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表題作運命のオメガはミルクの香り 

城月国臣,27歳,狼の獣人で妹の婚約者,α
堂崎唯,19歳,虚弱体質な堂崎家長男,Ω

その他の収録作品

  • 番たちの日々は幸せ色
  • あとがき

あらすじ

狼の強い権能を持つ獣人(アルファ)、城月国臣は唯の妹の婚約者――のはずが、妹は別の獣人と恋に落ちてしまった。代わりに急拵えの婚約者になるが、唯はアルファと子を生すには虚弱すぎるとオメガ教育を受けずに育ってきた。そんなオメガらしからぬところを気に入られ、唯もやがて役割でなく抱かれたいと渇望するが、国臣は運命の番を探し続けていて……?

作品情報

作品名
運命のオメガはミルクの香り 
著者
高峰あいす 
イラスト
亀井高秀 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784344847033
3

(11)

(0)

萌々

(2)

(8)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
33
評価数
11
平均
3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

萌萌と中立のせめぎ合い

オメガバース作品ということで、作家様の独自設定が何点か見られるのですが、特に香りについての設定が新鮮で面白かったです。
発情したオメガから漂う「発情香」なるもの。
他作品でも「甘い香り」「濃厚な香り」なんて表現されているのを見かけますが、こちらの作品は「薔薇」「ワイン」「シャンパン」など、オメガによってそれぞれ香りに個性があり、異なるんです。
通常は単一の香りしか持たないものの、1部のオメガの家系から生まれた者は、香水のように「トップノート」から「ミドルノート」そして「ラストノート」と、香りが変化していく…と、この設定は新しいのではないかな。
その者ならではの香りというか、すごく良いなと。

お話的には王道ものですし、良い意味で「きっとこうなるよね」と期待通りの展開。
文章も丁寧ながら説明くさくなく読みやすいんです。
ただ、受けも攻めもある意味どちらも世間知らず同士で危機感がないので…
その辺りを読み手がどう感じるかによって評価が分かれるかなあと思います。
国臣の穏やかな口調と、国臣と唯の甘い雰囲気には萌えたのですけれど、萌えきれない部分もあって評価に悩む。

アルファと呼ばれる、獣の耳と尻尾を持った獣人達が政財界を支配する、ごく平穏な世界が舞台となります。
アルファとアルファを産める優秀なオメガは「枢機」なる特別地区で暮らし、それ以外の一般庶民であるベータは「市井」で暮らしているという設定。
独自用語が出て来るとややこしいかもしれませんが、読みやすい文章なのですぐに慣れます。

受けの唯は、優秀なオメガを排出する家の長男。
身体が弱かったため、オメガとして初めて発情した15歳まで「市井」で育った、ごく普通の一般人の感覚を持った未成熟なオメガ。
駆け落ちをした妹の代わりにと、攻めである国臣の元へ嫁ぐことになります。
しかし、国臣は過去に1度だけ嗅いだ運命の番の香りを探し続けていて、家から当てがわれた相手を抱いて番っては、運命の相手ではない…と婚約と番の解消をしていた…というもの。

ようは、嫁ぎ先の相手がお試しと離縁を繰り返しているんです。
な、なんという扱い…と思ってしまいます。
と言うのも、アルファ社会の中ではオメガは保護対象・愛玩対象なようで…ちょっとペット的というのかな。
大切にはされているけれど、対等な人間に対しての反応ではないみたいな。
もちろん、そんな考えではない獣人もいるのですが。
大多数のアルファは、あくまでもアルファの子を産むことが出来る貴重な性だからとオメガを保護していて、番とは別にパートナーがいたりもするんです。
一般人とは考え方が根本的に違うのでしょうね。

「枢機」で生まれ育ち、アルファの元へ嫁ぐのだと幼い頃から教えられて来たオメガは扱いに何の疑問も持っていないようなのですが、唯は「市井」の育ちなので、国臣の知るオメガとは言動が少し変わっていて。
やがて、しっかりと自分の意思を持ち、オメガに対する扱いが酷いと叱るオメガ(唯)に国臣が興味を示していくんです。
市井のことをもっと教えてほしいなんて言ったりして。

初めは珍しいオメガとしか思っていなかった唯と交流する内に、国臣の意識がどんどん変化していく様が見どころだと思うんですよね。
価値観が違う者同士が次第に惹かれ合い「運命の番」に翻弄され、切なくすれ違ったりしながらも想いを深めていく。
と、描きたいことは分かるのです。
そのためにこの設定にしたんだろうなとも思う。
でも、アルファは仮にも統治する側の者なのに、国臣はそこまでものを知らないのかと思ってしまったり、上に立つ者の行動とは思えない迂闊な行動が目についてしまって…
健気さゆえになのか、唯も途中からキャラクターがブレていったように感じます。

あとは、交尾だったり、性に関しての言葉がやや動物的です。
ここがだめだともしかしたら受け付けない方もいらっしゃるかもしれません。
逆に、亀頭球だったり、獣っぽいワードと設定にも萌えを感じる方にはたまらないかも。
こちらも設定による好みが分かれそうですが、抱き方に関しては乱暴さはなくすごく甘く優しいです。
とろとろに甘やかす感じで、想い合っての濡れ場は甘くてすごく好みでした。

と、萌える部分もたくさんあるんです。
番と愛し合う度に相手のモノの形と精が身体に馴染んで、どんどん感じやすくなる設定なんてたまらないじゃないですか。
香水のような発情香だったり、つながる度に〜など、独自設定が面白かっただけに、メイン2人の迂闊さやブレが気になってしまったかな。
その後のお話辺りでようやく手放しで素直に萌えられた気がします。
面白かったのですけれど、萌萌の部分と中立の部分がせめぎ合った結果、こちらの評価で。
サブキャラクターCPの方が個人的には魅力を感じたかなあ。
花松のキャラクターが好きでした。
花松と緑CPのスピンオフがあったらものすごく読みたい。

それにしても、亀井先生の描かれる国臣がノーブルな男前でとっても素敵ですね。
耳と尻尾がついているのに可愛らしい感じではなく、凛としたスマートさがあるのがすごい。
どの挿絵も美麗で眼福ものでした。

1

表紙買い

亀井先生の挿絵が大好きで我慢できずに購入。イケメン三角耳も好みどストライク、本当に綺麗で嬉しかったのですが、受けがやや女々しいかなと感じたので中立より萌にしました。ちょこっと特殊設定ありのオメガバース、本編200Pほど+後日談25Pほど+あとがき。巣作りがちょびっとだけ記載あったので嬉しかったです!

獣人(=α)が特別地区「枢機」に住まい、政財界を取り仕切っている世界。希少なΩの堂崎家に生まれたけれども虚弱体質であったため、唯は「市井」という人間たちの暮らす社会で15才まで暮らしていました。一度発情したためΩ認定され枢機に戻ったものの、αへの輿入れは無理だと思われていたのですが・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
花松(攻めの友人)、緑(花松に保護されちえるΩ)、薫子(受けの妹、婚約直前に駆け落ち)+妹の駆け落ち相手、悪党少々、最後の方にお子様少々というところでしょうか。緑が私には謎キャラ。

++攻め受けについて

体が虚弱だったということで、「αの子供を産むためのΩの教育」を全く受けず市井で育った受けさん。しっかり自分の意見をもち、αである攻めさんにも物申す態度がお気に召されたようです。ただ虚弱なのとΩという自覚が足りないんで、悲しくなったらポロっと涙をこぼしたり、考え無しに家を飛び出したり。理解はできるけれど、もう少しお利口に振舞ってほしいな。

片や枢機育ち超エリート攻めさん。俺様というのではなく、自然体で支配する側におられますが市井の事がよく分かってないので、知りたがるという点は良いかなと感じました。ただそんなに惚れるようなエピソードは無く。危ない目にあいそうなところを助けるシーンではめっちゃ怒ってガウガウ(獣化はしない)しているシーンは、好きな方がいるかも。

攻め受けとも今一つ惚れるところはなく、さらっと読んでしまいました。挿絵は萌え転がったんだけどな。ちょっと残念でした。

1

攻めがわりとクズじゃないんかなぁ・・・

王道身代わり花嫁もの+オメガバースになります。

個人的に高峰先生は大好きな作家さんですし、身代わり花嫁ものもオメガバも大好き。
ついでにあらすじまでバリバリ好みと、発売を楽しみにしてた作品なんですよね。
が、主役二人が二人とも、どうにも共感出来ない。
また、この世界観でのオメガの扱いがあまりにもあまりで、モヤモヤなんてものでは無い。
なんか今回は、私には合わなかったみたいです。

う~ん・・・。
二人の切ないスレ違い部分とか、攻めがどんどん受けにメロメロになっていく部分とか、萌え処もしっかりあるんですけど。
ただ単に、私の心が狭いだけだろうとも思うんですけど。
とりあえず、「オメガが理不尽な目にあわされるオメガバ作品は苦手」って姐さんは、絶対避けた方がいいと思います。

ザックリした内容です。
アルファである獣人達が政財界を取り仕切り、大多数のベータを支配する世界。
そんな中、獣人の子供を唯一産めるオメガとして生を受けた唯ですが、虚弱な体質からオメガとしての役目を果たせないだろうと、市井で育てられたんですね。
ところが、15歳で初めてのヒートを起こしと発情出来ると、枢機(獣人達の暮らす中枢地区)に呼び戻される事に。
そして彼が19歳になった時ー。
アルファのエリート家系・城月家に嫁ぐハズだった妹が、なんと運命の番に出会って駆け落ちしてしまいます。
そこで妹を守ろうと、唯は自分が代わりに嫁ぐ事を決めますがー・・・と言うものです。

で、実際に嫁いだ所、城月家の人々はとても優しく親切。
また、婚約者である国臣ですが、実は過去に出会った運命の番を探し続けてたんですね。
しかし、アルファの有力家系であるが故に、次々と番候補を与えられて迷惑していた。
そこで、自身が婚約者のふりをする代わりに、妹を連れ戻さないと言う契約を交わして・・・と言う流れ。

こちら、萌え処なんですけど。
攻めの心情の変化だと思うんですよね。
最初こそ、唯を「オメガ」と言う区分でしか見ていなかった国臣。
それが共に過ごすうち、枢機で生まれ育った他のオメガとは全然違う彼に、新鮮な驚きや好意を感じるようになる。
こう、最初から国臣は穏やかで紳士的なんですけど、どんどん溺愛ぶりを発揮してゆくのが楽しいと言いますか。
また、枢機の常識では、オメガは子供を産む道具でしか無いんですよ。
国臣も当然その意識なんですけど、唯と関わってゆく事で、そんな彼の「常識」が変化してゆくのが素敵なのです。
本当、この部分はとても素敵だと思う。

が、個人的に合わなかった部分。
えーと、これ、攻めがわりとクズじゃない?と。
彼は運命の番に拘るあまり、次々と番候補と婚約する。
で、やってきたオメガが運命の番じゃないと分かると、離縁する。
その数、これまでに十人。
オマケに、初夜で発情してる相手が可哀想だからと、抱いてやると言うオプションつき。
え?
意味が分からん・・・。

離縁した相手にはちゃんと新しい番を世話してやる。
運命の相手を思う自分に嫁いでも不幸なだけと、でもそれ、完全に言い訳じゃん。
単に、ヤリ捨てじゃん。

なんかもう、この時点で「ありえねーー!」しか出て来なくて。
しかもこれ、運命の番ですけど、パーティーで匂いを嗅いだだけなんですよね。
そう、相手と短い言葉なんかを交わして、強く惹かれたとかでは無い。
いやね、運命の番にうっとりしちゃう私ですが、これは無いわ~。
いくら本能で惹かれるったって、そんなのの為に10人ヤリ捨てって、あり得ないわ~と。
ここからの彼の変化が見処とは言え、とうていそれだけでは巻き返せない酷さだわ!と。

またこれ、そんな彼の行動からも分かる通り、オメガの扱いが本当に酷い。
城月家の人々がとても優しいのって、要は愛玩動物に向ける態度なんですよね。
オメガに生まれれば絶対に獣人の子を産まねばならず、それもオメガの名門家系に誕生すれば御の字。
市井で産まれた突然変異は、枢機の娼館送りになっちゃったりする。
で、複数で犯せば優秀な獣人が生まれると言う迷信から、番にされまくりつつ輪姦。
の後の放置。

無理。
マジで無理。
オメガバ大好きな私でも、目を背けたくなる惨たらしさ・・・。
もうやめてあげてー!と。
えーと、そんな社会を変えようと主役二人が行動を起こすのです。
そこも見処だと分かりはするんだけど、やっぱり辛すぎて無理。
もう(読者を)勘弁してあげて・・・と、涙目になってしまう。

あと、あれもこれもと申し訳ないんですけど、受けがまた、よく理解出来ない。
いくら箱入りで世間知らずとは言え、いかにも怪しい誘いに普通に飛び込んでゆくなよと。
あと、オメガの辛い現実と、国臣への叶わない思慕に傷つく。
すると、「国臣さん、僕を見捨てないでくれますか?」みたいな。
「なんでもするからそばに置いて下さい」「僕、子供を産めるように頑張ります」みたいな。

いや、こういうの好きじゃない。
オメガとしての作法に乗っ取って誘っただけでも、プライドを持てい!と。
そもそも唯、最初はそんな子じゃ無かったじゃん!
他のオメガと違い、自分の意思をしっかり持ってる所が魅力だったじゃん!と。

申し訳ないんですけど、もうことごとく合わなくて。
いや、いい部分もたくさんあるし、感動的なお話なのも確かなんですけど。
う~ん。
ダークな設定のオメガバ好きさんなら、合うんじゃないかなぁ。

11

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