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竜王の婚姻 下 竜の頂と導く者

ryuuou no konin

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表題作竜王の婚姻 下 竜の頂と導く者

アリオス(四大国を束ねる皇帝)/イザク(獣人族の戦士)
セナ(従属の証しとして大国へ嫁いだ小国の王子)

あらすじ

小国の王子であるセナは、「惹香嚢」という男でも妊娠可能な特殊な臓器を体内に有している。
発情期には男を惑わす魅惑的な香りを放つため、問題が起きぬよう、たった一人で牢に隔離されるという生活を送っていた。

淫売と罵られ、家族にさえ顧みられないセナだったが、ある日突然父王から
「お前を、レスキア皇帝に嫁がせる」と命じられてしまう。
惹香嚢持ちとはいえ、男が後宮入りした例はなく、帝国への従属の証しとして嫁いでも、殺されてしまうかもしれない――。

命令には逆らえず、セナは侍従一人だけを供にレスキア帝国へと向かう。
そして迎えた皇帝との初夜。発情したセナが目にしたのは……。

重厚で壮大なラブロマンスファンタジー、ここに開幕!

作品情報

作品名
竜王の婚姻 下 竜の頂と導く者
著者
佐伊 
イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
MUGENUP
レーベル
エクレアノベルス
発売日
電子発売日
ISBN
9784434337055

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6

4.6

(22)

(19)

萌々

(1)

(0)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
4
得点
100
評価数
22
平均
4.6 / 5
神率
86.4%

レビュー投稿数4

番外編に心震えた…

あまりに厚い冊子に休憩する度に指が強張りスマホも握れず、SNSを開けば何時間没頭して読んでたかが分かって驚愕したのが本作品になります。上巻を読み終わった直後に下巻を掴むほどこの世界観に夢中になってました。

それはこの世界の行く末を見届けなければという思いと、レスキア皇帝であるアリオスが幸せになったか知りたいと思う気持ちからでした。

大まかに言うと神山での高位神官たちによって世は混沌を極めたばかりか、神である竜王の生命まで脅かすという事態に人間たちがどう立ち向かって危機を脱したかというお話です。

上巻のレビューでも書いてますがアリオスを取り巻く人々とセナを取り囲む人々の視点も入っていて、壮大な物語を俯瞰的に眺めているような感覚になるので普段読んでいる小説のイメージで読むと驚いてしまうと思います。逆に「精霊を宿す国」を読んだ方ならお馴染みの構成だと思いました。

私はレスキア皇帝であるアリオス推しなので、彼の孤独と諦観と慈愛に共感して来ました。レスキア皇帝としての責務と自らの秘密を抱えて、ありのままの自分を見せれたのが惹香嚢体であるセナでした。
ですがジグルトなど自分の側近の思惑や各国との関係によって皇帝の仮面を脱ぐことも出来ず、気が付いた時には愛する者は自分の元から手放すしか出来なかったんです。

このセナとアリオスの関係がどう変わって行くのかと、一字一句確かめながら読み進めました。そしてアリオスに定められた運命を知って涙が止まりませんでした。何度もセナがアリオスと同じ運命になってないのかと確認しながら読みました。
だからこそ番外編に心が震えたんです。

番外編や紙書籍限定SSにはアリオスの未来は書いてありませんでした。でもきっとアリオスは己の運命を受け入れて、その時まで次代の為に生きて行くのだろう事だけは分かりました。

何を言いたいのかというとアリオスが良い男だということだけです。凄いボリュームだし独自の設定も多いし、登場人物や国の関係も複雑だし、きっと誰かしらの地雷も踏んでる作品だと思いますが、アリオスを1人でも多くの方に知って貰いたいのでこの作品を推したいと思います。

5

キャラひとりひとりが魅力的!

ハイボリュームのファンタジーが読みたかったので飛びつきました!

ストーリーもみっちりでかなり読み応えありました。設定てんこ盛りで地名や登場人物もたくさん出てくるので、これ破綻なく書くのめっちゃ大変やろ……と白目剥きました。でも誰ひとり欠けちゃいけないんですよね。不要な人物がいないというか。一人ひとりにドラマがあり、それぞれが傷を抱えて生きている。それがこの世界を奥行きを生んでいると思います。

ー以下ネタバレありなのでご注意ー

上巻でセナがイザクに惹かれ初め、下巻ではイザクが心を取り戻し2人が想い合うようになる一方で、表紙や口絵、番外編の構成からセナは最終的にはアリオスとも心を通わすようになることが察せられたため、セナとイザクこんなイチャイチャしてるのにアリオスに傾くことある?え、イザクってもしや……と思ってはいましたが……やはり辛い。

短い日々で燃える様にイザクに恋をしたセナ、そしてじっくりと4年かけてアリオスを愛したセナ。アリオスもイザクもお互いをセナを任せるに足る者として認めていて、また自分の独占欲よりもセナの命や心を優先して大切にしているためか、2人を愛したセナを嫌みなくスッと受け入れられました。これで2人がセナを奪い合ってセナが両方と関係をもったり、イザクとの別れが終盤だったらセナの印象違ったと思います。

欲を言えばもうちょっとセナとアリオス、セナとイザクが惹かれ合う描写が欲しかったので萌え2で。こういうところをお互い好きになったんだよっていうところをもっと読みたかったです。

セナ亡き後100年を孤独に生きるであろうアリオスを思うとセナもどうにかして150年生てくれーと願ってやみません。

3

壮大な世界観ゆえの…

読むのを楽しみにしていた分、辛口評価になります。

まず申し上げたい素晴らしい点は、壮大な世界観であること。作り込まれている分、時間を忘れて没頭してしまいます。数多くの登場人物が出てきますが、キャラ設定がしっかりしていて、人数の割に混乱しません。
最初に想像してしまうような、受けが攻めに後宮で愛される単純なストーリーではありません。繰り返される悲しい歴史に何とか抗おうとする、愛する人を守るために何度でも立ち上がろうとする人間の物語です。



そうであるからこそ、肝心な主人公セナの描写がどうしても弱く薄く感じました。男勝りで跳ねっ返りなのか、儚いけれど芯があるのか、人物像が最後までイメージできず…なぜアリオスがセナに惹かれたのかも…いまいち納得できませんでした。
ジグルトとセイジュが主役かな?と思うくらい途中出てこなかったりして…

あと私が集合体恐怖症なので、鱗病の描写がきつかった…

でも佐伊先生の描く作品は好きなので、これからも追いかけていこうと思っています。

3

圧 巻

はーーー……読み切ったぞ。という達成感がすごい( ´∀`)
壮大にしてかつ緻密な物語の世界に没入です。
上巻からタスキを繋いだ下巻の流れも、はわわわ…。ドドド最高でした。

書籍の厚みもさることながら、内容も超ヘビー級。怒涛の回収劇は呼吸を忘れるほどの見応えで、あまりにも凄すぎて震えました。
四大国全てを巻き込んだ陰謀と、この世界に起きている奇怪な病症現象の謎が下巻では紐解かれていきます。これまでに起こった個々別の事象は全て複雑に絡み合い、点と点が線となって繋がっていく頃には物語は佳境を迎えていて、後半戦の勢いは恐ろしいほどのエグ味を増していきます。


たくさん泣きました。
たくさんの感動をもらいました。

確かにこれはBL作品で、深い愛、情に満ちた愛を思いっきり堪能しましたが、それを超える次元でのヒューマンドラマだったり、己や他との戦いの物語だったり、見せてくれる景色は1つ2つではありません。


欲深き愚かさや醜さが世界を混乱に陥れ、世界の縮図を変えていくことに繋がる一連の流れは破滅の道か未来への道か……。
竜王を神格化し、その傍らに侍る者たちの穢れある心根が神の逆鱗に触れた。不浄を不浄で重ね、更に穢れていく特権階級の者たちへの呪いと制裁は、誰の手で裁かれることなくこの世界の理からの自然淘汰であったところが、見事な終焉だったと思います。
 
竜王の婚配者争奪戦だけの側面のみにあらず、その背後に隠された神山の秘密を暴くことが主線となり、世界を、神を、大事な者を救うための大きな戦いへと動いていくストーリーは、まさに"壮大"というワードがぴったり。BLがメインなのか、この荒れた世界情勢に立ち向かう戦いがメインなのか分からなくなってきます。
もちろんメインの関心事はBLですが(笑)、それを盛り上げるだけの物語設定と背景描写の細やかさが、この作品がただモンじゃないことを証明してくれているのは間違いありません。

セナを愛する2人の男たちは、この壮大な世界観にも負けないくらいの圧倒的存在感です。

命をかけて守り愛し抜く男・イザク。
人を愛する感情をセナに教えてもらいました。
セナを想いながら、幸せをただ願い続ける男・アリオス。
初めて恋を覚え、夢中でセナを愛しました。

2人の男に愛されて、そして愛したセナ。
それぞれのセックスシーンもあるし、この人とだけ永遠に…っていうわけじゃないけど、それでもこの3人の関係を納得して受け入れることが出来るだけのストーリーがあります。
というのも。アリオスはセナの妊娠時に酷いことを言い、冷たい扱いをしてきた引け目があるので、イザクとの関係に物申す資格がないんですよね。ちょっとした攻めザマァな感じでもありますが、これは非常にナイーブなトコなんで実際に読まれて複雑な三角関係を感じて欲しいです。


全細胞が活性化し、あらゆる感情が毛穴から吹き出す肌感覚で興奮気味に楽しみました。喜び、怒り、哀しみ、楽しみに加え、慈しみ、愛し愛されることの尊さも同時に味わいました。
主役たちだけじゃない、セナを支える個性的な登場人物たちも本当に素晴らしかったです。これだけの演者をまとめあげた作者さん、すごいです。

一度読み始めたら最後。突き抜けて下さい。
後戻りはできませんので、じっくり時間をとってこの世界を堪能して欲しいなと思います^ ^

8

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