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瀧本羊子先生の新刊「深窓のこいびと」がとても好きだったので、既刊も読みたい!と思って手に取ったこちら。
評価が高いのも納得…!高校の同級生同士のラブストーリーなんですが、いわゆる”アオハルもの”とは一味違う。
ふとしたきっかけで友人同士となった慧(攻め)と真心(まこ・受け)。
誰にでも優しい真心には、いつも熱狂的で変な信者とも呼べるファンがまとわりついていて、そんな彼に切ない恋をしている慧は勇気を出して告白しー
と続くお話。
想いが通じ、喜びに浸っている時に突然「実は僕 神様なんだ」というとんでもない告白をされて…という展開に「ファンタジー系のお話だったのか!」と思いきや、そういうことじゃなかったー!
自然と人の心の”穴”を埋め、寄り添うことができてしまう真心。
「誰にでも平等に寄り添い接する」ということはつまり、裏を返せば”特別な人を作ることができない”ということで、、
愛しい人を捨て、自分に縋る全ての人たちを選ぶか。
自分に縋る全ての人たちを捨て、愛しい人を選ぶか。
究極の二択を前にして愛を叫ぶ慧の気持ちと、慧の言葉によって解放される真心の姿に心が震えました( ; ; )
大勢の人を救ってきた真心だけど、傷つき悩む真心の心を救ったのは、慧だったんだなあ、と。
”神様”としてではなく、一人の人間として平凡な(でもとんでもなく幸せな!)人生を手に入れた真心。
この二人の行く末、数年後や数十年後の姿もずっとずっと追いかけたいなあと思える、素敵なお話でした✨
神様、というタイトルのキーワードが、まさか。。でした。
高校の同級生。なぜかいつも他人から花をもらったり、悩み話を聞くことになってしまう真心と、その真心の親友の彗。
そんな真心をかわいく思う彗ですが、なかなか言い出せない。卒業式に思い切って告白したら、なんと真心も自分のことを好きで。。
実はこれが物語のスタートです。
両思いになったはいいけど、真心は自分がかみさまだと言い出して。。
宗教のかみさまとして悩める人の話を聞く真心。
家業を継ごうと?決心する真心と、そんな彼を、ただ一人の青年として接し、そばにいようと決心する彗。彗が男前〜
宗教家というちょっと変わった設定でしたが、最後はその家業の無理を誠実に描き、二人の人生と恋のスタートにゴールさせてくれた作者さんに拍手。
自分以外の人と自分の本当の幸せとは?について深く考えさせてくれる。名作です。
キャラクターの表現、描写、言葉のチョイスなど全てが好きです!そして、ものすごく共感することばかりの深い内容でした。
私は20代〜30代の頃、自分の悩みを聞いてくれて核に気付かせてくれる[かみさま]の様なカウンセラーを崇め奉っていた経験があります。
こちらの作品で、多くのふつうの人からそうされる真心くんは、自分の欲望よりも相手が求めることを当たり前に優先してしまう。攻めの慧くんも、恋人の真心くんがどうしたいと思っているかに誠実に応えて叶えてあげたいと想いつつも、自分の想いや欲望も伝えて、お互いが共に幸せでいられる方向へ進めていこうとしている。
特別な人と共に生きていくことで、かみさまとしてどう生きていけばよいか、、、苦悩する真心くんと慧の描き方に引き込まれました。
長い間親友として過ごしてきたけれど、実は真心にずっと片想いをしていた慧。
卒業式の日にその想いを伝えたら両想いだったと判明するので、そこからきっとハッピーな日々へと繋がっていくのだろうなと思っていました。
でも真心からは慧への想いだけではなく、自身が「かみさま」だということを告げられて…
それが本当の"神"だったならファンタジーになってちょっぴり笑えるような展開になっていたかもしれませんが、悩みを抱えた人が拠り所を求めた先に辿り着いた架空のかみさまを「仕事として」真心がしているので、正直戸惑う部分はありました。
でも慧はそんな真心の告白を言葉通りに受け止め、なんなら真心以上に冷静で。
そういうところに慧の魅力が見えたので、ふたりをすごく応援したい気持ちになったのでした。
初々しくて可愛くて微笑ましいふたりの恋愛の場面と真心の事情を受け入れたあとの慧の葛藤や真心自身が苦しさを感じてしまう場面の感情の差がすごく大きくて、それについていくのが難しいなーと思いつつ。
この先どんな状況になってもお互いを求めて支え合っていくんだな、という大きな絆がラストの場面では感じられたので、すごくあたたかな気持ちになりました。
誰からも愛されちゃう系男子とその親友、という立ち位置でのお話かと思いきや想像以上に重たくて深くて、心を揺さぶられるお話だったなと思います。
人の話を聞くだけでその人の心の穴を埋めてしまう真心と友だちとして付き合ってきたが、実は真心への恋心を隠し持っていた慧。高校卒業の日に慧から告白したことから真心も自分の秘密を打ち明けます。それは「自分も慧を好きなこと」と「自分は『かみさま』であること」
突飛な設定に興味が惹かれました。神様とBL?ファンタジー?どうやら現実世界の話のようで、いわゆる新興宗教のような神様なのでした。
真心は思ったより俗的で、エッチなことにも興味があるし、普通の十代男子。それがなぜか人の話を聞くだけで求心してしまうんですよね。本人が嫌なら問題ですが、自分しかできないことなら、と、神様を続けているわけです。そのギャップが奇妙で、コミカルなのに不穏さを感じました。
最後の選択は、良かったなって思います。真心がたくさんの人の心の穴を埋め続けている限り、慧と真心の心の穴は埋まらない。自分と大事な人の心に穴を空けてる神様なんて、本末転倒ですよね。二人のことは二人以外には救えないんだから。
BLとしての葛藤はあまりなく、人間ドラマのように感じました。シリアスだけど暗さはなく、テンポが良かったです。もっとどろどろしてても良かったかも。
今後は真心の特技を活かした別の仕事をして、お母さんと慧とで切り盛りしてくれたらいいなーという妄想をしてます。お幸せに!