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表題作君の瞳に愛をささやく

藍沢茜
28歳,新人画家
遠野秋文
32歳,やり手のディーラー

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

やり手のディーラーである遠野秋文は、ある日、藍沢茜という年下の男性と出会い、身体を重ねる。藍沢は新人のアーティストで、ギャラリーで働きながら油絵を描いているらしい。過去グラフィックデザイナーと付き合い散々な別れを経験した遠野は、アーティストにあまりいい印象を持っていなかったが、優しく温かな人柄に惹かれ、藍沢と付き合うことにした。一心に愛し支えてくれる藍沢のおかげで、長年抱えていた家族との関係にも整理がつき、遠野にとっても藍沢はかけがえのない相手になっていた。しかし、画家である藍沢に決して言えない「秘密」が遠野にはあった。その「秘密」を打ち明けるべきか隠し通すべきか…。決断できずにいた矢先、小さな出来事がきっかけで藍沢に別れを告げられてしまい…?

作品情報

作品名
君の瞳に愛をささやく
著者
戸田環紀 
イラスト
麻生ミツ晃 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
電子発売日
ISBN
9784344847750
4.3

(90)

(63)

萌々

(14)

(3)

中立

(2)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
15
得点
382
評価数
90
平均
4.3 / 5
神率
70%

レビュー投稿数15

涙なしには読めなかった…受け様の再生と、攻めの包み込む愛の物語

ぐわっ…途中、切なさに涙が込み上げてきて、思わずスマホを置いて深呼吸しました。刺さった。。

『熱砂の相剋』から入った戸田環紀先生の作品。既刊を読み漁っているところです。

あらすじなしで、感想のみを。

受けの秋文が隠し、トラウマとなっているある事情ー
こちら、読んでいるうちになんとなく気付いてしまったのですが。

攻めのことが好きすぎて、粉々に散った前の恋のトラウマが消えていなくて、き笑われるのが怖くて言い出せない秋文の姿が痛々しくて……彼は言っても大丈夫な人だよ、全部含めて受け止めてくれるよ、と声をかけたくて仕方なかったです。

そして秋文を嵌めた同僚!!!!(すみません、名前は失念…)許さん!許すまじ!!本当にひどい。その後の会社での真相調査があったのかとか(多分ないんだろうな)、彼との関係がどうなったのかとか、気になります。

二人の関係が元に戻っても、以前別れることになってしまった時のようにまた彼を怒らせたくない、という思いから自分の希望を一切述べることができない秋文の姿に、胸が痛みました。
それに気付いて強硬手段に出る藍沢の愛の深さ、覚悟の示し方に、涙。

誕生日プレゼントに、と秋文が初めて自分からねだった物…そりゃ、攻め泣いちゃうよね、と。自分も一緒になってうるうるしました。
どんな覚悟、決意で秋文がそれをねだったのか…って考えるだけで胸がいっぱいになりました。

そしてBがLするお話とは関係ないのですが、、後半出てくる藍沢の実家の黒柴、クロマツに萌えまくり。
藍沢のことは無視して初見の客人、秋文に愛想を振りまく姿が可愛くて癒されました。

藍沢のお母さんも、凛とした中に溢れる優しさがあって、素敵だったなあ。

もうこれから先生の既刊を漁って読みまくろう!と決意するに至るほど、胸が震えた作品でした。

3

切なくて温かくて胸いっぱい

真面目に頑張って頑張りすぎてる人が心安らげる人に出会えるって心が温かくなる!!
そこまで達するまで紆余曲折ありすぎて、甘い苦しい苦しい苦しいなんですが!!不器用な大人のぶつかり合い、支え合い、素敵でした。

小熊系甘え上手でベッドの上ではちょっと意地悪床上手な年下攻め!魅力的すぎ!心のおおらかさ絵に取り組む姿勢に遠野が惹かれてくのはきゅん。藍沢の口説き方が甘くて真っ直ぐできゅんきゅん!

完全に心持ってかれてるのに遠野は過去のこと、自分にはどうにもできないことが枷になって拗れるのがしんどいしんどい。1度ほつれたらここまでなる?って衝撃的なくらいぶつかって拗れてしんどかった…

及び腰だった遠野が別れても藍沢の言葉が支えになって前に進めたのは本当に本当に良かった!

その後も、捨てられる恐怖から無意識で藍沢をたててるのかも!?って疑惑はめちゃくちゃ切なかったけど、そこもとっぱらえる藍沢の強さ!!

自分のことも相手のことも丸っと受け止められて、それによって気力が湧いてくるところが良かったね…としみじみしました。

1

秋文の秘密

1976年埼玉県生まれ。2004年よりブラジル在住。・・BL作家としては、ちょっと異色。

黒髪のほうが、やり手のディーラーである遠野秋文・・色覚障害を持っている。
茶髪のほうが、藍沢茜という年下の油絵の画家。眼が悪い。

秋文の前の恋人は画家。
秋文が正直に「色がわからない」と告白したら、前の恋人は、馬鹿にされたと思い、酷い言葉で罵って去っていった。

新しい恋人、茜も油絵作家。秋文は自分の色覚異常を告白できず、悩む。

些細な事が重なって二人は別離する。
茜の絵が受賞して、そのお祝いに秋文はギャラリーに足を向ける。
再会した二人は、誤解を解いて、更に愛を深める。

色覚障害で、ゴッホを譬えに出していて感心した。
・・・「色覚障害」がこの物語の軸。
この作品はずっと以前に受賞した作品で、著者の思い入れが深い作品。

--
@toda_tamaki 「ぷらいべったーに「君の瞳に愛をささやく」の番外編」
もうひとつのささやき【君の瞳に愛をささやくSS】 藍沢視点https://privatter.net/p/7055972

参考資料:
「正常色覚と2色覚の中間の見え方をシミュレーションして、それでゴッホの絵を見てはどうだろう? 」https://bit.ly/3nIYuEX

2

読みたかったものが詰まってる

この作品の刊行予定を知ったのは、雑誌掲載当時イラストをご担当されていらっしゃった雪路凹子先生のTwitterでした。麻生ミツ晃先生の雰囲気もピッタリだと思いますが、雪路凹子先生のイラストも拝見したかったなァ。

本書発売後、ちるちるを訪れる度にランキングの上位を飾っていたので名作に違いない!と大切にとっておきました。先程読み終えたばかりなんですが、途中からずーっとボックスティッシュが手放せなかったです…

見た目からはわかりにくいハンディキャップを抱える当事者の気持ち。作家様の筆力によるところが大きいのはもちろん、BLで、フィクションだからこそ痛いほど伝わってくるのだろうとも確信しています。

遠野と藍沢の出会いからやりとりの全てにあらゆる感情をゆさぶられましたが、互いの不得手なことを逆手にとって、二人の絆にしてしまうところが一番心に刺さりました。それと、緊縛好きなので書き下ろし「光」でのエピソードも。意外性とエロスがしっかりとあって、とっても素敵で…。「光」に引き続き泣かされました。

受け攻め個々のキャラに萌えることは多いけれど、二人の在り方を壁視点でハァハァさせてもらえる作品って稀なんです。もしかしてそういう作品が自分にとって神ポイントのひとつなのかな?と思えるようになってきたのは最近で、このお話が決定打となったかもしれません笑

またひとつ、宝物が増えました。

2

年下の画家×歳上のディーラー

友人が落ち込んでいる時に掛けた受けの言葉が染みる。「やったことがない人間にはその難しさって本当には分からないし、適当にやってるだけでも駄目で、本気で、全力でやって、それでもできないから難しいって思うわけだから。だからできたときには嬉しいもんだし、難しいからこそやる価値もあるんだと俺は思うけど」これは誠実に生きてきた人だから言える言葉で友人の意思(諦めても諦めなくてもどちらにも言えるエール)を尊重しているのも分かって受けの人となりも垣間見えて一気に好きになった。
攻めは、出会いから優しげな対応と意外とスムーズなテクニックに驚かされた!
と思ったら意外性の塊…ホテルに入ったら攻めががっついて掻き口説いてきて…また良い意味で驚いた!
しかしベッドインは丁寧で激しい!ギャップ良き…❤調子狂わされるし、もっと狂わされたい(笑)
ちゃんと言葉を尽くしてくれる所にも好感度爆上がり。
しかも付き合ったら攻めがSNSで喜びを表現していたり…かわいいな??
攻めの振れ幅が激しいギャップじゃなくてこの優しい人ってだけじゃない緩やかなギャップ?みたいなのが魅力に感じた。
すれ違い、言い争う原因は本当に打ち明けるのが難しい。受けの心情を丁寧に辿ってくれているから受けの肩を持ちたくなるし、私は基本的にこのような場面でどちらかを断罪しがちなのだけど、恋人間の不和はどちらも悪いと久々に思えた。確かに言わない受けも悪いし、でもそれだけの理由がある。攻めも余裕な風だけど、待てずに、あと少しの心のゆとりと許す度量があったら良かったのかも。

2人の恋とトラウマもきちんと描かれているけれど、家族の亀裂と修復、肯定が2人ともきちんと描写されていて、一過性の恋じゃなくて地に足のついた、今後を見据えた付き合いとして人生の墓場に足を踏み入れるところも良かった。そのお互いの家族の話が嫌でも出てくることによって彼らの人生、キャラの深みが増して感情を揺さぶられたし、1人の生身の人間に対するようなリアルさも生まれた。

受け視点で話が進んで一旦終わって、その後攻め視点になる構成が大好きなので嬉しかった✨
挿絵も見たい場面が描かれていて痒いところに手が届く!
受け視点で最初書かれているのに秘密に関しては匂わせだけで、最後にならないと明かされないのももどかしいけれど読み手としては「なんだろう?」と追っている間も攻めと一緒にそのもどかしさを体験出来ておもしろいかも。
何となく受けの隠していることは、以前別の作者様で似た受けの作品を読んだことがあって察しがついたが、ネタバレなしで本作を読む方が物語に入り込めて楽しめる気がする。
(⚠️読む人によってはセンシティブかもしれない⚠️)

後の攻め視点でのえっちは色々乗り越えたあとの話なのですごく感慨深かった。両思いなだけの性行為ではなく、攻めが受けにどうやったらこの気持ちをわかってもらえるか?というのを工夫して伝えて、伝わるえっちになっているので愛おしさもひとしおだった。
付き合うまで、名前を呼ぶまで、打ち明けるまでを丁寧に書いてくれていたと思ったら最後のセリフに心がさらに温かくなった。「欲しい」と言うまで色々あったので受け視点を経て攻め視点でもって愛の受け渡し、キャッチボールが返り、完全にトラウマを払拭して、愛によって昔の悲しい記憶に打ち勝ったんだなと思った。

今後も読んでみたいと思わされたので先生の作品で初めて読むのが本作で良かった。

2

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