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表題作赤と白とロイヤルブルー

アレックス・クレアモント=ディアズ,21~22歳,アメリカの女性大統領の長男
ヘンリー、23歳,英国王子

その他の収録作品

  • 登場人物紹介
  • 謝辞
  • 訳者あとがき

あらすじ

アメリカ初の女性大統領の長男アレックスは、英国のフィリップ王子のロイヤル・ウエディングへの参列を前に憂鬱だった。フィリップの弟ヘンリーとアレックスは、女性誌に載る回数を競うライバル同士だと言われるが、いつも冷淡なヘンリーがアレックスは苦手だ。その夜の晩餐会でも、冷ややかな態度をとる王子の肩に思わず手をかけた次の瞬間、一緒にウエディング・ケーキの上に倒れ込んでしまった。米英戦争勃発かと世間は大騒ぎになり、二人は全世界に向けて仲のよさをアピールすることになるが……
原題:Red, White & Royal Blue
翻訳:林啓恵

作品情報

作品名
赤と白とロイヤルブルー
著者
ケイシー・マクイストン 
イラスト
加藤木麻莉 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション【非BL】
発売日
ISBN
9784576210063
4.4

(73)

(50)

萌々

(14)

(3)

中立

(4)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
15
得点
319
評価数
73
平均
4.4 / 5
神率
68.5%

レビュー投稿数15

人生を懸けた恋です

アメリカ初・女性大統領の息子と、英国王子によるロイヤルロマンスになります。
「 二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション」からの出版になるせいか非BL扱いですが、紛う事無きBLです!
てか、M/Mです!

いやこれね、腐友さんから教えて貰って興味をそそられたので購入したのですが、めちゃくちゃ面白かったですよ。

こう、セクシャリティの問題から彼等の一人の人間としての成長。
そして、人生を懸けた恋。

ウィットに富んだ二人のやりとりに笑い、情熱的な恋にはうっとりする。
また、否応なく二人が巻き込まれてゆく辛い現実には心を痛め、最後は感動で胸が熱くなると言った具合で。
こんな時間ですが萌えを吐き出さないと死にそうなので、レビューを書かせて貰ってるんですけど。


えーと、元々この二人ですが天敵同士って間柄なんですよね。
カリスマ性のある人気者でミレニアル世代のアレックス。
そして、冷静沈着で完璧な王子様であるヘンリー。
二人は兄王子の結婚式で小競り合いから大失態をおかした挙げ句、不仲との噂を払拭すべく全世界に向けて「親友」アピールをしなければいけなくなった。

こう、タブロイド誌常連の派手なアレックスに、優等生そのもののヘンリー。
正反対で仲の悪い二人が、「親友」として共に行動する。

これね、二人のやりとりと言うのが、いかにも海外ものって感じでウィットに富んでて面白いんですよ。
皮肉の応酬って感じなんですけど、二人が会話してるだけで、なんかやたら腐心を刺激してくれちゃう。
や、このやりとりだけでも読む価値はめちゃくちゃあるから!と。

また、そうして共に過ごす事でヘンリーの意外な姿を知り、やがて彼とのやりとりが楽しみになるアレックス。

今作ですが、実は650Pもあるんですよね。
たっぷりページを使って、二人の距離が少しずつ少しずつ近付き、やがて彼等が恋に落ちる様が語られます。
えーと、アメリカとイギリスで生きる二人なので、やりとりの大半はSNSなんですよ。
これが、最初は皮肉の応酬から始まり、友人同士のじゃれあいのようなやりとり、やがて甘く情熱的な恋の囁きへと変化してゆく。

あー、メールの文章に萌える。
メールの文章に死ぬほど萌える!みたいな。

これね、ロイヤルロマンスと二人の恋愛はただただドラマチックかと言いますと、そこには厳しい現実が待ち受けてもいるんですよ。
格式ある伝統の世界で生きているヘンリー。
しかし、彼は本当の自分を偽って生きてきた。

ゲイである彼のセクシャリティの問題が深く掘り下げて書かれています。
彼がアレックスに対してわざと嫌われるような刺々しい態度をとっていた理由や、それでも抑えきれなかった自分の本当の気持ち。
そして束の間の幸せには、ただただ切ない。

果たすべき義務と、自分の本当の幸せ。
彼が自分らしくありのままに生きようとすると、周囲を裏切る事になるのです。
この葛藤で引き裂かれそうな彼の姿は、ただただ痛々しい。
そして、離ればなれになる二人にも。

いや、う~ん。
恋人同士として結ばれる二人と言う前半がめちゃくちゃ甘いなら、後半はかなり切ないし怒涛の展開なんですよね。
タブロイド誌に二人の恋愛がすっぱ抜かれた事により、彼等は離ればなれにって感じで。

ただ繰り返しになるんですけど、家族の問題にセクシャリティの問題。
そして二人の人間としての成長と、すごく読み応えがあるんですよ。
もうね、ページをめくる手が止められなーい!と。
また、思いもよらない展開には、感動で胸がいっぱいになる。
ああ、一人じゃないんだよと。
人生を懸けた恋に出た二人が、周囲を味方に付けて幸せを掴む姿は、とにかく胸アツで。
さすが、ベストロマンス賞第一位だわ。
全米ベストセラーって帯の文句、伊達じゃないわ。

まぁそんな感じで、とにかく面白いし萌えるし感動だしで、めちゃくちゃ素晴らしい作品でした。

ちなみに、リバ無しです。
王子様受けです。
リバ無し、海外ものだと珍しいですよね。

30

ぴれーね

いやいやいや、こちらこそありがとー!
うん。一応、BLで情報修正してみたけど、通らなかったみたい。
レーベルが一般だもんね。

あと、挿し絵もカラー口絵も無いのよ。一切。
だから安心して紙で読んで!
表紙のイラストがすごくキレイだから、ちょっと残念だけどね。

フランク

レビューありがとう!
そしていつのまにかちるちるにも登録されてたのね。
でも、レーベルのせいで非BLになっちゃってるのね。

中の挿絵(特にカラー口絵)って、もろエロシーンある?
なければ二見書房って電子化遅いから(シャレード文庫は)、紙で買いたいなと思うんだけど、エロエロ挿絵があると取り扱い注意なので……。

力強い物語

王子様とのラブストーリーというのは世界共通で夢中にさせるものだと思うのですが、この作品、それだけで語るには勿体ないほどの面白さに溢れてます。

主役のふたりは米国大統領の息子と英国王子。

王室のないアメリカでは、大統領一家は衆目を集める存在。ましてやそれが20代になったばかりの見目好い青年となったら知名度はもう王子様級。

アレックスもまさにアメリカの王子様的な存在として姉ジューンと副大統領の孫ノーラと合わせて人気の「ホワイトハウス3人組」として政権側もがっちり世間にアピールしています(先日の選挙戦見てても思いますが、この辺が実にアメリカらしい。)

顔よし頭よし性格よしで一見派手なアレックスですが、裏では徹夜を重ねて大学で最優等の成績を取り、両親(大統領の母、上院議員の父。因みに離婚済。)同様政治家を目指す野心家でもあります。

そんな彼が苦手なのが英国のヘンリー王子。高名な映画俳優(元007役で有名)と才媛の王女の間に生まれた、こちらも容姿と賢さに恵まれた文字通り完璧な王子様。

初対面でヘンリーが発した一言により2人の間にはわだかまりがありまして、これが元でヘンリーの兄王子の結婚式で大醜態を晒してしまうのです。

このままでは米英関係の危機、間近に迫る大統領選にも影響が……!という訳で、やむを得ず世界に向けて「2人は友達です」アピールをすることに。
でもこれを機に2人は互いを理解していき、彼等の悩みや不完全さが徐々に出てきます。

アレックスは大統領の息子ではありますが父がメキシコ系のため、蔑まれることも多く、それを乗り越えるために余計に努力を重ねていました。(昨今のBLM問題と言い、かの国の人種差別問題は根が深いですね)

ヘンリーは父の急逝以降、母が悲しみから立ち直れずに引きこもり、更に祖母(女王)と兄から王族として自身の性向を隠すよう圧力をかけられ続け、それを隠すために完璧な王子を演じてきました。

そんな2人が打ち解けていく中、電話やメールで繰り広げる遣り取りが本当に可愛い。

ハリポタやスターウォーズ等現代カルチャーてんこ盛りでクスリと笑いながら読んでいけるのですが、2人が本気になるほど、バレたら……という危機、焦燥感は高くなる。タブロイドにすっぱ抜かれ偽装したり、朝3時から対策会議……泣きそうになります。
それでも2人の気持ち、そして周囲の人々の助けが、色々な事を動かして、ハッピーエンディングへ動いてゆきます。

本当に出てくる人達が魅力的で。
まずはアレックス(米国)サイド。ジャーナリスト志望で弟を見守る姉のジューンに分析の鬼で容赦ないアドバイスをする悪友のノーラ。カミングアウトした息子にパワーポイントで問題点を指摘する現職大統領の母エレンに、愛する事について素敵なアドバイスをくれる父オスカー。母の側近で口は悪いが超有能な次席補佐官のザハラ、そして家族ぐるみの友人で独立系の議員、カミングアウト済のラファエル……と人種も性別も異なる(若干メキシコ系強めですが)人々がてんこ盛り。

さらにヘンリー(英国)サイド、薬物中毒から更生した過去を持ち、弟の幸せを願う姉のビアトリスと対照的に保守的な態度で臨む兄のフィリップ、引きこもりな母キャサリン、有能な侍従のシャーン(インド系)にパブリックスクール以来の個性的な友人ペズ(アフリカ、ナイジェリア人)……とこちらも濃い顔ぶれ。彼らから見た2人の様子とかスピンオフが見たくなります。

基本は2人の関係の紆余曲折が勿論メインなのですが、アメリカという国、各種SNSがひしめき合うこの世界の中でどう生きるかという所まで思いを馳せてしまう、BL的ロマンスだけどそこから更に物事を見る事を教えてくれる力強い物語です。

16

お伽噺みたいにロマンチックな恋

女性大統領の長男アレックスが主人公で、英国の王子フィリップとハプニングで全世界に向けて仲の良さをアピールしなければならない……という、海外の小説ながら日本でも受け入れやすい展開と設定が読みやすい本作。

主人公のアレックスはそれなりに有名人。
カッコいいのに皮肉屋でキュート、でもその正体は勉強家であり努力家。
世間の軽薄でゴシップに溢れたイメージとは違い、裏ではこんなことをしているのね……と読んでいるうちにすぐ彼の魅力に気付きます。

そして、そのお相手となるヘンリーは金髪碧眼品行方正なザ・王子様。
でもアレックスといるときのヘンリーは楽しそうで、ただカッコいいだけとも違う。
甘ったるい彼の台詞回しや行動に、胸がキュンとさせられます。

王子様が受け!
挿絵がなくページ数がとにかく多いから近寄り難さを感じる方もいるかも知れませんが、海外モノには珍しくリバではないし、表紙通りの可愛らしい印象は読んだあとも変わらない筈です。

作中に出てくるSNSやメールの描写はコミカルで、教養があって好き。
超王道の恋の物語、約束された大団円。
映画みたいにロマンチックなのにアレックスの母親が「初の女性大統領」など社会的な問題にも触れており、けれどその部分が重たいと感じることはなく、サクサク読めるのが魅力です。

家族の問題やセクシャルの問題、これらに触れた展開ながらシリアスにどっぷり浸からず、中弛みしないのが素晴らしいです。
テンポ感がよく面白くて一気に読める内容でした。

BLレーベルではなく一般レーベルからの発売なのであからさまな描写はありません。
BL小説はえろくないと!という方には不向きですが、丁寧に描かれた二人の恋愛模様は「こういうの読みたかったなぁ」と感じさせてくれます。

現実の厳しさも交えたおとぎ話のような一冊でした。

13

「愛してる」という言葉がとても似合うふたり

たったいま読み終わり、脳内の荒れ狂う感情をなんとか言葉にしようとしています。
これはひとりでも多くの人に読んでもらいたい。

今まで何百冊かよんだBL小説のなかで、トップ3に入るのでは?というくらいの神作品でした。

受け攻めの細かい設定やストーリーはあらすじなどを読んでいただきたいのですが、受けがイギリスの王子で金髪碧眼ってことです。
そもそも受けが最強すぎます既に。この時点でピンときたら買うべきです。期待通りです。

まだ電子化もされておらず、値段もけっこうお高めなので躊躇される方も多いかと思いますが、わたしは翻訳ものということとこの受けの設定をみただけで何も手につかなくなり本屋さんに走りました。
わたしが行った本屋さんではハーレクインの棚にひっそりとあったのでけっこう探しました。

もともと翻訳ものが好きでモノクロームロマンス文庫も読んでいますが、翻訳ものに抵抗がある人にもまぁひとまず読んでみて、と言いたいです。
確かに特有のノリや日本人にはよく分からない文化も容赦なく出てきますがそれを敬遠して読まないのはもったいないです。

この作品はBLレーベルではないということで、露骨な描写やはっきりとした表現はありません。
なので物足りないのかな、と思いきや全くそんなことはありませんでした。むしろそれが想像力をフル稼働させてくれます。
「ヘンリーはドアに両手をついた」とか、たったそれだけの文章でガッツポーズを決めてしまいます。(心の中で)
なので普段BLを読む人でも読まない人でも抵抗なく楽しめると思いました。

この作品の何より素晴らしいと感じた部分が、この分厚い1冊の中でお互いのことがどれだけ大きな存在で、どれだけ大切に思っているのかということがとてもじっくりと丁寧にかかれているところです。
それぞれ今の自分がどうやって作られてきて何に支えられてきたかとか、内面のすごく深いところにあるものを教え合って理解し合って、その全てを丸ごと愛し合っているんです。
ほんとに相手の存在が自分の体の一部になってしまっているような。
それが読んでてよく分かるため、ふたりの間に何かが起こる度に胸が苦しくなりました。

ヘンリーは王室に生まれた王子であるが故に苦しい思いをしていて、明るみに出た時の追い詰められる様子もほんとにしんどくて、もし現実にこんなことが起きたら世界の反応ってどうなんだろう?なんて考えてしまいます。

あと、攻めのアレックスより受けのヘンリーのほうが背が高くて、これがすごくいい。
攻めより受けのほうが体格がいいのは個人的にはNGだったのですが、むしろそれが最高!!って感じです。
受けが攻めに「チビ」とか言っちゃうのがこんなにかわいいなんて知らなかった。

映画化するらしいのでとても待ち遠しいです。
目で見たいシーンが多すぎる。
無事に完成して日本で公開されることを祈っています。

10

絶対読むべし!

私は昨日の夜これを読み終わり、夢から薄く目覚めるたびに内容を反芻してうふふと楽しみ、何度も思い返してから我慢しきれなくなり、
夜明け前にのそのそと起きだしてこんな時間にレビューを書いている。
ずこくよかった。
凄く面白い!
絶対に読んでほしい。

が、その前に言っておく。
まず、登場人物紹介をよく読み込んでおくことだ。
ついでに登場人物に

リアム・・・高校の同級生。仲が良かったがこの一年間連絡していない。

と加えておきたい。
なにせ登場人物についての説明が殆どないというか希薄すぎて、読者は常にこの人は一体…と悩む思いをするだろう。これは原作者の癖だと思われる。

そう、そして言っておきたい。
最初からP150くらいまでは、ボロ雑巾のようだと。
こんなに辛辣なことを書いておきたくはないが、翻訳には二通りパターンがあり
・小説として成り立っている小説翻訳
・かろうじて翻訳しているが意味不明な日本語まである日本語的に厳しい翻訳
の、下のパターンに含まれる翻訳だからだ。
かなり文章は最初からぬた道(どろどろの道)で、そこを走らされるのでタイヤがスタックしまくる。~が~がと日本語的な読みにくい文章も散見しているうえ体言止めが多すぎて、小説とはいいがたい。
そのうえ、ヘンリーとアレックスが仲良くなるまでは、背景の説明とはいいがたいような背景の説明が続く。
読んでいて、こんなに投げ出したい気持ちになる小説はなかなかない。

が、アレックスとヘンリーが磁石のようにくっつくと途端に物語はレールの上を走りだす。
日本語がぬた道なのは相変わらずだが、メールの偉人引用の文章は美しく感動的に訳されている。
最初は鈍行で、ゆっくり列車は走っていくがやがて急行になり、さいごは特急列車になってレールを走り抜けていく。
同時に胸を打たれる!

よむうちに、アレックスが非常に勤勉で頭がよく、そして誠実なことがわかるし
ヘンリーが本当に深層の令嬢のようだという事も解る。ヘンリーは繊細で美しくかわいらしい本当に素敵な王子様なのだ。まさしく、王子なのだ。

その二人が数々の困難と伝統と世論を前にして恋を展開していく。
こんなに面白い話があったとは!という気分にさせられる。そして夢中になって私はここにレビューを書いている。

ぜひとも読んでほしい。
言っておくが、最初は非常に苦しい。読みづらい!だが読んでいれば慣れる。
その先は夢中になって読めるはずだ。
読後、ああ、なんて素敵な小説という気持ちにさせてくれる。

まさしく名作!
絶対に読むべし!

8

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