幸せだと思っていた――あなたに逢うまでは。

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表題作鳥籠の花嫁

近衛祐二,28歳,節操が無いと噂される会社経営者
笹津翠,18歳,恩返しする為スパイになる

その他の収録作品

  • 幸せな鳥籠
  • あとがき

あらすじ

「まずは上手いキスの仕方を覚えることだな」


天涯孤独だった翠は、自分を引き取り面倒を見てくれた恩人に頼まれ、ライバル会社社長・近衛の秘密情報を盗み出すことに。
近衛は、翠の亡父を破産させた関係者で憎むべき男。翠は彼に近づき屋敷に潜入するが、目的のものは見つからなかった。
だが焦りとは裏腹に、近衛をはじめとする屋敷の人達の優しさに触れた翠の心は次第にほだされてしまう。
このままでは自分が駄目になってしまう……そう思った翠は最終手段として、自分の身体を使って近衛を籠絡し、隠されている情報を見つけ出そうとするが!?

作品情報

作品名
鳥籠の花嫁
著者
高峰あいす 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
ISBN
9784773087109
3.4

(11)

(1)

萌々

(4)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
37
評価数
11
平均
3.4 / 5
神率
9.1%

レビュー投稿数4

洗脳飼育に気付かない籠の鳥 

電子版には、みずかね先生の挿絵が入っていません、残念。
誤字が無い読みやすい文。
賞歴は無いけど、たたき上げの実力派BL作家だと思う。
難を言うなら、展開がパターン化していて、結末が中断で分かってしまうので、ドキドキ感が薄い。半面安心して読めるハピエン。

5才で、天涯孤独になった主人公。
施設から実の仇に引き取られて、洗脳飼育された籠の鳥。
洗脳で植え込まれた魔法を解いたのは、5才の時に約束を交わした人だった。(この約束が、不自然だけど・・)
翆が、真実に気づくまでの色々が、ドラマチックで面白かった。


笹津 翠:18歳,
パーティ会場の外で、15才の近衛祐二と5才の翆は、結婚の約束を交わす。
その後、翆の父親の会社は不渡りで倒産、母は心労、父は過労で死亡。
孤児の翆を施設から引き取り、13年間仲村家が育てる。仲村家の「籠の鳥」。
仲村から、「近衛は男女問わない好色家」「翆の会社を潰したのは近衛だ」と聞く。
恩人の仲村から「近衛の家に住み込み、情報を盗んでこい」と密命を受ける

仲村 勇実:30才
17才の時、5才の翆を引き取ることを親に希望。洗脳を施し翆を育てる。
不渡りを故意に出し倒産させて吸収する手法で事業拡大する、仲村親子の商売は、非情に評判が悪いことを翆は知らない。

近衛祐二:27歳,
MA専門の会社経営者 幼い頃の翆との約束を忘れている。

八鳥恭太郎:26才  近衛の筆頭秘書 翆の住み込み勤務に反対する。

川上:近衛裕二が好きでまとわる女性ストーカー。

0

幸せになれる!

「幸せだと思っていた――あなたに逢うまでは。」
とありますが、本当に受け様・・・今まで不幸だったのに
気付かないほど自分を拾ってくれた人を信じてたんですよ!

スパイとして攻め様の御屋敷に入り込んだのですが、
聞かされていた攻め様の印象とはまるで違って優しいし
御屋敷の使用人は自分の事を気にかけてくれると、
今まで幸せだと信じていた今までの生活が、何だったのかと思う程で
受け様もその差がなんなのかさえ分からない、本当に胸が締め付けられます
ケーキは何がいいかと聞かれても、ケーキの種類さえも分からない始末

今まで可愛そうな受け様は読んできましたが、また違った意味で可愛そうです

あとイラストのみずかねりょう先生、初見だったのですが
表紙ではすんごい薄暗い可愛そうな感じだったのですが
中身はすごい綺麗で、今まで手を出さなかった事に後悔・・・

読み返し有りな作品でした

5

テンプレートな不幸少年


「花嫁」というタイトルですが、特に花嫁モノでもなく…いわゆるシンデレラストーリーです。
不憫で健気な少年が歳の離れたセレブのもとで幸せになっていく、というテンプレ的展開が好きな方には強くオススメしたいと思います。

主人公の翠は身寄りのいない不憫な境遇で、ケーキを食べたことがないとか、親の写真が一枚もないとか、周りの大人にグサグサ突き刺さる事をケロッと言うのですが、本来明るい性格をしているだろう事がうかがえるのでそこまで暗い展開にはなりません。
翠は大企業の社長、近衛のもとにスパイとして送り込まれるのですが、近衛の事をしだいに好きになってしまうというストーリー。

翠は、近衛が悪い奴だと聞かされていますが、そうでない事は勿論すぐわかってきます。
近衛も翠も面白い性格で楽しめましたが、近衛が遊び人という設定が、どうもフラフラした攻めが好きでない方には気に入らないかも。
私もどうにも、近衛は飽き性で交友関係が派手だから、翠に手を出してもすぐ捨てるだろうとか飽きるだろうとか、本人も周りも言ってるあたりがなんなのこの人^^;という感じでした。

しかし、この翠がスパイという設定、面白いと思うのに、かなり最初の方に翠自らバラしてしまい、途中何故か翠が自らの意思で誘拐されたりなど構成がとっちらかってる感じが勿体ないと感じました。
もう少しまとまってお話に一貫性があればよかったのですが。
近衛の側近の八鳥さんのキャラクターもよかったし、カップリングは本当に好みだったので星4です。

2

息苦しい鳥籠から愛の鳥籠へ

受けになる翠と攻めになる近衛との幼い日の出会いから始まる再会もので
子供の頃は互いに面白い相手と感じその心地よさに結婚の約束をするのですが、
お互いに会社経営の長男で跡継ぎゆえに、大人になって会社の規模が大きなほうが
相手をお嫁にもらうと言う子供ならではのその場限りとなった約束をして13年が過ぎ
二人の立場は見事に違うものになっているのです。

あの出会いから直ぐに翠の家は破産し会社も潰れ、両親も亡くなり天涯孤独になった翠は
父親の会社に迷惑をかけられたのに一人になった翠に救いの手を差し出してくれた
仲村家の現社長勇実に育てられ恩返しのために両親の敵でもある近衛のところへ
スパイとして入り込み重要書類を盗み出す為に近衛の傍で雑用をすることになります。

関係的には敵対関係、それも翠の一方的な憎しみでそれは全て恩人からの洗脳。
5歳から勇実の言うことだけを信じ聞くような人形に育てられ、勇実が近衛が敵だと
教えたことから始まるプチ復讐もの、何故プチかといえば翠が全然悪いことが出来ない
色んな意味で天然で性格が朗らかでピュアだからです。

翠は近衛と幼い日に出会ったことを覚えているのですが、大人になった近衛は忘れていて
始めは身体で篭絡して情報を盗もうとする翠が近衛と近衛家で働く使用人や秘書との
触れ合いが心地よすぎて敵だと思っている相手に惹かれてしまう。

近衛もまた、翠に惹かれはじめ翠が恩人だという勇実を調べ始め、
翠を息苦しい鳥籠から救い出して子供の頃の約束どおりお嫁さんにするラブものです。
設定はシリアスなのに、翠の不幸を不幸だと感じさせない雰囲気があるから
全体的に甘くてちょっぴりの切なさを感じる作品になっていました。

タイトルや表紙イラストを見ると暗い話かと思うところですが、シリアス過ぎず、
読みやすく甘いラブストーリーになっていて楽しめます。

4

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