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表題作壊れオメガは俺のもの

羽瀬川黎,20歳,大学生でスーパーアルファ
多岐真冬,20歳,オメガ風俗で働く「壊れオメガ」

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

アルファの両親の元に生まれたスーパーアルファの黎のもとに、父親からの要請で真冬がやってきた。親から捨てられたりしたオメガを救うための事業の一環で、オメガ風俗を起こしたいという真冬たちの要望をかなえるため、アルファの黎が真冬を仕込んで欲しい! というとんでもない内容なのだが、さらに真冬は都市伝説といわれている『壊れオメガ』であることが判明し……!?

作品情報

作品名
壊れオメガは俺のもの
著者
髙月まつり 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
オークラ出版
レーベル
プリズム文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784775529614
3.4

(9)

(2)

萌々

(1)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
30
評価数
9
平均
3.4 / 5
神率
22.2%

レビュー投稿数3

面白い設定のオメガバもの。

みずかねさんの美麗表紙に釣られて購入。
高月さんの新刊はタイトルからもわかるようにオメガバースもの。最近、オメガバものって本当に多く出るようになったなあ、と思うのと同時に、タイトルの「壊れオメガ」って何だろう…、と思いつつ手に取りました。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





アルファ同士の番には子が生まれづらい。
そのために、オメガに、アルファの子を産んでもらう。
それゆえオメガは法的にもアルファからも保護されていたが、オメガの人口が増えたことで「より良い」アルファの子を成すためにオメガの選別が行われるようになる。そんなアルファの人選から漏れ、結果アルファからの保護を失ったオメガは、自分たちが生きるためにオメガ専門の風俗産業を立ち上げ、成功。現在は一大産業として成り立っている―。

というのがこの作品の世界観。

アルファ同士の夫婦の間に生まれたスーパーアルファ(ほぼ生まれることがないため希少価値があり、かつ優秀)と呼ばれる黎という大学生と、黎のもとにオメガ風俗で働くための修行をするために送られてきたオメガの真冬の2人のお話です。

で、この真冬という青年が「壊れオメガ」なのですが。
「壊れオメガ」という存在が今作品の大きなキモの一つなので詳細は書きませんが、オメガの特性がほぼなくベータに近い。現在ではほぼいない種として世間からは認知されている存在です。壊れオメガの詳細はほぼ分かっておらず、けれどベータに近くてもベータではなく、完全なオメガでもないために生きづらく、オメガのように保護される法律もないために、真冬は両親から疎まれ、そして15歳という年で両親に捨てられたという過去を持つ。

めちゃめちゃ薄幸さんなんですよ、真冬という青年は。

が、そんな彼に手を差し伸べた人物が。
黎の父ちゃんです。
黎の父ちゃんの指示で、真冬は黎のもとに送られた、という展開。

「壊れオメガ」の詳細。
黎の父ちゃんの意図は。
そして黎と真冬の関係はどうなっていくのか―。

その辺りを軸に進むストーリーです。

んー。
序盤は今一つストーリーに入り込めないっていうか。
黎という男の子が今一つツボに入らないからでして。

アルファに身体を売ってお金を稼ぐ、という、オメガ風俗で働こうと奮闘するオメガが主人公のお話だから、なのでしょうか。アルファは「アルファ様」と呼ばれオメガが尽くす。で、黎も、周囲から傅かれることに慣れている、っていうのかな。すごく態度が横柄なんですよね。横柄なんだけど、それに周囲も、本人ですら気づいていない感じ。それがアルファであり、特に黎はスーパーアルファだから。なので真冬は訪ねてきた時も「お前みたいな見た目の奴はタイプじゃない」(注:意訳です)みたいなことを本人に直接言っちゃったりする。

そこを緩和するのが真冬の可愛さです。
彼は子どもの時から無条件の愛情を注がれることがなかったために、大切にされたり、愛されたり、という経験がない。なので黎の自分に向ける態度は彼にとってはごく普通のことでしかないんですね。私は黎の真冬に向ける態度が非常に胸糞なのですが、真冬にとってはそれが「当たり前」なことなんです。

で、真冬の可愛さはそれだけに非ず。
じめじめしてないっていうのかな。すごくからりとした、前向きな中身を持った青年なんです。

オメガ風俗で頂点に立って、お金を自分で稼いで、一人で逞しく生きていこう。
そう、彼は覚悟を決めている。アルファ様に気に入ってもらえるように、黎にいろいろ教えを乞うて、普通のオメガのようにアルファを誘惑することはできないけれど。

自分を卑下せず、明るく、逞しい。
そんな真冬が、個人的にめちゃめちゃドツボに突き刺さる受けさんでした。

そんな真冬と出会い、彼に恋したことで、黎という青年もまた成長していく。序盤若干難ありと感じた黎にとってもまた、真冬と出会うことは必然だったのかな、と思ったりしました。

で。

黎と真冬の恋の行方、というだけではなく、今作品は「壊れオメガ」についてしっかり描かれているためにストーリーに奥行きがあります。オメガのような性質を持ち合わせていないだけではなく、「壊れオメガ」にはそう呼ばれる理由があってー。

真冬が「壊れオメガ」であるがゆえに普通の人と同じように生活することはできず、真冬への想いを自覚した黎によって真冬はがっつり囲い込まれています。それ故に非常に狭い空間でストーリーは展開していきますが、その狭さを感じさせない濃厚なストーリーでした。

真冬を保護した黎の父ちゃんとその友人もナイス。
彼らもカッコよかった!

序盤、黎が好きになれず読み切れるかなと危惧しつつ読み進めましたが、いやいや、とんでもなく面白く萌えも詰まった作品でした。

あ、そうそう。
電子で購入しましたが、みずかねさんの挿絵は電子には収録されていません…。hontoさんかコミックシーモアさんで買おうと思ってチェックしましたが、いずれのサイトも挿絵がないです。

紙で買えばよかったー!
みずかねさんファンの皆さま、挿絵がみたければ紙媒体でどうぞ。
というワンポイントアドバイスでした。

8

スーパーアルファ様

みずかね先生ほいほいで購入。オメガバがもともとあまり得意ではない&アルファ様絶対と感じて苦手だったので中立より萌にしました。本編230P超+あとがき。ちょっと変わったオメガバが読みたいわ!という方でしたら良いのかも。

両親共にアルファでスーパーアルファである黎(れい)のもとにある日「ひとまず3か月よろしくお願いいたします」と言って訪れた真冬(まふゆ)。父から事前にモニターになってほしいと言われていたものの、それが人間しかもオメガ、さらには都市伝説とされる壊れオメガのモニターとは知らず・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
最後の方に攻め父や他のアルファと壊れオメガさんたち。おおよそ二人という印象です。

++攻め受けと設定について

壊れオメガ=オメガらしくないオメガ。ヒートなし、フェロモン検知もフェロモン出すこともないが、いつでも子をなせる。首を咬まれても番になるってことが無い、という設定。オメガはアルファに保護されるし、社会的にも保護される仕組みもあるのに、壊れオメガにはそれがなく、厄介者扱いという印象です。

受けはその壊れオメガで、15歳過ぎに親から見捨てられたところ、攻め父に見いだされ保護された方。その研究に役立とうと、風俗産業に使ってもらえるか自らモニター商品となる健気さん・・?
設定だけだと健気に思うのですが、性格がさっぱりしておられるのか、先生の記載のせいなのか、お涙頂戴というようには思いませんでした。「アルファ様にお仕えします」「試してくれるのかっ?だったら精一杯ご奉仕するからっ!」という一生懸命真面目さんとでもいえばいいのか?
人間らしい感情が最初欠如しているような印象です。育ちの影響なのかな?とにかくアルファ様に仕えたいと一生懸命。

攻めはスーパーアルファである自分の力を知っていて、「当たり前じゃん俺スーパーアルファだから」という印象。だんだんほだされて・・という展開ですが、若いし人間らしい厚みのあるようでもなく、お仕事すごいーということでもないので、こちらが惚れる♡と思う箇所があまり無かったでした。

キャラにあまり惚れられず、お話もふーんで読み終わってしまったので、ちょっと残念だった一冊でした。オメガバ好きな人はもっと違う印象なのでは。

5

淡々とした印象

あとがきで高月先生がはじめて書いたオメガバとあったのですが、他レーベルで2019年に「幼馴染のアルファ様に求婚されています」が発刊されているようです。

高月先生の作品は前に何を読んだのか記憶に無いくらい久しぶりに読んだと思います。なので詳しく無いのです。

今作はオメガバですが、高月先生のオリジナル要素がとても強かったと思います。

「壊れオメガ」という字面が強烈であらすじに風俗とあるので可哀想で悲惨なお話を想像してしまいますが、全然そんな事は有りませんでした。

真冬が黎の元へとやって来たのも黎にご奉仕モニターになって貰う為だったので、ちっとも2人のやり取りに甘さが感じられませんでした。
そして、途中に何度も黎が父親に宛てた真冬の報告書があったのも、萌えきらない要因だったと思います。

唯一萌えたのは夜の遊園地でオメガの女の子を助けた時に、番を望まれた黎が終始突っぱねたところでしょうか?それとそんな女の子に引いてしまいました。

序盤から黎が既に真冬を特別に思い始めていたのが分かってしまったのと、明らかに態度に出していたので何の心配も無かったのも盛り上がりに欠けた理由だと思います。

それとあれだけ大騒ぎして他の「壊れオメガ」の番達と事務所に乗り込んだのに、結末があまりに呆気なくて肩透かしを食らった気持ちになりました。

色気も冒頭の真冬の身体を黎が撫で回した辺りが1番だったかもしれません。

1

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