20P小冊子
主人公二人の愛憎劇が切ないですね。
他の皆さんと同じように私ももっと読みたかった…!本当、上下巻でって思いました。
この情報量を、1巻でまとめてるのは凄いなと思いますし充分ウルウルしたんですけども、もっと大量に泣かせると思います。
それぞれのキャラが魅力的で切なくて、絵柄も綺麗でした。
最後に結ばれるシーンも良かったのですが、心理描写のが好きすぎてその後の雪のシーンでまた涙腺が…。
ハッピーエンドで良かったです。
紙本購入
修正はトーンです。(エッチは1回のみ)
登場人物の生い立ちや設定がとても丁寧に書かれている作品でした。
作中にちりばめられた要素が、後に生きていて無駄な要素がなく読み応えがあり何度も読み返したくなる作品です。
ストーリーは再会から始まる復讐劇。オンブラに復讐心があるとは知らず一緒に過ごすシリウス。次第にオンブラに惹かれていくシリウスが戸惑ったり照れたりする姿は初々しく愛らしいです。コミカルなシーンもあるので見ていて微笑ましい反面、この後どう裏切られるんだろうとハラハラもしました。
復讐するはずのオンブラがシリウスを憎みきれずに葛藤する姿は人間らしくよかったです。お互い思い合っているのに立場の違いから離ればなれになってしまう過程は切なくて胸が苦しくなりました。
けれどそこで諦めないシリウスは芯があり、しっかりとした考えを持って行動していて魅力がさらに増しました。
全編通してイラストも綺麗で見せ方も美しいです。言葉も綺麗で台詞を何度も噛みしめながら読んでいきました。
憎しみに生きて愛に救われる。切ない関係から築かれていく愛に心が温かくなる作品。
読み終わった後も2人の幸せを願わずにはいられない1冊です。
作家買いの五月女えむ先生。
今作は童謡の森のくまさんみたいなBLを描きたいということだったそうなんですが、単なる幼馴染再会ものではなく心に温かく沁み入ってくるオンブラとシリウスのせつなくも深い愛の物語でした。
オンブラのシリウスに対する複雑な感情が、その原因となる背景が重くて辛くてしんどいです。
それを知らないシリウスの純真さと無防備な笑顔がさらにその感情を煽って乱して…
オンブラの憎しみで塗り潰されてしまっていた黒い感情からシリウスへの愛情が引き摺り出されて、シリウスがオンブラへの強い想いを伝えるシーン…。
過去をどうすることもできないふたりが抱き締め合う姿に胸が締め付けられ、こんなに愛憎渦巻くせつない心情を纏め仕上げる五月女先生のお話し運びはさすがだな、と泣きながら思いました。
オンブラの名前を絡めてくるエピソードがまた泣けます…!
ふたりが出会いまた再会し、赦し合い出した答えは決して間違いじゃなかったんだな、と最後のオンブラの涙と雪景色の中のふたりを見て確信しました。
オンブラの陰のある佇まいに傷を負った顔、シリウスのピュアで柔らかな雰囲気と少し幼さのある顔。そして、ふたりの手。
対比がお見事で、作品のムードにしっかりとハマっていて相変わらずの絵の美麗さに見惚れました。
オンブラの前髪はあげたら大変なことになります(照)
五月女先生の新刊ラッシュなので、次の作品を読むのが楽しみです。
裏表紙のあらすじにロマンスとは程遠い愛憎劇とあったので、ちょっと覚悟して読みましたが
どこが~?すごく良かったです。2人の名前が星ということにもロマンを感じます。
オンブラのシリウスに対する愛憎みたいな、好きで好きでたまらないのに、憎いみたいな複雑な感情がたまりませんシリウスを殺したら自分も死のうと思ってた見たいで切ないです
でも結局シリウスも被害者なんです。幼い頃の両親のゴタゴタに巻き込まれてつらいおもいをしてきて
そこのとこオンブラは考えてほしかった。まだ何も分からない子供だったのに
オンブラを助けて、シリウス1人だけ城に戻る別れのシーンはほんとうに泣けました。城に戻りムートを看取って、前王を告発して再び二人が会えたときは、ほんとにホットしました
少し大人になった二人はようやく結ばれます
シリウスが天使で高潔な心の持ち主で、そんなシリウスを大事に大事にこれからも2人で雪原を生きていくのでしょうね
五月女さん作品は『サハラの黒鷲』に次いで2冊目。
ちるちるさんの作家インタビューを拝見して手に取ってみました。
とにかく絵が綺麗!攻めさんのシャツがいつもはだけていてですね、ムッキムキの筋肉美がこれでもかと描かれていて眼福です。表紙ではちょい悪な表情を浮かべている(ように見える)攻めさんですが、過酷な過去を持つ、めちゃめちゃ素敵なナイスガイでした。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
山奥に一人で暮らすオンデルは、ある日とある青年と出会う。
彼らが住まう国の王子のシリウス。が、オンデルとシリウスは、子どもの時に出会っていて―。
あらすじにも書いてあるのでここでも書いてしまいますが、シリウスの母親は王の愛妾。が、その王から逃げてきたシリウス母子をオンデルの村の人たちは匿い親切にしていた。が、その行為が王への不敬罪ということで、村は焼き払われ、そしてオンデルの両親も殺されてしまった。
シリウスを大切に思っていたオンデルは、恩を仇で返すことになったシリウスに対して深い怒りを感じて生きてきたのだった。
それから10年。
シリウスはとある事情から、オンデルの知識を求めてやってきたが、オンデルを思い出すこともない。シリウスに復讐したい。その願いを果たすために、オンデルはシリウスに手を貸すことにするが―。
オンデルという青年の、滲み出る男の色香がヤバいです。
褐色の肌、黒い髪、筋肉質の身体。顔の傷ですら彼の魅力でしかない。そこに加わるのがオンデルの孤独。人を信じず、両親と村の仲間たちの復讐を誓う、その思いが、彼の魅力をさらに引き立てている、そんな感じ。
オンデルが「闇」なら、シリウスはさながら「光」です。
白い肌に金色の髪。王子という高貴な身分と、人を疑うことをせずに天真爛漫。
オンデルの、シリウスへの復讐は、はたして遂行されるのか―。
と、そこを軸に進むストーリーです。
これね、どうストーリーを動かしていくのかなー、と思ったんですよ。
王子と、彼に復讐心を抱く青年。二人の間に愛は成立するのかな、と。
が、シリウスという王子の中身が、意外なほど複雑でした。
登場人物はさほど多くはありません。
舞台も、オンデルが住まう山がメイン。
が、そこに彼らの過去、彼らを取り巻く環境が上手にミックスされ、奥深いお話でした。そして、すごく良いなと思ったのは、「星」という存在が生きていること。彼らの名前(オンデルの本当の名前とか)、日食とか、夜空とか。
オンデルはシリウスに裏切られたと思い、復讐を誓う。それが彼の生きる意義であり、糧だった。けれどそこまで彼を突き動かしたのは、はたして憎しみだけだったのか。彼のシリウスに対する想いは、根っこのところでは子どもの時からずっと変わらなかったのだろうな、と思うのです。
読み始めたときは凄くダークでシリアスなお話だと思いました。が、この作品で描かれているのは彼らがずっと大切に温めてきた深い愛情です。
綺麗な絵柄も相俟って、めちゃめちゃ萌える、切なくも温かいお話でした。