発情期のオメガを誘ったことを一晩中後悔しろ

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表題作金獅子と氷のオメガ

ウィルフリード,イズタール国の第六王子
アデル,Ωでラートラン国の国王,28歳

あらすじ

ラートラン国王・アデルは体にオメガの淫紋が現れたために、幽閉されていた過去を持つ。最後の王族となった今、国を存続させるためには番を持ち、跡継ぎを作らなければいけない。そうわかっていながらもアデルは求婚するアルファを退け続けていた。けれど新たに求婚者として現れた金獅子のような男・ウィルフリードを前にすると、今までに感じたことのない疼きを感じてしまう。その晩、夜這いに来たウィルフリードにアデルは……!?

作品情報

作品名
金獅子と氷のオメガ
著者
井上ハルヲ(オハル) 
イラスト
れの子 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
電子発売日
ISBN
9784773060706
3.5

(27)

(6)

萌々

(10)

(6)

中立

(3)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
7
得点
91
評価数
27
平均
3.5 / 5
神率
22.2%

レビュー投稿数7

カッコよすぎて悶絶。

作家買い。

ハルヲさん作品の受けさんて、中身がめっちゃ男前(豪胆とも言う)、というイメージが個人的に強いのですが、今作品の受けさんもめっちゃ男前。カッコいい…!男前な受けさんがお好きな方にはぜひとも読んでいただきたいです。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。




主人公はラートラン王国の第一王子であるアデル。
小さくとも緑が豊かで平和な国のラートラン王国を、アデルはこよなく愛している。父の跡を継ぎ、次期国王になる…、はずだった。

が、立太子の儀式を数日後に控えたある日、彼の体にオメガの淫紋が現れてしまう。今までアルファだと信じていたのにオメガであることが分かり、彼は王都から遠く離れた地へと追いやられてしまった。

その地で穏やかに生きていこう。

そう決心していたアデルだが、数年後とある事情により再び王宮へと連れ戻され、次期国王となってしまった。王子としての教育を受けてきたアデルは国を捨てきれず王として政権を担うが、オメガゆえに男として女性に子を成すことはできず誰かに子種をもらい自身が子を産むしかない。

アデルに子種を与える候補として何人ものアルファがアデルに会いに来るが、アデルにはその誰もが受け入れられず拒否し続けている。

そんなある日、イズタール王国の第六王子・ウィルフリードがやってくる。口も悪く尊大な態度を取るウィルフリードを、はじめはアデルも拒否するが―。

というお話。

アデルという青年は、立場としては薄幸青年なんですね。
オメガである、というただそれだけの理由で王宮から追いやられ、かと思ったら国の存続のために再び王として祭り上げられる。国のために、望まない行為を強いられ、子を成すことを求められる。

描き方によっては、すんごいシリアス展開な話にもできる設定。

が、そこはハルヲさん作品なので。

アデルが超カッコいいの。

彼のすべては国のため。
国のために、一番優れたアルファをゲットしようと奮闘する。
自分の立場を憂うことよりも、自身の成すべきことを全うしようとする男気に溢れた青年なのです。

で、ではなぜウィルフリードでなければならなかったのか。という、その点についてもきちんと描かれているために、話が上滑りしません。

一方のウィルフリードも。
彼も大国の第六王子という高貴な身分の青年ではあるのですが、彼もまた、心に抱えるものがある。横柄な態度を取る青年ではあるのですが、国を思い、アデルを想う。めっちゃスパダリ。なのです。

彼らは何度かそれぞれ危機に陥りますが、二人がお互いのピンチを助け合う展開になっていたのもすごく良かった。

綺麗で、可愛くって一途で。
そういう受けさんも大好物ではあるのですが、こういったカッコよく男気溢れた受けさんこそ、BLならでは、というか男同士、という感じがしてめっちゃ好きなのです。

常にカッコいいアデルではありますが、特に発情期が来た時。
キタコレ―!
カッコよ!

アデルやウィルフリードの環境とか、ラスボスの存在とか。
ややシリアスな部分はあれど、それらを彼らは彼ら自身の力とお互いのサポートにより乗り越えていく。

はー。
カッコよかった。
文句なく、神評価です。

8

そう来たかと

もうプロローグからアデルとウィルフリードが共闘してるし、口絵で2人の子ども達が一緒だし、こんなにバレバレで大丈夫なの?
それともそこまで内容に自信があるからなの?って冒頭から思ってしまいました。

凶と出るか吉と出るかとワクワクしながら読みました。結果は大成功でした。とても面白くてそう来たか!と思いました。

アデルも魅力的だけどウィルフリードもとても素敵で、反発してたアデルが段々とウィルフリードに惹かれて行く様子がとても良かったです。


ウィルフリードと一緒に居ることでアデルも王として成長して行くんです。
そしてウィルフリードの異母兄のイルークの気持ち悪さが半端なかったです。

イルークの首とイズタール国をとアデルが望む姿がカッコいいんです。そしてそれに応える金獅子軍率いるウィルフリードが更にカッコいい。

平和な国を共に願って共闘する2人の姿に痺れました。凄くお話に引き込まれてました。
プロローグから本編、エピローグに繋げ方も面白かったです。

ただ2人が初めて出会った時のストールの話ですが、途中でアデルが気が付いた描写があったのにその後も同じような描写がありました。ウィルフリードに話してないから何回も出てきたのかしら?と思ってしまいました。
せっかく素敵な話だっただけに、もっとスッキリ書いて欲しかったです。

4

男ぶりを読ませるお話

あとがきによれば『ちょっぴり架空戦記っぽさのあるお話』とのことですが、あくまでも『っぽさ』なんです。思い切ったことに、戦闘部分はまるっと書かれておりませんし。
かと言って血沸き肉踊らなかったかと言えば、沸いたり踊ったりしたのね。
読んでいてワクワクしたんです。
このワクワクの正体なんですけれど、主人公2人の男っぷりの良さに対して芽生えちゃった感情の様な気がするんですね。

王太子となる直前に発情が起きオメガと分かったために、長子でありながら父の後を継げず、都から遠く離れた領地に『島流し』にされていたアデル。大火により王と王太子が亡くならなければ、辺境の地から出られることはなかったのだと思います。

方や領地を広げゆく新興国の王弟ウィルフリードは、兄弟姉妹の中でも2人しかいないアルファ。しかし、彼の母は正妃ではなく、またアルファであることから兄である王に疎まれ、反乱制定などの危険な仕事を強いられ続けています。

捻くれてもおかしくないのですよ、2人とも。
でもね、どちらも国を愛し、民を想い、部下を大切にする。
カッコ良いのですわ。
で、このカッコよいふたりが反発しつつも惹かれ合う。
あああああああ、王道ではないかっ!

一時期はノアールを数多く書かれていた印象のオハルさまですが、今作を始めとして最近のお話は『真直ぐ感』に溢れている様に思います。
人にも会えないようなこういう時代ですので、明るいお話を届けてくれようとするサービス精神でしょうか。実にありがたく感じます。

2

気高き王と豪胆な王子のオメガバファンタジー

井上ハルヲ先生といえば、お仕事系とかヤクザ系のイメージだったのですが、今回はオメガバースファンタジー。

ラートランの王・アデル×イズタールの王子・ウィルフリード(α)

王×王子って設定が斬新だよなあ。
しかも、どちらも男らしくて素敵過ぎる♡

両親とαの弟を同時に身罷り、隠居生活をしていたアデル(Ω)は突然王位を継ぐことに。
世継ぎが必要なアデルの前に現れた20人目の求婚者は、ウィルフリード(α)で、実は2人は過去に出会っていて……と、いうラブストーリー。

αからの求婚を次々ぶった斬っていく、辛辣で美しい『氷の王』アデルがかっこいいです!
民のために国を治め、気丈に振る舞うアデルの気高い姿にグッときます。

そんなアデルに不遜な態度で接するウィルフリード。
初めは政略結婚目当てで近付いてきたウィルフリードですが、アデルの美しさと気高さに本気で惹かれていきます。
強引な俺様かと思えば紳士的で、毎日アデルとお茶をする提案なんて、可愛さすら感じました。

アデルの発情期を機に結ばれる2人。
帯に「発情期のオメガを誘ったことを一晩中後悔しろ」とある通り、DT処女のアデルの乱れっぷりが素晴らしい!
事後はウィルフリードの方がゲッソリっていうねw
やっぱりいいわー、アデル♡

そして、小国ラートランと大国イズタールの間で、ウィルフリードの兄・イルークを原因として起こる摩擦──。

オメガの王とアルファの王子が国の存続をかけてエロいことをするお話(あとがきより)なので、イルーク率いるイズタール軍とウィルフリード率いる金獅子の兵が戦うシーンは説明のみ。
ここはちょっと残念でしたね……
不穏さの増していく情勢の中、活躍する金獅子軍の勇姿を堪能したかった。

濃厚な絡みからの妊娠・出産は、オメガバースものの醍醐味!
ラスト、可愛いお子様たちとの幸せな生活も垣間見られて嬉しかったです。
偶然再会した〝運命の番〟という関係性もロマンチックでした。

5

男前な王が求める伴侶とは

今回はイズタール国第6王子とラートラン国国王のお話です。

最後の王族である受様が攻様を伴侶として国を統合するまで。

受様はラートラン国王の長子として生まれます。
年父王の即位10年の祭典とともに
立太子の儀式が行われれば正式に王太子となります。

儀式を3日後に控え
受様が後宮の庭園を名残惜しく楽しんでいると
金髪に青い瞳の異国の少年が迷い込んできて
受様は少年が貴賓の身内だ当たりを付けて話かけます。

受様は少年に女の子と思われて苦笑するものの
宴の間に続く回廊に送っていくと少年はお礼だと
肩に巻いていたストールを差し出します。

少年は「ずっと持ってて」と去っていき、
受様は王となって再会した彼にストールを見せ
少女ではないと打ち明ける未来を思い描きます。

しかしながらその夢は
その夜の思いがけない受様の変化で断たれます。
と言うのも受様はその夜、オメガとして初発情を迎え、
下腹に赤い淫紋が浮かび上がってしまったのです。

淫紋が現れて数日、受様は王位継承権を剝奪されて
王都から遠く離れた地の領主としてされますが
事実上の幽閉状態にされてしまいます。

父王も母にも顧みられなくなった受様には
オメガとしても強く生きるしかなかったはずでしたが
10年後、王都を襲った大火災によって
多くの民と共に父王と母、王太子の弟もみまかり
受様は最後の王族として即位を強いられるのです!!

受様が新王として即位して6年、
王都の再建と失われた産業や文化の復興に尽力しますが
オメガである受様には女性との間に子を持てません。

受様の元にはアルファの求婚者が多く訪れますが
誰もがオメガである受様にのみ興味を示し
受様の望む王を支えようと言う強い男は現れません。

そんな中、受様の国から南の砂漠を超えた先にある
新興国イズタール王から王弟である攻様を伴侶に
との親書が届きます。

攻様は前王の第6王子で現王の異母弟ですが
兄王にアルファの子がおらず王位継承権第1位、
王国一の強さを誇る金獅子軍という私兵を率いています。

興味を持った受様は攻様の来国を許すのですが、
2人の関りが2国の未来を大きく変える事になり・・・

オメガでありながら最後の王族として王位に就いた受様と
出自ゆえに兄王に虐げられ続けている攻様との
王位と国の未来を掛けたオメガバースとなります♪

やってきた攻様を見た受様は妙な圧迫感を感じ
今までにない緊張を強いられることとなります。

しかも口を開けば無礼千万、
厚顔無恥な野蛮人で受様は怒り心頭ですが、
謁見後にゾクリとする背の震えで
薬で抑えているはずの発情期の始まりを感じるのです。

そして受様に相手に軽佻浮薄な様子の攻様でしたが
その身の内は嵐のような激情が渦巻いていたのです。

そんな2人が伴侶候補として出会った事で
2人の未来が大きく変わっていくこととなるのですが
オメガバースの肝である"運命の番設定をうまく絡めながら
2人の恋が進展していきます。

読者的には2人の最初の出会いから
うっすらとでも2人の関係が見えているので
2人が結ばれるまでにどんな山谷があるのかと
ドキドキ&ワクワクで、楽しく読ませて頂きました。

受様がかなりな男前さんなのでその受様の強さを否定せず、
受様を丸ごと受け止めて陰ひなたなく支えてくれそうな
攻様の姿勢も性格も能力も魅力的に描かれていますが
国盗りを絡めるなら剣劇シーンは必須でしょう!!

攻様や金獅子軍の強さを見せられる活劇シーンがなく、
最終決戦もイズタール王がダメすぎる印象が強烈で
攻様軍の大変さや活躍があまり伝わりませんでした。

また既刊「溺愛神官王の運命の番」同様、
扉絵で受様の出産が想定内なのにその辺りも
まるっとスルーなのもかなり残念でした。

イラスト的には美味しいですが、
もう少し本編の内容と絡めたシーンでお願いしたいです。

2

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