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誰より大切で愛してるからこそ、気持ちを悟られてはならず、冷たい態度を取り続けなくてはいけない二人ー。
と、シリアス寄りの時代ものでオメガバースになります。
こう、めちゃくちゃ切ない!
誰より大切に思ってるのに、だからこそ離れようとする主人公に、自分の全てを懸けて守り続ける攻め。
しかも、互いに思いは封印したままー。
ここに18世紀の帝国ロシアの情勢が絡み、時代ものとしてもとても読み応えがございまして。
過酷な道で迷いながらも、懸命に立ち続ける主人公が格好いいよ!
ところで、帯にある「溺愛主従ロマンス♡」はちょっと違う気がします。
確かに、これ以上ないほどニコライはリクを愛してるけど、その愛って相当厳しいものですよ。
完全に「甘やかすだけが愛では無い」ってタイプですよ。
溺愛の定義はイマイチ分からないけど。
少なくとも「溺愛♡」を期待して読むと、あまりに切なくて悶絶する羽目になると思います。
内容ですが、幼い頃からの教育係で従者・ニコライ×アルファと偽るオメガの皇太子・リクによる、時代もの+オメガバースになります。
オメガは皇帝になれない、18世紀のロシア。
オメガでありながらアルファと偽る皇太子・リクは、発情期の度に従者であるニコライに熱を静めてもらっているんですね。
幼い頃は優しかったのに、リクがオメガだと分かってからは冷たい態度を取るようになったニコライ。
そんな彼に密かに想いを寄せ、冷たい態度に傷付きながら。
で、冷たい態度でリクに接するニコライ。
実は彼は、リクを守り続ける為に、女帝とある約束を交わしていてー・・・と言うものです。
まずこちら、しっかり作り込まれた設定が面白いと思うんですけど。
オメガでありながらアルファと偽る事になった、リクの出生の謎。
情も何もかも切り捨て、偉大な施政者として君臨する女帝アンナ。
そして、女帝アンナに殺されたと噂される、前皇帝の謎。
で、一番のキモとなるのが、主役二人の運命に翻弄される両片想いでしょうか。
こちら、両視点で進むんですね。
オメガでありながらアルファと偽り続けなければならず、更にアンナの決めた婚約者との結婚が迫り、追い詰められているリク。
アンナの他に唯一この秘密を知るニコライの将来を思い、彼を自分から解放しようと健気に決意するんですね。
その為、ニコライとのセックスに飽きたと言い放ち、彼を疎んじている演技をする。
そして、リクを守る為に片目片足を失い、更に将来皇帝となる彼を影から支える為に、決して自分の想いを悟られないようにしながら側に居続けるニコライ。
こう、両視点の強みと言うのが最大限に生かされてまして。
二人が二人とも、互いを何より大事に思ってるのがよく分かるのです。
相手の幸せだけを望み、その為に自分が犠牲となろうとしてるのがよく分かるのです!!
もう、読んでいて切なくて切なくて仕方ないじゃないかよー!!(TдT)
また、ニコライの愛と言うのは大変厳しいものです。
優しく甘やかすのでは無く、リク自身の為に、決して逃げを許さないと言いましょうか・・・。
いや、時代が時代だからね。
囲い込んで優しくしてあげたくても、それは即リクの進退どころか命の危機に直結しちゃうんだろうなぁと。
誰よりリクを甘やかして優しくしたいのは彼だろうになぁと思うと、これまた切ない。
と、ここにリクがオメガだと気付き、何やら画策する従兄弟の影ー。
と、続きます。
実はリクがニコライを遠ざけようと、だらしない淫乱オメガを演じたシーン。
ここでのニコライの反応に、かなりイラッとしちゃったんですよ。
「あなたには失望した」みたいな。
こんなに、こんなにリクはニコライの事を思ってるのに!!みたいな。
が、オチで分かるニコライの真意に、心底惚れ直しました。
シビれました。
彼はやっぱり、めちゃくちゃいい男だよ!!
と、ここまでが雑誌掲載作。
ここから結ばれて子供が生まれた二人の後日談となります。
自身のオメガ性への劣等感が拭いきれず、自分の子供でありながらポーニャにどう接していいか分からないリク。
また、リクがオメガだと国民に発表した事で、今度は邪魔となるニコライの命が狙われー・・・って感じでしょうか。
えーと、相変わらずニコライの愛は厳しいです。
でも、前半に比べると二人の愛が揺るぎ無い分、安心して読み進められるのでは無いでしょうか。
三人で夏休みと言う、超甘々エピソードも挟み込まれてますしね。
う~ん・・・。
ただ前半がですね、ページ数の都合もあると思うんですけど、ちょいオチの部分が駆け足に感じます。
アンナ、この種明かしは唐突だよと。
とは言え、とても面白くて好みだったため、この程度は全然許容範囲内。
すごく心を動かされました。
ついでに、ロシアの情景描写にもうっとりしました。
8世紀、ロシア。
が舞台のオメガバースもので、難しい内容かなあ…??
と意気込んで拝読しましたが、
難しいのは登場人物のフルネームだけで、
素敵な純愛物語でした。
身分の違う攻と受のすれ違い系なんですよね。
2人がいろんな弊害を乗り越え、幸せになり、
そして守るべき家族ができ、3人で幸せになっていこう、というそんな素敵なお話です。
個人的評価
ストーリー ★★★★☆
登場人物 ★★★★★
エロ度 ★★★★☆
タイトル、表紙からわかるように(めちゃくちゃネタバレです)、
ハッピーエンドで2人の間には可愛らしいお子さんが生まれます。
旧ロシア朝風 架空の王国が舞台。
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フョードル:前王:リクの父 8年前粛正
アンナ:現王・女帝 α リクの母 プロシア出身 政略結婚の偽装夫婦
エリク・フョードルヴィチ・ロマノフ/リク:αと公開・実はΩ 王太子
ニコライ・アレクセイヴィチ・レオンテフ:α 25才 女帝公認、影の「リクの番」
イワン:王位継承権を持つリクの従弟
ザハール:王位継承権を持つリクの従弟 フョードルの姉の子 ナタリアと姻戚
ナタリア:プロシア国の姫 リクの婚約者
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●「背徳のオメガ ロシア宮廷秘話」
・・話を面白くする為、リクが愚かに書かれていて焦れる。
父王は、Ωの継承者を認めない
粛正した夫の代わりに国を統治するα母
お家騒動の真相を隠す、母の愛に気付けないΩ王子リク
リクを支えるニコライの秘めた愛
母のアンナは「リクに王の資質があれば気付ける」と真相を伏せる。
母の慮りを知らず、リクは猛反発。
●「溺愛の子 ロシア後継者誕生秘話」
婚姻後、αの第一子誕生
●「ポーリャの甘くて美味しい日記帳」
ポーリャ5才と女帝アンナの秘密の交換日記。
舞台は18世紀のロシアの王朝で、寡黙な攻めに健気な受けのオメガバースもの。
本当はずっと愛し合っているのにすれ違い(恋愛的にも家族愛的にも)みたいな展開は、華藤先生の作品ではお馴染みの展開ではあるのですが、今回の受けのリクは大国の王朝の皇太子でありながらオメガっていう設定からか、最初は健気っていうより卑屈な印象が強くて、この調子で読んでいくのはちょっと辛いかなと思っていたのですが、元が雑誌掲載作だけあって存外展開が早くて、あんまり辛い目に合わずに済んでよかったです。
華藤さんてヨーロッパ調、っていうのかな。伯爵とか、侯爵とか、そういった設定が多い気がしますが、華藤さんの新刊もそのイメージを損なうことのないロシア皇帝を舞台に描いたお話です。
タイトル、そしてミキライカさんの描かれた優しい表紙から、温かなお話だと思いつつ手に取りましたが、いやいや、なかなかハードなお話でした。
オメガ、そして次期王子、といったあらすじから、なんとなく王子×従者といったCPかなと思っていたのですが、今作品は王子が受け。そして彼を子ども時代から見守ってきた教育係が攻めです。
次期国王になる現皇太子のエリク。
彼が住まうロシアではオメガは国王になることが出来ない。エリクはオメガ、でも、彼の母親である現女帝はエリクを次期国王にするためにアルファと偽っている。
発情期もあるオメガ。
女性と婚姻関係を結んでも子をなすことはできない。
そんないびつな自分を卑下し続けて生きてきた。
しかも、王だった父は母によって暗殺されたという噂が付きまとっている。
絶対的な権力を持つ母、そしてオメガである自分。
不安を抱えるエリクには、全幅の信頼を置いていた教育係のニコライの存在によって救われていたが、今ではニコライとも軋轢があり―。
なんて言えばいいんだろうな。
とにかくストーリーに厚みがあり、二転三転するストーリーに引き込まれます。
暗殺された、王だった父。
権力を握り全てにおいて支配する女帝。
そして、発情期にだけニコライに抱かれるエリク。
読み進めるうちに、点が線になり、そして繋がる意外な事実。
ストーリーとしては文句なく面白い。
そして、ニコライとエリクの相手を想う深い愛情にも萌える。
相手のことだけを想い、自分を犠牲にしても彼だけを守りたい。
すれ違う彼らにハラハラしつつ、でもそのハラハラ感がたまらなく萌えを生み出すのです。
が、ごめんなさい。
どうしてもエリクがツボらなかった…。
凄く浅慮な男の子なんだよなあ…。
自分が皇太子であるという事、そしてオメガであるという事。
「自分」のことばかりで、周囲の人たちに目を向けることが出来ない。
でも、だからこそ、そんなエリクを見守り愛し続けるニコライの男気にグッとくる。
そして、ニコライと母親からの愛情によって、大きく成長するエリクの姿には萌える。
そうすると、エリクの子どもっぽさはある意味必須なんだろうか。
個人的にはもう少し甘い展開のほうが好きなので、序盤のドシリアスな展開にやや萎え萎えになりつつ、でもストーリーの素晴らしさには圧倒されました。
ミキライカさんの挿絵も非常に美しく、このストーリーの持つ世界観にぴったりで、萌え度は確実に上がりました。