電子限定かきおろし付
「もう長い間 好きやった」
これはすごい。
舞台は2030年、もしクローン技術があって大切な人と全く同じ個体が再生できたら…というBL。
なかなかうまく一冊にまとまってて、良作なのにそこまで注目されてないのが不思議ですね。
現時点で☆1~2の数がゼロなのもじゅうぶん頷けます。
倫理観や魂、人権、法律に関する問題などにもきちんと切り込んでおり、作中でそういった点がやはり批判もされます。
一つ一つ二人で協力し合ってそういった問題を解決していくので、お笑い芸人という設定も相まって、すごくテンポも良く、読後はとても爽やかです。
レビュワーさんに個人的にオススメしてもらったものの、好みの絵柄でないのと、表紙の作画がかなり気になったのとでずっと読めなかったんですが、とにかくパパっと複雑じゃない作品がなんか読みたいなってなって(あらすじはあらかじめ教えていただいてたので、これならすんなり理解できそう、という意味で)、やっと読めました。
中身の作画は表紙よりかなり整っているので、それももったいないですね。
表紙の作画(体と頭の比率、イケメン度数など)で敬遠されがちなのかもしれません。
中身はイケメンx可愛い感じで良かったです。
デフォルメキャラもふわふわで好き。
<☆を1つ減らした理由>
・やはりイケメン etc. に見えてもそこまで好みの絵柄ではなかった
・医学的なことに全く触れられておらず、
「そんなに簡単に短期間で成人の状態までクローンが育つのかな」
という疑問が湧いた
クローンBLやお笑い芸人BLにご興味あればぜひ。
近未来ならではのテクノロジーに関する描写もお楽しみください。
<注意点>
上記表のとおり、「同級生」なのにクローンが育つ間の8年間がマイナスされるため、実質 受けが8歳年下になります。
幼馴染みでもある死んだ相方が大好きだった芸人、稲葉ソーマ(32歳・ツッコミ・攻)と、8年前に死んだ漫才コンビ「イースター」のソーマの相方、麦太ミツヤ(享年24歳・ボケ・受)の、近未来ラブ&ラフコメディでした。一応参考までに書くと、死ネタがあります。
こちらの作品はリブレ刊「秒でわかるBLシリーズ」の一冊で、お題は「孤独なモンスター」だったんです。芸人でモンスター?クローン?モンスター…?と思いながら、購入して読んでみました。
幼馴染み特有の拗らせた片想いをぶつけて、受け入れて、公私ともに相方に、というほのぼのでハッピーな感じではあるのですが、ソーマの、決断から再会までの8年間の心情を考えると、尋常じゃない激しい感情を感じます。そしてこんな感情を抱えつつもちゃんと芸人として仕事をしていたのだから、ソーマのミツヤへの思いは本当にすごいな、と思いましたね。
2024年と比べて、服装だってスマホだって大して変わってないようでいて、さりげなく便利なツールができていたり、ネット犯罪に対する法制度ができてたり、何と言っても人間クローンの製造が禁止じゃなくなってたり。かと思えば、車は普通に道路を走るし、音MAD職人は健在だったり。この絶妙な混ざり具合が私的には好きでした。
初めは芸人モノとクローンという設定に惹かれて購入したのですが、まさかBLでこんなにも未来へ思いを馳せることになるとは思いませんでした。
もしかしたらないこともない、あるかもしれないちょっと未来のお話。楽しかったです!
これは…なかなかレビューが難しい。
やはりクローン設定が受け入れられるか、どうかでしょうか。
読み手によっての論理観や死生観でかなり印象が変わる作品だと思います。
ストーリーは8年前お笑いコンビ人気絶頂期に突然死んでしまったミツヤ。ソーマは独りで奮闘。しかし、家に帰るとクローンミツヤと生活中。
ソーマはミツヤの遺言を受け、大金を出してクローンを作っていた。
意外としんみり進むのかと思いきや、幼馴染みのお笑い芸人設定も有りコミカルに比較的スムーズに進みます。
ずっと片想いだったソーマと鈍感なミツヤ、心配しながらも面白がる胡麻崎先輩の掛け合いが面白くて
初コミとは思えない完成度。
両者の気持ちも描かれているので、とても読みやすい。
クローン設定は完全なるファンタジーでは有りますが、後半の一般人の声がリアルで背中がゾワッとするような描写がある。中でも「死を金で解決するな」が心に残りました。
本の主旨から外れたのかページの都合か、悲しむ様子が少なく(読者の想像に任せたのか)迷いもなく多分彼はグリーフワークをする暇も無く働き稼ぎクローンを誕生させただろうと思うと、死を金で~は一般人が軽はずみに発言出来ないのでは無いか。と心が痛みました(本人は吹っ切れている様子ですが)
ただ8年差とか肉体的な事とか、ここまでファンタジーにするのなら、もういっその事、記憶を移植するクローンではなく魂を移動する設定にしても良かったのかなと。
やはり亡くなった時点で記憶が同じでもクローンは別物で有り、クローンを愛する事は私はどうしても受け入れがたい、と思えてしまうけれど
ソーマ「もう二度と死ぬな」でこんなにも愛してる2人ならば…と、少し心が動かされてしまう。
もう、これで実はソーマもクローンでしたー。みたいなオチだったら私の情緒どうしようとか思いましたが、無事読み終わりました。
初コミで兼業しながら重い題材で悩み苦しみ、描ききった鮭だらけ先生の益々のご活躍をお祈り申し上げまして星5とさせて頂きます。
『クローンの相方と恋愛ってどんなネタ?』…というタイトルが気になって、ほんとにどんなネタなの?と拝読。
超多忙な芸人のソーマ。
8年前にコンビの相方であるミツヤを亡くしていますが、現在ミツヤと同居中。
その理由とは…。
お笑い芸人にクローンに攻めの長年の片想いにコンビ愛以上に募っていた想い…、などが描かれた近未来が舞台のお話し。
ミツヤがクローンというところが最大のポイントで、相方の死という重くなりそうな題材でソーマのミツヤへの執着がともすれば激重シリアス案件として扱われがちなものなんですけど、ソーマの一途さが突き抜けていて、ミツヤのことがとにかく大切という一点に焦点が絞られているのでその想いの深さにジーンとさせられるし、ミツヤのあの天然な明るいキャラの勢いに押され、ところどころ考えさせられる部分もありましたがずっしりと重暗くなることもなく、いい意味でカラッと軽快に読めました。
作画では顔と身体のバランスがちょっと気になるところもありましたがすっきりとして見やすく親しみやすさのある絵で、ソーマとミツヤの関西弁のやりとりやお話しのテンポもよく綺麗に纏まっていて心地の良い読後感でした。
ミツヤのちびキャラがかわいかったです。