【SS付】【イラスト付】【電子限定著者直筆サイン&コメント入り】
あらすじを拝見して、オメガバースもので、かつタカツキさんの描かれた美麗表紙につられて購入。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
オメガバースものは書かれる作家さまによって、あるいは作品によって若干解釈が異なりますが、今作品はオメガにはきちんと権利が認められ尊重されているが、そこはかとなく差別も漂っている。という世界観のお話。
主人公は弁護士事務所で調査員として働く麻乃。
彼はオメガ。オメガであることを隠してはいないけれど、敢えてそのことを宣言してはいない。
そんな彼には憧れの男性がいる。麻乃の働く弁護士事務所で弁護士として所属している倉嶋だ。倉嶋はアルファで、そしてその性別にたがうことの無いイケメンでハイスペック男性。彼と一緒に仕事をし、認めてもらえることで満足していた麻乃だが、ある日ヒートを起こし、そのまま倉嶋に抱かれてしまってー。
というお話。
ストーリーとしてはよくあるお話、と言って良いでしょう。オメガバースものらしい、もっとバッサリ言ってしまうとありきたりな作品、ともいえる。
が、今作品のキモは、麻乃という青年の根っこにあります。
彼は由緒正しい家の出の青年ではありますが、高校を卒業するまでそれは過酷な生活を強いられてきました。理由は、彼がオメガだから。
その過去があるために、麻乃という青年の行動がなんとも健気で切ない。
今作品には、BLには必須ともいえる当て馬くんが登場します。
オメガでありながら弁護士の資格を得て、そして倉嶋にも可愛がられる、松尾という青年。
この青年が、単なる当て馬としてではなく、麻乃の過酷な過去、そこから発生する彼の学の無さ、自信の無さをもくっきりと浮かび上がらせる因子になっています。その描き方が実に秀逸です。
が。
うーん、もう一声ほしい感が否めなかった。
理由は攻めの倉嶋と、その当て馬くん・松尾くんが今一つ好きになれなかったこと。
倉嶋は、それはもう完璧な男性です。
イケメンで、弁護士としても有能で。けれどアルファらしい傲慢さも兼ねている。が、そんな彼が、麻乃に対してだけは優しい。
という設定ですが、その「優しさ」が今一つ見えてこない。
というか、麻乃が発情期のヒートを起こし、そのヒートに中てられる形で倉嶋は麻乃を抱くわけですが、倉嶋が優しいのは麻乃を抱く前「まで」、なんですね。
麻乃を抱いた後は、途端にそっけなくなる。
その時に倉嶋が告げる世間話が、これまた胸糞。いやねえ、これはたぶんに、そのあとの麻乃の葛藤や、二人のすれ違いを予想させるツールだったんだと、そう理解はできるんです。
できるのですが、そのあとの倉嶋の態度が非常にひどいものなので、麻乃は、珍しい、期間限定の珍味じゃないんだよ!と怒りがこみあげてきて仕方なかった。これはもう、義月さんの掌で転がされた感じ。義月さんの思惑にまんまとハマってしまったということなんだと思います。
が、そこにきての当て馬くん。
ナイスな当て馬くんて、最近割と多く見かけるので忘れていましたが、本来の当て馬ってきっとこういう存在なんだよな、としみじみ思ったりしました。引っ掻き回すだけ引っ掻き回し、受けさん(あるいは攻めさんも)を苦しめる、そんな立ち位置。
麻乃が、倉嶋のために自身の身を犠牲にしてまで奮闘する、健気受けの鑑ともいえる可愛い子ちゃんだったので、より一層そう感じたのかもしれません。
さらに言わせていただけるのであれば、最後の結末がいかんせん急展開過ぎた感も。あっさり解決してしまってちょっと拍子抜けでした。
序盤から一貫して麻乃の孤独と苦しみ、そして倉嶋への切ない想いが描かれていて、が―っと萌え滾ってきたところでのこのあっさり終わった感じが、個人的な感想を言わせていただけるのであれば非常にもったいない気がしました。もう少し波乱があっても良かったな、と。
ただ、薄幸・健気受けちゃんが、スパダリに愛され幸せを手にいれるという展開がドツボなこともあって総じて非常に萌え滾る作品でした。
そしてタカツキさんのイラストが美しい!
この作品の世界観にぴったり合っていて、萌え度は確実に上がりました。
義月粧子さんの作品は、健気な受がとことん傷つけられるのがお約束と、
姐さんがたが書いていたので、
気になって、最近の作品で「攻の仕打ちが酷い」と評判の作品を読みました。
経済界一の名家である生家は、主人公にとって生き地獄。
やっと家を出ても、曽祖母の「オメガの呪い」の呪縛が解けず、
祐樹は自分の気持ちを優先できない。
どうしていいのか分からなくなる祐樹が取る行動は、常に自虐的。
憎しみに狂った曽祖母が因果応報で消える
祐樹はやっと呪縛から解放され、平穏な生活を送れるようになる。
ジュリアンパブリッシングの義月作品は、必ずハピエンだと分かっているので、
祐樹が受ける酷い仕打ちを我慢して読了できたけど、
完結部分が、アッサリすぎて物足りない。
いつか続編を出すつもりのブツ切れの〆? 昔の耽美風の結末。
御注意ください、
胸糞悪い展開の義月作品には、何故か中毒性があるのです。
内容は詳しく書いて下さってるので、感想だけ。
毎度の事ながら、受けに対してとても冷たく意地悪な酷い攻めに、健気で気の毒な受けと言うパターンです。
攻めは受けをこれでもかと傷付けますし、不憫な受けはどれほど傷付いてもギリギリまで耐えてしまう。
義月先生の書かれる受けですが、みんなちゃんとした大人と言うか、自覚を持った社会人なんですよね。
なまじその矜持があるため、辛い時に辛いと言えず我慢してしまう。
読者はそんな受けに強く感情移入し、攻めへの怒りに震えるって案配なんですけど。
が、実は攻めですが、受けに対してかなりの独占欲の塊。
屈折してるけど、ちゃんと愛してるんですよ。
受けを徹底的に傷付けはするものの、幸せにするのも攻めなんですよ。
たぶん、このへんをご存知ない方が読まれると攻めへの嫌悪感で萌えるどころじゃないお話だと思うんですけど、刺さる人には刺さると言いますか。
なんか理不尽な気もしますが、妙にクセになると言うか、萌えちゃうから仕方ないのです。
ちなみに、受けに愛想をつかされて愕然とする攻めを妄想しながら読み進めるのも、暗い喜びを味わえてまた楽しいです。
えーと、万人ウケはしないお話なので確かなので、上記の事を踏まえてご注意下さい
。
いやいやいや、なにこの攻め?!
ものすっごい腹が立って、途中で頭がボッと爆発してしまいました!
そして、受けがめっちゃ不憫。
ある旧家にΩとして生まれた祐樹。
そこはΩを蔑み、教育も自由も権利も与えず閉じ込めるような家でした。
親から引き離され、「Ωに生まれてきたことが害悪で、それを自覚せるために罰を与える」と、虐待を受ける日々。
祐樹があまりにも可哀想で、悲しみが込み上げてきました。
そして、なんとか家を逃げ出した祐樹が選んだ仕事は、弁護士をサポートする調査員です。
真面目に確実に仕事をこなす祐樹を評価してくれたのは、みんなが憧れる弁護士・倉嶋。
倉嶋は、仕事も出来て見た目も良くて……と、αの中のαという感じの男です。
祐樹は、そんな倉嶋にあっという間に惹かれていくのです。
倉嶋は調査員にも敬意を忘れない、いい男に見えました。
……が、祐樹が倉嶋の前で発情してから状況は一転します。
祐樹を簡単に手に入れ、抱き潰す倉嶋。
年に2度しかない祐樹の発情を〝モエーケ〟というレアな蟹に例えます。
この辺りから「は?」って感じなんですけど、祐樹の発情期が終わった途端背を向ける非常さに唖然……。
「二度寝するから帰るとき起こさないでくれる」って……は?
とにかく、発情期が終わった後の倉嶋の態度が酷すぎて泣けてきました。
途中から入ってきたΩの弁護士をあからさまに贔屓するところにも、無慈悲に休日出勤を強いるところにも、調査員の仕事を蔑み信用しないところにも。
とにかく、この手のひら返しはなんだと!
怒りにも似た憤りが止まりませんでした。
そんな倉嶋を健気に想い、支え続ける祐樹。
この男にそんな価値あるのか?と、何度も思いましたよ。
挙句、倉嶋を救うために自分を犠牲にしてしまうのですが、あまりにも代償が大き過ぎて苦しい。
仕事を辞めて家に戻らざる終えなくなった祐樹に対して倉嶋が言った言葉は、「無責任」……絶句。
祐樹も少し言い返しますが、足りないよ。
代弁してやりたい気持ちが止まりませんでした。
祐樹はまるで、『人魚姫』だと思う。
ラストに手を差し伸べたのも倉嶋なのですが、祐樹に対する散々な仕打ちの言い訳が「シカトされてるみたいで、おもしろくなかった」って……子供か?
あまりにもお粗末。
ハッピーエンドを喜ぶ気持ちよりも、憤りの方が大きすぎて読後は脱力しました。
たくさん辛い思いをしてきた祐樹をこれ以上悲しませないでほしい。頼むよ倉嶋よ。
タイトルにある〝運命の番〟感は、殆どありませんでした。
優秀弁護士α×薄幸Ω
義月作品のテンプレートに近い作品かもしれません。
受は攻の働く弁護士事務所で調査員として働いています。
他の方も仰っているように、攻があまりにも酷い。
発情期の夜に襲う形で抱いたと思ったら、朝は特に優しくもせずしれっと帰すあたりもそうですし、特に仕事面がかなりイラッときました。
自分の都合のいい時だけ受の仕事能力を利用して弁護士としての自分の成果を上げたり、
お気に入りの弁護士が安請け合いしてきた無茶な仕事の尻拭いをさせるために、受に休日出勤強制させたり、
そしてそのお気に入りの弁護士の言うことを間に受けて、受の仕事を否定したり…
正直読んでて「何だこいつ?」って感情しか湧いてきません。
その「お気に入りの弁護士」、当て馬的なポジションのキャラクターもまた胸くそで。
自分が安請け合いした仕事のせいで受が休日出勤になっていることを知りながら、自分は土日に映画やカフェに行き、挙げ句の果てに受にそれを自慢したり、
自分が紛失した証拠品を、それを自分に渡した受が失くしたに違いないと騒ぎ立て、受に1日がかりで事務所探させた挙句、自分のオフィスのゴミ箱にあったと分かったら「秘書がゴミ箱に捨てたんだ」と言い放つ始末。
(秘書の子は無理やりその場で謝らせられ、後に受にだけ「自分は絶対あの証拠品には触ってない、先生が机にあったものを適当にゴミ箱に入れるのを見た」と打ち明けるシーンがあります)
本当にこの2人の上記のシーンが読んでてイライラする上に、それがスカッとするようなことも特にないんですよね。
そこには全く触れず、最後に駆け足で「お前は俺が守る」と言う攻にはさすがに呆れてしまいました。
何だろう…劣等感に苛まれる受の薄幸さを際立たせたかったのはわかるんですが。
読んだ後に気持ち悪い気分しか残らなくて、私には全く合いませんでした。