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表題作ブランクコード

三浦恵介、高校生→24歳→26歳、バンドのベーシスト
宮瀬藍、高校生→24歳→26歳、バンドのギタリスト

その他の収録作品

  • 描き下ろし -instrumental-

あらすじ

「愛に音があるなら俺に下さい」
心に傷を負ったギタリストと寄り添い続けたベーシスト。
8年分の「音」で綴る想い。

高校時代の出来事で心に傷を負い、
現実から逃げるため音楽に依存してきた藍。
バンドメンバーの恵介は、自分の独占欲が
招いた8年前の事件を悔い、音楽が居場所
になるならと支え続けてきた。
生きる理由を失った藍と、
藍が恐れる好意を押し殺す恵介。
あの日から止まっていた2人の関係は、
ラブソングの制作依頼で動きはじめ……。

「何を恨んで生きればいい」
「生きてくれるなら何でもしてやる」
どれだけ、泣いても離れられない──。

作品情報

作品名
ブランクコード
著者
サノアサヒ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
プランタン出版
レーベル
Cannaコミックス
発売日
電子発売日
ISBN
9784829686768
3.5

(26)

(12)

萌々

(3)

(3)

中立

(3)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
7
得点
84
評価数
26
平均
3.5 / 5
神率
46.2%

レビュー投稿数7

共依存と似て異なる唯一

同人誌から惚れている作家様、デビューおめでとうございます。

ストーリー、描写、作り方、デビュー作とは思えないほどの完成度の高さでした。
ただテーマや内容としては、好みが分かれやすく、読者を選んでしまうと思います。

高校時代に性的被害に遭ってしまった藍と、高校時代から藍に想い寄り添ってきた恵介。
音楽に逃げる藍と愛を伝えることをしない恵介、二人の関係が辛く痛々しく苦しい。
ラブソングの制作をきっかけに、"愛"に向き合い、傷を抉りつつ、先に進んでくれます。それでも"愛"を形にすることはできない、その方法がわからないし、明確にすると壊れそうな脆さがある。光は見えても、完全な救済で終わらないのもリアリティがありました。

わかりやすいハッピーエンドではなく、身体で慰めるような物語でもないため、キュンキュンする萌やエロを求める読者層には合わないと思います。しかし傷の舐め合いではなく、多少向き合って二人で前に行こうとする運命共同体のような関係に尊さを感じました。

描きかたも、台詞やモノローグとイラスト描写、全てを総合して補われ魅せていると感じられました。こちらについても、読解力が求められると思うので読者を選んでしまうのかも知れません。

個人的には郁人さんにもしっかり設定がありそうで、そちら主体の物語にも触れたいです。

BLアワードに並ぶならDeep部門、読み応えのある1冊でした。

5

私は大好き

犯罪は、被害者本人が苦しむのは勿論だけど周りも非常に苦しむのが辛いところ。特に藍は性犯罪被害者なので周りに打ち明けることも苦しいだろうし、社会で生きていくのが難しくなるのは想像にかたくない。

自分の弱いところを人に吐露するというのはなかなか精神力のいることで、それが辛くてずっと心療内科等にもかかってこなかったんだと想像する。家族に話していたかどうかは分からないけど、もしも話していなかったとしたら家族も知らないことを2人で抱えてこんで8年そばにいた恵介の苦しみも中々のものだったと思う。

辛くてしんどい過去をただ反芻する日々を抜け出して、明日の楽しみ方を考えることはできるようになったかもしれないが"ハッピーエンド"には程遠かったかもしれない。

2人の信頼と依存とも言える関係値があれば本来もっと幸せに(幸せの定義は人には決められないけど)なれたはずなのにあの程度の幸せを噛み締めることがやっとだと思うと苦しかった。でもトラウマも拭いさってハッピーエロ!となるのはあまりに安っぽいし私はこれが好きだと思った。
ただ、言葉少なに語ることも日本の1種の美ではあるがもう少し色々説明があっても良かったかなと思う。バンドをはじめた経緯とか、当時その後どうしていたのかとか。そういうのがあるともっと感情移入できるんじゃないかな。1冊完結が多い商業BLだし、ページ数は作者様の都合で決められるわけでもないから難しい話だとは思うけど。これはブランクコードに限らず色々な商業に言えると思う。
私は好きだし満足だったので神評価です♡次の連載も楽しみ

2

愛の物語だと思いました

表紙から、ビターな雰囲気が漂っていたので覚悟して読みました。

ビターではあるけど、闇雲に暗かったり、はたまた暴力的な作品ではなかったです。
どんな物語かと聞かれると「愛の物語」だったとしか言えない。



いや、それじゃあレビューにならないのでちょっと解説すると高校時代のある事で心に闇を背負った藍と、その事に負い目を感じながらも藍を支えようとする恵介。この二人と先輩を入れた四人で組んだバンドにラブソングの依頼が舞い込み過去との精算が始まる――。そんな感じです。


高校で出会ってから藍と恵介が8年もすれ違うのですが、その時その時に、藍は誰を思っていたのかな? とか、恵介はなんでずっと藍から付かず離れずなのかな? とか、すれ違ってしまった時に感じた疑問が後から分かってきます。
藍の記憶のせいで、前後関係(情報の開示)がバラバラになってるので何回でも読み込めるストーリーになっていて面白いです。

主な登場人物である、藍、恵介、郁人先輩、サネさん、皆優しい人達だなぁって思いました。優しさゆえに、すれ違って傷つけてしまって、つらいなぁとは思うですが、読んでいてしんどいとは思いませんでした。やっぱり根底にある気持ちが優しさや思いやりだと感じるからでしょうか。私みたいに表紙だけで、暗くてしんどい作品かもしれない……。読んだら元気なくなるかもしれない……。そう感じて距離をおいたりしないでほしいです。

(※ネタバレなしのレビューではありますが、一つだけ。性被害に関するシーンがあります。避けてる人は気をつけてください)


私は、なんで表紙で怯んでしまったんですかね。表紙大好きです。藍くんのお顔がとても可愛い。サノ先生の描くキャラクターのお顔をこんなにも高解像度で拝見させて頂いてもよろしいの? と表紙を見るたびに驚きます。顔のパーツ全部可愛くて艶っぽくて色っぽいです。影のある色味が深い藍色のようで素敵。

色と言えば、藍の髪色が青みがかったグレーで、恵介の髪色は赤みの強い焦げ茶色です。漫画は白黒なんで藍は白っぽく、恵介は黒っぽくなってます。表紙だけだと恵介の髪色が分からないと思ったので一応。(合ってますよね? 色って人によって言葉での表現がバラバラなので自信ないです)

あと、日常でふと気づけば藍や恵介のことを考えてしまいます。じわじわとしみしみと、遅効性の薬のように効いてくる感じです。
何回か読み、しばらく時間を置いてまた読む。少しずつ理解して飲み込んでいって、やっと物語が腑に落ちたのでレビューが書けてます。



ブランクコードは、静かで集中しやすい冬に読むのがピッタリだと思いました。(ブランクコードってタイトルもめちゃめちゃ良いですよね)
春がくる前に、桜が咲く前に、気になる人にはぜひ読んで欲しい作品です!

(あっ! ちるちる内にサノ先生のインタビューがあるので合わせて読むのもおすすめです)

0

終わりの見えない旅

心に傷を負ったバンドマンの藍が前に進むためにもがき苦しんでいて、全体的にダークな雰囲気。藍を支え続けている恵介との歪な関係がなんとも切なかったです。
光の見えない場所に身を置きながら希望も捨てきれず、一定の距離を保ちながら側にいるふたりの葛藤を同じように苦しい気持ちになりながら読み進めました。

高校で音楽を通して仲良くなった恵介と藍は楽器を教えたりバンドを組んで曲を作ったり、青春の日々を楽しんでいたけれど。
藍が性被害に遭ってしまってから、すべてが変わっていくという展開に。

真っ直ぐに音楽を楽しみ、ちょっぴり照れたように可愛く笑っていた藍の目から光が消えて。
苦しみから逃れるために自分を傷付けずには居られなくなって…
でも心を閉ざしても周りを拒絶しても音楽をやめないことを藍自身が選んだから、藍が求めた拠り所を恵介なりに守ってきたのでしょう。
藍を助けられなかったことを悔やみながら、心の傷を一緒に背負いたいと願うけれど。
大切にしすぎて最後には自分自身さえも見失ってしまったことに胸が苦しくなりました。

「愛」を理解していながら、自分の中にその感情が生まれるを認められない藍の苦しい旅は終わらないけれど。
恵介も音楽も変わらずに自分の側にいてくれることで、少しずつ変わっていってくれるのではないかな思えるラストになっていたのが良かったです。
途中で藍をヌくシーンがありますが、ふたりの関係性からいって一切エロなしでも良かったかもしれません。
そのほうがこのお話の雰囲気に合っていたかなと感じました。

こちらの作品がデビューコミックスとのこと。
目に見えない傷を癒やしていく、終わりの見えない苦しさを描くような難しい題材をうまく表現していたのが素晴らしかったなと思います。
次の作品もまた是非読んでみたい作家さんでした。

1

音楽が語る痛みのラブストーリー

恵介 × 藍


痛々しくて切ない、
心にズシンと響く傷を負ったギタリストの藍と、
その藍を愛し続けるベーシストの恵介の
グサッと突き刺さる物語。


藍と恵介は高校時代からバンドの仲間で、

藍は8年前に高校時代に性的な被害を受けてしまい、
心に深い傷を負ってしまった。
その傷、なかなか癒えないままで、
ずっと音楽に逃げ込んで生きてきている。
病的な感じがビンビン伝わってきて、心がズキュンと痛いよ。

恵介はそんな藍をずっと支え続けている。
恵介自身も自分の独占欲が過去の出来事を引き起こしたことを後悔している。

恵介が音楽の才能がなくて、
母親からの愛がなかったりで、という背景があって、
心の奥底では藍のような天才に憧れを抱いている。

でも恵介が、藍のこと本当に大切で、
藍のためなら何でも与えたいと思っていて、
純粋に藍の幸せを願っている。
男前の痛々しいヒーローかな。

2人の関係は、
鋭利な刃物で心をえぐるような痛みがあるのだ。

藍は、生きる理由を見失って、
恵介の優しさに怯えていて、
自分に対する好意に対しても、
藍は自信が持てなくて苦しんでる。
一方の恵介も、藍に対する熱い気持ちを押し殺しながら
藍のために尽くし続ける。
2人の間には温度差が生まれて、
すれ違いが生じてしまう・・・。

藍の驚異的な感受性と天賦の才能と、
恵介の強い執着心と庇護心が絡み合って、
切ないハーモニーを奏でている。
そして、
藍の傷や孤独、
恵介の葛藤や悔恨が交錯し、
切なさや悲しみ、苦しみが滲み出ていて、
その痛みの中から生まれる光が差し込んでいるのは、
2人が向き合い、成長していく姿や、
音楽を通じて結びついた特別な愛おしさと絆。
全てが胸にグッと迫ってくるのだ。

精神的に切ない雰囲気にぴったりの
絵柄がすごく印象的で、
読んでいるうちに
深い感情が湧き上がってくる作品でした。


疑問点:

性的な被害を受けた後、
なんで早めに専門医に相談しなかったんだろう?
8年間も放置!?
心の病を音楽だけで癒してきた(癒していたには見えなかったし)・・・?
さすがに不自然すぎます。

エッチな行為と嘔吐の関連性がさっぱりわからないよ。
なんか無理やにエロシーンを持ち出してきたみたいで、
意味不明ですね。

4

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