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ちるちるではあまり取り上げられる事のない先生ですが、私は好きですね…
本作は、先生のデビューコミックス。2006年発表。
今読み返してもあまり古さ的なものは感じないし、絵柄も良い。
内容は短編集。
「どうせ、めろめろ」
売り出し中のイケメン芸能人の十三(じゅうぞう)。
これまでは男女問わず仕掛けて遊んでた十三だが、今の恋人は年上の医師・蜜谷(みつや)。
蜜谷は今までの遊び相手とは違って、わがままを包んでくれる大人。
攻めてた十三が、受けになってめろめろに甘やかされて…
コドモの十三が色々突っ張るんだけど、全然歯が立たないところがかわいい。
「意地っぱりという点において」
低温な哲は、幼馴染の上総と付き合うことにするが、「付き合う」という意味がよくわかってなくて…
上総が色々画策するお話。意地っぱりというのは上総の方なのが面白い。
「歯科医中沢の苦悩と煩悩」
患者の怖がる顔が見たいというドS歯科医が少年を獲物に…というリアルだったらトンデモなお話。
マスク姿の歯科医がイケメンなのでなんとなく読んじゃうけど。
「あらぬ噂がたったとかたたなかったとか」
「あらぬ噂が立ちました。」
一人では何もできないおバカ社長と、幼馴染で昔から彼の世話を焼いていた顧問弁護士。弁護士サンはそんな気は無かったのに結局ほっとけなくて…
社長はバカだけど誠実そうなのでいいんじゃないでしょうか。
「最高のサービス」
あるセレブ客からしつこくアプローチされているホテルのコンシェルジュ。
今回も部屋に呼ばれて強引に…
…と思ったらコンシェルジュさん、実は!という面白ストーリー。結構痛快でした。
「刺青」
最後を飾るこの作品だけ少し傾向が違う。
舞台は江戸から明治の境くらい。
没落士族の青年が、彫師に出会って人生を変えていく…
刺青大好きな私ですので、このお話は印象深い。かなり短い話なのでこの後2人がどうなるのかわからないのだけど、彫師の方が青年を手放せなくなる展開だといいと思う。
「めろめろなひとたち」
十三との待ち合わせ中に少年をナンパする蜜谷。十三は怒り心頭だが、少年もまた待ち合わせ中だった。少年の待ち人は…
蜜谷とドS歯科医はいとこ…
短編集でどの話もかなり短いはずですが、あまり短さを感じさせない。かなり完成度が高いと思う。
特に「刺青」が好きです。
短編集です。描き下ろしをいれて8作収録。
表題作を読んで「あ、ちょっとハズレかな・・・」と思っていたら見事に裏切られました。素敵な裏切りでした。
好きな作品は3つ。
「意地っぱりという点において」
幼なじみ。俺様と天然ちゃんカップル。
天然ちゃんがぐるぐるしているのが可愛いんです。キライなのに俺様が女の子と居るのを見ただけで仕事が手に付かなくなっちゃうし。ふふふ・・・。続きが読みたいというよりかは、天然ちゃんがぐるぐるしているのをもっと味わいたかったな。だってくっついちゃったらぐるぐるしないじゃん。(鬼)くっつく前のもどかしさを楽しめた作品でした。
「最高のサービス」
コンシェルジュとお客さん。秘書を連れているってことはどっかの社長さんかしら?
スカッと楽しめました。途中までは「ふ~ん」って感じだったんですが、ラストのどんでん返しとオチが楽しくて楽しくてしょうがなかったです。私は地のほうが好きです。っていうかそっちの話を読みたい!
「刺青」
彫師と没落士族。というわけで時代物です。
白黒のバランスがイイなぁ~。髪の流れぐあいとかベタのバランスも素敵だなぁ~。これは雰囲気を楽しむ漫画かと思いました。時代物という雰囲気と色香を感じられました。
この3つにお金と時間を費やしたと思えばお買い得な本だったと思います。
しかし、タイトルが物凄いセレクトをしております。この本の中に「あらぬ噂がたったとかたたなかったとか」というタイトルがあるんです。なかなかこんなタイトル付けるひとはいらっしゃいませんよね。かっこつけてなくて(気張ってなくて?)素敵だなぁと思いました。
心理戦の攻防をさりげなく濃厚に描き込んである一冊ですね。
表題作の受・十三は関係が後二年も続けは自然と受である
自分を受け入れる様になるのでしょう。
作中の段階ではまだまだ攻と思い込んでいた自分の錯覚から
抜けきれていない様です。
他の作品の登場人物も概ね何かが邪魔をして自分の素顔に
気づく事が出来ず、故に関係をギクシャクしたものにしてしまう。
そこを乗り越えるとそれなりの幸せが待っているのですが。
男の可愛げを少しひねくれた展開で描いてある好著です。
大好きなサークルさんの初単行本。
攻めが歯医者・社長・刺青師とバラエティに富んでます。
表題作「どうせ、めろめろ」
今までは攻だったモデルの十三と、そんな十三を大人の余裕で甘やかす蜜谷さん。
十三は蜜谷さんの余裕に物足りなさを感じ始めて…。
大人な蜜谷さんが素敵です!
「歯科医中沢の苦悩と煩悩」
気に入った患者をわざと痛がらせる癖のある歯科医・中沢と、過去に中沢に治療をさせて歯医者にトラウマの残っている・弥。
これは…実際にこんな歯医者がいたら、超セクハラ!犯罪です(笑)
・・・がキャラ的にはすごく好きですv
治療中の顔にえろすを感じるって言うのはすごく共感です。
「刺青」
和モノ!この人の絵って和モノ合うと思うんですよね~。好きです。
時代物でもある。
自分の最高の刺青を入れる人間を探していた青次と、時代に流されつつある由宇。
男と男の物語って感じだけれど、色っぽさもあってよいです。
日常の出来事がエロスのフィルターによってどこか排他的に感じる事ができる、短編としてまとまりの良い作品ばかり。
しかしながら、一癖二癖と厄介な性格の持ち主たちにその恋を応援したいという気持ちにはなれません(笑)
それどころか何処かで痛い目にあえばいいのに。
まるで間近でバカップルを見てしまったイラッと感もあり、意地の悪い目線で終始読んでしまいました。
ただ、タイトルどうり結局はめろめろ。
くっつかなくてもいいのにと思った所で作品の2人は2人だけの世界を見せびらかせてくれます。
唯一「刺青」のみが世界観の違う作品。
理想の男を見つけた彫師の、静かに浮かれる執着ぶりが紙面からも伝わります。
そんな彫師の最後の言葉にそれまでの作品でささくれだった感情を見事に打ち消され、浄化される構成力の巧さに気持ちをギュッと掴まれてしまいました。