自分を好きになれないままはじまる、恋の物語

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月とピエタ 上

tsuki to pieta

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表題作月とピエタ 上

陽介
百合川

あらすじ

「君からはいつも画用液の匂いがする」

他人からの願いを断るのが苦手。
そのせいでストーカー被害にあうほど、
愛想笑いの日々を送る美大生の陽介は
変わることのできない自分に思い悩みながら、ひたすらに絵を描き続けていた。

ある日、変人と噂される解剖学の講師・百合川に
見透かされたような一言を投げかけられ、逆上してしまう。

葛藤しながら帰宅したその夜、部屋の前に見覚えのある姿が…


自分を曝け出せない美大生×変人講師
不器用な二人の初めての純愛

作品情報

作品名
月とピエタ 上
著者
大地幹 
媒体
漫画(コミック)
出版社
KADOKAWA
レーベル
カドコミ【非BL】
発売日
電子発売日
ISBN
9784048116657

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31

3.2

(18)

(8)

萌々

(1)

(2)

中立

(1)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
2
得点
51
評価数
18
平均
3.2 / 5
神率
44.4%

レビュー投稿数2

百合川先生のこと

十字架に懸けられたイエスの絵を描いている陽介の姿から物語ははじまります。
いつも愛想笑いをしてNOを言えず優柔不断な陽介は、女性関係でトラブルもよくあります。ひょんなことから美術解剖学の解剖学の百合川先生と隣同士に住んでいることがわかります。身だしなみも小汚かったり、いつも鍵を失くして自宅前に座り込んだり、夜の街を散歩しているちょっと変わった先生ですが、陽介はその美しさに気づきます。

ある日、陽介はブグローの絵画展を見に行きます。そこで見たピエタに衝撃を受けます。そこで先生にも偶然出会い、ふたりはブグローの絵のことを語り合い、陽介の絵についても話します。
「あの絵、好きですよ」という先生のシーン、素晴らしかった!ここで恋に落ちた瞬間がとても上手く表現されています。
ふたりが隣人として仲良くなっていく過程で、先生がADHDらしい様子や実は黒髪に染めているとか、先生の側にいると楽だとか知って行くうちに距離が近づき、ある夜にキスをしそうになります。
上下巻ならではの、ゆっくりとじっくりと登場人物の様子や気持ちが描かれています。そして、互いの好きな気持ちが不器用ながらも交差してきます。

「ピエタ」はイタリア語で「慈悲」「哀れみ」を意味し、キリスト教美術の主題では磔刑から降ろされたイエス・キリストの亡骸を聖母マリアが抱きかかえている姿を描いた作品のことです。
そして「月」は「月衣(るい)」という先生の名前からなんでしょうね。
タイトルの意味が下巻ではどう絡んでくるのか楽しみです。

1

あなたの前でだけ、心から笑える

とても、とても良かったー...

表紙とタイトルからではちょっと内容が想像しにくく、
手に取るのを躊躇う方もいるのではないかな?と思いますが、
すごく良かったのでぜひ読んでみていただきたい...!

以下、上巻のみ読み終えた時点での感想・レビューです

主人公は人当たりよく、他人からのお願い事を断るのが苦手な美大生・茨木。
そのせいでストーカー被害に遭い手に傷を負い、
引っ越したばかりという人物です。

そんな彼と、”変人”と噂の美術解剖学の30代教師とのお話。

各電子ストアの試し読みより、
ちるちるさんの試し読みの方がボリュームがあります。
内容もより分かると思うので、少しでも気になった方は、ぜひそちらから...!

背が高くて、地毛は金髪で(彼はダブル)、
瞳の色はその名(月衣:るい)のとおり輝く月の色。

”目立ちたくない”と髪を黒く染め、
人付き合いの苦手な百合川教授とのひょんなことから始まる交流、
深夜の散歩にトクトク、心ときめきました。

嫌なことをどうしても嫌と言えず、
当たり障りない笑顔と言葉で受け入れてしまう茨木。
自分でもそんな自分が「嘘くさい」と思うし、
嫌でたまらないのに...

そんな彼のストレスが、百合川にかけられた思わぬ言葉により
爆発するシーン。
一気にピリつく雰囲気に、グッとのめり込んで続きを読んでいくと…

辛辣に思えた百合川の言葉が、実は無理をする茨木のことを
気遣うものだったー

と分かり、読んでいる自分も茨木と同様、
百合川の不器用な温かさに惹きつけられていきます。

大人なのに、何度も鍵をなくしてしまったり
教室に入る時ドアに頭をぶつけたり、
茨木が差し出したおにぎりに無防備にかぶりついてきたり。
(米粒が口の端に付いちゃってるの、可愛い・:*+)

子どものようなピュアなところと、しっかり「人」を見ていて
背中をそっと押す言葉をかけてくれるところ。

そんなギャップに、いつの間にか絆されてしまう気持ちも分かります。

だんだんと百合川にだけは「素」の自分を見せるようになり、
方言で話すようになる茨木の、目に見える変化にニヤリとしてしまいました(。-∀-)


作中、二人が偶然出会った美術展での”ピエタ”のお話も印象的。
磔にされ息絶えたキリストを胸に抱くマリアの、
あんな表情を描いた絵があるなんて...!知りませんでした。

画家自身の境遇とも重なる、聖母マリアの”怒り”の表情。
その表情から新しい気付きを得る茨木と、
そのことで百合川との距離がまた一歩近づく描写、うまいなあ...

そのまますんなり二人は唇を重ねー

とはならず、ギクシャクした関係となり下巻へ続く構成も
とても良かった。

男性相手、しかも年の差のある相手に自分は何を...!
と戸惑い葛藤する茨木の姿がしっかり描かれており、
感情移入して読むことができました

無意識に仕掛けたキス(未遂)によって、
すれ違いが生じてしまった二人。

下巻でどのように展開し二人が幸せを見つけていくのか、
読む前からドキドキしています...!読むぞ...!


★修正:なし(描写なし)電子シーモア

3

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