鳥籠の扉は閉じた

torikago no tobira wa tojita

鳥籠の扉は閉じた
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神36
  • 萌×217
  • 萌12
  • 中立2
  • しゅみじゃない12

--

レビュー数
14
得点
286
評価数
79
平均
3.8 / 5
神率
45.6%
著者
宮緒葵 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
立石涼 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403525018

あらすじ

あたたかい食事と快適な部屋、欲しいと思う前に与えられる服や本。すべてが完璧に整えられた箱庭、それが雪加の住む世界だ。偽りの平穏の中、見えない男の存在に頭がおかしくなりそうで、ある日雪加は逃げ出した。だが自由を求めて海に入った雪加の肩を掴む手があった。斑目帷、雪加の支配者。彼は凄絶な美貌を歪ませ、こう告げた―逃げなければ追わなかったのに。執着と恋着がおりなす幼馴染み同士の絶愛。

表題作鳥籠の扉は閉じた

斑目帷,24歳,指定暴力団組長が芸妓に産ませた子
桐嶋雪加,24歳,実の父と継母に虐げられて育つ子

その他の収録作品

  • 鳥籠の扉は開いた
  • あとがき

レビュー投稿数14

物足りない

受けの心境変化の描写が足りない。
屈辱に慣れて諦めかけ、安心すら感じ始めて、何らかのきっかけで依存が恋心に変化し続ける…こういう変化こそ監禁物の一番見所だと個人的に思う。
受けは監禁される前から攻めが好きなわけでもないし、真相も知らないのになぜ急に攻めに思い寄り始めたのか本当に謎だ。攻めも思考がすごく歪んでいる。こんな攻めならいっそバッドエンドにした方が自然だと思う。ハッピーエンドの監禁物書くには一見理不尽な物語に理をつけて読者を納得させる筆力が必要だ。今回はちょっと残念。

0

理不尽さについていけるか?

宮緒さん、大好きな作家さんです。あなたの書く執着攻めにいつもハラハラドキドキしてきました。
対等ではなく攻めの策に墜ちる受け、本当は苦手なのにあなたの作品ではいつも萌✕2か神をつけました。

しかし今作は自分を恥じます。

攻め帷の一方的な言い分、勝手に決めたルール、生殺与奪を握りタイトル通り受け雪加を小鳥と呼び鳥籠に閉じ込めて。
一度は出してもそこは箱庭。全てをコントロールしてさらに雪加を追い詰める。

あぁ、スラスラ読めてさすが宮緒さんだと感心するも初日は半分も読めませんでした。

なぜ就職したら裏切りなのか?ルームシェアでもして一緒に住めば?そうして雪加を親から守る方法は選択肢に無いの?
誰にも見せたくない見てほしくないなら今まではどうしてたの?
雪加とずっとそばにいる為に力を付けたいなら、別に鳥籠に閉じ込めなくても出来たのでは?
雪加に恨まれようと憎まれようと絶対に愛されなかろうと手放す気はない。同時に雪加を守る。
なぜ雪加はそんなに庇護しなきゃいけないの?成人男性なのに。

初めて守ってもらったから愛してしまう。一生一緒にいる、守り抜く。親友として10年近くそばにいて抱きしめたり添い寝もしていたのに、なぜいきなり裏切られたら犯すの?
どうやって雪加や家族を監視できたの?衛星?監視カメラ?

と色々ツッコミたくて途中で読むのを止めてしまいました。しかしレビューも多く評価も高い、宮緒さんの作品を最後まで読まないなんてと2日目でなんとか全部読みました。

配下の坂本の命懸けの行動でやっと帷の心を開かせ雪加も帷を許せて。

帷の全ての原理は雪加。愛されなくても雪加を捕まえる。そして事件かキッカケがありこれまでの動機や策をネタバレするのは今までの作品と似ています。

なぜ今作は違ったのか。
うーん、やはり監禁して日付や時間の経過すら情報を遮断し、自分の性器に振れることさえ禁じ、衣服も与えず飼い殺し、しかも理由が繰り返しですが帷の一方的な言い分と勝手に決めたルールなのがなあ。
あと迫力で雪加を脅して屁理屈を通して言いなりにさせたり。
壮大な箱庭で徹底的にコントロールしたり。

最後の最後でやっと気持ちが通い鳥籠から出て普通に二人で暮せますが、半年経ってもまだ帷は雪加に逃げられる恐怖があるようで。ま、自業自得ですが。

受けの家庭環境が悲しくて親友として雪加を支えてくれた年月は決して偽りとは言い切れない、忘れられない雪加。ドン底まで落とされても帷を憎めない離れられないほっておけない、芯の強さがあって本当に良かったです。
帷は日本最大最強の暴力団の組長ですからね。狂わないでいてほしいもんです。

読んでるこっちまで頭がおかしくなりそうでした。
それを最後まで読ませる文章力とストーリー、さすがです!宮緒先生。
読後感は軽く爽快感すら感じます。

0

囚われたのは・・・


友人でありたかった男と人生をかけて守りたかった男

表題作と書き下ろし「鳥籠の扉は開いた」の2編。

表題作は、子供時代に横暴な兄たちから庇ってもらって以来、一生守ろうと決めたの樋代組組長の妾腹の3男・帷(攻め)が家族の輪からはじき出されている同級生・雪加(受け)を守るため力をつけ、雪加を守るために大きな鳥籠の中に閉じ込めてしまうまで。
書き下ろしは、その後雪加が帷の真意を知った上で再び共にいることを選ぶまで。



物語初め、すごく不安を感じる雪加の生活が印象的でした。
普通のサラリーマンとして仕事をしているのに何故かとても不安になるのです。
独り暮らしのはずなのに、少し目を離したすきにメイキングされているベッド、用意されている食事に弁当、風呂、出勤時のスーツ一式の用意、欲しいと思ったものがプレゼントされている、等々。
ここは小人さんがいるファンタジーの世界なのだろうかとでも思わなければ怖くて仕方がない。
そして、その状況に耐えられなくり逃げ出そうとして結局捕まるのです。


明かされる真実が驚きでした。
鳥籠に囚われたのは帷が雪加を自分だけの世界に閉じ込めたかったからだと思ったら、実は雪加を父親の殺意から守るためもあったとは。
いくら離婚した相手との子供とはいえ、血のつながった我が子を殺そうとまで思えるほど情が湧かないものなのだろうか。このクズ親には相応の最期だったと思います。
真実を知ったら雪加が傷つくだろうとすべてを黙って憎まれてもいいからと真実は口にしない帷。
二人がちゃんと話合わないためすれ違っていることを心配する部下の坂本が一番苦労していました。何度も半殺しにあって気の毒。


帷は雪加を神聖視しすぎなのです。
雪加が生まれたての赤ちゃん並みに弱いとでも思っている帷には呆れます。
確かに父親と義母に家族の輪から放り出されたことに傷ついていたとは思います、
でも帷がいて慰めてくれたとはいえ、ある程度図太い神経の持ち主だったからこそ、あんな屑親のもとでも生きていけたんじゃないかと思います。
鳥籠に入れられていた時も、理性があるときは(大体抱き潰されているためとても少ない)相手の意図を理解し、行動に移せる行動力もあって決して弱い存在ではないということがわかります。
それをいち早くわかったのが世話係の坂本で、見る目が曇ってしまって暴走してしまったのが帷でした。
横暴でなんでも言うことを聞かせていたように見えて、実は雪加に支配されていたのは帷だったという構図。


この作者様の話は二人の世界で閉じたままで終わることが多く、読了後不安になることが多いのですが、今作ではちゃんと文字通り命を懸けて進言してくれる部下もいるし、雪加も黙っているほうではないので扉は完全に閉じておらず、これから少し明るい未来を想像できる終わりだったのがよかったです。
とはいえ、極道の組長というだけで若干不安はありますが...。
雪加に何かあったら確実に帷が狂うので、二人には誰にも邪魔されず(被害者が増える)死ぬまで仲良く一緒にいて欲しいものです。

0

鳥籠に囲われて居たのは…?

まず初めに、かなり人を選ぶ作品だと思います。
私は夢中になって読みました。
ディアプラスさんでこういった内容のお話は珍しいのではないでしょうか?

表紙のイメージとあらすじから、痛い系の作品なのかなと想像しながら読み進めると、序盤・導入部分ですっかりと惹き込まれてしまいました。
社会人として働く雪加の一見普通に見える日常の中に、ひっそりと紛れ込んでいる少しの違和感と優しい毒のようなものがじわじわと広がって、読者に何とも言えない不気味さを味わせてくれます。
何ひとつとして不自由なく暮らしている雪加が、何かに怯え、必死に逃げようとしている。
ふとした時に感じるほのかな梔子の香り。
もうこの時点で面白いんですよ。先が気になって仕方がない。

そして謎めいた雪加の過去編へ。
帷と出会った幼少期〜大学生までが語られる中で、小さな思い違いがやがて大きなボタンの掛け違いとなり、やがて鳥籠の中へと入れられてしまう事に。
2人ともなかなかに重た目な家庭環境だったせいか、依存レベルは違えどお互いに依存をしているのが随所に見られますね。

雪加視点で語られる今作。
しかしながら、何故か帷ばかりが気になってしまいました。
雪加第一の、それはそれは深い執着愛をこれでもかと常軌を逸したレベルで見せ付けてくる帷。
雪加を手に入れたい、自分だけを見ていて欲しい、閉じ込めてしまいたいと、雪加の為ならば人生をかける事すらも惜しまない。
準備周到かつ、抜かりのない徹底的な囲い方がすごい。
衣食住・そして性。その全てを自分が与えてやりたいという執着っぷりがいっそ健気なくらい。
逃げられないほどの甘い快楽で雪加を溺れさせ、徐々に感覚を麻痺させ、自分だけに意識を向けさせて行く…こちらも見事でした。
プレイ内容は盛り沢山ですが、帷が終始甘いです。

雪加を愛し守る為ならば嫌われても良い、ただ傷付けられる事なく綺麗な世界で幸せに生きて欲しいだけという、どこか信仰にも似た一途さ。
たまに見せる子供のような表情がたまりません。
後半に明かされる真実で、帷に対して可愛さすら感じてしまいました。
その一方で、雪加の弟の聡志に対して、彼の弟だからといって扱いに全く容赦がなく「間接的に雪加を傷付けていた存在」という憎悪しかなかったのも、本当に雪加にしか興味が無い狂気にも似た愛情を感じてゾクゾクしました。
聡志はちょっとかわいそうでしたが、今後坂本さんに救われたりしないかななんて。
オークションシーンには古き良きBLの空気を感じます。

それから、先生が意図して付けられたかどうかは分からないので勝手な想像となってしまうのですが…
帷(とばり)という名前に、雪加・もしくは雪加と居る時の自分という、鳥籠の中の世界と外界との隔てのような意味合いを感じて、ぴったりだなと。

このお話を面白いと思うか、痛いと思うか、怖いと感じるか、好きか嫌いか。
この2人の関係を間違っていると思うか、有りだと感じるかどうか。
どちらにしても、読中・読後にこの2人の名前が付けられない関係について考えてしまった方は多いのではないでしょうか?
登場人物達の行いが正しいとか正しくないという些細な事は置いておいて、強烈な印象が残るお話でした。
ここまで印象に残るお話が書けるのは宮緒先生の筆力ならではと感じます。

個人的には優しめなハッピーエンドだと感じました。
果たして、囚われていたのはどちらだったのでしょうね?

1

あまり狂気は感じられなかった

宮緒先生にしてはソフトな印象を受けました。
冒頭の雪加のアパートや会社の様子はサスペンスやミステリーを読んでいるようで、とても面白くて惹きつけられました。

異母弟の聡からのメールがきっかけで、雪加がアパートから逃げ出して海で帷と再会してからは、想像していた攻めとちょっと違いました。指定暴力団の組長という肩書きは恐ろしくても雪加には甘く、酷い事はしていなかったです。

聡をオークションに出そうとしても結局は雪加の頼みを聞いていたし、宮緒先生の攻めにしては狂気が少なく思いました。

0

執着攻に囚われるだけの受様では物足りない

今回はヤクザの組長が芸妓に産ませた妾腹の三男と
実父と義母に虐げられて育つ長男のお話です。

2人の出会いから受様が攻様の籠の鳥となるまでと
受様が両親の真の姿を知り攻様と新しい関係を築くまでを収録。

受様の両親は受様が小学生の頃に離婚し、浮気相手と再婚することが
決まっていて、受様はお互いに押し付け合った挙句に父に引き取られ
ます。

義母はあからさまに受様を嫌い、父も義母を咎めず、2人の間に生まれ
た弟のみを可愛がります。そのため受様は異様に人の顔色を窺う性格に
なってしまいます。

そして今、受様は24才という実年齢よりは幼くみられるものの、取り
立てて整っているわけでも醜くもないどこにでも居る青年に成長し1年
ほど前から今の独身者専用アパートで1人暮らしをし、商社勤めをして
います。

今朝はいつもより30分早く目覚めますが、キッチンに行くとテーブル
には湯気の立つ朝食が並べられていました。いつも見ている朝のニュ
ースを聞きながら朝食を食べ、寝室に揃えられたスーツ一式を着て出
勤します。

通勤途中でディスプレイで秋物の素敵なコートを見かけたり、好きな
作家の新刊発売を知らせるポスターに目を止めたりしながら会社につ
くと、データ入力の仕事をしているとあっという間に時間が過ぎます。
用意されたランチボックスの昼食をとり、午後も黙々と仕事に励み、
受様は新入りで下っ端ながらも真っ先にオフィスを出ます。

そして帰宅すると、食器は片づけられ、夕食が用意され、今朝見て
いいなと思ったコートと1週間先に発売されるはずの新刊がサイン入
りで用意されている事を知ると思わずキレかけますが、コートを纏っ
たように本も無視で着ないという理由で手にします。

そして翌日、出勤しようとして、創立記念日を利用して両親と熱海に
旅行に出かけたらしい弟から「一緒に温泉に入ろう」というメッセ―
ジが入ります。

誘われるままに行っても父と義母は表立っては文句を言わなくても、
彼らの家族だと認められていない受様が、家族水入らずの旅行の邪魔
者となるのは明らかです。

家族の中で受様を受け入れているのは弟だけで、必要だと、愛しいと
言ってくれたのは・・・ただ1人だけでした。それは受様に今の平穏な
生活を続けるために受様に全てを与え、拒絶を許さない条件をつきつ
けた攻様です。

攻様は指定暴力団組長が芸妓に産ませた三男で、花柳界に生きる母に
構われず、本妻や異母兄に虐げられ、学校でも誰からも遠巻きにされ
る子供でした。

攻様の背景に恐怖よりも共感を抱いた受様は彼に声をかけて友人とし
て接しますが、攻様が受様に抱いた感情は友情ではなかったのです。

そして1度は攻様に捕らわれた受様が外に出る条件こそが、攻様の望み
を拒絶しないという事だったのですが、受様は衝動的にアパートを飛
び出してしまいます。

しかし、スマートフォンを手放して適当な電車で県をまたいだ受様を
捕まえたのはここにいるはずのない攻様で!?

受様に執着する攻様に再び囚われた受様に未来はあるのか!?

雑誌掲載作のタイトル作に書き下ろし続編を書き下ろしての文庫化で、
宮緒先生お得意の執着攻の監禁モノになります♪

受様は父の仕事の都合で転校した先の小学校で攻様を知ります。それ
まで自分以上に不幸な人間はいないと思っていた受様にとって攻様は
自分と共通の痛みを知り、自分よりも不幸な子供でした。

受様が攻様と知り合った頃、受様の実母が亡くなります。母の相手も
事故死していて誰も看取る事の無い寂しい最後を迎えさせたことは
息子として胸が痛み、攻様宅に入り浸るようになります。

自分を要らない子と言い、それでも母のために本妻や異母兄のいじめ
に堪える攻様の傍にいたいと思い、攻様も初めて自分を守ってくれた
受様の傍に居る事を誓うのです。しかし、やがてその誓いが徐々に
変質していき、受様を縛りつけることになっていくのです。

雑誌でも読んでいまして、その時も攻様が受様を監禁した理由が受様
自身も知らない両親の企み故という攻様的な裏事情で攻様は良かった
のですが、対する受様が流されすぎていると思いました。

受様を守るために攻様は自分に目をかけている父親すら利用し、邪魔
な異母兄と本妻を追いやり、ヤクザの世界でも力をつけていくので、
攻様に抗する事は難しいのはわかりますけど、攻様の執着に拮抗する
ほどの良さが受様に見えないのですよね。

なので文庫化でどんな続編がつくのかと楽しみにしていましたが、
受様にもう少し頑張って欲しかったかな (>_<)

受様がどんな人であっても、攻様が惹かれ執着されてしまったら捕え
られてしまうので、執着攻に対する受様の対抗策は少ないのはわかっ
ていますが、同じ男としてそれでも心情的に負けない、どこかで現状
を打破しようという強さが欲しいです。

本編では一時は逃れる事も出来たから、受様の中に譲れない矜持はあ
るはずなのです。そのあたりがちょっと物足りないので「萌」評価と
致しました。

続編は本編で攻様がかけ間違ったボタンを受様が掛け直していく流れ
で、抑えられ続けた受様が攻様を止めようと動く展開は良かったです。

3

つかまったのはどっちだったのか、というね。

 きました、宮緒先生の執着攻め。
一度は受け様である雪加を鳥籠に閉じ込めたけれど、手放さざるを得なくなったら次は自分が全てお世話する箱庭で見守る。
もちろん、その間にもっと強固な鳥籠を作る為に地位やら権力やら、がっちり力をつけてる攻め様である帳。
 鳥籠での帳もたいがいだと思ってましたが、箱庭での徹底振りは怖かったです。
受け様の全てを自分で満たしたい、と隙なく一挙手一動を見守り(見張り)は、脳内覗いてるんじゃないか、と思うくらいでした。
 耐えなれなくなった雪加が逃げ出して、海へ入っていくのを見た時の帳の恐慌を考えたら、そんな場合じゃないのに、私の萌え所で、ふへへへっとなっちゃいました。


 そんなこんなで、この2人どうなっちゃうのかな、と心配を残して雑誌掲載は終わり。
気になってたので、その後の2人が読めてよかったー。


 もっと強固な鳥籠に閉じ込められた雪加だけど、雪加の為に雪加の弟を地獄に突き落とそうとし、雪加の為に今度は弟を助ける帳の姿に、もっとちゃんと帳と話をして帳の事を知ろうとする。

 雪加は、自分が世界の全てという帳の執着につかまってしまってもいい、と帳の傍に居る事を選んだけど、帳こそが雪加という鳥籠につかまってたのか。
 鳥籠の外でも雪加が傍にいてくれる、という幸せがいまだに信じきれない帳がなんだかちょっとかわいく感じてしまいました。

 

4

この攻め、犬に非ず

宮緒さんのお話、好きなんですよね。
『犬攻め』が好きなんです。でも『蛇』はそれほどでもなくて。
そんでね、今回の攻めくんは『蛇のふりをした犬っぽい何か(犬に非ず)』だった様な気がします。
うーん……これはちょっと苦手かも。

お話の始まりはとても魅力的なんですね。
1人で暮らしているはずなのに、朝起きると準備されている食事、帰宅すると部屋に置かれているディスプレイを見て「いいな」と思ったコート、同僚は残業しているのに定時で帰ることを命令する上司、自分以外の人が暮らしているとは思えないマンション等々……「ホラーかい?」と突っ込みたくなるほど怖い。

で、宮尾さんのお話に慣れている人なら「ははぁ~ん」と思う様にお話は進んで行くのですけれども。
私が今回「こりゃ、私に会わないなぁ」と思ったのは、帷が雪加のことを『徹底的な無能者』としてしか扱わないことなんですね。
何度「自分の命を人質にして、その軛から逃げ出せよ」と読みながら思ったことでしょうか。「オラオラ、雪加、根性出せや」って(笑)。

帷が蛇男だったら良いんですよ。
でもそうじゃないのね。
彼は実は『犬の様な何か』なんです。
犬っていうのは飼い主に対して何かしらの尊敬の念を持っているものだと思うんですよ。宮尾さんの犬男は『大好きすぎて暴走』しこそすれ、そこの部分はいつもしっかりあったと思うんです。

うーん……幼少期の体験が強烈だったため離れられない2人なのでしょうけれども、どうも恋愛をしている様に見えないんですよねぇ。
特に帷は自分に都合の良い『幻想の雪加』を崇拝しているだけの様に見えます。
私が雪加だったら、確実に坂本さんに惚れるけどなぁ……

3

並の容姿

先生買い。これまでいくつか宮緒先生のご本を読ませていただきましたが、今一つ波長が合わなかったので中立より萌にしました。先生らしいお話だと思うので、「渇仰」お好きだった方だったら、いいんじゃないでしょうか。雑誌掲載分140P弱+その続き100Pほど+あとがき。

取り立てて整っている訳でもないが醜くもない、平凡な容姿の雪加(せつか)。2DKのマンションに住み、用意されていた湯気のたっている朝食を食べ、やはり用意されていた弁当を持ってスーツを着込んで出勤しという同じような毎日。なのにある日、義弟からの無邪気なメッセージを読むと雪加の心は変調をきたし、後先を考えずに飛び出してしまい・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
受けの父+義母+義弟、攻めの父親、兄s、部下、くそ政治家(後半)。

++内容に触れる感想

前半が凄くて。病みーーーーーーーーーーーーーーーーー
って感じで、うわ、これどうすんの、どうやって終わるの、これ救い無くない?と思ってたんです。
宮緒犬風味もあまり感じず。くすっと笑うところは一ミリも無く。

そしたら後半あらびっくり、そう来ましたか。という終わり方でした。
ここまで来たら、前半の病みまくったまま、受けの気がふれて正気を失ったのを抱きしめ続ける攻め なんて終わり方でも良かったのに・・なーんて考えたのがいけなかったのかな。
ディアプラスさんだからそんな終わり方には絶対しないのかな。
そう、後半はふと我に返った受けさんの勝利の図という雰囲気のお話でした。

繰り返しになりますが、前半あんなに病んだ雰囲気だったので、そのままでも良かったんだけどな。
後半になると、攻めの「病んでたのか?」という部分がただ単に受けを守りたかったというやや異常な執着心だったと分かって、ウーん‥私は少し肩透かしを食らった心地です。
ちょっと全体的に波長が合わなかったお話でした。残念。

5

スケールが桁違い!箱庭監禁執着攻め

今回も宮緒先生ならではの執着攻め。
監禁のスケールが違います!
部屋ではなく社会を巻き込んでの箱庭監禁。
自宅から会社まで 全てが管理され
決められた箱庭の中で 息の詰まるような生活

雪加の自宅で食事の世話から
着替え 家事の全てを
姿を見せずに遂行する帷
淡々とした日常が却って底知れぬ狂気を感じます。

忍者のような早業で 同じ空間にいるはずなのに
姿はなく残り香だけが…

周到な準備 それを実行できる財力と権力を
持ち合わせた 常軌を逸した執着攻め!
先生曰く 理不尽な一途攻めとの事

ただただ閉じ込めて 世間から隔離し
愛でて 雪加の囀りが聞きたい

帷の愛情は力技の一方通行なので
雪加にとっては意志の疎通ができない
理解できない とんでもない相手です。

徐々に明らかになっていく真実
ここからの展開が堪らないです。
一気にラストまで帷の一途な想いに
感動します。

そして宮緒先生の受けは 皆強くて美しい。
どんな攻めでも 受け止めて 呆れながらも許してしまう包容力。

読後清々しいです。
皆さんも書いてらっしゃる 雪加の弟が結構酷い目にあってたのが心配ですが きっと脇にいる良い人が何とかしてくれそうですね。

立石先生の挿絵が素晴らしい。
あるページで見蕩れてしまいました。

2

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