イラスト入り
下巻にあたる、このて右、ですが。
このて左での引っ掛かりポイントが、ちゃんと回収されていて読後はめちゃくちゃ良かったです。
朝丘さんの作品は「あめのかえるところ」で、私には向いてないかも…と思っていましたが、本作品もそちらより。にも関わらず素晴らしいという感想なのです。
いわゆる萌や胸にグッとくる、というものではないものの、物語としての骨格がしっかりしていて、すごく広い範囲を描いているのに矛盾がない。
上巻では、コレBL小説の必要あるのかな?とも思いましたが、下巻で起こる出来事、その内容にちゃんと活かされていて、あぁ男女ものではちょっと難しいだろうなってところもあり、うまく組み立てられていました。
そして、究極に大切に想い合えている一人と歩和。
彼らの関係はそんじょそこらのCPが太刀打ち出来ないんじゃないかと思わされました。
そして歩和の義父がなんとまぁ良い役目で、そして尊敬すべき人物として描かれます。
対象的に、一人の上司の斎城は、、、いや、こういう人いるよね、確かにいる。しかも決定的には悪者にならないっていう…。
凄くリアルなのにパラレルワールドや非科学的なことまで出てくる不思議なお話でした。
ただ、BL小説として私が求めるものとはちと違ったので神には出来ませんでした…
前巻でメリバ(人によってはバドエン?)な終わり方を選択した2人。あの海岸から歩和がレイプされる日に戻っていた。そして歩和の名前を聞いたことをきっかけに一人も全てを思い出した。
2人は前回の選択を教訓に、違う道を選ぶように生きていくが、全てが大円団とはいかなくて…。
人生は思うようにはいかないんだよと朝丘先生から諭されるようでした。やり直しの人生を送っても結局他人を変えることは出来ない。片山たちは所詮クズのまま。そして立場や見方が変われば人の印象だって変わる。ホントに本を通してだけど人生勉強をさせてもらっているような気分でした。
やり直しの生き方をしているのだから前回のような終わり方はしないはず…!という僅かな望みだけでどうにか完走出来ました(¯―¯٥)
まだ未消化な部分も多いのでレビューを書くことを躊躇ったのですが、1度目の感想で言うとこんな感じです。でも結末を知って読むのではまた違った感想も抱けそうなので、繰り返し読むのにピッタリな本かな、と思っています。
とりあえず恋愛ものとしてみると、うーん。です
恋愛の起承転結を期待するとしんどい。
メイン二人の思考が偏りがちで、共感できたら面白いのかもしれないけど、私は難しかった。
守ってもらってる事に思うとかがあるなら、もう少し自衛を頑張ろ。って思うかなぁ
消してくれてありがとう。でなく、消す事で苦しい思いをさせてごめん。って思える子が好きっす
もう二度とあんな思いさせない。って思える子がいいなぁー
上巻読んでからひと月以上経ってました。
下巻のあらすじを読んで彼等の向かう先がどうなるのか凄く心配でした。
評価も凄く迷ったのですが、伏線を丁寧に回収してて個人的には満足でしたので神評価と致しました。
『このて 右』はやはり「一人とハナ」の続きでした。簡単に言うなら「一人と歩和」で海で消えた2人が過去に戻ってやり直すお話です。
ただこの過去があの時間軸のお話なのか、または違う時間軸なのかは本人たちにも分かっていません。
こちらの過去では歩和がレイプされて無いし、一人も警察に罪に問われることもしていません。2人で慎重に過去の出来事を回避しようと生きるのですが、上手く躱したこともあれば違う形で降り掛かることもありました。
そして違う形を取りながらも必ずことは起こるのです。なんて残酷で現実的な世界観なんだろうと唖然としました。
それぞれの正義でもって行動する人々のなんと身勝手なことかと嫌悪感も覚えました。
途中辛かったのは歩和が攻撃的になって一人とすれ違ってしまったことでしょうか?
同じことを経験して「消す」ということがどういうことか学べた一人と、狭い世界でしか物事を考えられない歩和は年齢と経験の差が出たのかと思いました。この辺りが本当に読んでて苦しくなりました。
『このて 右』には「ひとひかり」の中に指の名前が付いた章があるんですが、一人と歩和以外の第三者視点で描かれているんです。このお話とは全く関係ないエピソードが書いてあるのに、サラッと2人に関わって来るのが凄いと思いました。このお話の本質を際立たせていました。
不倫して愛人と妻を殺してしまう夫の話と、一人の策略によって愛人と妻とも別れた斉城の対比が感慨深かったです。
2人が生き直した世界での歩和をレイプした犯人たちの末路、娘を思って行動を起こした父親と父親の愛情を信じた娘、斉城との恋を終わりを一人への嫉妬と恨みに暴走した女性。
生き直した世界は2人だけの甘やかな箱庭ではなく、否応無しに他者と関わらざるおえない残酷で優しい世界でした。
個人的には歩和の義父である久家が好きなキャラでした。一人に語ったどうして歩和の母親と結婚したのかという話がとても深かったです。
対して一人の母親の話には驚きました。どうして一人という名前を付けたのかだとか、一人がずっと罪悪感を感じてた弟のこととか書いてあり、彼女がどういった人だったのかが良く理解出来ました。
一人と歩和には幸せになって欲しいと心から思いました。決して読んでて楽しい作品じゃないし重い内容ですが、読み応えがある良作だと思いました。
受けが情緒不安的すぎて…感情の起伏についていけませんでした。
許せないことは許せない、殺したい、消したいと綺麗ではないドロドロとした感情をストレートに言える子なのは好感が持てるけど、けど…私の中で首を傾げてしまう部分が多かったです。
あと言葉遣いで躓くことが何度かありそれも物語に入り込めない一因でした(「久家さま」は畏まりすぎだし…とか)。
あと何より私は斉城さんという人間を理解できない。ずるくてだらしなくて上司として信頼できる姿があったとしてもそれにしてもマイナス。
ラストも不倫相手と元妻が仲良くするなんてあるか…?都合良すぎでは?と。またその2人とも交流をしている歩和のこともまた理解できない。歩和がそういう人間なんだと物語を通して分かっても、読者としての感情は置いてきぼりで私だけずっと憤っている、ずっと許せないと思っている。私の価値観とは違うんだなと。そういう意味で趣味じゃない〜中立評価。