今夜ここで何が起ころうと、それは満月のせいだ

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表題作腥血と遠吠え

ヴェルギル,謎に包まれた吸血鬼
クヴァルド,クランに属する人狼

その他の収録作品

  • 番外編(書き下ろし)
  • Postscript

あらすじ

ある人狼に追われる年経た吸血鬼ヴェルギル。傲慢で不遜ではあったけれど、人外の〈協定〉の守護者である、人狼達の〈クラン〉に追われるほどの罪は犯していないはずだった。
ついに追い詰められたヴェルギルは、自分を殺そうとする人狼クヴァルドの美しさに見とれる。だが、彼の望みは想い人の復讐だった。
「人違いだ」と説明するも耳を貸さないクヴァルドに捉えられ、人狼の本拠地へと連行されるヴェルギル。そして天敵同士である人狼と吸血鬼は、手を組んで同じ敵を追うことになるが──。

それぞれの思惑を抱えつつ、激しく惹かれてゆくふたり。だが、ヴェルギルにはどうしてもクヴァルドを裏切らねばならない理由があった。やがてふたりの道行きに、国中を戦禍に巻き込みかねない陰謀の暗雲が立ちこめ──!?

人外たちが人間と共存する異世界の島国・ダイラを舞台にした、吸血鬼×人狼の中世ヨーロッパ風ファンタジーBL。

作品情報

作品名
腥血と遠吠え
著者
あかつき雨垂  猫巳屋 
媒体
小説
サークル
イマジンブックス<サークル>
発売日
4.3

(31)

(22)

萌々

(4)

(1)

中立

(2)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
8
得点
131
評価数
31
平均
4.3 / 5
神率
71%

レビュー投稿数8

完成されたハイファンタジーBL小説 

この小説を読み終えた時の感動を、自分の語彙力でうまく表現できるとは思えない…そのことが悔しくてたまりません。
さて、この作品の記念すべき一人目のレビュアーになれることを嬉しく思います。
文句のつけようがないハイファンタジーBL作品でした。
元々ファンタジー小説が好きで、一般・BL問わず読んできましたが、読みながらこちら側の世界の事を忘れ「物語の世界」にどっぷり入り込むことのできる作品というのはなかなかありません。
よもやBL小説でここまで世界観を作り込んだ小説に出会えるなんて、思いもしませんでした。(決して他のBL小説を馬鹿にしているわけではないです)

物語の世界観・ストーリー・文章力・登場人物の心理描写・伏線・キャラ構成・もちろんBL展開。優劣をつけるつもりはありませんが、すべてにおいてここまで完成されたハイファンタジーBL小説を私は他に知りません…
いえ、ファンタジーというジャンルを超えて、まず間違いなく、私の中でベストBL小説3本の指に食い込む作品でした。

この作品を読まれる方には是非とも先入観なしに読んでいただきたいので、内容についてはあまり多く語りたくはないのです。
ただ、なんとなくですが…M/M小説や、一般小説だと十二国○がお好きな方はまず間違いなく楽しめるんじゃないかと思います。

吸血鬼×人狼もの。
中世ヨーロッパの雰囲気に神話伝説要素を足したハイファンタジー。
これだけ聞くととっつきにくいかもしれませんが……
とにかくハイファンタジーもののBL小説が好きな方には是非とも読んでいただきたい。
私に言えることは、是非時間のある時に読み始めてください。ということ。主人公二人が出会うシーンからは、もう止まらなくなりますから。

ちなみに私、この小説を読んでいる際、馬鹿なので「○○ってなんだっけ?」と忘れてしまった用語が出るたびに戻って最初から読み返していたのですが、巻末に作品中の用語集があることに読み終わった後に気づきました……最初に知りたかった!笑

16

最&高 久しぶりに夢中になれる作品に出会えました

王道ではない。けれど、刺さる人には凄まじく刺さるファンタジー

この作品、答えて姐さんの「小説憩い場」の方で絶賛されておりまして……
「おうおう、そんなに言うなら吟味してやろうじゃないの」という、半ば挑戦的な気持ちで読みはじめたのですが、、、ガツンとやられました。
陳腐な感想しかいえなくて歯痒いのですが、「すごく良かった…」これに尽きます。
ただ、多分攻めと受けの人物像からなんとなーく一般受けしないんだろうなあ…と思います。攻めは序盤放蕩者の印象ですし、受けは とにかく逞しいんですよね。肉体的にも精神的にも。わたしは二人とも大好きでしたが、、、

この作家さんの小説をこの作品以外存じ上げないのでなんとも言えないのですが、すごくファンタジーと調和した文体だと感じました。登場人物の会話も、どことなく翻訳物っぽい雰囲気で小気味よく、自分に合っていて良かったです。

そして、ハイ・ファンタジーものではありましたが、現実世界の、特に中世ヨーロッパの雰囲気にリンクしているシーンなどもあり、すごく楽しめました。
おそらく作中で出てくる神話の話は創作神話だと思われるのですが、現実世界の神話についても、きっとよく勉強されているんだろうな〜、と。ま、私は詳しくないので偉そうなことは言えませんが…。
BがLするためだけに作られたハリボテの世界観ではありません。

正直、よくある
"為政者のくせにちゃんと政治してるのか疑わしい頭の中受けのことしかない恋愛脳な王子様と、何も特別なことできないのに何故かモテモテな健気だけが取り柄の受けが結ばれるファンタジーBL"(表現が暴力的ですみません…)
みたいな小説にはうんざりしていたので、しっかりと骨太なハイ・ファンタジーBLが読めて大変満足致しました。しばらく他のファンタジー作品は読めそうにありません。
すすめて頂かなかったら恐らく出会えていなかった作品です。新人さんのこういった優れた作品はどんどん紹介してほしいと思いました。

9

ピピン

直せたみたいですね。よかったです\( 'ω')/

ピピン

こんばんは、はじめまして
ご存知でしたら、申し訳ありません。
ガイドライン→作品レビューを書く→レビューの修正
https://www.chil-chil.net/compPage/k/sandias/pg/53#11
にあります通り、レビューは投稿30日以内でしたら修正ができます。
今のレビューを消して、コメント欄のレビューをコピーして貼り付け直しては、いかがでしょう? もったいないと思います。
最初の投稿より30日過ぎたレビューは修正できなくなります。

もりもりまんじゅうくん

失礼致しました。
前の方の文章に似通ったレビューになってしまいそうで、参考にしつつ投稿しようとしたところ、間違えてそのまま投稿してしまいました。
運営側の規約に個人的な理由での削除はできないとのことでしたので、こちらで訂正させて戴きます。
ここにっぱ様にも申し訳ございません。

タイトル

【王道ではない。けれど、刺さる人には凄まじく刺さるファンタジー

この作品、答えて姐さんの「小説憩い場」の方で絶賛されておりまして……
「おうおう、そんなに言うなら吟味してやろうじゃないの」という、半ば挑戦的な気持ちで読みはじめたのですが、、、ガツンとやられました。
陳腐な感想しかいえなくて歯痒いのですが、「すごく良かった…」これに尽きます。
ただ、多分攻めと受けの人物像からなんとなーく一般受けしないんだろうなあ…と思います。攻めは序盤放蕩者の印象ですし、受けは とにかく逞しいんですよね。肉体的にも精神的にも。わたしは二人とも大好きでしたが、、、

この作家さんの小説をこの作品以外存じ上げないのでなんとも言えないのですが、すごくファンタジーと調和した文体だと感じました。登場人物の会話も、どことなく翻訳物っぽい雰囲気で小気味よく、自分に合っていて良かったです。

そして、ハイ・ファンタジーものではありましたが、現実世界の、特に中世ヨーロッパの雰囲気にリンクしているシーンなどもあり、すごく楽しめました。
おそらく作中で出てくる神話の話は創作神話だと思われるのですが、現実世界の神話についても、きっとよく勉強されているんだろうな〜、と。ま、私は詳しくないので偉そうなことは言えませんが…。
BがLするためだけに作られたハリボテの世界観ではありません。

正直、よくある
"為政者のくせにちゃんと政治してるのか疑わしい頭の中受けのことしかない恋愛脳な王子様と、何も特別なことできないのに何故かモテモテな健気だけが取り柄の受けが結ばれるファンタジーBL"(表現が暴力的ですみません…)
みたいな小説にはうんざりしていたので、しっかりと骨太なハイ・ファンタジーBLが読めて大変満足致しました。しばらく他のファンタジー作品は読めそうにありません。
すすめて頂かなかったら恐らく出会えていなかった作品です。新人さんのこういった優れた作品はどんどん紹介してほしいと思いました。】

素晴らしい世界観。是非皆さんに読んで欲しい。

この小説を読んだら、そろそろ unlimited退会しようかなと思っていた気持ちが吹き飛びました。 
電子限定なので仕方がないにしても、このままちるちるの中で他の作品に埋もれてしまうのは本当に本当に勿体ない。

読み始めてものの数ページ……いや、数十ページ?読む頃には、身も心もこの世界観のなかに飛び込んでいました。
とにかくその描写力に度肝を抜かれたので、実は一般小説書かれているプロの方が密かに投稿しているのではと思ったくらいです。

これ、unlimitedで読めてしまってもいい代物なんですか?
作者の口座が目の前にあったら、まず間違いなく大金を捻じ込んでいます。

冒頭からめちゃめちゃ熱い展開なんですが、もう始まりから最後まで一切失速することがありません。
それに加えて、ヴェルギルとクヴァルドの会話はユーモアに溢れていて愉快で心地よく、ともすれば皮肉が効いていてクスリと笑えたり…
先の方が仰っていますが、M/M小説の洒落た会話と言ったら雰囲気が伝わりやすいですかね……

もちろん主役二人だけでなく、脇を固める登場人物皆素晴らしく、一人一人に厚みというか…しっかりとした物語があり、そこもとても魅力的でした。


※ネタバレ含むあらすじ(一部引用)


吸血鬼は他者の血液を介してしか 、生きるために必要な陽力を摂取することが出来ず、しかも、"満足や高揚 、あるいは快感"を覚えた血液ほど美味とされるとあって、数多の貴族婦人と浮名を流すことをもはや生き様としてきた吸血鬼のヴェルギル。
その日も名のある貴族婦人との房事にふけろうとしていたところ、人外社会の秩序の守り手である〈クラン〉の一員で、人狼であるクヴァルドの突然の襲撃を受ける。
「やっと……やっと追い詰めた」
ヴェルギルに対し殺意を漲らせるクヴァルドに「人違いだ」と説明するも、そのまま捉えられ人狼の本拠地へと連行されるヴェルギル。
そして天敵同士である人狼と吸血鬼は、手を組んで同じ敵を追うことになるーーーーー
それぞれの思惑を抱えつつ、激しく惹かれてゆくふたり。だが、ヴェルギルにはどうしてもクヴァルドを裏切らねばならない理由があった。


※※※


読み始める前、どちらが受けか攻めかの確認もせず、あらすじもろくに読まず、「ふ〜ん、ヴィジュアルの好みで言えば左が受けの方が良いな〜」(実際は逆でした)
なんて軽い気持ちで読み始めたのですが、読み終わったときには、そんな些末な概念なんかどうでもいい!これはヴェルギルとクヴァルドの物語だ……ズビズビ……と感涙していました。(何を言っているのやら)

夜中に読み始めたので1日で読み切ることができず、仕事のため丸一日読み進めることができなかったのですが、その一日が地獄でした。仕事中ずーーーっと続きが気になって気になって……。
ですので、これから読む方は翌日が確実に休みという
タイミングで読み始めることをおすすめします。

以上です。

7

神としか…

映画三本分観たくらいの読後感でした。今まで感じたことのない満足感に浸っています。ベタですがアーサー王や指輪物語の世界観をイメージしながら読んでいました。引き出しが少なくてすみません。

一方的に信頼をおいているレビュアーさん(念のため交流はないです)が本作をちるちるに登録してくださり、とても情熱溢れるレビューまで寄せてくださったので、ぜひ読んでみたくなりました。

ファンタジーももちろん好きだけれど、萌えに刺さるのは日常系の方が多い読者にとって、この作品はファンタジーだからこそ上品に描ける「超」ラブストーリーだと思いました。

内容については他のレビュアーさんが詳しくまとめてくださっていますし、素養の無い者が作品の世界観をアレコレこねくり回してもボロが出るだけなので、ファンタジー愛好者よりもむしろ敬遠している方にこの作品の面白さが伝わるといいのにな、と願っておりますが…

序盤から半ばまでは、忍耐力必須です。
でも中盤から一気に面白くなりますから!

読みはじめは物語の世界観を把握するまで色々覚えなければと不安になりますが、ゲームのプレイ初期と同じで、(読み)進めていくうちになんとなく把握してくるので心配いりません。そこで合わないと感じたら潔くやめましょう。相性を見定めるのに、試し読みで十分です。

わたしにとって本作の一番の魅力はキャラでした。メインカプのみならず、脇役も存在感があって、ストーリー展開に勢いをつけてくれている上に無駄がない。

ヴェルギルは吸血鬼として長生きな分、ユーモアのセンスに長けていて、後半になるにつれ人間以上に人間臭さを見せてくる姿がたまりません。人狼のクヴァルドはナドカ(人外種)の中ではまだまだ子供で、仔犬呼ばわりされてしまうくらい。ヴェルギルにそう呼ばれるたびにムッとしていたのに、いつのまにかお腹ゴロンしてて…。三つ編みのエピソードが大好きです笑

全てにおいて正反対な二人ですが、出会って以降の距離感の詰め方に萌えます。言葉や体で交わす彼らの思いが、徐々に読者にだだ漏れてくるので…ムフ

それぞれが相手への思いを自覚していき、気持ちを伝えようか葛藤しながら満月を理由に激しく求め合うなんて、エロスの極みですよね〜。でも、それとはまた別の愛の形として、ヴェルギルとエダルトの関係も切なくて萌えるんですよもう。

誰かを愛する行為が死と引き換えだなんて、これ以上のLOVEがあるでしょうか。ファンタジーだからこそ、そのような無情な世界観がうまく生かされているのだろうと。

カップリングがB Lとしてテッパンなのも悶えますよね。カバーイラストご担当のイラストレーターさんとは別バージョンという意味で、さて、どんな絵柄で妄想しようかと、そういう楽しみ方もさせていただきました。(挿絵はありません)

二人の肉体美や毛並みや毛髪、瞳の描写、ヴェルギルの体に施された意外な装飾がさりげなく官能的に描写されています。一瞬、なぜかガチムチな兄貴たちがよぎるのだけれど、萌えポイントは純国産だと思いたいです笑

『アレキサンドライト』的な古典的耽美とも違うし、アメリカが舞台のDEADLOCKシリーズとも比べられないし、ガッツリ翻訳B Lでもないし…思い浮かぶのはやはり海外のスペクタクルファンタジー映画で、これはもう作者にしか描けないB Lではないでしょうか。

吸血鬼と人狼のカップリングが初めてでしたので、『怪物くん』しか想像力のタネがないわたしは、なぜこの二人が惹かれ合うのか、果たしてどんな結末が用意されているのか、後半はハァハァしながら導かれるように読み進めてしまいました。

最後の番外編は神!です。ここは本編を読み終えられたご褒美タイムですね。書いてくださって本当に嬉しくありがたい読者サービスでした。

作家様がTwitterでご自身の文体について翻訳小説寄りの癖があるとおっしゃっていましたが、冒頭から世界観を把握するまでのことなので、中盤以降は全然意識してませんでした。リスペクトしている仔犬養ジン先生のオリジナル作品の方がわたしには試練でしたので笑

それより気になってしまったのが、受け攻めの視点がしょっちゅう入れ替わるところ。読者には地味にキツいポイントというか…。最初は同じ章内でも混乱してしまい、後々章ごとにこれはヴェルギル、ここはクヴァルド、と読んでいて意識しないといけなかったので、そこがちょっと苦しかったです。番外編ではそれも全く気にならなくなったので不思議ですが。

たとえ血生臭いシーンがあったとしても、最初から最後までどんな描写も逐一美しく表現された壮大なファンタジーB Lでした。ある人にとっては上質という表現がふさわしいかもしれないけれど、上品という方がわたしにはしっくり。脳内では座裏屋蘭丸先生の美麗な絵柄で勝手に映像再生されてました。

本当にこれからの作品も楽しみです!

5

まるで映画のよう

完成度が高く、読んでいる最中も楽しく、そして読み終わった後も楽しい作品でした。
BLでこれだけ完成度の高い作品に出合えたことに、感謝すら覚えたほどです。
本当に素晴らしい。

読んでいると、指輪物語のような一つの映画を見ているような世界観に
どっぷりと浸ることができる素晴らしい作品でした。
よく考えられている設定や、背景はきちんと最後に向かってより上げられ
完結へと導かれていきます。

本当に面白かった。
名作だと思います。
読めたことに感謝です。
こういう作品があるということが、本当にうれしい。

2

この作品が収納されている本棚

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