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ぼくがベルサイユデビュー!?
小説
以外と面白いタイムワープもの。
天涯孤独の紗季を引き取り養育してくれた、子爵の末裔・ジャン。
パーティの準備中に、マフィアに襲われ、ジャンも紗季も死亡する。
銃で撃たれて死んだ時、「死にたくない」と呟いた紗季の願いをケルトの神像がかなえて過去に転生させる。
過去の世界に折角行ったのに、未来に戻りたいと願う紗季に、蛙の神様が条件を叶えたら未来へ戻す約束をする、期限は3か月。
条件を満たすために、14世紀のフランスで頑張る紗季。
・・銃で撃たれて死んだ紗季は、一緒に狙撃されて死亡した伯父のジャンが気になって、元居た時代に戻りたがるって、奇妙なそれがこの物語の肝。
「歴史を変えてはいけない」という蛙神の神・ティティとの約束で、今洋風の菓子も作れない。
・・・奇妙がおおくて面白い。
ひょっとしたら、今までで一番コミカルで面白い伏線だったかも。
洋菓子の歴史解説書を読んだことがあるのですが、
この作品、とても歴史をよく調べて書かれていて、そうそう!、とうなずきながら読みました。
修道院のお菓子の歴史や、太陽王のベルサイユに因む話が盛り込まれていて、楽しかった。
★著者ブログに制作秘話が書いていた。https://bit.ly/3BtgszF
紙版の帯と内容にズレがある
シャルル・ペローの「眠り姫」と「青ひげ公」がモチーフ
ゆるいコント番組+お伽話風の転生もの
作家買い。
華藤さんらしいヨーロピアンなお話でした。が、華藤さん作品て、ちょっとお耽美っていうのかな。そこはかとなく漂うしっとりした空気感がある作品が多い気がしますが、今作品はめっちゃコミカル。思わず吹き出してしまうシーンも多く、いい意味でいつもの華藤さんらしさが鳴りを潜めた、そんな作品だったように思います。
両親亡きあと、引き取ってくれた遠縁のジャンおじさんに庇護してもらい、21歳になった現在はパティシエになるべく修行している紗季。
その日は古城を持つジャンおじさんが企画した仮面舞踏会の手伝いに駆り出された紗季だったが、押し入ってきたギャングにジャンは射殺されてしまう。ジャンの仲間だと思われた紗季もまた、ギャングに撃たれてしまう。なぜこんなことに?と思う紗季だったが、なぜか生きていた。
あれは夢だったのか?
と疑問に思う紗季に、一人のイケメンが声をかけてきて―?
というお話。
ジャンのトラブルに巻き込まれる形で死んでしまった紗季が、とある場所にトリップした。という展開なのですが、このトリップした先が、今作品のキモかと思われます。
どこにトリップしたのか?というのを書いてしまうと壮大なネタバレになってしまうので、なるべくネタバレしないようにレビューを書こうと思います。
紗季がトリップした場所。
そこで紗季が出会ったイケメン。
そして、カエル。
そう、カエル、なんです。今作品の重要なキーパーソンは。表紙にもいる、あの可愛いカエルちゃんです。で、このカエルちゃん、まるまる太ってて、で、食べられそうにもなっちゃう、という。なぜ、カエルが食べられそうになってしまうのか、というところもヒントなんですけれども。
舞台はフランス、パリ。
古城。
そして、王子様風イケメン。
なんて言うんですかね、伏線があらゆるところに撒かれ、それを回収しつつ進むストーリー。このストーリー展開が実に秀逸で、さすがベテラン作家さまだなという感じ。
通常運転の華藤作品を求めて手に取られると、もしかしたら若干肩透かしを喰うかもしれません。が、ちょっとおとぎ話風味もあり、シンデレラストーリー風でもあり、個人的にはめっちゃ面白く読みました。コミカルなんだけど、いろいろな形の愛情がそこに加わることでコミカル過ぎず、シリアス過ぎず、BL要素もてんこ盛り。という1冊で何度も美味しい、そんな作品でした。
華藤先生の作品は必ず購入しているのですが、今回はちょっとタイトルにビビりながらも読んでみました。
ヨーロッパを舞台にしているのは変わりないのですが、今回は切なさや受けの悲しい程の健気さが鳴りを潜めた作品でいつもと違っていました。
普段は華藤先生の作品ほタオルハンカチをビショビショに濡らして読んでいるのですが、今回の作品は楽しく読了しました。
そしてハラハラして危ない展開になる前に、今回のキーである超自然的存在に解決して貰ってたのがちょっとだけ物足りなかったです。
それから今回の攻めのアレクサンドルが、いつもの華藤先生の攻めと全く違い新境地を開拓していると思いました。それに関しては賛否あると思いますが、私は決して嫌いじゃありませんでした。
真夜中にまた華藤先生の作品を読んでしまい、空腹に襲われています。思わずケーキを検索しそうになりました。