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小説
月吠えシリーズの3作目です。
これだけでも読めますが、少し分かりにくいかもしれません。
人間に変身することができる能力を持った犬(クイック)が暮らす町、マッドクリークを舞台に繰り広げられる物語です。
訳あって町に戻ってきた科学者・ジェイソンと、新米クイックのマイロが本作の主人公になります。
シリーズで初めての、クイック×クイックのCPです!
時事を反映してるんでしょうね。
マッドクリークに〝犬コロナ〟の感染が広がり、感染したクイック達が犬に戻ってしまい……と、いうストーリー。
シリーズ中、ちょいちょい名前が出てきていたジェイソンですが、思った通りの変人科学者でした。
コミュニケーションが苦手の研究バカ。
しかも、自分の中の〝犬〟を嫌悪して押さえつけています。
元居た研究所でもマッドクリークでも、自分の居場所を見つけられないジェイソンは、本当は誰かに必要とされたいと願っているのだと思います。難儀な男なんだよなあ。
そんなジェイソンが惹かれてやまないのが、元ホスピスの癒し犬・マイロ。施設からホスピスに引き取られた、後発的なクイックです。
本能的に人の痛みが分かり、寄り添うことのできる純粋で優しい青年。私が今一番気になる犬種・ラブラドゥードルなんですよね。モフモフ♡
ジェイソンの中の〝犬〟がマイロを求めるように、マイロもジェイソンを初めから特別だと感じています。
ただ、施設・ホスピスと居場所を変えてきたマイロは、沢山の犬や人間の死を目の当たりにしてきたのです。
だから、自分の側から大切な人がいなくなる事を恐れているし、何よりも自分の居場所を欲しています。
ジェイソンの家で暮らせなくなる事を怖がり、ビクビクしているマイロが切ないのです。
普通の犬がクイックになる謎──それを研究しているのがジェイソンです。
明かされるクイックになるためのスイッチ……これが切ない。
うーん。私は〝愛された記憶〟なのかなと思っていたんですよね。でも違った。本当、切ないなあ。
お話としては、ランスほかクイック達が犬コロナに感染し、人間のティム・マッド、クイックのジェイソン・マイロが抗体を探す旅に出て……と、展開していきます。
ストーリー作りが本当にお上手なんですよね。
時事問題を絡めて、大切な人を失う恐怖や焦燥感を丁寧に描いています。すごく胸に迫って苦しくなる。
ずっとグズグス鼻啜りながら読みました。
ジェイソンとつがいになりたくて、ジェイソンに相応しい自分になろうと努力するマイロが健気。
そして、マイロのために〝犬〟を解放するジェイソンにも泣けました。アラスカン・マラミュートカッコいいですね。
どんどん人間らしく、犬らしくなっていくジェイソンが可愛くて、星に願っちゃうエピソードはグッときた。
ラブストーリーとしては最後まで焦ったかったけど、ジェイソンが信頼を得た町民たちに背中を押されてマイロに歩み寄る……という流れが最高!
初めてのHなのにマイロがエロくてびっくりでした。感無量。
ラストは、ちょっと不穏なんですよね。
大丈夫かな?続編ありそうですね。
ドキドキしながら待ちたいと思います。
犬にも人間にもなれる「クイック」という種族のシリーズ第三弾。今まではクイック×人間のカップルだけだったけど今回はクイック×クイックのカップルです。
しかしその性格は対照的。攻めのジェイソンはIQの高い研究者で自分の中の「犬」を嫌って抑え込んでいるコミュ力低めの人。受けのマイロは元ホスピスのいたわり犬で犬の本能に忠実に生きている心優しい青年。コミュ力は高い。
正反対だけどお互いの良さを高め合えるような最高の相性の2人。マイロは本能的にすぐにそれを感じとるけどジェイソンは余計な知識や先入観が邪魔をしてそれを中々認められません。でもマイロの危機を救う為に本能に忠実になる所はカッコよかったです。
今回はクイックに流行った伝染病もテーマになっていて今のご時世にマッチした内容になっています。防護服とかマスクとか愛する人に触れる事ができない辛さとか。その病気にはならない前作の人間のパートナー達も活躍しているので前作を読んでいる方が楽しめると思います。
麻々原さんの挿し絵が相変わらず素敵で、受けのマイロは特に可憐な美青年に描かれてますが、可愛くて癒されるだけじゃく、人を助けたいという使命感に燃えるヒーロー魂が素敵な人だと思いました。「愛と勇気」。言葉にすると薄っぺらいけど行動でそれを示すキャラクター達はカッコいいです。攻めも受けも精神がカッコいいBLってやっぱり好きだな。
ラストがちょっと不穏な雰囲気だったのでまだシリーズは続きそうです。犬好きにはたまらないシリーズですね。
シリーズ初クイックとクイックのカップル。
365ページという読み応えたっぷりの厚み、でも中だるみ感なく飽きさせない展開で最後まで楽しく読めました。
ランスとティムの娘(パンプキンちゃん!)の登場・恋愛・クイックの謎・未知のウイルスの発見・罹患者の救助・当て馬の登場、ドキドキとハラハラが詰まってます。
麻々原絵里依先生の描くマイロの儚さ漂う姿も好き。
とにかくマイロが健気で可愛かった。
いたわり犬としてホスピスに住んでいたマイロ。
気持ちを読み取る力に長けていて、誰かの苦しみに気付くのが速く手を差し伸べずにはいられない。
それはジェイソン対しても。最初は寂しくて甘えたくてジェイソンが好きでたまらないから側にいて身体を寄せているのだと思った。
けれど本当はジェイソンがハグを、温かさを心の底で求めていることを見抜ぬいていたから寄り添っていた。
それを知ったとき愛しさで爆発するかと思いました。
ジェイソンの家に来た初日の夜、与えられた部屋で一人泣いていたマイロ。
癒すことができない、側にいる理由はまだ上手く伝えられない、ジェイソンが苦しんでいると考え可哀想で彼を想って泣いていたのかもしれない。
恋人としてのラブ描写は多くないかもしれないけれど、私には十分いちゃいちゃしているように見えました。
マイロに気のあるあて馬のような存在も登場し、ジェイソンは嫉妬もんもん。
未知のウイルスからもマイロを必死に守ろうとする。
周りから見たら、素直じゃないなあジェイソンという感じでしょうか。
ビューフォート一家には最後の一押しのお世話になりました。
原書だと5巻まで出ているでんすね。
次巻では今作当て馬だったラヴがメインに登場すると予想。
今1巻の原書を読んでいますが万年英語が赤点だった私には1日1ページが限界。
私が読み終わるのが先か、4巻が出るのが先か。勝負しようと思います。
本番1
シリーズ最新作です。
ようやく読み終わりました。
このご時世に凄いタイミングの題材だったと思います。
マッドクリークのようにコロナ禍も解決してくれればと思いながら読了しました。
確固とした世界観なのでシリーズが進む度にクイック達の絆と、ちょっと愚かで愛すべき登場人物達が大好きになります。
今回はクイックだけが重症化する未知のウィルスに、人間の番達が恐怖し何とか救おうとする姿に感動しました。
そして今回の攻めのジェイソンの活躍と、彼が自分の犬を解放するまでの葛藤はとても読み応えありました。シリーズで1番人間くさかったクイックです。
彼の番となるマイロが可愛らしくとても魅力的でした。
今回の騒動は解決したけれど、最後に公園近くに現れた高級車がとても気になりました。
もしかしてジェイソンを軸としてもっとお話が続くのでしょうか?
早くクイック達のお話の続きが読みたいです。
大好きな月吠えシリーズ3作目です。買い逃していましたが、新書館のセールで購入しました。60周年おめでとうございます。モノクローム・ロマンス文庫ははずれがない!
シリーズを読み返さず挑みましたが、逆に良かったかも…と思うほどランスとティムが辛い!序盤早々、ティム・ビューフォートと名乗った彼にニッコリとしてしまったのも束の間、悲劇が彼らを襲います。
ジェイソンは心ない人のようで、マイロを引き取り先議論の中心から救い、マイロに癒される前から冷たいばかりではない片鱗も見せていました。マイロに一目惚れしただけではないはず。半分ぐらいはそうかも。
それでもやはり、マイロに心をほぐされて語り口が格段に柔らかくなっていくジェイソンが見もの!最終的には"真実の愛"を語るまでになるなんて!
マイロは内にこもった弱々しい男の子かと思いきやそういう訳ではなく、心優しく自分の頭で考え感じるクイックでした。怪我をした犬を抱えて砂漠の中全裸でジェイソンの前に現れるシーンは、挿絵も含めて神の子のよう…
彼のジェイソン評が好きです。彼にはジェイソンの"何もかもが愛らしく"見えているんだなぁ。
終わり方が不穏で…シリーズ続刊はまた村全体を脅かす事態になってしまうのでしょうか。