イラストあり・電子限定ショートストーリーつき
あらすじは、他の方のレビューにもあるので省略しますが、もう本当に最高!!簡単にオススメポイントを3点レビューします!
①後半にかけての秀逸な伏線回収!
大抵の小説は、中盤あたりで結末までわかってしまう事多いですが、この本は本当にラストまでドキドキハラハラしました!そして、序盤から中盤にかけて、色んなところに仕掛けられた伏線が、ラストにかけてどんどん回収されていく、、、普通の小説としても面白い、しっかりとしたストーリー構成!!伏線回収後味スッキリが好きな方、ストリーも重視したい方にオススメです。
②不憫健気受け好きは必読!
オメガバース好きな方は、不憫受けが好きな方が多いイメージですが、受けの蓮くんはThe不憫受け!ただ、不憫なだけじゃ無い!!とにかく健気!!!!とりあえず不憫健気受けが好きな人は読んでください。
③美しい絵
言うまでもなく、yoco先生の絵。麗しや。
オメガバース以外に、この小説独自の設定がいくつかあります。(漢字が多い手術の名前?とか)ですが、内容自体は非常に簡単で理解しやすいです。オメガバースの基本設定を分かっていれば、初心者の方でもスラスラ読めます。そして、オメガバース作品マスターの方には、逆にそれがスパイスとなって、楽しんでいただける作品だと思います!
オメガバースものはそこそこ読んでいるけど、
ここまでΩが可哀想な設定の作品は初めてでした…
最後をのぞいて、全編通して受けの蓮に対する周り(攻めの瑛理含む)の反応だったり態度が、まぁひどい。完全にΩが差別対象になってる設定です。
そんな周りのことなど気にせずコツコツ仕事に打ち込む蓮の姿がいじらしくって…
だからこそ最後の展開に心からよかったと思えました。
時間をかけて読もうと思っていたのですが、気がつけば一気に読み切ってしまいました。
yoco先生が描かれた挿絵が作品の雰囲気とも合っていて、表紙は最後まで読んだ後見返すとグッとくると思います。
片岡先生の作品は初めて読んだんですが、他の作品も読んでみたいとおもいます!
αで俳優の瑛理×Ωで衣装デザイナーの蓮。私史上Ωに最も過酷なオメガバースでした。
Ωが迫害される世界、瑛理目線で話が進みますが、瑛理は勿論、周りも蓮への当たりがきつい。そんな状況を淡々と受け入れて、ひたすら仕事に取り組む蓮がかっこよかった。そんな蓮に瑛理は惹かれたんだと思う。
周りの妨害があったり、瑛理が違和感を持つ中で過去が明らかになり、蓮の悲痛な覚悟に泣きました。どうにもできない状況で、それぞれが大事な者を守りたかった。でも歪みがあるから幸せにはなれない。
瑛理が真実に辿り着いて、想いを貫いてくれて本当に良かったです。
ラストのアリサのシーンが印象的、心に沁みました。
yoco先生のイラストが作品にぴったりで、作品を読んで泣き、イラストを見て泣き。
心をぎゅっと掴まれるような、素晴らしい作品でした
著者は、一年か二年ごとに1冊ずつ商業本を出していて
yoco先生や、みずかね先生といった実力派絵師が挿絵を担当、
出版社がよっぽど力を入れている作家なのだと思う。
未来:Ωの寿命 / 過去:記憶操作
この作品は、既刊本の中で一番読後感が良かった。大満足。
著者のパターンは、”痛ましい過去を持つ主人公が頑張りぬいて 結末ハピエン”。
長編向きの内容を無理に1冊にまとめて、いつもどこか端折られて残念だったけど、今作は80頁増加。
▶オリジナルバース設定:Ωの寿命は30才。
「Ωは、生命力をαから得る」「αは、Ωに寿命を与え短命化」・・命と引き換えの愛。
▶小説冒頭は、誰かの葬儀の後、「連が作った喪服」の話題
・・この伏線回収は「30年後」にある。
前半重い展開だけど、ハピエンなので頑張って読んでみて。
続いて瑛里が演ずるシェイクスピアの演目に沿って展開。
「タイタス・アンドロニカス」:言葉を封じる
「真夏の夜の夢」:
「オセロ」:イアーゴの台詞。邪推の毒。
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●最上瑛里:α 29才 :過去の記憶がない。
「Ωはαの寄生虫」だと嫌う、モデルで俳優。
185センチ以上の長身、瞳と髪は茶色。
Ωの漣に衣装を担当され憤慨。
●最上雄一郎:α 政治家 瑛里を溺愛する父親。
●榊 正敏:α嫌いの衣装担当 二人の過去を知る人。
●久瀬 蓮,:28才 Ω
デザイナー。 表紙の衣服を抱く人物。薄い色の瞳と白い肌、金色の髪。
榊正敏の優秀なスタッフ、最上瑛里の衣装担当。
15才の時、瑛里から命を奪いたくないと、番の瑛里と関わりを絶つ。
▶違法の「側頭葉認知機能除去手術」:
特定の記憶を消去する医療。記憶障害の副反応がある。
瑛里の父親が手配。瑛里から連の記憶を消す。
担当した菱川医師は逮捕、獄中死。
●鴨原華南:α一家の中のβ。瑛里の婚約者。父は、警視庁次長。
●最上瑠衣:一族に愛されて育った、瑛里と蓮の息子。
●アリサ:蓮の衣装作成のアシスタント。
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・30years later(30年後)・・ 「三番目の夢は喪服」
・SS:それから少しあとのこと
「いつかあなたに逢えたなら」「善き王子のための裏切りのフーガ」とこちらの作品で3冊目になり、前作から1年半あまりの新作でしたがこの作品が1番好きでした。
人気絵師さんばかりに挿絵を描いて貰っているので、とても期待されている作家さまなのだと思うのですが、今作でその実力を発揮していると思いました。
どちらかと言うと作風は決して明るくなくて、時には読むのが辛くなる描写が多々あります。なので木原音瀬先生辺りを好まれる方にはハマるのではないかと思いました。
今作では冒頭の初老の女性と青年のシーンが、巻末の「30 years later」で昇華していて見事だとしか言いようがありませんでした。
こちらのお話ですが蓮がオメガとして酷い目に遭って来たからこそ、結末に安堵し涙が出るのだと思いました。
瑛里がどんな態度を取ろうが一貫して仕事に誠実であろうとする蓮が強くてとても魅力的な人物なんです。どうして蓮が強い気持ちを保ち続けられるのか、瑛里が何故オメガ嫌いなのかは後に秘密が明らかになります。
前半の各所に散りばめられたヒントに「多分こうじゃないのかな?」と想像出来るのですが、その答え合わせをする為に読むのが凄く面白いのです。もちろん瑛里と蓮のキャラも魅力的でした。他にも蓮の師匠の榊とかアシスタントのアリサも魅力的なキャラでした。
オメガを憎み蔑むとても未熟な世界ですが、中には己の考えを改め悔やむ瑛里の父親のような存在がいることが救いでした。
α至上主義の家庭に産まれたβの悲劇も気になりました。