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表題作オオカミ神の独占的寵愛

廉,代替わりしたばかりの新米神様
日渡万尋,29歳,IT会社管理企画

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

万尋が18歳の時に病弱な両親を相次いで亡くし、それからは妹と二人暮らしをしていた。そんなその妹の結婚も決まり、兄妹の苦労を知る周りの人たちもお祝いムード爆裂。しかし、幸せはそう長くは続かなかった。妹夫婦が新婚旅行に向かう途中で事故で亡くなってしまう。そこからは、妹が残した子犬と二人暮らしとなった。しかしその子犬は実はオオカミで、しかも……!? 獣人・オオカミBL!!

作品情報

作品名
オオカミ神の独占的寵愛
著者
髙月まつり 
イラスト
こうじま奈月 
媒体
小説
出版社
オークラ出版
レーベル
プリズム文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784775529492
2.7

(4)

(1)

萌々

(0)

(0)

中立

(3)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
8
評価数
4
平均
2.7 / 5
神率
25%

レビュー投稿数2

え? 葛藤は?

個人的に、受けを大好きな年下ワンコがツボだったりしますが、更に、そのワンコが受けに幼い頃から育てられてたりすると、めちゃくちゃ滾っちゃいます。
えーと、受けより大きくなったワンコが「抱き締めたい」だの「いい匂いがする」だのと受けに明らかに欲情してて、「こいつは本当に可愛いなぁ」とか呑気にしてた受けは美味しく食べられちゃうと言う。
そこに、「お前の事が大好きだからいいよ」的に、年上受けの包容力なんかを見せてくれると更に萌えちゃったりして。

まぁそんな感じでこちら、個人的どストライクの設定の為、購入です。

唯一の身内である妹夫婦を事故で亡くした主人公が、彼等が遺した子犬を引き取るんですね。
田舎の山奥でともに暮らし始めますが、グングン成長して大きくなる子犬・廉。
そんなある夜、大きくなった廉が、突然人間の姿になってー・・・って感じのお話でしょうか。

で、実は廉ですが、犬では無くて狼で神様。
代替わりしたばかりの新米神様である彼は、「万尋を幸せにする。共に愛の社で暮らそう」とか言い出してといった流れ。

まずこちら、個人的に一番萌えた部分ですが。
攻めの完璧なワンコっぷりだったりします。
子犬の時はとにかく可愛いし愛嬌がある。
で、人間(神様)の姿になると、今度はひたすら受け「好き好き」オーラ全開。
えーと、言葉使いは神様らしく偉そうなんですけど、もうストレートに万尋への愛を表現するんですよね。
好きと言う気持ちが駄々もれと言うか。
こう、まさに理想のワンコだよ!って感じで、彼が万尋にくっついて「己が満足するまで構え!」ってやってるのが楽しくて仕方ないと言うか。

万尋ですが、唯一の身内を亡くしてダメージを受けていたんですよね。
そして、再び大事な人を失う事を酷く恐れている。
そんな彼に廉が「ずっと一緒だ」と、欲しかったであろう言葉と安心を与えるのに、あたたかい気持ちにもなって。
可愛いだけじゃなくて、すごく素敵なお話でもあるんですよ。
あるんですけど、若干引っ掛かる部分もあって、評価に迷う。

えーと、この「受けが育てたワンコに食べられる」設定で、個人的に一番の醍醐味だと思ってる部分なんですけど。
こう、受けの心の揺れなんですよね。
ひたすら可愛いと思っていた庇護すべき相手が、男の顔をして自分を求めてくる・・・。
いやいやそんなのダメだろう。
でも、ふいに気づく力強さだったり、逞しい胸にドキッとしてしまい、自分の気持ちに戸惑う・・・的な。
ここは、丁寧に書いてあればあるほど良いのです。
が、今作では、そこの所がすごくアッサリなんですよね。
なんてったって、人化してその日のうちに簡単に抱かれちゃう。
熱く情熱的に求めてくる廉に対して「(気持ちよくさせる)自信が無いがいいか?」って感じで。
え? 葛藤は?と。
こう、一番美味しい部分がスパッとすっ飛ばされてると言うか、ハッキリ言うと無いので、めちゃくちゃ肩透かしなんですよ。
て言うか、普通の恋愛ものでも、段飛ばしでいきなりエッチに突入したら戸惑うよね?
家族愛→恋愛にいきなり移行しちゃって、私は置いてきぼり状態と言うか。
エロなんてもっと後で、万尋の気持ちが十分熟成してからでいいのに、何故こんなに早く突入したのかと。

あとですね、オチがちょっとアッサリです。
二人の秘密を狙う動画配信者により、不穏な展開にはなるのです。
なるのですが、超簡単に解決。
盛り上がりに欠ける印象なんですよね。
優しいオチで、いいっちゃいいんですけど。

と、そんな感じで、設定だったり攻めのワンコぶりだったりは好みなんですけど、若干引っ掛かる部分もある。
ただ、この引っ掛かる部分は完全に個人的な好みなので、明るくて可愛くて優しいお話が好みなら、楽しく読めると思います。

8

新米神様との寒冷地生活

2020年刊。
妹夫婦の急逝により、残された子犬・廉を支えにショックから立ち直って頑張っていこうと決意した万尋(まひろ)。
その子犬…のはずの廉だが、食事はベジタリアン、苦手な車に乗せようとするとエンジンがかからない、何よりもあっという間に大型犬になって成長するのが早すぎる!?と怪しい点が幾つもある。

案の定、廉の正体は代替わりしたばかりの新米神様ときた。
実は狼の姿を借りていた廉だったが、いきなり人の姿に変わっても万尋が心底驚いたのは最初だけ。
なのに、速攻でそんな状況を受け入れるのはさすがだ。
まぁ高月さん作品のキャラは総じて頭の回転が早く、超柔軟でポジティブですから…
そんなところが好きなんだけどね。
万尋の周りの人間、瀬名や時多にもさっさと正体をばらして受け入れてもらっている。
一人だけ、自分勝手な行動でキツいお灸を据えられていた動画配信者も居たが。

だけど、既にお互いに大切な存在ですからって事で押し切ってしまい、エッチになだれ込むのが早すぎ!!
妹夫婦の事故死でどん底に沈んだ悲しさを廉が健気なチビ狼の姿で励ましてくれた経緯があったとしても、両想いになるまでの意志の交流がサクっと省略されているのが残念だった。

舞台となる寒冷地での生活ぶりはほっこりできる。
廉もいちいち感情を言葉にして広告する幼さ(年若さ)とちょっぴり意地っ張りな一面が魅力なのに、そんな新米神様らしさがいまいち活かしきれていない気がした。

高月さんの話はテンポが良い分ノリの軽さが気になるかも知れないが、些細な場面で感覚のツボが合うし、全体的に憎めないのが魅力なのだが、そのノリが上手く好みに嵌る時と掴みきれず今一つと感じる時がある。
元々面白い要素を盛っていると思うのだが、個人的に好みのムラが出るのは何とも惜しいと思っている。

1

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