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「鳴けない小鳥と贖いの王 ~彷徨編~」に続くシリーズ二作目で「再逢編」になります。
ちなみに、今巻で完結予定だったのが延び、以下続刊となります。
作者さんは完結出来なかった事を謝罪されてましたが、先生、大丈夫ですよ!
六青ファンなら想定内です。
むしろ、今刊の内容に涙を流して感謝してる。
そう、こちら、壮大なファンタジーであり、運命の悪戯によりスレ違い続ける二人の切なすぎる物語になるんですけど、あまりに(受けに)辛くフラストレーションを溜めに溜めまくった前巻から一転。
萌え爆発の、素晴らしい巻でして!
もう、あまりの面白さに一気読みですよ。
クラウスの馬鹿さ加減に、一緒に泣きましたよ。
ものすっごく不本意だけど、クラウスが可哀想で心が痛くなりましたよ。
ルルが出した答えに、胸がいっぱいになりましたよ!!
そもそもこちら、前巻に引き続きストーリーとしてめちゃくちゃ面白いのです。
ルルが国外追放になってからのクラウス側のエピソードが語られますが、運命の片翼だと思っていた王妃の裏切りに、あの日、癒しの民が襲われた真相。
そして、この世界の驚くべきカラクリー。
こうね、驚きの真相の数々に、もうページを捲る手を止められないと言いますか。
いや、びっくり。
あの出来事の裏にこんな恐ろしい事実が隠されていたのかと。
まさかここまで壮大な広がりを見せるとは想像してなくて、ただただ感嘆しちゃうと言うか。
いや、すごい事になってきたなぁしか出てこないんですけど。
もう本当、ファンタジーとしても深みのあるストーリーとしても、めちゃくちゃ面白い作品だと思うのです。
思うんですけど、実は個人的に一番心を揺さぶられたのって、主役二人、特にクラウスの心情部分なんですよね。
実は前巻のレビューで、彼に対して死ねだのお前にはガッカリだ!だの、怒りのままに散々わめき散らしてしまいまして。
これ、その時は頭に血が上りすぎて、自分でも何にそこまで腹が立ってるのかよく分からなかったんですよ。
えーと、ルルと生きる道を一旦は選んだのに、ハダルが現れた事で心変わりをした、と言うか楽な道に流された事に腹が立ったのか?
性悪女にいいように騙くらかされて、ルルに酷い仕打ちをした事に腹が立ったのか?
これね、本当に許せなかったのは、ルルを信じてやらなかった事なんだと後から気付きまして。
ルルが疑わしい状況に置かれた時に、クラウスは「何か理由があったんだろう?」と来たんですよね。
それもう、最初からルルがやった前提じゃねーか!と。
こう、例え世界中が受けの敵に回ろうとも、攻めだけは受けの味方でいるべき派なんですよ。私は。
どれほど疑わしい状況でも、彼はルルを真っ直ぐ信じるべきだったのです。
民を守らねばならない王としての責務とか、立場とか、彼には彼の事情がある事も承知してる。
でも、そんなのは全然関係無く、ルルを信じる事だけは出来たはずなのです。
まぁそんなワケで、クラウス!
自己嫌悪や後悔にのたうち回る程度じゃ私は許さんぞー!
多少痛い目に合おうとも、丸め込まれたりせんぞーー!的に鼻息も荒く読み始めたのですが、いや、何だろう・・・。
今回ですね、お話としてはクラウスのターンだと思うのです。
実はルルが居なくなってからのクラウスですが、何もかも上手く行かなくなりと、わりと悲惨な状態になるんですよ。
「癒しの民」であるはずの王妃。
しかし、彼女の正体への疑いの声。
そして、王妃の死産と同時に分かった裏切り。
何よりクラウスですが、王の座に着き、運命の片翼がそばに居て、更に子供の誕生を待つばかりと幸せそのもののはずなのに、何故か心は常に焦燥感に苛まれと、ちっとも安らかではないんですよ。
そう、それは、ルルが傍らに居なくなってしまったからー。
しつこいですが、私はクラウスに対して怒り心頭だったんですよ。
ただ今回、彼があまりに馬鹿だし、そしていじらしいしで、読んでて怒り続けるのが難しくなってきちゃうんですよね。
強い喪失感に苦しみながら、あれは卑劣な裏切り者なんだと自分に言い聞かせたり。
運命の片翼であるはずの王妃ではなく、ただ道端で拾って助けただけのルルに対して強い執着を見せて実際に言動に出してるのに、それに自分で気付いてなかったり。
何より、王妃に全て仕組まれた事で、ルルが冤罪だと分かった瞬間の、後悔では言い表せられない絶望ー。
えーと、実はですね、ここから前巻のラスト。
ルルとの再会に繋がります。
記憶を無くしてしまったからこそ、素直にクラウスを受け入れるルル。
そして、そんなルルを壊れ物のように大切に扱い、もう何一つ辛い思いをしないように、ただただ大事にするクラウス。
そう、ひたすら償い続ける。
でも、例え記憶を無くそうと、大切な人に裏切られた胸の痛みをルルは心の奥底で覚えていた。
そして、無意識に再びの裏切りを恐れていた。
これさぁ、テーマが「スレ違い」じゃないんかいってほど、これでもかと二人がスレ違う物語なんですよね。
今度はですね、クラウスがどれほど真心を尽くそうと、ルルの側が受け入れられないんですよ。
クラウスが自分を利用しようとしてるんだと誤解したルルのですね、あまりに切り口鋭いセリフに、ザマァどころか可哀想になっちゃって。
ちょっ、ルル。そこはクラウスを信じてあげて。的に。
ただ、ここから記憶が戻ったルルの出した答えにですね、めちゃくちゃ感動もしちゃって。
こう、人を赦すのって、すごく難しいですよね。
でも、赦さなきゃいけないなんて、誰が決めた?
そして、素直に自分の気持ちと向き合った時に、自身が本当に望む事とはー?
泣けましたよ。
ラストが怒涛の展開ですが、ボロボロ泣いちゃいましたよ。
ここで「続く」って、先生はドSか!?と身悶えつつ。
とりあえずそんな感じでですね、めちゃくちゃ面白い二作目でした。
くあ~っ!
めちゃくちゃいい所で以下次巻で、今身悶えてる。
待ちに待った続編!
前作〜彷徨編〜から読まなければ全く意味が分からないと思いますので、是非前作から。
発売を知った時は、ついに!と歓喜したのですが、それと同時に、あの辛くて堪らなかった彷徨編から読み返すべきかと思わず逡巡しちゃいました。辛かったですもん…ほんとに。
ストーリーについて(クラウス×ルル(リエル))
前作レビュー時、ルルに対して贖え、償え、と散々にクラウスを扱き下ろしました。
本作では、初っ端クラウス視点から始まり、延々とルルが近くにいない悲しみ、追い出したのは自分だという後悔が語られていました。
本当に可哀想になるくらいに、事あるごとにでした。
クラウスの事を許してやろうと思えた方も多いのではないかな。
しかし、私は、まだまだ許せませんでした。
クラウスがいくら後悔しようが、いくら自分を責めようとも、自分がした行動についてきた結果なのであって、それは、贖いではありませんので!!
クラウスのルルを思うあまりにも健気な気持ちに、
ルルが愛しくて仕方ないという描写に、何度も絆されかけました。
しかし、記憶を失ったルルがクラウスは信じられる人なのでは?と思いながらも、心の片隅で明滅するいつか裏切られる、期待してはいけないという傷付いた心を知るたびに私の怒りも再び燃え上がり感情が忙しいのなんの。
ストーリーも面白く、ルルにとって仇敵である聖導士側の人物がクラウスの仲間に加わる事によって新たに知る翼神の事、その末裔の事。
あまりの胸くそ悪さに前作で語る気になれなかった女性キャラ、ハダルの顛末。(顛末で良いのかな?次作でまた出る可能性なきにしも…?一応ひと区切りはついた)
ハダルについては、うーん、どうだろ。
悪いことしたんだからそれなりの報いを、とは思うのだけど、あくまで私はハダルの件でも悪いのはクラウスだと思うので。
とはいえ、ハダルにあたえられる罰に酷たらしい描写があったわけでもなく、さらっと天誅という感じでしたので、胸がすくという意味ではちょうど良い罰だったのかな。
そんなこんなであっという間に読み進め、終盤に近付いた頃からクラウスにも、もういいよ、あなたの気持ちちゃんと伝わったよ、本当の意味で早くルルと仲良く戻りたいよね、と優しい気持ちで見守れていたのですが、なんとなんと、また気になる展開で次巻に続くでありますーーー。
六星先生あとがきにて謝っておられましたが、また楽しみが増えただけですので!
さらに嬉しい事に、次回の発売はもう少し早くなるかもとの事で。
最後に。
私、今回のあとがきで盛大に吹き出す事があったのです。
たぶん、私、多くの方がクラウスに対しもう許したよ、と思うようなシーンでもなかなかクラウスを許せずいたと思うのです。
そんな私でも読み終えた時には、クラウスの「贖い」は色々感じていたつもりだったんです。
しかし、あとがきに「次巻ではクラウスの贖いがどうなるか」と書かれていて。
嘘でしょ!?クラウスの贖いこれからなの!?って。
ほんっとに、さすがの六星先生です!
前作でルルを容赦なく痛めつけたかと思ったら、まさかのクラウスも。
まぁ、そうこなくっちゃ!でもあるんですが。笑
楽しみにしています!!
待ちわびていた続刊です。
期待はしていましたが、面白くてあっという間でした。
しかもまだ続きが!楽しみが増えました。
物語はクラウスがルルを追放してからのクラウス視点で始まります。
さて、ルルにあれだけの仕打ちをしたクラウスの言い訳はどんなものなんだ?とワクワクしつつページを捲りました。
読み進めるうちにクラウスの人物像がはっきりしてきます。
王としての資質、行動力は十分のようですが、一人の人間としてみたら、懐に入れた人間は信用しすぎるお人好しなところが欠点なのか長所なのか…
その危なっかしさが今回も発揮され、ナディンという聖導士を信頼します。
今回はこれが吉と出、様々な真実を知り、ルルを救う道標となるので結果オーライなんですが、続きがあるのでナディンに関してはまだわかりません…
元后のハダルを疑う事象はたくさんあったのに、なかなか彼女を諦めきれなかったのには少しガッカリしました。
ルルの事はそこまで熟考せず追放したのに?と…
献身的にルルの世話をするクラウス。
記憶をなくしているルルが、クラウスに好意を抱くものの心の深い部分で信用しきれない、というところに激しく同意している自分がいました。
クラウスを簡単に許しちゃいけない、彼もまた騙されていたとはいえ、浅はか過ぎたんだから!と。
失くしていた記憶を取り戻し、クラウスを信じきれないルルとクラウスに惹かれるリエル、二つの思いで揺れる様子に私も苦しくなりました。
どうしてもクラウスを信じきれないルルは、伴侶として体を繋げる事をナディンに急かされたその理由を知って、ますます疑心暗鬼になります。
侍従により、クラウスがルルを想う気持ちに偽りはないと告げられ、揺れ動くルル。
そんな中、クラウスが事故に遭います。
もしもの時にとクラウスがルルのために用意していた数々のものでクラウスの愛を知り、クラウスへの気持ちを確信して助けに向かい…次巻に続きます。
1巻まるまる、クラウスは過去の自分を責め、ルルのためにできることを尽くします。
そしてルルもまた簡単には絆されないことで、ルルの傷の深さがよくわかります。
こういう展開は大好きなのでとても面白かったです。
次は本当の最終巻とのことなので、楽しみに待ちたいと思います。
待ちに待った続巻に、読了して「はぁ〜」と溜息が漏れてしまいました。
またまた気になる所で終わってて、早くも続きが読みたくてしょうがありません。
彷徨編で血の底まで落ちたクラウスの好感度をどう復活させて来るのか?とても気になっていた部分です。
冒頭からはクラウス視点のルルを見つけるまでの内容が書いてありました。
クラウスの日々揺れ動く思いや、怒りに支配されながらもルルを殺してはならないと思う本能から国外追放にした経緯が分かりました。
ここで読者は彷徨編での怒りを追体験するのですが、真実に辿り着いたクラウスの後悔や慟哭、毒婦ハダルの末路に胸がすく想いがすると思います。
再会してからルルを献身的に支え続けるクラウスがいじらしく思えて来て、心の底では信じきれないルルの気持ちが辛くて辛くて、何度も「もう許したげて!」と叫びそうになりました。
そして対局を前にしたクラウスを巻き込む事故によって、ルルが自分の本当の気持ちにやっと正直になれたのです。
今度こそ大切な物を無くさないようにと、慎重に行動するルルに成長さえ感じました。
次巻ではクラウスの活躍とルルとの仲睦まじい様子が読みたいです。
前巻でルルにひどい仕打ちをしたクラウスに、きっとみんな怒ってたはずです。でもこの再逢編を読むとクラウスがルルを追放した後、どのように真相を知ったのか、どれくらい後悔していてどれだけ必死にルルを探したのかがしっかり書かれているので、とってもスッキリしました(笑)。
再会したあと、ルルはまだクラウスと旅をしていた時の記憶がなく、リエルの名で呼ばれることを望み、クラウスと共に過ごすようになる。ルルの時の記憶が無い時は平和な時間が流れているが、記憶に無いはずの心の傷は未だに残っていていかにルルが深く傷ついていたかを物語ることになります。
しかし、ルルの時の記憶が無いままでいる訳ではなく、記憶が戻った時のリエルの苦悩、葛藤がとても重く響きます。ルルとしての記憶を取り戻して、リエルの時のようにクラウスを愛せるのか…というまさにこのお話の核心で…以下続刊でした~。
読者はずっとルル視点でハダルとのやり取りを見てるのでルルの気持ちが痛いほど分かるから簡単に許して欲しくないし、でもルルが好きなのはクラウスだということも分かってるからやっぱり辛いですね。愛したいけど裏切られるのが怖い、また同じ目に遭わされたら?という心情を細やかに書かれる六青みつみ先生の筆致がひたすら素晴らしいと思います。