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表題作王と獣騎士の聖約

ネヴィル
忌み嫌われる黒獅子の一族の始祖
ユリウス
18歳,ジーンヴェルグ王国の若き国王

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

若き王が穢れたケモノに国と自身の命運を賭す、人外ファンタジー♡

たかが隣国との親善試合、
けれど負ければ民も領土も奪われてしまう――。
雌雄を決する試合直前、頼みの騎士に逃げられ、
命運尽きかけた若き王・ユリウス。
家臣の大反対を押し切り、唯一の望みを賭けたのは、
最強の魔獣――同族喰いとして忌み嫌われる、
黒獅子の始祖だった!!
「俺の力が欲しければ、お前の精気を喰わせろ」
危急存亡の時、屈辱を呑んだユリウスは、
穢れた獣と契約を交わして!?

作品情報

作品名
王と獣騎士の聖約
著者
かわい恋 
イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199009754
4.1

(58)

(32)

萌々

(12)

(10)

中立

(1)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
8
得点
239
評価数
58
平均
4.1 / 5
神率
55.2%

レビュー投稿数8

予想以上に面白かった

挿絵が内容とマッチしていて、凄く綺麗。
2019年発刊、ちょっと古いけど絶賛高評価が多かった。
 期待を裏切らない内容で、しっかり構成されていて山場もしっかり。


若い王と、同族食いで嫌われる魔獣始祖の恋。

美貌の若王ユリウスは、国を守る為に自分を捨てて、魔獣と契約を交わす。
嫌われる魔獣ネヴィルは、実は恋人に一途で健気。

ユリウスを苦しめる悪役はしっかり悪役。

描き下ろし番外編は「始祖のしるし」
ユリウスは、聖騎士になる。

難を言うなら、
ユリウスとネヴィルの勝利で終わっていて、
ユリウスがアレンに譲った国の再建がどうなったかが書かれていない所。

0

ビックリの連続

甘そうなお話だな〜と軽い気持ちで読んだらそうでもなくてビックリしました。

まずプロローグでこれは受け視点?攻め視点?と思うのですが明記なく、分からないまま本編へ。

他国の宰相の策略で国のピンチになり、王は忌み嫌われる魔獣の元へ行き、ピンチを脱するのですが「あ、めでたしめでたし〜」と思ってるとあれ、これまだ話が始まって序盤だ…となります。

王が国を守るためとはいえ、魔獣に体を差し出すというのは外聞も悪く、二人だけの秘密の関係で…あれ、これハッピーエンドと遠くないか?とここで疑問を持ち始めます。

そこからの二人の関係が露見し、二人はどういう関係を求めるのか…という流れですが全てを書くと面白くないので割愛しますが、色んな意味でビックリの連続でした。展開の多さや黒獅子の設定、そして二人の選択。

そして最後まで読んでプロローグが意味を持ちます。二人は二人だけの愛を全うしたんだな…となるわけです。甘いお話だと思って想像しながら読んでたら全然思ってた展開と違っていい意味で裏切られて気持ちよかったです!

2

王様頑張る

表紙に惹かれていた一冊、ようやく読めました。さらっと読んでしまったですが、読後感は良かったです。王様頑張ったので萌2よりの萌にしました。かわい恋先生の初Chara本、本編280P+あとがき。

ジーンヴェルグ王国は隣国との親善試合に近年負け続けていて、今年はとうとう国自身の存続をかける羽目に。大変な力を持つ炎竜の騎士がいるから大丈夫と思っていたら、なんとその騎士が試合を前に寝返ったものだから、国を挙げて力のある聖騎士を探し始め・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
イルギル(隣国の宰相、爬虫類系)、アレン(受けの弟)、リリー(受けの近衛騎士♀)、クロード(炎竜の力を持つ聖騎士)、ワイズマン(騎士団長、渋い)、トニ(聖騎士)ぐらいなはず。

++攻め受けについて

攻めは寡黙で孤独な人間嫌い。人間から嫌われている黒獅子だから、よけい人間となれ合おうなんて考えていない。それが必死な王にほだされて&昔の恩返しもあって・・というところはすんなり読めますし、そもそも寡黙で不器用な男って好きなんですよね。黒獅子になるんですけど、大小サイズ自由自在みたいで、猫サイズになって受けの膝の上であくびする挿絵なんかは超キュート!(神絵だわ)
そして極めつけ殺し文句は「俺を食ってくれ」。リアルなんでちょっと怖いですが、ここまで言われるなんて・・とちょっと羨ましかったです。

受けは清廉潔白、超絶美人な王様。国と国民を守るため、ほんとよく頑張ったと思います。国のトップたる方、こういう方であってほしい、ほんとに。

攻め受けとも嫌いではなく好きなタイプなんですけど、あとちょっと何かが足りなかった。お話としては面白かったし、ファンタジーとしてとても好きな終わり方だったんですけどね。もっと攻めが可愛い(≧▽≦)と思えるタイプの方が好きなのかな。難しい。

2

異なる種族が出逢ったら

善き王、とは何だと思いますか?

経済を発展させる力を持つ者?
国力を更に高めようとする者?
国民の声に耳を傾ける者?

きっとどれも正解なのだと思います。
今作の主人公であるユリウスは、まだ18歳という若さでありながら、代替わりしたばかりで先王時代から国力が落ちつつある国をどうにか支え、時には自らを投げ打ってまで国や国民の事を第1に考え行動しようとするとても心根が強く美しい強い王でした。

窮地に立たされた1人の美しくも若き王と、人間に忌み嫌われる種族の出会いが、2人だけではなくやがては国の運命までもを変える大きな出会いへと変化していくお話。
ファンタジー色が強い印象を受けるかもしれませんが、お話に無理がなく非常に読みやすいです。
全編受け視点です。


この世界には聖騎士と呼ばれる、人の姿にも獣の姿にも変容出来る人間離れをした特殊な力を持つ者が存在しています。
騎士として鍛錬を積み、獣の一族に請願し力を分け与えて貰う事によって命懸けで聖騎士になる者がほとんど…と、決して数は多くはありません。
生まれながらにどちらにも変容出来る獣の一族も存在するものの、そちらもごく少数な上、滅多に人と関わり合いにはならずにひっそりと暮している。
そんな聖騎士を何人有するかによって、国自体の強さにまで影響を及ぼす大きな存在なのですね。

先王時代から始まり、いつしか国家の命運をも賭ける事となってしまった隣国・トールとの聖騎士親善試合。
この試合に負けてしまえばジーンヴェルグ国は終わってしまう。
窮地に立たされる中、竜の力を持つ国唯一の聖騎士が隣国側へ寝返り、更に窮地へと追い込まれていきます。
竜の力に対抗出来るような頼れる聖騎士は居らず、ならばもう己が聖騎士となって戦うしかないと決意したユリウスは、黒獅子と呼ばれ忌み嫌われる者・ネヴィルに助けを乞いに行き…と続きます。


「黒獅子」とは、同族を喰らう野蛮な生き物として忌み嫌われる存在。
しかし、物事の善悪とは一体誰が決めたものなのでしょう?
種族や生まれ、育ちが違えば価値観も異なるもの。
人間が畏怖していた、同族を喰らい・喰らわれる行為は、愛し尊敬していた者を体内に取り込むという、彼等にとっては最上級の愛と尊敬の念を込めた神聖なものだったのです。
愛しているから喰らう。愛しているから喰らって欲しい。
ある意味究極の愛なのではないでしょうか。

片や、国を守り助けるために。
片や、その対価として精気を得るために。
利害関係の一致から生まれた身体の関係が、いつしか互いを深く知る事によって違うものへと変化していく。
2人ともが自身の考えを押し付けず、まずは理解しようとする人なのが素敵だなと。
2人の関係性と心情の変化はもちろん、国民のネヴィルという存在に対しての誤解が解けていく過程もなんとも自然。
民と国を第1に想う高潔で気高い心を持ち、決して守られるだけの存在であろうとはしない美しいユリウスと、寡黙で不遜なように見えて、実は孤独で一途で愛情深いネヴィル。
どちらのキャラクターも魅力的で好感が持てました。

数ある展開も読み応えがあり、悪をそのままにせずばっさりと粛清するのも、手に汗握る迫力のある戦闘シーンも良かったです。
ユリウスの選択にも、その後の行為も納得のいく結末で、本当に話の運びが上手い。
かわい恋先生の新たな一面を見た気がしました。
すっきりとした読後感が心地良いファンタジー作品。

7

勧善懲悪と純愛

かわいさんのご本はそれほど読んでいないのですけれども、読む度に「親切な文章を書く方だなぁ」と思います。
私はどちらかといえば『早読みの読み飛ばし』屋なので、バトルシーンとかの描写が解り辛いとイライラするのです。今作にも何度か出て来るのですけれど、非常に解りやすい。特に、ユリウスが鷲に酷似した魔物に襲われて反撃するシーンがあるのですけれども、これ、大鷲の足を剣で突き刺すという、ちょっと一般的ではない戦い方をするんですね。何故そうしたのかも含めて、ここがとってもスッキリ書かれていてストレスフリー!

登場する人たちの心の動きも、とても素直なんですね。
国を救うためにユリウスは『同族喰い』をすると忌み嫌われている黒獅子の魔物、ネヴィルを自国の聖騎士に迎え入れるのですけれども、割と早い段階で彼の本質が単なる『穢れた者』ではないと気づきます。
最初はネヴィルを疎んじていた騎士たちも、恐れていた国民も、彼に守られていくうちにユリウスと同じ様に感じていくあたりなど「長い間培われて来た偏見は覆しがたい」という言葉とは裏腹に、素直な良い人が多いんですよ。

親善試合が終わった後も、次の聖騎士が決まるまでネヴィルを自国に留めておくために、ユリウスは自分の体(精気)を差し出す契約を行いますが、前述の様なこともあり、悲惨な感じはしません。
どっちかって言えば『たったひとりで生きていこうとしているネヴィルをどうやってユリウスが救おうとするのか』という部分が興味の大半を占める感じで。
で、この素直な若き王ならば必ずそれが出来るだろうと思っちゃえるものですから、いわゆる「ハラハラドキドキ」だったり「うわー、切ねぇ……」という感じは少なかったです。
その分、2人の純愛は際立っていました。

切ないという点では、お話の初っ端にユリウスを裏切り、悪役(もう、絵にかいたような悪役でしたが)のイルギル方についた炎竜の聖騎士、クロードの末路が切なかった。
後先考えない馬鹿な子だっただけなのにねぇ……ただ、クロードが救済されない潔さには満足ですが。

4

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