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先生お得意の腹黒男に可愛い受けちゃんが手ごめにされるお話なのですが、最初は腹黒男が可愛いお顔で、可愛い受けちゃんはなんと坊主という。それでもやっぱり依田先生が好きだ!
早々にネタバレですが、ラストの星の君のあの風貌にはびっくり。ただあれが桂木の本当に伸び伸びできる姿で、龍泉がそれを引き出したのだから、ほんと良い事をしましたよ。そして龍泉は別に桂木の容姿が好きだったわけではないっていうのも明確で良いです。
「桃色妄想少年」のラストの龍泉なんて最初からは全く想像できなかった甘ちゃんになってしまって可愛いのなんの。喧嘩の理由…完全に痴話喧嘩。
依田沙江美先生の作品は中毒性がある!
まず冒頭の「bear garden」ですが、自由になりたがってる美形君が、全寮制の中学に入学するシーンから始まります。ページをめくるといきなりアンニュイ系高校生(多分3年)になっていて「星の君」なんて呼ばれてる星弥。
で、黒髪短髪のカッコいい高校からの入学組、龍泉との距離を縮めていく話なんだけど、龍泉は公園の猫に餌をやって喜ぶような意外と子供っぽい子で、お寺の息子なのに極度の怖がり。
休日に町で偶然出くわして一緒に帰る二人、近道をするためにお墓の見える真っ暗な山道を歩く。お墓が怖い龍泉は星弥にしがみついて…
キャハー!きゅんとしてしまった。初々しいのお。
「かみなりソーダ」
その後の二人。星弥は淡々としてるけど龍泉の方は意識しちゃって進んでいない。で、ここでゲス星弥降臨で、後輩に手を出しちゃうんですね〜。後輩といる時の星弥の心は黒い。このゲス星弥は必要か?いい子の星弥にも心の闇はありますよ、って言いたかったのかも。
でも龍泉にははじめから腹黒星弥の顔を見せてたんだから、この後輩のエピソードはあった方がいいのか、なくてもよかったのか…
龍泉には素直な星弥、結局想いは通じます。
「桃色妄想少年」
これは驚いた!一言で言えば「女体化」モノなんだけど、確かに寮の他の友人たちはみんなマジョリティであって、BLあるあるの「み〜んなホモ!」の罠から脱却してる!この短編があってこの一冊のリアリティが深くなったと感じる。(内容はコメディタッチです)
「彼岸過ぎまで」
舞台は同じ青華学苑。でも登場人物や時代は特定できません。寮では夜な夜な先輩の部屋に夜這いする者もいるけど、オレは知らねえ、早く2年になって個室になりたい!というノンケ1年の悲痛な叫び(?)
「空のほとりで」
隠れて付き合っているらしい先輩と後輩の、屋上での一コマ。もはや青華学苑かどうかも定かではありません。キスの一瞬が素敵。
「あとがき」
星弥と龍泉は高1で同じクラスだった。お互い覚えてもいない小さな行き違いがあって、高3まで遠回りしたんだな、という話。
全部で4つのストーリー入り。
中心の1つのストーリーに、そこに登場する人物の妄想的お話が1つ、
同じ寮のとても短い作品が1つ、あと1つは寮でのお話ではあるのですが、
表題の作品に出てくる寮と同じ寮かどうかも不明なほど
短い作品が1つ、という構成になっていました。
約10年前の作品という事ですが、古さとか全く感じないですね。
人それぞれ好みが有るとして、私は依田さんの作品がガッツリ自分に合います。
なので、相変わらず会話の面白さはずば抜けてるな~と読後に感じました。
ひとつひとつの言葉はもちろん、その言葉を発している時の表情や
周りの友人たちの様子、そういう細かい所ひとつひとつも
全部ひっくるめて、ずっとワクワクしながら読みました。
星弥×龍泉の執着系ゆるゆる学園ラブストーリー。
星弥の家はクリスチャンで、龍泉の家はお寺なの。ふたりとも名前がまんますぎて笑えます。
ヒステリックな母親に育てられた星弥は、優等生ぶっているけれど、人として欠落している。そんな星弥は、可愛がれて育ち、自由気ままに生きている龍泉に強く惹かれていく。
星弥は、人間の本性というか自分そのものに嫌気が差しているんだけど、そういう卑屈な部分を龍泉があっさり受け入れる。仏教の懐の深さかな。人懐こいし、馬に優しいし、そりゃ、好きになっちゃうだろう。素直でおバカな受は、好物なので、もえもえ。
別人のようにくだけたキャラになった星弥もいい感じでした。龍泉の方がお世話係になってて、立場逆転もえ。
どこでも読書で「bear garden」と「かみなりソーダ」のみ読んだので、内容的には神だけど、萌×2にしておきます。
ひとつだけ、攻めが好きでもない後輩と付き合うので、一途な攻めをご希望の方にはおすすめしません。精神面では一途なんですが。