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六青みつみさんの作品は数冊目です。ファンタジーは合わなかったから現代劇なら!と期待して読んだのですが…うーん、残念、この受みたいなタイプの人は女性でも付き合いたくないなと思いました。恋愛対象としての男性なら…論外です。
この作品を一言で表すなら「萌えを遥かに凌駕する苛々の詰まった作品」でした。もちろん個人の感想ですよ。それぞれ違う意味で打算的な二人はお似合いですが、この先も同じようなことで同じように悩んでイジイジメソメソして勘違いしてお互いを振り回すんだろうな~と思うと少々ゲンナリしました。
親友に長いこと片思いしている…という設定は好きだったんだけどなー。
嫌われたくなくて我慢する受け、耐えられなくなって攻めから離れていくシチュエーション…私の萌えのツボをめちゃくちゃ押されました…
受けの洵は高校時代から攻めの剛志にずっと片想いをしていて、その気持ちがバレないように気を使って接しています。
剛志は美形でよくモテるので今まで何人もの相手(男女両方)と付き合ってきていて、洵はそれをずっと傍で見てきました。
その誰とも長続きはしていないんですが、バイである剛志が今の今までまったく自分をそういう目で見てくれたことがなかったことから、自分は魅力がなく剛志の恋愛対象外なんだ…と、想いが報われることは諦めています。
けれども離れることもできず…
頑なに本心を隠し、せめて一番心を許された友人としての立ち位置を守ろうとしているところが切ないです。
洵に自信がないのは従兄弟の煌も大きく関わっていて、洵に対しての歪んだ愛情が原因なんですが、美形で魅力的な煌には昔から洵に寄り付くものをことごとく取られてきているんです。剛志も例外ではなく、高校時代には付き合っていた期間がありました。
一度別れていたものの、偶然3人で再会したのを機に、よりを戻したことを知らされます。
そこで我慢に限界がきた洵は遂に剛志から離れることを決意するのです。
洵の、自分の想いに見切りをつけて、その後徹底的に距離を置こうとするところが潔くてよかったです。
剛志は、嫌な予感がしつつもいつも通りに接してくる洵に油断したところで目の前からいなくなられて、絶対に失いたくないと自覚して必死になります。
剛志の方も薄々洵の気持ちに勘付いていたものの、洵があまりにも隠すから確信が持てず、関係が壊れるくらいだったらこのままでいようと現状に甘んじていたんですね。
それで何とか探し出してくっつくわけですが、手放しで幸せにはなりません。
今度は別れる未来に怯えながら、わがままを言わず、嫉妬も見せず…嫌われないように必死で我慢します。
前半で両想いになるにも関わらず洵は最初から最後までず〜っと我慢して苦しんでますが、ちゃんと納得できる理由があってのことなので、もやもやすることなく読めました。
とにかく、こういう受けがひたすら耐えてる話が大好きで…
胸が苦しくなるような描写が多く、最後まで楽しめました。
あと、剛志の洵への想いが何となく好きとかじゃなくて、ちょっとしたことの積み重ねだけど明確に洵を意識するようになった出来事が書かれているところもよかったです。
洵のいいところにちゃんと気付いて選び抜いているところが嬉しい…一過性の気持ちではなく洵が特別なんだと伝わってきました。
六青さんは初読みだったんですが、普段はファンタジーを書かれてる方なのかな?…ファンタジー以外でこういう切ないのがあれば他の作品も読んでみたいです。
洵の想いに切なさを通り越し息苦しさを感じました。剛志がノンケではなく元々バイだからか余計に辛い。
おまけに剛志は洵の従兄弟である煌と付き合っていた過去もあります。この煌をはじめ剛志と付き合うのはいつも美形ばかり。自身を地味で冴えないと認識している洵が想いを伝えることすら出来なかったのも頷けます。
恋愛対象にはなれない。でも好きでいることを辞めることも出来ない。想いを伝えて嫌われたくない。今の関係を壊したくない。
もう八方塞ですよ。こんなにも思いつめるならいっそのこと振られるとしても言ってしまえばいいのに!と思ってしまいました。でも、それが出来たら10年も悩んでいないのでしょうね。
実は剛志は自分に向けられる洵の好意に薄々気が付いています。でも自分からその事を洵に聞くこともせず、今の関係に甘んじているわけです。ちょっと言い方悪いかもしれませんが(笑)
剛志と煌がヨリを戻したことで、遂に我慢が限界に達した洵は剛志と関係を断つべく彼の前から姿を消します。
ここからやっと剛志が動き出します。洵を失いたくないと強く思い、彼の居場所を突き止めます。そしてやっと長年の想いをぶつけ合う二人。いや~長かった。10年間何やってたんだと激しくツッコミたい気持ちを抑えられませんでしたよ。
何はともあれめでたしめでたし…
かと思いきやまだ早い!書き下ろし続編でまたもすれ違うお二人。
脇キャラが増え二人の仲が一層引っかき回されるのかと思いきや、一番引っかき回したのは結局煌でした。この煌が私はどうも好きになれず…
あと西嶋さんはどうせだったら二人が付き合いだす前に登場していた方が良かった(笑)剛志の独占欲が強いのは萌えでした。
ラスト数ページの展開が1番好きです。
洵が指輪を投げて去ろうとするのを指輪を拾った剛志が捕まえ襲うのですが、まあ剛志は怒ったというよりも悲しかったんですよね。それが滲み出ているのが切なくて!
だからこそ洵が「愛してる」と言った時は嬉しかったでしょうね。
片想いの切なさがバシバシ伝わってくる作品でした!
帯『嫌われたら、生きていけない』
学生時代からの親友で、二股をかけたりはしないものの付き合う相手と長続きしない城戸〔攻〕と、地味で密かに城戸を想っている洵〔受〕
美形で人目を魅く城戸と、洵の地味さ加減の対比は萌えツボの一つ。
そしてついに洵の想いが通じて、城戸と恋人同士になるのですが今までの彼の恋愛遍歴を知っているからこそ、自分達の恋愛も決して長続きはしないだろうとどこかで洵は思っている。
やたらちょっかいをかけてくるのがかつての城戸の恋人で、洵の従兄弟でもある煌。
煌は洵とは対照的で、外見も美形で派手だし気まぐれで我侭だけれど人を魅きつける魅力を持っている。
訳あって、煌は洵の家で育っているのですが煌は洵にちと捻くれた愛情を持っています、つまり彼に近寄るものは自分が排除する、的な。
そして城戸と洵とが恋人同士になってからも、ちょっかいをかけてきます。凄く邪魔という訳じゃないけど正直邪魔くさい。
城戸がやっと本当の愛というのに気付いたのと、洵の10年の想いが叶ってよかったなー、と。
好きシチュなので萌×2で。こういう設定に自分はもっそい弱いです。
この作品は私にとって思い入れのある作品でした。
当時、六青さんがデビューしていい作品を書く人だなと思っていたのですが、私の苦手なファンタジー作品が出たり、この作品に出てくる受けの洵があまりにウジウジしてイライラっとなり六青さんはそれ以来、読まなくなってしまったのでした。
ところが最近、読み返す機会があり再読。
なんとまあ、ウン年の時を経て洵は私の受けのツボとなっていたのでした。
確かにウジウジしているのです。
二人の今の心地いい関係が壊れるのが怖い、嫌われたくないから剛志の前で物わかりのいい友達になる。
心の中では嵐が吹き荒れていようとも、絶対表に出さない。
今更こんなこと気付かせない。
自分が耐えられなくなったら、気付かせないまま徹底的に消えてみせる。
そういう決意に満ちており、実際に剛志の前から消えるのです。
剛志は洵がいなくなって初めて、その存在の大きさ、大切さに気付き奮闘するのです。
洵の意志の強さ、実行力がすごくいいです。
よく半端に思いを見せたり、半端に逃げたりというものをよく目にしてイライラきていたので、やるなら徹底的にやってしまえ―!と思っていた私はすごいスカッとしました。
そして、六青作品を再び集め始めたのでした。