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表題作銀の鎮魂歌

ルシアン・ゾルバ・レ・ソレル
ジオの若き帝王
キラ
ルシアンの最愛の小姓で,今は国を追われた詩人

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

甘く切ない恋の記憶と、臓腑を抉る過去が
混在する帝都──。2年ぶりに帰郷したのは
放浪の吟遊詩人キラ。若き帝王ルシアンの
元小姓で、幼なじみの乳兄弟だ。王の寵愛を
一身に受け、互いしか目に入らない幼い恋を
していた二人。けれど、キラと妹姫の仲を
誤解したルシアンが、激しい怒りと嫉妬に眩み、
城から放逐してしまったのだ。そんな二人が
再び邂逅する時──運命が狂気を孕んで動き出す!!

正統派ファンタジーBLの黎明期の初期傑作、
3度目の文庫化にして最終決定版、ついに登場!!

作品情報

作品名
銀の鎮魂歌
著者
吉原理恵子 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199010330
4.3

(53)

(40)

萌々

(4)

(1)

中立

(1)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
9
得点
220
評価数
53
平均
4.3 / 5
神率
75.5%

レビュー投稿数9

昭和のセンス、好みは分かれるでしょう

レビューの評価があまりに高かったので、好奇心でCDともども買ったしまいましたが失敗。
キャラクター設定とストーリーがあまりにも酷い、酷すぎる。
受けのキラは少女趣味の属性の全部盛り。
攻めのルシアン王もまた少女趣味のハイスペック属性全部盛りだけど、性格悪すぎ、粘着質で暴力的。自分で物を考えず間違いに気づいても改めない。それを愚かという。好きな相手の気持ちを知ろうとせず、話を聞く気もなく、カケラも信用もしない。感情抑制できずひたすら暴力を振るう。つまり恋人としては最低最悪。
多少の怒りの爆発は、愛するあまりということにしても、距離と時間をおいてもさらに執着に拍車がかかるとは、あまりに偏執的で常軌を逸している。ストーカータイプの危険人物です。ほかの登場人物もキャラクターが平板、王の周囲の人間が全員一致で嘘ついて、それが明らかに失敗で、キラを犠牲をしたことに罪悪感じても何もしない。誰ひとりとして自ら状況を打開しようとせず、中途半端に流されるからすれ違いが起き、偶然に目撃されたとか、偶然に立ち聞きしたとか、偶然に手紙を盗み見したとかが話の転機となっており、陳腐なだけで面白くない。
とにかくキラは生まれつき不幸、苛められて育ち、偏執王に目をつけられたのがさらなる不幸の始まり、一方的に愛を押し付けられ、邪推され、暴力を振るわれ大怪我を負い、追放され、流浪の生活で病気になり、衰弱した体で死に場所を求めて国に帰ってきてからも王に侮辱され、殴られ、強姦されます。王は、さすがになんか変だと思うけど、それでも自分で確かめようとせず、偶然に間違いに気づいたあとも自分のことしか考えず、流れに乗って他の女性と結婚、主人公キラは報われることなく野垂れ死に、登場人物全員が不幸になりました、おしまい、という話でした。背景設定は作りこまれていて魅力的なのに、なんでこんな後味の悪い話にする必要があったのか、もったいない。乙女漫画的な悲劇としても昭和のセンスでした。

2

名作

yoco先生のイラストが素敵です。
名作でした。定期的に読み返したくなります。
何度も出版されているのがわかります。

詩的な文章と言い回しで読み始めはとっつきにくいのですが、慣れてくるとスルスル入ってきました。

内容は古い作品なので今の流行りとはまるで違くて、受けも攻めも可哀想すぎて読んでいて辛くなってしまう。作中はひたすら展開が過酷で、最後すら誰も幸せにならないで終わります。けれど憎みながらも惹きつけ合ってしまう人間と人間の深い恋情の形がこれでもかと詰まっていると思います。

個人的意見ですが、登場人物たちの心理描写や行動が不自然じゃないので死別エンドでもモヤモヤしなかったのかな?でも少しゾワっとしますね。凄いもの読ませてもらいました・・・。ありがとうございました。

2

儚いそして時代を感じる

お話自体はルシアンとキラのなんとも悲しい物語なのですが、24年組と巷で言われるものに近い気がしました。
元々、ファンタジーというか外国王国ものがあまり好きじゃないせいもあり、美しい、悲恋が合わなかったのだと思います。

何となく古典を読んでる感じ(苦笑)

今のなんでもラブラブ、ハピエンな軽いヤツも読み応えないですが、リアリティを求めだしているとやはり物足りなかったかな。
小説としてはお力のあるもので途中放棄するようなものではありません。萌えなかったってことですね。
風と木の詩をお好きな方は良い作品だと思います。

3

電子版で、美麗な絵を拡大して堪能

中身は、昔のままです。
でも挿絵がYOCO先生の壮麗な装丁風の挿絵に変わっただけで、今風に変身。
中古本で紙版を購入済みで、内容を知っているのに今更どうよ、と考えたのですけど、最新版の挿絵で再読。
耽美なキラの哀れな生涯を改めて味わいました。

著者がこれを描きたかったと、以前書いていた、
キラの幻と、王が馬に乗る場面、
やっぱりここはとても切ない。アニメ風にしても、宝塚風に想像しても、耽美。
キラが生きている間にもっと大事にしてほしかった。

★この本は、いつも有名な画家が担当して描いているんですね。
小島文美 先生 
波津彬子 先生

4

不朽の名作中の名作

今まで刊行されたものは全部持ってるんですけど、yoko先生が好きなのでこちらも購入しました。

ままならないもの、どうしても壊すことができないもの、罪の定義の難しさ、そういうものを一切のごまかしがなくしっかりと描いています。
キラの魂の美しさがひたすらに眩しく、家臣と姫、そしてルシアンの愚かさは誰にも起こり得ることなのだと痛感させられて久しい年齢になりましたが、改めて読み返しても色あせることなく胸が締め付けられます。そしてラストの妖しい美しさ。そうそう、JUNEってこういうもの!と懐かしい気持ちにもさせられました。

どうか過去の作品だからと敬遠しないでほしいです。確かに今の甘いBLのような恋愛要素はありません。救いが見出せない人もいるでしょう。ですが、上質な文学を読み込んで裏打ちされた作者様の美しい文体や世界観、ストーリー、キャラクターたちは必ず価値ある読書体験を味わわせてくれると思います。

この作品を改めて世に出そうと思ったキャラ文庫さんの意気込みに拍手喝采を贈りたいです。

8

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