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表題作狼王は金の子山羊を溺愛する

ラウリー,9歳→20歳,レーンフェルト王国のヴォルフ王家の王太子→王
シリル,5歳→16歳,「奇跡の子山羊」と呼ばれる山羊獣人

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

狼族のヴォルフ王家に伝わる伝承により、山羊獣人の一族は村を与えられ、王家に守られて生活をしている。
そのひとりであるシリルは、数百年に一匹といわれる金色の毛をもって生まれ、『奇跡の子山羊』として崇められ、身を守るためにその事実を隠されて生活していた。
そんなある日、森に迷い込んだ少年・ラウリーを助けたシリルは、数年後、なんと王の婚約者として指名され……!?

作品情報

作品名
狼王は金の子山羊を溺愛する
著者
釘宮つかさ 
イラスト
やすだしのぐ 
媒体
小説
出版社
オークラ出版
レーベル
プリズム文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784775529638
4

(11)

(3)

萌々

(6)

(2)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
45
評価数
11
平均
4 / 5
神率
27.3%

レビュー投稿数3

独特の世界観、奥行きのあるストーリーに激しく萌える。

釘宮さん作品というと、モフモフ、あるいは獣人、といった作品を多く書かれる作家さまのイメージが個人的に強いのですが、今作品もそのイメージを損なうことのない獣人のお話です。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






レーンフェルト王国、という国が舞台。
この国には狼族のヴォルフ家という王族がいて国を治めている。
そして、この国にまつわる童話がある。

かつて王である狼が傲慢になり、国が亡びる寸前というところまで来てしまった。そこに金の毛を持つ山羊がやってきて、王をなだめ、再び国を守った。

というもの。
それ故に山羊たちは狼族に守られ、深い山奥でひっそりと暮らしている。そして、金色の毛を持つ山羊は「奇跡の子山羊」と呼ばれより一層大切にされる。

といった世界観のお話です。

主人公は、その奇跡の子山羊と呼ばれる、金色の毛を持つシリル。
精霊たちを見ることが出来、彼の祈りによって世界は平和を保たれる。

そんな有能な能力を秘めているシリル。
けれど、彼が幸せかというとそうではない。金色の毛を持つがゆえに常に他者から命を狙われる存在でもあるのだ。それ故に、彼が金色の毛を持つことは村の中だけの秘密。村の外の人にバレないように、どこかに自由に行くことすら許されていない。

そして、奇跡の子山羊ゆえの責務もあったり、彼の存在を守るがゆえに彼の両親は早逝してしまったという過去もある。

そんなシリルは5歳の時に一人の少年に出会う。
村人以外に姿を見せてはいけないと言われていたシリルだったが、彼が見つけた少年は怪我をしていた。助けるためにその少年・ラウリーの前に姿を現し、そして彼を助けるために奮闘する。

それ以来、シリルとラウリーは1か月に一度だけ、逢瀬を重ねていくが―。

というお話。


シリル、そしてラウリ―。
この二人の男の子たちを取りまく世界観が非常に独特で面白い。
独特な世界観を持つ今作品ですが、釘宮さんの文章がとってもお上手でかつ読みやすいためかスルスルとこの作品の持つ世界観に引きずり込まれてしまいます。

タイトルとか表紙とかからも推測できてしまうので書いてしまいますが、ラウリーは狼族の王族、というか王太子なんですね。で、次期国王であるラウリーに、シリルが溺愛され幸せになりました。と、まあ一言で言ってしまうとそういうお話なのですが。

この二人の恋愛という軸においては、ずっとブレがありません。
甘々で、優しい空気感が常に漂っています。シリルが金色の山羊、というのはかなり後まで伏せられているのですが、このこと自体は二人の障害になるどころかプラスにしか働かない事項なので、どうやって話を展開させていくのかなー、なんて思っていたのですが。

いやいや。
めっちゃ面白かった…!

金色の毛を持つシリルは、いろいろな人から狙われる存在。

見目麗しく、特殊な能力を持ち合わせている受けさん。その受けさんは、そのビジュアル・能力から多方面から狙われるけれど、そこをもれなくスパダリである攻めが守り抜く。

こういう展開って、ある意味BLでは王道の展開で、萌えはしますがまあ珍しくもなんともないストーリーかと思います。

が、今作品は、そこに、もう一人のキーパーソンが加わってくる。
この人物の存在が、王道のそれらとは一線を画すものにしています。序盤からきちんと伏線がまかれているので、読後、ああ、あれはそういう意味か!と繋がっていく感じ。
この人の過去の話とか読んでみたいなあ…。

シリルという青年は、すんごく薄幸なんですね。
けれど、彼自身の本質が、彼自身を守っている。それ故にシリアス過ぎず、ラウリーといった溺愛攻めの存在もあって甘々で、さらに「とある人物」の登場も加わることでストーリー自体奥行きがある感じ。

やすださんの描かれた表紙もナイス。
ラウリーのイケメンっぷり、シリルの少年ぽさを残したビジュアルにめっちゃ萌え。

だがしかし、電子だと挿絵がない…。
買うときに「イラストないよー」という注意書きを確認してから購入したので諦めてはいましたが、うん。挿絵も堪能されたい方は電子ではなく紙で買われることをお勧めします。

脇を固めるサブキャラもみんないい味出してます。
スピンオフとか、続編とか、いっぱい書けそう。今作品の世界観がめっちゃツボだったので、ぜひとも書いてほしいなと切望しています(釘宮先生の書かれたあとがきを拝見して、より一層その思いは強くなりました)。

あ、あともう一点。
ラウリーが王になるために行う必要のある「儀式」。これがね、
エッロ!
あんまり詳しく書いてしまうとネタバレし過ぎちゃうのでちょびっとだけ。

まっさらさんのシリルに、あんなことを仕掛けるラウリーですが、

アンタ、絶対楽しんでるよね。
でも、GJ!
と、称賛を送りたいです。

4

儀式の根拠!

物語の何重もの仕掛けと発想に敬意を表して萌×2で!

なんと主人公は山羊の獣人さんです。しかも金色の!国に安寧と平和をもたらし、狼王を救ったという伝説の。

とても読み応えがありました。
主人公の幸せを祈りながら読み進め。

ハラハラしたり、ええ!となったり波乱もありつつ、基本溺愛狼王と子山羊ちゃんが無事に結婚するまで。

主人公シリルが切ない境遇なんですよね。なぜここまでシリルが金色なのを隠すの?こんなに一人ぼっちにするの?ともっともらしい規則が…実は…なからくりで。

そしてなんといっても王ラウリーの即位の儀式が!
何そのプレイ!何の根拠でそれが儀式?しかも1週間も!
萌えましたともっ!

お話はとっても凝ってたんですが、シリルが金色をあんなに必死に隠してきたのに、あ、打ち明けるんだ?な感じというかタイミングで。
いや、早く打ち明ければいいのにとずっと思ってたのですが。

うーん、なんというかお話はとっても凝ってるし、何もかもお前か!みたいなのもあったり、ハラハラするんですが…。

萌えはそこまで…。ごめんなさい!発売日のレビューでこんなことを。あくまで個人の感想です。
読み疲れかなあ。

伴侶はお前だけだってのにしびれました。愛の証ですよね。

3

怒涛の展開が!

電子書籍が割引きになってると知り購入してみました。
釘宮つかさ先生の作品なので安心していたのですが、序盤まではちょっと違ったかもと思いながら読んでいました。

『奇跡の子山羊』と狼族の王のお話が何回も出て来て、「いや、もうそれ知ってるし」と突っ込みを入れていました。もしや、今回はハズレだったかもと思い始めた時でした。シリルがラウリーの「成年の儀式」に参加する為に、王宮を訪れてからグッと面白くなって来たんです。

ラウリーと義母の王太后との確執や、あまりにもシリルに厳しい村長の態度がシリルの従者であるリニによって明らかになると、誰が敵で気を付けなければならないのかと、読者は一緒にドキドキしながら読むことになるのです。

途中、世間知らずなシリルが護衛騎士の立ち話から誤解してとんでもない行動を取ってしまいます。案の定危機的状況に陥るのですが、ラウリーとその部下たちによって救われていました。

このラウリーがですね、シリルが大好きで大事過ぎてついつい過保護にしちゃうんです。心配させまいと話さないのでシリルがグルグルしちゃってるんですよ。

なのでラウリーが王として認められる7日間の儀式も当日話すし、シリルの気持ちを慮ってしなくても良いとか言い出すんです。オイオイってなりましたけど、この儀式が箱入りのシリルにとっては難易度が高いのも確かでした。電子で購入したので挿絵がないのが残念でした。www

凄くまどろっこしく感じたのはシリルがラウリーの心配を聞き入れずに、一度村に帰ると言い出した時でした。優しい山羊族の皆が大好きな気持ちは分かるけど時期を待とうよ!って突っ込みを入れたら案の定って感じでした。

この頃には狼族にとって山羊族がどれだけの存在か分かっているので、諸悪の根源はアイツだなと分かって来るんです。ですが、何故シリルをそこまで憎むのが理解出来ませんでした。
だってどう考えても八つ当たりでしかないんです。元々の性格が悪いとしか思えませんでした。

シリルがある時から妖精の声が聞こえなくなったり、獣体を取れなくなった原因も想像通りでした。

今回の作品はかなりわざとらしい面が鼻に付いたので萌2にさせていただきました。
個人的にお気に入りのキャラはシリルの従者のリニでした。かなり聡明で物事の本質に気が付いてて、黒幕を危険視してた事に脱帽でした。彼のお話も読んでみたいと思いました。

1

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