小説

  • 重なりあって恋になる

重なりあって恋になる

kasanari atte koi ni naru

  • 電子専門
  • 同人
  • 紙書籍【PR】

表題作重なりあって恋になる

大山順 
会社員 23歳 
藤崎晶 
会社員 28歳 

あらすじ

隠れゲイのサラリーマン藤崎はある日有り余る性欲のせいでうっかり職場の後輩である大山と寝てしまう。無邪気で誠実な大山は藤崎に夢中で、藤崎もついほだされそうになるのだが……。純粋な年下ノンケ×性的に奔放な年上のゲイ※性暴力についての描写があります。本編約55000字、攻め視点番外編約38000字、おまけSSつき。

作品情報

作品名
重なりあって恋になる
著者
古池ねじ 
イラスト
おもち 
媒体
小説
サークル
Neji Book Lab〈サークル〉
電子発売日
5

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萌々

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中立

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趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
5
評価数
1
平均
5 / 5
神率
100%

レビュー投稿数1

お下劣と辛い過去と泣ける幸せ

ザ・一人称な作品。あまりにお下劣な語り口に導入から怯んでしまうが、その内側に隠されているものはとても重い。精神的にキツい描写が長いので、引きずられそうなときに読むのは注意が必要かも。後半がとても良く、幸せな読後感。

表題作は藤崎視点で、冒頭から飛ばしてる。その単語何回言うの?ってくらい何度もち〇ぽ連呼。ヤリた過ぎて偶然会った会社の後輩である大山をホテルに連れ込み襲う始まりで、大山が責任取る気満々なお話。

藤崎が心の中で否定したり喜んだりしながら、二人の体の関係は続いていく。
一方大山は一直線な感じで、藤崎可愛い大好きな気持ちを隠さない。拒否されて傷付きながらも告白し続ける大山には、押し付けに感じない不思議な魅力がある。人間的に信用出来て、さらに今後は頼れる男に成長しそう。自分を傷付けないと、安全な存在だと、認識されるタイプなんじゃないかな。

そんな大山だったから、藤崎も過去に起因する闇を口にできたのかな、と思う。大山は藤崎と一緒に泣いてくれる人だった。むしろ藤崎が泣けない分まで泣いていた。

自分と向き合う藤崎の描写は、淡々とした中に悲痛な叫びがあふれていて辛かった。洗脳と支配、精神的・肉体的・性的な、暴力。相手は藤崎の好きな人で、相手から見れば同意の態度を取り続けたことは、自身への悔恨が強く残るだろう。

そうして、藤崎が闇から抜けるところで本編終了、続きは大山視点で。恋心に気付く初々しい過去から、付き合い始めた二人のその後まで。
藤崎が隣にいる実感を綴る大山の心理描写がとても長い。自分のことも藤崎のこともよく分かっていて、何に対しても誠実なのが伝わってくる。こんな人を描けるってすごい。

同棲して会社に公表して、順調な二人。大山の成長を期待させてくれる空気は眩しく、藤崎が幸せに慣れようと不器用に生きる様子は泣ける。しみじみ良いお話だったな、と余韻に浸れた。

個人的にとても良かったのが、考えさせられる系にありがちな、キャラを越えた思想の主張を感じなかったこと。あくまでもそのキャラ個人の考えとして、真摯に向き合って描かれているようで、違和感なく没入して読むことができた。

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