持っているように見える人間も、どこかなにかが欠けていて、そのせいで少し生きづらかったり、どうしようもない失敗をしてしまったりする。
そんな彼らが、欠けている部分をなにかで埋めるのか、埋まらなくても生きていく術を身につけるのか、噛み合わない攻めと受けの会話も含め、続刊でどうなるのか楽しみです。

暴力もレイプも同意のない性行為もすべてダメだからね!!!!と思いながら、それらをトリガーにして進む話は同時に絶対に穢されない美しいものを見せてくれるので、べしゃべしゃに泣きながら読みました。

6

読中の痛みから目を逸らさないで。読み応えに変わるから。

何もここまで痛めつけなくても…と最初は思いました。
序盤から受のネガティブな独白と不憫なアクシデントが続きます。
シンクロしてズブズブと沈んでしまえば、読むのは相当しんどく、思わず手を止めてしまいそうになる。
慣れ親しんだBL=ファンタジーの世界感とは対照的な愛のないレイプという辛口なテーマ。テンプレートから外れるからこそ、気持ちの良い感情だけでは読み進められません。
初回は気持ちにゆとりを持って読むことをお勧めします。

それでも、ただ、一つ言いたいのは、
次巻も含めて最後まで読んで欲しい。
途中で挫折せずに読み切って欲しい。

当初感じた痛みや辛さは、読み応えに変わっていくから。
その読み応えは上っ面のときめきやスリルじゃなく、この作品でしか味わえない価値のあるものだから。
決まり切ったストーリーやテンプレートの恋愛では満たせないものがそこにはあるから。

逆に言えば、登場人物の痛みに上手く乗れなかったり、拒絶で物語の内容が入らないのであれば、この作品の面白さは半減します。
単なる「カラダ先行・両片思い」系のお話に括られてしまうかもしれない。

でも、実際は違うと思う。
既存のBLとは異種のものだと思う。

前半「わたしにください」は受の崎田が理不尽な境遇の中でボロボロになりながらも再生し、レイプ加害者で攻でもある森尾への気持ちを深めていくまでが描かれます。
後半「あの子がほしい」から、攻視点となり森尾の感情がフィーチャーされます。
ここにきて、それまでのもやもやが嘘のように作品に引き込まれました。

セルフ突っ込み満載の攻視点で浮かび上がるのは、あまりにも愚かで、浅はかで、臆病で、いびつで、哀れな青年の姿でした。
勝手にレイプして、勝手に罪悪感を持って、勝手に好きになって、勝手に嫉妬して傷つけたり、手を出したり。そしてまた勝手なルールで自分を戒める。
情動と、懺悔と自分ルールと、言い訳で雁字搦めになりながら受を振り回す攻。
言葉だけ並べると相当に最悪な人物。
でも不思議なことに、「あの子がほしい」を読みながら、私はこの愚かな攻めに対して愛しさを感じるようになり、気づけばこのパートをリピートしていました。
よくある攻めザマアとは少し違いますが、弱さやいびつさ、狡さを散々に露呈し、なお罪深い攻がもがく姿には心打たれるものがあります。

このあたりはさすが樋口作品。
衝撃的ストーリーやマイナスの感情を惜しみなく出して心を揺さぶりながら、気づくと愛しさや面白さに昇華させてくる。
結果、心に残る作品になる。

当初は受の境遇に対して心を痛めていたはずが、いつの間にか愚かな攻の罪深さに心を痛めるようになっていて自分でもびっくり。


最初、直観的にこのレイプ展開は嫌だと感じました。
きっと他にもそう感じる人は多いと思う。
でも、その嫌な感情ごと、この作品の魅力でもあるのだと思う。
それがなくても恋愛小説として成り立たせることはできるけど、際立たないし、心を掴まない。
何よりこの攻めの愚かさと罪深さを出すことはできない。

不快だったけれど、読んで良かった。
そんな矛盾した感想を初めて持った作品でした。

この哀れで愛しい攻の愚かぶり、次巻に続きます。

4

ばたん

読了後、このレビューを読めて良かったです。

感想

とっても良かった!!!しんどくて最高に萌えました、、、。

黒田くんがいい人すぎて途中本気で「路くんあなた森尾はやめて黒田くんと付き合ったほうがいいんじゃない??」と言いたくなりました笑

でも路にとっての森尾は昔からどうしようもなく魅力的で憧れで、自分を見てくれないから嫌いになっちゃうくらい(無意識に)恋してしまっている。
森尾はどう考えてもズレててやばい奴だろ〜と私は思うけど、恋しちゃってるならこればっかりは仕方ない。

森尾は森尾でどこか欠けている自分に苦しんで、あとからあとから自分のしでかしたことを悔やんでてどうしようもないやつ。

でもそんなどうしようもない男をきっかけに、卑屈だった路が勇気を出して自分を変えようと努力しているから、絶妙なバランスで成り立っているふたりだなあと思います。

などなど、 

真面目な感想を抱いている自分ももちろんいるのですが、それとは別で「受けちゃんがかわいそうでかわいい、、もっと痛めつけてもいいのに、、めちゃくちゃに萌える、、」という欲望に忠実な自分もいます....
ここまで痛めつけてくれる作品はなかなかないのでありがたいですね...
ごめんなさい、、、現実でのいじめや強姦を擁護する気持ちは一切ないので許して、、、。

「あの子がほしい」
トラウマに苦しむ路とそんな路をみて死ぬほど後悔する森尾、という状態に大変萌えました。
森尾視点で、路のことを(心の中で)かわいいかわいいしてるのも良かったです。

路視点の「あの子にあげたい」とあわせて見事にふたりが両片想いですれ違ってるのも切なくて最高でした。

0

違い過ぎるが故に起こるすれ違いにジレジレ

今回は顔が良く運動ができ成績も悪くないクラスの中心的生徒と
クラスメイトから名前で呼ばれない学級委員長の生徒のお話です。

受様が攻様に組み敷かれた事を発端に2人の関係が変わっていく本編に
それぞれの視点による後日談短編を収録。

受様は生来視力が弱く体力もないことから運動も苦手で地味な生徒です。
クラスでは雑用係の代名詞のクラス委員長をしていますが、誰もが受様
を名前ではなく「委員長」と呼ぶような存在でした。

対して受様と小学校の頃からたびたびクラスメイトになり、今年も同じ
クラスとなった攻様は外見も良く運動ができてバスケ部で活躍し、成績
も悪くない上にクラスのカリスマ的存在でした。

受様はどんなに努力しても恵まれて生まれてきた者にはかなわない、と
諦めてもいましたが、受様の努力の十分の一程度で、受様の十倍のこと
ができる攻様が嫌いでした。

受様は勉強くらいしか趣味がないけれど、それも人より努力して頑張て
結果が出せているのです。クラス担任である数学教師は受様を私立の
有名大の指定推薦枠の候補に推してやったと得意げに言いますが、担任
は受様の為というよりも毎年自分のクラスから推薦者を出している事が
自慢のようでした。

受様は自分がクラスで浮いているから、気にかけてくれているのかもは
思いますが、頼みもしないのに推薦してやったと言う担任にはいい印象
を持てずにいました。

今、受様と推薦を争っていたのはバスケで活躍しているある生徒でした
が、担任は受様に彼が喫煙しているところを見たと偽証させることで、
まんまとその生徒を推薦枠から除外させることに成功します。

ところがその生徒は攻様の親友で、母子家庭で育った友人が推薦を外さ
れた事に憤慨して受様を攻め立るのです。受様はそんな攻様の言動に
更に傷つき、怒りのままに悪口雑言を口にしたことでさらに攻様の怒り
を買って強姦されてしまうのです!!

しかも心身共に打ちのめされた受様が、なんとか気力を振り絞って登校
した翌々日、今度は数学準備室に受様を呼び出した担任教師がいかにも
受様が推薦枠を取りたいがために偽証したかのように言って、受様の
身体に触れてきたのです!!

幸いにも連れ込まれた準備室にやってきた生徒によって、受様は実質的
な被害を免れ、担任は放校となりますが、翌日登校した受様を待ち受け
ていたのは、酷い中傷と嫌がらせで!?

WEB小説誌連載作をまとめての文庫化で、クラスの中心的存在であり、
自分とは何もかも正反対な同級生に惹かれる生真面目なクラス委員長
の恋物語になります。

昨今のBLではあまり見かけなくなりましたが、昔のBLの学園ものだと
主役2人の関係が強姦から始まるってわりとよくありました。攻様が
辛抱たまらずで押し倒すか、気に入らなくて報復でヤるという違いは
ありましたけど、される受様のダメージは1択です。

本作のように何とも思っていないからこそという手合いは珍しいです。
しかしながら樋口先生の他のシリーズでも強引に体を奪う攻様って
かなりいらっしゃるので、あまり苦手意識はなく手にしました。

きっかけがきっかけだけに痛いシーンや展開はありますが、それによ
って受様と攻様がどのように関係を変化させていくのか、何を感じて
気持ちを変化させていくのか、ドンドン引き込まれて一気読みしてし
まいました。

樋口作品の多くは弱い立場である受様が逆境の中で新たな道しるべを
見つけだして強くなっていく姿がメインテーマなのでしょうけれど、
私は己の才格のみで自分主体で生きてきた強者ある攻様が初めて自分
とは違う立場の受様を受け入れた事によって、自分の中の驕りに気づ
き変わっていく姿を描く姿のほうにより強く惹かれます。

攻様は何できるが故に他者に多くを求めず、自分と同等のものしか
認めません。というか認識できないゆえに受様を深く傷つけるので
攻様が自分の過ちに気付くのは受様がさらにひどい状態に遭遇した
からというのが、受様にも攻様にもイタ過ぎます。

それ以降は攻様もかなり頑張りますけど、受様が攻様を赦しても攻様
の真意は全く受様に伝わらないというジレジレな状態で次巻待ちは
辛すぎます (>_<)

ハピエンはお約束かと思いますが、12月が待ち遠しいです♪

今回は樋口さんの既刊から『愛はね、』をお薦めとします。こちら
も連作です。『ぼうや、もっと鏡みて』とセットでお読みください。

4

ふるきよき

正直な評価ですと、内容が昔っぽいなとおもいました。そこがいいんですけど今風の本が好きな方だと違和感覚えるとおもいます。
路くんが最初と最後で性格がガラリと変わったり普通にありえないことされてるのに嫌に受け止めるのが早かったりご都合的なテンポで話が進むのに主人公補正がかからない痛い展開が続いたりするのですが痛い痛いと思いながらも読んじゃいますね笑
私は昔の痛い展開が好きなので良かったです!攻め視点で路くんの可愛いところがもっと見たかったです。
あとネタバレですが受けの設定平凡になってますが、メガネ外すと可愛いと言う設定なのでそう言う展開が好きな方はいいかと思います。

4

攻めが人気者だけどクズで受けが不憫で健気な優等生

ちょっと気弱で臆病な受けが追い詰められて嘘を強要され、断れなかったことから不幸の連鎖に巻き込まれていくことになります。

誤解や思い込みから理不尽に心身ともに痛めつけられ、それでもうつむいてばかりじゃなく頑張って道を開いていく展開は結構好みです。

しかし、何の罪もないのに繰り返し暴力を受ける展開はきつかったです。
中でも攻めが友人を不利な立場に追いやられた腹いせや八つ当たりに強姦しておいて実は好きすぎて襲ってしまった、でも後悔してるとは言ってもよくも許せるものだと思いました。
教師や生徒からの性的暴力もうやむやにしてしまうのは気になりました。
時代背景が現代でないとかファンタジーな世界観なら仕方ないでしょうが現実感のあるリアルな高校生活だと思うとそこまでの不幸を用意しないと描ききれないのかと、痛いのが好みじゃない自分には向かないかも?と思いながら読みました。

受けが現状の不幸に飲み込まれず、お礼を言おう、謝ろう、大きな声で挨拶をしようと努力や反省をして最悪の事態から這い上がる語力をするところに好感をもちました。
優しさや理解ある同級生の手助けや励ましもあり徐々に回復していく過程に安堵しました。

それに引きかえ攻めは反省したり自分を変える気持ちが芽生えてもなかなか実行に至らないとか自分の感情を優先することが多くて幼稚に思えました。
けどそれが母親の病死による別れから未熟なままの他者への思いやりや情緒を育てる機会を持てなかったのではなかったのかと思うと情状酌量したい部分ではあります。

この両片思いの二人がいつお互いの思いに気づけるのかジレジレしながら読みましたがとうとう最後のページまで気づけないままで終わりました。
っといわけで次巻につづきます。

最後の書き下ろし短編が心が洗われるようなほんわかする優しいおはなしでした。
母親が子供思う気持ちが母親の中だけにある大切な記憶という心にしみるお話です。

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